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Matterhorn登頂計画 7/27  マッターホルン ヘルンリ稜からの単独登頂!

2006年07月27日 | Matterhorn
◇◇◇  マッターホルン(Matterhorn) ヘルンリ稜単独登頂  ◇◇◇




10:12ヘルンリ小屋到着。

天気は快晴。暑いくらいだ。
多分19時過ぎまでは良い天気が続くだろう。
アルペンセンターの天気情報では、明日から一気に下り坂。
一番厄介なのは、風だ。
今日一杯は頂上付近もほぼ無風なのだが、明日からはかなり強くなるらしい。
本当なら、今日はマッターホルンの下見クライミングだけで、明日、未明から頂上アタックかけたかったのだが、無理してでも今日行くしかない。

マッターホルンの天気の傾向は、夕方から雲が1~2時間悪くなり雷雲が発生する。
その後は、すぐに晴れるようです。
雲は、WEST FACE側からきてEAST FACE側に広がってくる。
ヘルンリ稜は、EAST FACEとNORTH FACEの間だから、雲が広がりだしてからでも対応は間に合う。

単独行動なので、ソルベイまで2.5H。
ソルベイから頂上までも2.5H。
下山4.5Hで行けるだろう。
下山予定目標は、19:30。
よし行ける。GOだ!



■マッターホルン取付。右の方の尖った三角の岩の上の辺り。

10:20 ヘルンリ小屋から上に抜けると取付なのだが、早速間違えてしまいキャンプ場の方に来てしまった。
早速ロスタイム発生。
取付左側に、大きな銅版プレートが張ってあり、ロープもあるのでわかりやすい。
3級程度の岩を4m程ロープを使い左上して、さらに左方向にトラバースする。
トラバースしてからも、踏み後もしっかりしていて北アルプスの一般登山道と変わらない。
その先も所々小さなケルンがあり、ルートはわかりやすい。
しかし、これが朝早くでヘッテンだけだとチョット不安かも?
その先は、東フェイスをジグザグに登る。
北穂高をキレット側から登っているような雰囲気。
何となく踏み後もあり、「何だ、こんな感じなら楽勝だ!」と余裕をだしてみる。
小一時間程度登ると、クーロワールになり、クーロワールを左から右へ乗り越えると稜線にロープが張ってある。
ここで、早くも下山してきているパーティとすれ違う。
クーロワールを過ぎると、広いフェイス(多分3400~3500m付近)になりルートがいよいよ分からなくなってきた。
この辺から、ルートを探すのに時間がかかりだしてきた。

【クーロアール】couloir{F}
峡谷、回廊。傾斜が急で、深い岩溝。リンネ(ガリー)の急峻なものをいう。ルンゼにちかい中間のもの。

適当に直登していたら、もっとこっちだと上から下山してきたガイドが声をかけてくれた。
声の方向を見たらかなり左の方が正規ルートらしい。
しかし、ルートの難易度は2級程度なのバリエーションをやっている人や谷川に行っている人なら、アプローチ程度。
下手すれば、谷川岳一の倉沢のアプローチの方が大変かも。
剣の北方稜線のようにたまに高度感のあるところが出てくる程度かな。

        

■核心部には、ロープ(全部で4箇所くらいかな?)が有り、ピンも打ってある。

ソルベイ非難小屋までに、5パティー位すれ違った。
数人から「今から登るのか?」とか「一人か?」みたいな事を声かけられた。

3800m付近のツルムに昔の小屋の残骸があった。

【ツルム】岩稜上に突き出た岩塔の事。

ツルムを過ぎるとソルベイ小屋が見えてくる。
ソルベイ小屋直下の「モズレイスラブ」にはワイヤーが張ってあり支点もある。

ソルベイ小屋直下は、懸垂で込んでいたので、小屋の左の方の岩を登ってしまった。3級程度の6m位の壁かな。

        

■3600mまでこんな感じの所が数箇所出てくる。(左) ■3600mの広いガレ場のようなフェイスのような所を登る。この辺が一番間違えやすい。
    
        

