スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

左党の選挙ポスター

2010-09-16 03:59:06 | 2010年9月総選挙
今回は、旧共産党である左党の選挙キャンペーンポスター。スローガンは「寄り添って団結しよう(Håll ihop)」

「民間主体が利益を上げることなく」という言葉がたびたび登場するのは、現在の中道保守政権が、保育・教育・医療・高齢者福祉といった社会サービスの効率化や質の向上を、民間主体も交えた競争原理の導入によって達成しようとしている考え方に反発してのものだ。

これまで公的に運営されてきた保育・教育・医療・福祉施設の払い下げによる民営化や、民間による施設の新設を認めたうえで、サービスの供給を民間主体にも委託する政策が進んできた。民間主体がサービス供給の委託を受ける場合でも、運営費の大部分は公費から賄われているが、民間主体が効率化を通じて手にした利益は株式の配当にまわすことができるようになっている。左党は、その動きにストップをかけたいのだ。しかし、同じ左派ブロック(赤緑連合)である社会民主党環境党は、左党の考えには全面的に賛同していない。


「医療 - スウェーデンが必要としているのは、所得に関係なく
すべての人が利用できる医療制度。だから、私たちは世界で一番の
医療を築きたい。民間主体が利益を上げることなく。」



「教育 - スウェーデンが必要としているのは、家庭のバック
グランドに関係なくすべての生徒に同じ可能性を提供する教育制度。
だから、私たちは世界で一番の教育を築きたい。民間主体が利益を
上げることなく。」



「社会福祉 - スウェーデンでは保育・高齢者福祉・障害者福祉
といった社会サービスが、家計の経済状態に関係なく誰にでも必要に
応じて利用できるべきだ。だから、私たちは世界で一番の社会福祉を
築きたい。民間主体が利益を上げることなく。」



「社会保障 = 医療・教育・社会福祉 - 社会保障とは、
お互いを助け合うということ。だから、私たちは世界で一番の
社会保障を築きたい。民間主体が利益を上げることなく。」



「寄り添って団結しよう - スウェーデンが必要としているのは、
お互いが助け合う政治。だから、左党は世界で一番の社会保障を
築きたい。民間主体が利益を上げることなく。」

党首であるラーシュ・オーリュー。


「寄り添って団結しよう - 私たちの中には、保育サービスを
必要とする人もいるし、高齢者・障害者向けタクシーサービスを
必要とする人もいるし、歯科医療や母国語による授業を必要とする人もいる。
一方では、そのようなサービスを全く必要しない人もいる。ただし、
今のうちはね。でも、病気になったり失業したり、もしくはあなたの
家族があなたにできる以上の支援を必要とするようになった場合には、
社会的な支援が必要となる。だから、私たちは世界で一番の社会保障を
築きたい。民間主体が利益を上げることなく。」

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2 コメント

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Unknown (羅愁)
2010-09-16 07:25:31
党首の以下のようなビデオを見ると,どうもスローガンが嘘くさく感じられてしまいます.

http://www.youtube.com/watch?v=CjmLgUYS0H0

(ビデオの内容がブログに適していない場合,削除願います)
Unknown (Yoshi)
2010-09-16 19:12:51
有名な動画です。確かこのときが初めてではなかったはずです(笑)
彼の得意技なんでしょう。

私自身はこの党に票を入れることはありませんが、彼の主張の仕方はうまく、説得力を感じることもあります。ただ、経済政策に関する現実的感覚はあまりなく、かれに財務大臣を任せたらえらいことになりそうです。

下は彼とは関係ないですが、以前に紹介したビデオのパロディー版です。
http://www.youtube.com/watch?v=ss9SeXC14ZM&p=5C03A1DF29806C7E&playnext=1&index=14

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