池澤夏樹の『南の島のティオ』を読みました。
南太平洋の島で小さなホテルをやっている両親と暮らす少年ティオを主人公としたファンタジーです。ティオは両親の仕事を手伝って、お客さんの荷物を運んだり、島のあちこちを案内したりしています。島にやって来るお客さんや島の子どもたちをはじめとした人々との交流が描かれています。
絵葉書を作っているお客さんからホテルの絵葉書を作らないかと提案されました。受け取った人が必ず訪ねてくるという不思議な力を持った絵葉書です。破格の値段で躊躇したお父さんでしたが、作って見ると果たしてその通り、受け取った人々は次々と島にやって来ました。島は戦時中日本軍が支配していました。その戦争時代に島にいた人や、日本軍の兵士の遺族などもやって来ます。
沖縄に住んでいたこともあり、ハワイなど太平洋の島々についても著作のある彼らしい作品です。ずいぶん以前に読んだ作品ですが、今読み返しても、登場人物たちへの彼らしい愛情が現れたいいファンタジーでした。