とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

国立劇場『伊賀越道中双六』(3月19日)

2017-03-20 09:54:29 | 劇評
 『伊賀越道中双六』という歌舞伎の古典演目はよく上演される。しかし、それは「沼津」と呼ばれる幕だけの場合が多い。今回、中村吉右衛門が国立劇場で『伊賀越道中双六』を通しで上演した。通しとは言っても「沼津」はやらずに全体の仇討の筋がわかるように、きっかけから仇討が成就するまでのかいつまんでの上演である。その際、近年上演されなかった、「岡崎」が上演されたので話題になっている。平成26年の12月に上演され、好評だったために今回再演。客の入りも上々。

 この芝居の中心は、中村吉右衛門演じる主人公が仇討の助太刀のために自分の正体を悟られないようにし、そのために自分の小さな子供を殺してしまうというところである。ここにリアリティを感じられるか、感じられないか。私には無理である。歌舞伎ではなんどかお目にかかるような筋だが、人の生死が軽く扱われているような気がしてならない。人形浄瑠璃ならばまだ劇画的に受け入れられるかもしれないが、生身の人間が演じる歌舞伎では無理がある。台本はこの悲劇が次の瞬間ではきれいに忘れられている。リアリティが感じられない。近年上演がなくなってしまったのもそれが理由であろう。

 とは言え、そこをのぞけば演劇的なおもしろさがとても感じられるいい作品である。中村吉右衛門はもちろん、歌六、雀右衛門などのベテランの演技がすばらしい。また菊之助や錦之助の若手もしっかりと演技をしている。小さな役の役者もまじめにしっかりと演じていて好感が持てる。意欲的な舞台であった。
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