いつも言っているけど、好きなソングライターや好きなリリックはあっても、好きな詩人や詩はない。音楽に乗っている分はいいけど、文章だけだとなんだか説教臭く感じてしまうのよね。
そんな自分が今回吉野弘の展示会に行ってきたのはもちろん浜田省吾経由でのこと。展示リストに「吉野弘の詩と音楽―歌になった詩、詩から生まれた歌」とあったからきっと浜田省吾に触れているだろうなと踏んでのこと。しかし、吉野弘が埼玉縁の人だとは知らなかったな。
会場に着くと「トーク&ライブ「吉野弘を歌う・語る」」というイベントの真っ最中であった。別に参加するつもりはなかったが、スタッフに誘われたのと無料入場券がもらえるのにつられて入ってしまった。中では吉野弘の娘の久保田奈々子氏が二人のミュージシャンと一緒に演奏していた。アマチュアミュージシャンの歌なんて聞きたくないっていうのが通常だけど、普通にオリジナル曲も良くて感心した。
展示の方は非常にこじんまりとしていたね。作品ももちろん展示してあったけど、特に魅かれるものは何もなかったな。でも、直筆の詩はとても印象深い。達筆というわけではないけど、一画一画丁寧に書かれていて、それだけでも人柄が伝わってくる。
で、肝心の音楽の所では浜田省吾に触れられていて安心した。「悲しみは雪のように」が「雪の日に」インスパイアされたのはもちろん知っていたけど、収録アルバム『Born in 1952』は発売当初は『I was born in 1952』という表記だったというのは知らなかったね。あと、拓郎の「祭りのあと」や高田渡についても触れていた。
入場券にはランダムで氏の詩が書かれている。私の券には「竹」という詩が載っていた。
縦一列の高層ビル「竹」
光も入らない円筒形の部屋ばかり
かぐや姫のほかは
誰も住まわせたことのないのが誇です
いい詩じゃないか。