田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

道教育大 実験劇場 マドリガーレ・オペラ

2020-01-08 21:42:40 | ステージ & エンターテイメント

 オペラを鑑賞しながら自分の不明を恥じた。あの函館戦争での敗軍の将:榎本武揚が明治初期の北海道開拓に重要な役割を果たしていたことを…。北海道開拓の表の雄:黒田清隆との篤い友情も再確認することができた。

          

          ※ いろいろ探したが今回の公演のポスターは見つからなかったが、同名のポスター

              が見つかった。「北海度開拓使」は今回が初演と伺ったが、ポスターでは平成29

                                        年に公演したことになっている???              

 今夕(1月8日)、札幌市民交流プラザクリエイティブスタジオにおいて「北海道教育大学 実験劇場 マドリガーレ・オペラ『北海道開拓使』~榎本武揚と黒田清隆の友情~」(演奏会形式)の公演があった。

 マドリガーレとは耳慣れない言葉であるが、調べると16世紀半ばから17世紀の初頭にかけて多数作曲された、イタリア語による世俗歌曲のことを差す。したがって、マドリガーレ・オペラとは、マドリガーレ調の歌曲を用いてオペラに仕立てたもの、ということのようだ。(開演前に公演のスタッフだった教育大生に聞くと凡そそのようだとの回答を得た)実験劇場と銘打つのも、こうした形でのオペラはまだ実験段階ということなのかもしれない。

 公演前にプレレクチャーがあった。それによると実験劇場は「箱館戦争」シリーズ三部作として構想され、今回はその最終作ということだった。私は第二部にあたる「土方歳三最後の戦い」~義に殉じた男~も鑑賞していたので二度目の鑑賞だった。

 今回のストーリーは、榎本武揚が箱館戦争に敗れて2年半もの間囚われの身となっていたところを黒田清隆の嘆願運動によって解放され、北海道開拓の任に就き北海道内の資源調査を実施し(榎本は地質にも造詣があったようだ)、お雇い外国人のケプロンと丁々発止のやり取りをしながらも北海道開拓のために粉骨砕身の働きをしたことを描き、ついには黒田の推薦によりロシアとの国境交渉の全権大使として赴くまでを描いたものだった。

 榎本が黒田清隆の嘆願運動によって一命を取り止めたことは知っていたが、資源調査をしケプロンの強引さにも一歩も引けを取らなかったというようなことは恥ずかしながら知らなかった。そうした意味で今夜のオペラ鑑賞は私には意味があった。

 さて肝心のオペラであるが、(演奏会形式)とあるように出演者は歌やセリフだけで所作を演ずることはないオペラだった。(これは前回も同じ)8名の弦楽奏者とチェンバロの演奏に乗せて、7名の出演者と1名の語りによるステージだった。出演者はそれぞれが相当の研鑽を積んだ方ばかりで、声量十分でセリフも力強く明治初期の男たちの力強さが伝わってくるステージだった。

     

     ※ 公演は写真はNGだったが、フィナーレの場面で一枚撮らせてもらった。演者の顔が特定できないので

      お許しいただきたい。

 原作、脚本、音楽、etc.…、全てがオリジナルで観ていて、聴いていて、十分に楽しめたステージだった。将来は三部作全てを一挙公開することも検討しているらしい。そのときにはぜひまた鑑賞したいと思う。