■ソルベイ小屋直下の支点とワイヤー。                    ■小屋の内部。毛布が2枚あった。

13:05ソルベイ小屋(4003m)到着。
予定より時間がかかってしまった。
昼に登ってもルートを何回か間違ってしまった。

小屋のNORTH FACE側は、トイレなってしまっていてかなり汚い。
小屋の中には、2段ベットと毛布が2枚、非常用の無線機、誰かが忘れたオーバーパンツ、ジャケットがあった。
中にはトイレがあったが、のぞくとNORTH FACEが下の方まで見えた。

シュヴァルツゼーから休憩無し登ってきたので、少し休む事に。
天候もまだまだ安定していて崩れる気配ないし。
目だった高度障害も出てこない。
でも、少し胃がムカック。

一応小屋のベッドに横になり、毛布もかけて寝てみた。
なかなか良い感じです。
眠れたら30分位寝てしまおうかな・・・・。

ベッドに横になり携帯食を食べていたら、突然フランス人ガイドが小屋を覗き込んできて驚いてしまった。
もう誰もいないと思ってたから。
その後、誰もいない小屋で何か横になってるのも気まずくなり、出発準備をする事に。
13:30食料や余計な荷物を小屋にデポして出発。

少し登ると日本人2人のパーティが降りてきた。
2人ともツエルマットで働いているらしい。
俺が一人で登っている事に、かなり驚いていて下山したら立ち寄ってくれと名前と場所を聞いたが下山する頃には、すっかり忘れてしまった。

        

■Oberer Mosely Platte ロープが張ってある。(Ⅲ級)             ■The Shoulder(肩)今年は暖かいので雪がない。支点が沢山ある。

ソルベイ小屋の左奥のOberer Mosely Platte を登ると、The Shoulderに出る。
この辺からアイゼンを覚悟していたのだが、写真の通り全然雪が無い。
支点が、20m間隔で100m位打ってある。

ここで、本当に最後のパーティとすれ違った。
ガイドと女性のパーティで見るからに手こずっている。
ガイドが後一時間位だと教えてくれた。

The Shoulderを過ぎると、3~4級程度の急な岩になった。
ロープが張ってあるが、思ったより大変だった。
高度感も凄くなってきた。

これを越えると、いよいよ氷と雪がでてきた。

          
 
■North Face側に出る。4300m付近        ■支点にぶら下りアイゼン装着。氷は意外に固い。 

4300mいよいよ頂上も近い。
急な斜面だが、ジグザグに踏み後があり、ここは思ってたより危険ではなかった。
上を見上げると、誰かが頂上から俺を見下ろしている。
先ほどすれ違ったガイドは、俺たちが最後だと言ってたのに・・・・。
イタリア側から登ってきた人かな?

少し登ってが、誰かがまだ頂上から俺を見下ろしている。
何か怖くなってきた・・・・・。
マッターホルンの亡霊かも・・・・・。

怖いけど登っていったら、のぞいていたのは・・・・
スイス側頂上にある「聖者の像」でした。
本当に怖かったよ。

       

■頂上直下の最後の登り。                           ■頂上から登ってきたヘルンリ稜を見下ろす。 



■マッターホルン頂上。イタリア側頂上の十字架が見える。


16:18 Matterhorn単独登頂!

頂上には、当然誰もいない。
セルフタイマーで記念写真を撮るが、なかなか上手く撮れない。
頂上は無風。日差しも暖かく気持ち良い。
モンテ・ローザやモンブランも見える。

ここが、夢のマッターホルンの頂上だ。
山岳会の個人紹介欄にも「何時かマッターホルンを登るのが夢です。」と書いていた。
社内報にも「何時かマッターホルンを登るのが夢です。」紹介されていた。
この山の頂上に立つために、アルパインクライミングを本格的に始めたのが、遠い昔に思える。
今夢がかなった!
しかも、単独登頂だなんて本当に幸せだ。

今まで、俺とザイルを組んでくれた仲間に感謝したい。
なんちゃって登山隊のぷっちゃんや仲間、club8.5φ、ZCC、クラハイの多くの仲間の応援が本当に励みになりました。
皆ありがとう。
そして、俺をはじめて、アルパインに連れて行ってくれた、どんぐりの永井氏に、また山であえたらこの報告をしたい。

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マッターホルン ヘルンリ小屋

7 Comments

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ええええええええっ~? (ciocumi)
2006-08-11 02:09:55
ひとりでいったんですか?びっくり。

なんだか、うらやましいですね。

とっても充実してて!

