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この人もテレビ(TV4 "Kalla fakta")や新聞のコラム(Aftonbladet)で有名な人。
Lena Sundström(レーナ・スンドストローム) 生まれは韓国
(下の記事とは直接は関係しません。念のため)
社会庁のこの調査発表と時を同じくして、SVT(公共テレビ)も国際養子の子供が抱える問題を一連のドキュメンタリー番組の中で取り上げた。2002年4月のことだった。(私は当時、スウェーデンに来てまだ2年足らずで議論のすべてが理解できた訳ではなかったが、かなり驚かされた。国際養子の子がすでに何人か友達にいたからだ。)
ここでも、公的機関の従来の見解:「養子の子も心身ともに順調に発育している」に反して、実際には問題を抱える子供が多く、彼らが社会に助けを求めようにも、公的機関側に彼らの問題を理解して適切な手助けをするための知識や準備体制が欠如している、そして、そのような状況が長い間、放置されてきた、との見方が強調されていた。
このドキュメンタリーでは、2人の人物に焦点が当てられた。1人はタイから養子に取られた女性。今では(放送当時)28歳になるが、13歳の時に家出をし、その年に初めて自殺を試みたという。「なぜ自分だけ他人と違うのか、と常に悩んでいた。自分が養子だということを苦々しく感じ始めたのは10代になってからだったが、大きな衝撃が一度に押し寄せた。その後、深刻な鬱と麻薬と自殺未遂を繰り返した。」
もう1人は養子として引き取った息子を、前年に自殺で亡くしたお母さん(彼は20歳前後だった)。「Fredrik(息子の名)は長い間、精神的に苦労していた。そのことが私にはとても辛かった。ただ、彼は私の前では元気な姿を見せようと無理をしていたようだった。ある日、庭の木の下で首を吊っていた。」このお母さんは、養子の子が普通の子よりも鬱になりやすい、という話はそれまで一度も耳にしたことがなかったという。息子の死後「自殺で子供を亡くした親の会」の会話セラピーに参加するようになったが、驚いたことに彼女の会話グループの参加者の半分が養子の子の親だったという。
社会庁の発表やこのドキュメンタリーは、スウェーデン社会に大きな衝撃を与えた。「国際養子の最大の目的は、その子供によりよい未来を与えること、という建前とは裏腹に、子供の視点がないがしろにされていたのではないか?」、との批判が相次いだ。それに加え「国際養子はむしろ、子のない親の欲求を満たすのが一番の目的だったのでは?」と言う人もあった。さらには「国際養子はすぐにでもやめるべきだ」という声も聞かれるほどだった。
そんな中、スウェーデン最大の日刊紙DNは『愛情は血よりも濃い』というタイトルで大きな社説を掲載したのだった。
「社会庁の調査結果は一つの事実だが、問題提起のそもそもの出発点が間違ってはいないか? もし国際養子の是非を問おうとするなら、国際養子の子とスウェーデン生まれの子との比較ではなく、むしろ、国際養子の子がそのまま生まれ故郷に留まっていた場合と、スウェーデンに養子に取られた今の状況との比較を考えるべきだ。彼らは不運にも、育てることのできない、もしくは育てる意志や愛情のない家庭に生まれたのだということを忘れてはならない。」
それから、社会庁の調査では17172人の養子の子が対象となり、このうち56人が自殺で亡くなった(0.032%)ことに言及した上で、
「一つ一つの自殺は大きな悲劇であることは疑う余地のないことだが、以上のことを考慮すれば、逆にほとんどの養子の子供たちは多かれ少なかれ幸せな人生を築いていることにも着目すべきだ。」
と書いていた。
ドキュメンタリー番組の指摘する通り、養子の子に特有の悩みや問題に対処する態勢が、スウェーデン社会に整っていなかったとすれば、これは改善すべき問題だろう。一方で、この社説の指摘するプラスの部分も、確かにその通りだと思う。
実際、養子の是非を問う声が叫ばれたり、養子の子に同情する声がある中で、「番組で描かれているような苦難はほとんど感じなかった」とか「今では“育ての親”が自分の本当の親だと思えるほど、深い愛情を受けてきた。私は根っからのスウェーデン人だ、とはっきり言える」という投書なども寄せられていた。だから、アイデンティティー形成における苦難などの問題は、もしかしたら、養子だからという要因以上に、家庭環境や親のサポートなどの要因も大きいように思う。
私の友達の中にも何人か養子の子がいるが、大学で優秀な成績を収めて、今では法律専門家としてバリバリ活躍して、家庭を築いている友達もいるし、たくさんの友達に囲まれて皆と全く同じく大学生活を送っている人もいる。育ての親の愛を全身に受けているベトナム生まれの高校生も知っている(彼の妹もベトナムからの養子だが、血の繋がりはないという)。“生まれ故郷に残してきた”自分のルーツに関心を持って、大人になってから文化や言葉を学んだり、里帰りをしたり、養子の人同士の会に加わる人もいれば、そういう関心が全くない人もいる。
「韓国からの養子の会」
「タイからの養子の会」
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最後に・・・、
そう考えてみると、個人個人のアイデンティティーというのは、人それぞれなんだな、と改めて思う。それが外見や生まれ故郷とは必ずしも結びつくのではない、という点も興味深い。そういう“まとまりのない”人々が集まって、スウェーデンという一つの社会が形成されている点も面白い。
(終わり)
母はもう亡くなり、父はリウマチで入院していますが私が慰問に行くといったら、退院させて
フランス料理の昼食を一緒にご馳走してくれましたが、かいがいしく父の面倒を見てああ良い娘さんをもらったなあと感激しました。
小さい時は容貌が違うし大きくなったら大変だろうなと思っていましたが立派に乗り切ってくれました。細かいことによく気が付くし東洋人らしい柔らかさがあって特色を生かした成功例です。
最終的にオーストラリアで高校を卒業し、日本に留学し、そのまま日本で就職しましたが、顔つきから、日本人とのハーフかと間違われたり、言葉も日英仏の3ヶ国語しゃべりますが、本人はどれも完璧ではないと言い、自分のアイデンティティーに悩んでいました。
実の両親に愛情持って育てられて、傍から見ると恵まれているように見えても、悩んでいたのですから、国際養子となるともっと大変なんでしょうね…。
うちの息子、この前「僕の肌は、何で他のお友達より黒いの?」なんて聞いてきました。近い将来、悩みがもっと深刻になった時に、愛情を持ってしかも冷静に対応できるような親になりたいものです。
こうやっていろんな人の話を聞かせてもらえて、とても嬉しいです。国際養子という制度を最初に知り、実際にその人と接したときに、驚かれませんでしたか?私はかなり驚いたのを覚えています。
このペンネームの意味が少しずつ分かってきました!
私もいくつかの記事やテレビ番組を手がかりに、国際養子の人の苦労などを想像しながらブログにまとめてみたのですが、実際の苦労はやっぱり本人にしか分からないんでしょうね。
国際養子の子に限らず、ハーフの子なども成長の過程で様々な苦難に出会うと思いますが、家庭や社会全体でしっかりした対応ができると良いですね。
子供の幸福は何よりも優先されるべきであるとは思っていましたが、
その子ども自身が自分のアイデンティティーについて苦悩する事もあるとは…。目から鱗が落ちた気がしました。
それにしても『愛情は血よりも濃い』とは…。強く心に響く言葉ですね!!