沖縄を考える

ブログを使用しての種々の論考

詩550 辺野古 11 島ぐるみ会議

2014年08月09日 09時54分26秒 | 政治論

 2013年1月28日、内閣総理大臣安倍晋三に対し、沖縄県の民主制における代議的代表者全員の総意に基づく「建白書」が提出された。建白書と言えば、遥か明治の「民撰議院設立建白書」(1874年)を想起するが、その110年後の現代にそれが一地方自治体あげて立ち現れる、ということは、当時まさしく所謂「琉球処分」なる現今沖縄を運命づける大事件があったことと連動して、極めて歴史的な意味を持つムーブメントと捉えるのが妥当かと思われる。しかしながらこの歴史的な檄文は安倍内閣において不問に付され同時に永久に闇に葬る扱いさえ受けかねなかった。この一事からしても安倍晋三という宰相が史上まれに見る反動政治家であることは明白である。大江健三郎氏が言うようにこの男は良識的意見や識者、専門家がなんと言おうと耳を貸さない、あるいはこれを全く意に介さない人間だといえる。こういうタイプとしては即座にかのアドルフ・ヒトラーが思い浮かぶのだが、筆者の見るところこの男はヒトラーほどの悪の権化にはなりきれない小悪党という感触である。

 この小悪党が率いる擬似狼の巣(ヴォルフス・シャンツェ)政権に対して歴史的な「建白書」を提出する現実的具体的効果、というものは全くない。それどころかこの政権はいよよ益々居丈高に官僚主導の非人間的な施策の数々を繰り出してきてやまない。それはここ辺野古、普天間において如実に顕現する。総じて国家権力、官憲あげて、寄ってたかって市民運動の弾圧に躊躇しなくなった。それも全て、かの愚劣な県知事が「事務的処理」をした埋め立て承認の為せる業であり、この知事の犯罪的裏切りは金輪際許しがたいものとなろう。

 昨日、この「建白書」の内容を実現させんと「沖縄建白書の実現を目指し未来を拓く島ぐるみ会議」事務局が会見し、今後の行動方針について語った。政府防衛省沖縄防衛局による辺野古埋め立て工事は、台風や市民活動によって若干の遅延はあるものの、今後その進捗に加速度的な勢いが加えられるであろうし、稲嶺市長のような「辺野古絶対反対」の立ち位置にない翁長氏の県知事選立候補もあって、胆汁質のストレスが沖縄を覆うような気配が増しているのだが、いずれにしてもここにきて総花的に「島ぐるみ」の体勢を確立しないと100年前の政府処分の悪夢が再現される予感がされる。この件は大いに検討される必要があるのだろう。(つづく)