もしかして、仕事は副業?

スイスの町がとっても綺麗で

とっても行ってみたくなりました。

すみません、山と関係ないコメントで。
Unknown (mot)
2006-08-14 00:50:11
ciocumiさんコメントありがとう。

一応仕事が本業ですから・・・・。



ところで、ciocumiさんてフリークライミング仲間の人ですか?



マッターホルンに関して教えて頂きたく (masa)
2010-06-14 23:43:30
初めまして。
マッターホルン単独の情報を探していてこちらを拝見しました。
この夏に登ろうかと考えていまして、ルートの難易度などで教えて頂きたい事があるのですが、お願いできますでしょうか?

お聞きしたいのは主に以下の点です。

◇登りで、一ノ倉のテールリッジに例えられていますが、中央稜のように国内本チャンでロープを出す難易度の箇所にはフィックスロープが張られていると考えてよいのでしょうか?
◇山頂直下の下山が「八ケ岳主稜のよう」というのは主稜の登攀ルートを下るようという意味ですか?それとも文三郎道の上部のような感じという意味でしょうか?
◇マッターホルン登攀時の経験としては、本チャン・雪稜・フリーはどの程度のレベルで行かれたのでしょうか?

この場では長文になるかと思いますので、差し支えなければメール[私:masamasahot@hotmail.com]でのやりとりもさせて頂ければ幸いに思います。

宜しくお願い致します。
Unknown (MOT)
2010-06-15 20:21:04
masaさん
単独登頂がんばって下さい。

質問1の返事
登りに関して言えば、ロープが必要な箇所にはぶっといロープがあります。綱引きのロープみたいなやつです。
それ以外の箇所でロープが必要な所はなかったと思います。
質問2の返事
主稜を下るような感じの方が近いです。
結構ボロボロの岩なので、クライムダウンしていると信じられない大きさの岩が取れてしまいます。
でも、今思えば多少ルートを外れていたからかな?
時間がかかりますが、支点があるとところは出した方が安全です。
質問3の返事
フリーはRPで12A程度。
雪稜、本ちゃんは、グログに書いてある程度ですよ。

登りに関しては10台程度でも大丈夫だと思いますよ。イメージは八ケ岳の主稜を登っているような感じでした。
下りもベーシックなホンチャンのロープワークが出来れば大丈夫です。

ルートは分かりづらいですから、ルーファイ力が必要かな。
特に3600~4000の間位はルートが分かりづらいです。
4000以上はつずら折に道がついていましたから、普通に歩いて行けます。
ただし転ぶと死ぬかもしれません。

最後に、
ハーケン等の支点での懸垂下降はしない方がいいです。
その時は間違っていると思って正しい所まで登り返して下さい。
下りで下が見えないような懸垂下降はありませんでしたから!
60mロープでは30mしか降りられないから、宙ぶらりんになる危険があります。

上記コメントは、参考程度にして下さいね。




Unknown (masa)
2010-06-15 22:53:17
ご返信ありがとうございます。

登りに関しては(フリーRP11a/谷川・中央カンテまでは登っています)、ルーファイを頑張るとして、下りが心配です。転落事故の多くも下りの際と聞きますし。

赤岳主稜のような部分は、フィックス/懸垂必須、という意味ですか?フリーで通る箇所ですか?

転ぶと死にそうなのは受け入れるしかないリスクでしょうかね・・気をつけます^^;
Unknown (mot)
2010-06-17 22:13:54
他に近いイメージの場所があります。
それは、前穂高の一般ルートから登る頂上付近に似てます。
あれがずっと続いている感じですので、本格的なフェィスクライミングは無いです。

フィックスロープの部分は全て懸垂です。
他の部分はクライムダウンと歩いて降りれる部分です。
ただし、信じられないほど大きい岩が簡単に取れてしまうので気をつけてください。

でも個人的な感想ですので、あくまで参考程度にしてください。
登頂したら、また連絡ください。
  (masa)
2010-06-18 00:20:40
ありがとうございます。
なるほど。分かりやすい例えで参考になります。

8月前半に行く予定です。結果ご報告しますね!

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