沖縄を考える

ブログを使用しての種々の論考

詩58

2009年07月25日 07時45分14秒 | 手記
 まもなく還暦の彼は今になってようやく神に道を問う気になってきたが 肝心の神は彼を見放していた 従って彼の求道心は周囲の強烈な揶揄を招くばかりであった こうした現状を打開する方法はなかなか見出せない 周囲の揶揄は神の揶揄であったし人生は無視された度し難い縁なき衆生のそれであった 誘惑する「美」は時々傍らに来てはその惑わしに満ちた薄絹の裾を素早く空に翻すと何事もなかったように微笑んだ 一抹の希望が蘇ったが一瞬の冷気とともに跡形もなく消え 後はムンムンする暑熱が肌にまとわりつくばかりであった 恐らく「世界」というのは内にか外にかあってもしかすると彼を待っているのかもしれない もし一生辿り着かなかったら一体彼の人としてのレーゾンデートルは彼にとって何だったのか このただ無意味な生命の消長を永遠に見送るのが神の意思か もう一度立ち返るのだ 試すしかない神の業 死が有効だ しかし答えとともに停止と静寂が始まるといえなくもない いずれにしろ賽は振られた