癌春(がんばる)日記 by 花sakag

2008年と2011年の2回の大腸癌手術
   ・・・克服の先に広がる新たな春を生きがいに・・・

後半(南奥駈道)を断念し、4日目で下山

2012年05月30日 | 登山・旅行
〈よくテレビなどで目にする行場・西ノ覗、この上から身を乗り出して下を覗く〉


道中ほとんど携帯が繋がらず、ブログの更新はできなかったが、予定通り行動できていた。ところが、昨日、雷雨に襲われ、雨具を着ようとしたら、リュックの横のベルトに通していた雨具の上がなくなっている。木の枝に引っ掛けて落としたらしい。時間的余裕があったので、傘をさして30分ほど戻ったが見つからず諦める。

明日辺りから天気が崩れるらしいが、防寒具も兼ねた雨具なしの行動は致命的・・・。幸い昨日泊まった深仙小屋で、コースの核心部が終わり、前鬼に下りると路線バスがある。残念だが、ここで断念することにした。

奥駈道完全縦走に拘る人はこの先の南奥駈道へと進むが、山の縦走はここで終わることが多いらしい。ここまでは、1500~1900m台の険しい山が続くが、この先は1300m台以下になり、最後の1日は里山の雰囲気になるらしい。そんなこともあり、最近の奥駈修行もこの間で行われることが多いそうだ。三百名山巡りで踏んだ山上ヶ岳、八経ヶ岳、釈迦ヶ岳ともに繋ぐことができた。

ざっと今日までの4日間の報告をば・・・

○5/27(日)

20kgもの荷物を背負って5泊6日の縦走は、年甲斐もなく、身の程しらずの初体験の大冒険だ。テント泊した金峯神社から山道となる。

この日の最高峰山上ヶ岳(1719m)は今でもそこへ通じる全ての登山道には女人結界門のある女人禁制の山で、頂上にある世界遺産指定の大峯山寺は、現在でも修験の根本道場になっている。その関係で吉野からこの山までの奥駈道は、大峯修行で昔から良く歩かれているようだ。茶屋跡も多く、道も深く掘れた古道の雰囲気を残している。

山上ヶ岳へ日帰りできる洞川コースの分岐の洞辻茶屋からは、登山者や行者スタイルの人が多かった。5山ほどを越えたが、大天井ヶ岳の急な登り下りが特にきつかった。

この日のゴールは、行場跡に建つ避難小屋の小笹小屋。3人程しか泊まれないが、4年前まで北見に住んでいたという岡山の好青年と二人切りだった。すぐ裏に湧水帯があり、豊富な水が流れていた。

この日の行動時間は、約9時間。

○5/28(月)

この日は1500~1700m台の7山を越えた。前半の垂直に切れ落ちた断崖絶壁や岩頭を擁する大普賢岳、国見岳、七曜岳の急な登り下りや長く続く鎖場が怖かった。見るだけでも身の毛のよだつ山容だが、それを歩くだけでも自分には十分過ぎる修験だった。

後半は、一転して穏やかなゆったりとした稜線歩きとなる。天川辻からは、日本百名山の八経ヶ岳からの多くの下山者と出会う。

ゴールの弥山小屋は、この日の最高地点(1880m)にあるが、最後のこの登りは本当にきつかった。おまけに、途中で雹混じりの雷雨に見舞われたが、それほどしないで止んだ。

唯一の営業小屋で、缶ビールが美味かった。テント場利用代と水3リットルと缶ビール2本で1800円也。

この日の行動時間は約8時間30分。

○5/29(火)

二度目となる弥山へ空身で登り、やはり二度目の近畿の最高峰・八経ヶ岳(1915m)を越えるところからスタートし、1600~1800m台の山を8山越えた。それほどアップダウンのきつくない道が続くが、基本的には岩山なのでんなりとは歩かせてもらえない。

孔雀岳手前で雨具を探しに戻ったり、雨宿りをしたりしたが、最後の釈迦ヶ岳への岩場や断崖絶壁の鎖場の続く急登は奥駈道の最核心部かも?おまけにずっと雷鳴が響きっぱなし・・・自分には最高の行場だった。

5人が限界の深仙小屋には吹田市の同年代の男性が先着。夕食を済ませた6時ごろからすざましい雷鳴と強烈な雷雨と強風が続く。小屋が潰れるのではないかと思うほど・・・そんな中、ずぶ濡れになって一人の男性が到着。

自分が落とした雨具は弥山小屋へ向かった夫婦が拾って持って行ったとのこと。この男性が拾ってくれればこちらに届いたのだが・・・。嵐は1時間半ほどで止んだ。

この日の行動時間は約7時間30分。


○今日5/30

吹田市の男性からバスの時刻を聞き、下山開始。沢沿いの急な道だが、がっちりとした階段があちこちに設えられていて歩きやすかった。

下り立った前鬼には、かなり大規模な修験の拠点があったらしく、あちこちに行場の跡やお堂や多くの宿坊の遺構があり、その規模に驚いた。現在でも第61代当主の五鬼さんが、1300年の歴史を持つ「小仲坊」という宿坊を守っているらしい。

しかし、そこからバス停までの林道歩きが長かった。懸命に歩いて2時間半掛かった。小屋を出て、5時間でゴール。

さて、そこからどうするか?なんとしてもゴール予定だった熊野本宮にはいきたい。那智の滝や熊野界隈の観光もしたい。そこで、地元・下北山村役場に電話して相談に乗ってもらう。

熊野市に出るコミュニティバスが朝に2本出ているだけだという。幸い村営温泉があり、その隣に村営の宿泊施設があるので、そこに泊まって、明日熊野市へ向かうことにして、来た路線バスに乗った。着いたら宿泊施設の車が迎えに来ていた。

まだ昼なのに部屋へ通してくれた。まずは、5日ぶりの温泉へ。きれいさっぱりして、レストランで豪勢に打ち上げをしたのはいうまでもない。
〈追加画像〉
1、二度目の近畿最高峰の百名山山上ヶ岳頂上~前回はこの上に環水平アークが出現していた。
2、一番きつかった釈迦ヶ岳への登り
3、今朝の深仙小屋前の夜明け
4、下北山村営温泉「きなりの湯」
5、昼から豪勢に打ち上げ~ここ特産の真菜という高菜に似た野菜を使った真菜うどん定食(真菜寿司と真菜アイスもセット)とトンカツ。もちろん生ビールも!





〈訂正〉
最後の真菜寿司は「真菜めはり」と言うそうで、ご飯を真菜でつつんでありました。
〈雨具の行方〉
ダメもとで弥山小屋に電話したら、佐賀県のご夫婦が拾って持ち帰り、持ち主から連絡があったら、伝えてくださいと電話番号を残して帰られたとのこと。
まだ帰ってないと思うので、2、3日後に着払いで送ってもらうよう連絡を取ってみようと思う。