最後に3つ目ですが、ハンデ戦で勝つ、ということです。別に、変化球で仕留めれば簡単に勝てるところを、あえて内角の速球で勝負をする。自分に不利な戦いをあえて設定する、というのは自信につながります。たとえば、周りの人は、試験2週間前から試験勉強をしているところ、自分は2週間前に終わらせて、2週間前からはあえて遊ぶ。それでも、トップをとれる!ということが大事なわけです。高校2年生にしてあえて、高校3年生の東大模試を受けて勝つ。周りの人が英検2級を目指しているところ、あえて準一級を目指す、というのでもよいわけです。
ダルビッシュ投手が、田中将大投手に言った言葉。「俺は勝とうと思ったらいくらでも勝てる。ただ、明日投げるピッチャーのために、俺はインコースを投げている。お前もそれをやれ。佐藤さんの言う通りやったら絶対に勝てるから。」この言葉には、3つ重要な点があります。一つ目は、「絶対の自信」を持つこと。勝とうと思ったらいくらでも勝てる、と言えるほどの自信は、その「言葉」が先にあって、後からそうなるためにはどうしたらよいか?と考えて積み重ねているから言える言葉です。球種、速球の速さ、コントロールに始まり、重心の低さ、肩のぬけの良さ、モチベーション管理、走りこみの質など、細かい点の一つ一つを「最高の中の最高」まで持って行っている自信。そこに、この言葉の背景があります。そして、次に大事なのは指導者。佐藤義則コーチという、一流の論理を持った人を指導者に持って6年間やったダルビッシュ投手。特に、ロジックが大事で、なぜスパイクを履くのか?とかどういうダッシュがよいのか?までロジックがしっかりできています。こういう人はとても強いわけです。