IWGPって知ってるかい?
「池袋ウエストゲートパーク」。
石田衣良って人が書いた小説さ。
あの池袋が舞台。西麻布でも永田町でもない。
頭のいい奴、生きるのが上手い奴には縁がない街かもな。
でも、ストリートの匂いや熱に敏感な奴、そう、アンタなら分かると思うよ。だから、ご紹介さ。
これは、池袋を舞台にした、ストリートの物語だ。「今」を映してると言えるし、脆いけど崇高なまでに強い「人間」ってものがそこにあるかもな。
主人公はマコト。そしてマコトのダチは、池袋のギャングを束ねるキング・タカシだ。
彼らだけじゃない。それぞれに陰影のある登場人物は、物語をジェットコースターのように滑らせ、時に脱線させようとする。
そのスピード感は、流行りのファッションどころか、白い粉やイカしたビート以上のものだよな。
この文頭を読んでみなよ。
魂のどっかを持っていかれちまうだろ。これを読んでページを閉じる奴はどうかしてる。文章ってのはこれだ。そう思うよ。
そしてこの街で走り回って傷ついて、時に涙を流すマコト、そしてタカシ。ただ、奴らはありのままの自分でありたいだけなのさ。
動き、跳ね回る時代の中で、必死に自分を守ってる。自分の中で変わらない軸を守ろうとしてる。
それは本当に難しいことだ。だって、アンタだって、自分らしく生きるって大変だろ?
アンタに「軸」はあるかい?
今、それを持っていることこそが、まさに勇者なんじゃないかな。
時代にアジャストするのもいい。でも、何か硬い、誰にも侵されない部分を守り続けることも大事。池袋のストリートで紡がれるこの物語には、俺たちがリスペクトすべきそれがあるのさ。
だから、55歳の俺も何度も何度もこれを読む。そして、なんだか勇気が湧いてくるんだよな。
まあ、歳をとって、一度読んだストーリーを忘れちゃってるってこともあるんだけどな。年寄りの特典。
せっかくだから、最後に俺が好きなフレーズをいくつか紹介しよう。
この本に出てくるのさ。
マコトを大切に思うからこそ、タカシは火の粉が及ばぬように気を使う。
それに対し、マコトは怒り心頭だ。
「ほんとに危ない橋を一緒に渡り、どデカイ損を一緒に被る。それがダチだろうが」と。
そして暴力の嵐が過ぎ去った後、タカシの本音が明かされるのさ。
タカシはマコトに言う。
「俺には一緒に火のなかに飛び込んでくれるダチがいるが、あいつはいつもひとりぼっちだ。いいか、マコト。そいつはおまえが考えているより、ずっと大きなことだぞ」。
まさにその通り。
35年、組織の中でやってきた俺だけど、幸い今、そう思える奴はごくわずかいるよ。
だからこそ、俺はこいつらのためにやる。組織という、生き馬の目を抜く「ジャングル」の中でね。何を失ってもそいつらを守っていく。
そして、一緒に火の中に飛び込んでくれる奴らをこれからも探していくのさ。
などと、今回はマコトタッチで書いてみました。
もともと大好きなんだよね。
でも、まあまあ本気。誇りある生き方をしたい方、今、生き方に悩んでいる奴、こんな年寄りをせいぜいご利用下さいな。
俺、支えることと一緒に酔っ払うことには割と自信あるから。ウフフ。
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