開高健というと賞の名前にもなっているくらいで、ノンフィクション作家というイメージしかなかった。なので自分にとっては芥川賞を受賞しているというのは意外であった。文学好きには周知の事実なのだろうけど。
私は本を選ぶときに「芥川賞」をキーワードにすることはないが、今まで読んだ作品でピンときたものはあまりない。
そんな純文学と相性の悪い私だからこの本も特に思い入れはない。ただ、全編を通して作者の俯瞰的な視点を感じた。役人や大企業、そして教育といった組織等のあり方にメスを入れている様は、ノンフィクション作家ならではとこじつけながら思える。
「パニック」では大量のネズミが入水自殺して物語は終わる。どこかで似たような話を聞いたことがあるし、てっきりネズミにそういう習性があるのかと思ったが、それはガセらしい。
で、そのガセの元がディズニーのドキュメンタリー映画という。あのディズニーがネズミをやらせで殺しているとか面白すぎる。