癌春(がんばる)日記 by 花sakag

2008年と2011年の2回の大腸癌手術
   ・・・克服の先に広がる新たな春を生きがいに・・・

瀬戸英樹展

2015年11月22日 | イベント鑑賞・参加

 2015年11月14日~2016年1月24日、北海道立函館美術館で、珍しく函館在住の油彩画家の特別展「瀬戸英樹展」が開催されている。
 
 道南地方の農村や漁村、廃屋の風景などを主題にした、極めて細密な描写やグリーンを中心とする独特の色使いの、独特な叙情を持つ作品が特色である。ずっと以前から好きな画家のひとりであった。

 しかし、写真では良く目にしてはいたが、実際の作品を目にしたのは、我が家にある13歳のときの妻を描いた鉛筆画だけだった。

 今回も招待券が手に入ったので、妻と一緒に鑑賞に出掛けた。妻が子どもころの妻の家族と親しかったらしい。

 若いころの作品や、住吉漁港から恵山にかけての海岸線を描いた、20mを超える最新作をはじめ、1990年代以降の近作を中心に、76点が展示されていた。

 極めて細かな筆使いで描く作品が多いので、小さな作品が多いと思っていた。しかし、予想をはるかに超える大きなキャンバスに描いている作品が多いことに驚いた。一つの作品を仕上げるのにどのくらいの時間を要するのだろうかと思うような大作ばかりだった。大きな作品だからこそ、細かな筆使いがよく分かり、感心してしまった。

 その画業に一貫して通底しているのは、「今はない郷愁を感じさせるもの」、「人の目に触れずに消えていきそうなもの」に対する、慈しむようなまなざしである。自ら蒐集した古い人形やおもちゃ、また農村の茅葺き屋根や浜辺の廃屋などを描いた作品には、まさに「失われゆくものへのオマージュ」に満ちあふれていた。
 

パンフレットの裏側に掲載されている作品の写真


美術館入口のドア


妻の部屋に飾られている13歳のときの妻を描いた鉛筆画

コメントを投稿