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茶の味


監督 石井克人
出演 佐藤貴広 坂野真弥 浅野忠信 手塚理美 三浦友和 我修院達也 土屋アンナ

 う~ん、困ったな。こんな映画どう紹介したらいいか判らない。だいたいがストーリーなんぞ無い映画なんだから。「茶の味」というタイトルだけ見て小津安二郎みたいな映画かな思ったけど、家族の映画というだけで、小津映画とは縁もゆかりもない不条理な映画だった。
 春野家は6人家族。里山、田園風景が美しい地方の町に住んでいる。囲碁部に所属する高校生の長男。小学生の長女。催眠療法士の父。アニメーターの母。ミキサーの叔父。そして祖父。
 一家は仲良く平安にくらしているが、一人一人はもやもや、妄想をかかえて鬱々としている。
 高校生のハジメは、碁は強いが内気でオクテ。好きな女の子に好きといえない。べっぴんの転校生アオイが気になる。
 小学生のサチコは、巨大なドッペルゲンガーに悩まされる。ドッペルゲンガーを消すため鉄棒の逆上がりの練習に励む。
 母のヨシコはひたすらアニメの絵コンテ作成に没頭する。父ノブオは漫画家の弟からCD作成に協力してくれといわれる。
 叔父ハルノは子供ころ「のろいの森」で野グソをした。また、血だらけのイレズミやくざの幻覚をみる。昔好きだった彼女と出会い、ぎこちない会話をかわす。
 祖父アキラはヨシコの絵コンテ作成にアドバイスを贈る。どうも昔はそういう仕事をしていたらしい。なぜか時々音叉を叩いて音を確認する。
 アキラが亡くなる。遺品の中に家族それぞれをスケッチしたスケッチブックが残されている。
 そして家族みんなで、縁側に座って夕焼けをみながら、お茶をズズズとすする。
「内宇宙」を描いた映画ともいえる。J・G・バラード、マイケル・ムアコックといった連中が1970年代に、イギリスのSF雑誌「ニューワールズ」で繰り広げていた、いわゆる「にゅーうぇーぶSF」に一脈通じる映画だ。これは日本初のにゅーうぇーぶSF映画かも知れない。おそろしやおそろしや。つるかめつるかめ。 

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