消費が活発であれば、不況にならない。これは一面、真実である。それは逆に、不況は人々の気質に左右されるということになる。例えば、江戸っ子は宵越しの銭を持たないと言われていた。その言葉通りに、持っている銭は全部、その日に使ってしまうという意味ならば、気質である。それだけしか稼げなかったと言うならば、格差の問題である。しかし、江戸時代、不況は必ず、江戸以外外からやってきた。多くは飢饉である。天災による不作が多くの流浪者を江戸に流れ込ませた。それでも、江戸はその多くの人たちを受け入れるだけの懐の深さがあった。一つは将軍家が日本全国に広大な領地を持っていて、不作に対するリスクヘッジが出来ていたからだろう。そして、もう一つはやはり、多くの人は消費に楽しみを求めたからだろう。江戸ほど、歓楽街の多い町もなかったのである。この記事を思いついたのは、現在、タイが不況だという。しかし、タイ人は江戸っ子に似た気質なので、不況機関もたぶん、短いであろうという記事を読んだからである。(2016.10.04)
