半年前まで、中国の長江では川の底が見える。日照りと水不足が人々を苦しめると報道されていた。しかし、今は逆である。3回にわたる大雨が長江流域で降っているのだ。問題となるのは三峡ダムである。上流から流れ込む水の量は毎秒1万7800㎥もの水だという。危険水位を大幅に超えている。そこで、当局は水門をすべて開き、毎秒1万7800㎥を超える水を放流している。これは一般的なダムならば、決壊と同じ規模だ。当然、下流に当たる地域では洪水に見舞われている。事前通告もなく、行われているのだ。担当者は事前通告すれば、補償やら何やら大変だ、天災にすれば、わずかな援助で感謝されると言っているらしい。さて、この豪雨はインドのベンガル湾から長江流域、さらに日本の熊本と続く梅雨前線に、南から湿った風が流れ続けたためだ。日本でも豪雨被害があったのだが、日本のNHKにあたる中国のCCTVも自国の被害を横において、日本の豪雨被害を大きく報道していたのだようだ。被害は圧倒的に中国方が大きいのだが、中国の報道は概して楽天的である。中国は優れた技術力を持っているので安心だという専門家のコメントが長々と続き、最後に被災者が政府に感謝して終わる。ただ、この長江下流域は人口もGDPの額も、中国の約半分を占める地域だ。この地域が大被害を受ければ、中国経済に与えるダメージは計り知れない。(くちなし亭、2020.07.31)
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