ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『BLUE GIANT』

2023-02-23 19:29:15 | 邦画
ジャズが最近マイブームなので、いつかアニメ化してくれたらなと思っていたが、テレビではなく劇場映画としてアニメ化。原作は一応読んだことがある…といっても無料の1巻を数年前に読んだだけのレベルである。

物語はジャズの街仙台から始まる。自分の知っている街がアニメになっているってなんかワクワクするよね。
しかし早々に物語は東京に移ってしまう。マンガだともうちょい仙台での話があったんだけどな。

金もツテもないまま東京に行った主人公の大(サックス)がバンドメンバーを集めて最終的に名門ライブハウスでの演奏を目指すというのがストーリー。

ハッキリ言うと泣きましたわ。
短い上映時間の中で主人公の真っ直ぐな性格、バンドの柱である沢辺(ピアノ)が壁にぶつかり乗り越える様、素人の玉田(ドラム)の必死な努力がパーフェクトに描かれている(にしても短期間で上達し過ぎだとは思うが)。特にラストのライブシーンはずっと泣いていたかも。劇中の観客も泣いていたが、まさに一体となっていてあの瞬間映画館は映画館ではなくライブハウスになっていた。

もちろん核となる音楽も良かった。演奏されたのは全部スタンダードナンバーではなくオリジナル曲かな。でも、ヘタに知っている曲が流れるよりも新鮮な気持ちで聴けていいかも。

テレビであれ劇場第2弾であれ絶対に続編は作って欲しい。

唯一の難点がロトスコープを用いた演奏シーン。やたらヌルヌルした動きがキモい。

映画を観てぜひとも生でジャズのライブを観てみたくなった。
一応仙台のジャズフェスは行ったことはある。が、たまたま観たのがビートルズ好きのおじさんたちのポップ・ロックな演奏であった。

『ジゴロとジゴレット』 モーム

2023-02-22 19:28:25 | 


全8篇からなるモームの短編集。多分全部初めて読む作品。
結構どれも良かったが、私が好きなのは最初の2作「アンティーブの三人の太った女」と「征服されざる者」。

前者は仲良しの三人女性が一緒にダイエットやブリッジをしながら生活しているところに一人のスレンダーな女性がやってきて一騒動。三人が食事制限をしているところを尻目に痩せた女性はお構いなしに美味しいものを食べる。そんな姿を目の当たりにすると三人のストレスはマックスでお互いの不満をぶつけ合う。

最後はスレンダー女性が去って再び仲良しになるが、短い作品の中で女性の醜い部分がありありと出てとても面白い。実にモームだなと思える作品であった。軽妙さの中にも鋭さがある。

後者の作品は一転してフォークナーばりのヘビーさがある。
戦争中にドイツ兵がフランス人女性を襲い子どもを身ごもることになる。最初は軽い気持ちだったドイツ兵も次第にフランス人女性への愛を表現するようになる。資産的な誠意も見せることで女性の家族は結婚を受け入れるように言うが、女性の方は頑なに拒み続ける。
最後は生まれた子ども殺すところでお終い。後味は悪いが、こういう話は好きだ。

重い話ではあるが、笑ってしまったところもある。捕虜になって収容所に入っていた女性のフィアンセが、食事が少ないことを契機に暴動が発生して、その結果殺されることとなった。そのことを知ったドイツ兵が「収容所をなんだと思っているんだ。リッツホテルか?」と言う。こういうツッコミも好きだ。

「展覧会 岡本太郎」 愛知県美術館

2023-02-12 23:10:04 | ○○展


大阪でも東京でも観ようと思えば観ることが出来たが、結局名古屋で観ることに。行ったことがない美術館だし、一番空いてそうだと思ったからという理由。
しかし空いてはおらず普通に混雑だった。まあ恐らく都美よりはましだろうが。入り口にはTAROMANが待ち構えていてテンション上がるな〜。


会場は当然ながら岡本太郎作品一色である。一作でも力強いのに、こうも作品が集うとその力に圧倒されるようである。
一応名古屋ならではという展示もあり、かつてあったという岡本太郎がデザインしたオリエンタル中村百貨店の壁画のレプリカがあった。当時を知る名古屋人は懐かしんだのかな。


岡本太郎とエネルギッシュなイメージがあるが、今風に言うと「ゆるい」作品もあったりする。本人がどこまで意識したのかはわからないが、時代を超える作品を作れるのは凄いもんだ。


こいつはTAROMANに出てきたやつだ。


「こどもの樹」は私にとってとても思い入れのある作品。こどもの城は壊されたが、この作品は残って嬉しい。当時は岡本太郎のことは知らずになんとなく「太陽の塔」と似ているなくらいにしか思わなかった。でも、渋谷のあの場所にふさわしい作品だっと今では確信できる。今後もあの場所に残って子どもを見守ってほしい。
海洋堂のフィギュアになっているが、欲しかったもののランダムなのでちょっと怖くて買えなかった。




岡本太郎名言コーナーもあったが、なんだか福本伸行の作品のセリフと言われても違和感なさそうなものもあった。

グッズコーナーは充実していた。マグネットとTAROMANのガチャガチャを回した。太陽の塔が出て嬉しい。


展示会場には全然TAROMANがなかった。しかし、帰ってから知ったが、TAROMANって岡本太郎にインスパイアされて作った最近の作品なんだね。てっきり岡本太郎が存命中にプロデュースした作品かなんかかと思っていた。いや〜よく出来ている。
でもよく観ると、実相寺感のあるアングルや陰影で岡本太郎が嫌う模倣だったりするのが皮肉。というかこの作品自体が岡本太郎の考えと最も対極に位置するのではと思える。

岡本太郎に圧倒されて常設展のことがすっかり頭から抜けていたのが失敗。


『サミング・アップ』 モーム

2023-02-12 23:07:52 | 


モームのエッセイ的な作品で、モームのこと、モームの作品を深く知る上では避けては通れない作品だ。

モームの生い立ちが作品にリンクしていることは有名だが、その詳細がわかる。
また、それだけでなく、モームが文学や芝居についてどう考えているかもうかがい知ることができる。

しかし、後半になるとスピノザがどうだとか宇宙がどうだとかの話が出てきてよくわからなくなる。
こういう話が理解できないとは、やはり私もまだまだ未熟だ。読み物として面白い部分も多々あるけどね。