ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『怒りの葡萄』

2021-01-31 15:28:29 | 洋画
スタインベック原作で文学史に歴史を残すこの作品は読んでおかなければと常々思いつつも上下巻に分かれているとどうしても手を出しにくい。そんなわけで映画に逃げた…いや映画の方だって名作で観るべき作品だ。

スタインベックがノーベル賞を獲ったきっかけだからというだけでなく、この作品は前々から偉大な作品だと感じていた。恐慌時代のアメリカを描いたこの作品は文学だけでなく社会科学の方面にも大きな影響を与えている。実際に私も大学でこの作品を引用している講義を受けたことがある。最近でも昨年観た映画『21世紀の資本』でも取り上げられていたし、『パブリック 図書館の奇跡』でもキーワードになっていたりと、時代、国、分野を超越した作品である。
そういえばスプリングスティーンの『The Ghost Of Tom Joad』もこの作品に影響されていたね。

そういう前置きがある状態だと、なんだか映画を観るというより大学の講義を受けるような気持ちで再生ボタンを押す。
映画の方はがっつり社会派というよりは割と家族の絆を描いているなという風に感じた。何をするにも家族一緒で当時はそれが普通のことだったのかもしれないが、今観ると新鮮。アメリカでこの作品が支持されているのはこういう古き良きアメリカを感じさせるという部分もあるのかもしれない。また、妹の旦那が逃げ出すところで一層血のつながりの重要さを感じる。
そんでそういう過程があるからこそラストシーンで母親が主人公を送るシーンに全てが活きてくるんだろうな。

とはいえ主人公の行動がなかなか実ることなく観ていて辛く重いのも事実。


『裸のランチ』

2021-01-30 23:46:27 | 洋画
あまり気にしないようにはしているが家の本棚に何年も一冊だけ積読している本がある。それがバロウズ作の『裸のランチ』である。
読みたい気持ちはあるのだが、難解そうで手を出せないでいる。そこで読む手助けになればと思い先に映画を観てみた。まあ、映画と小説は乖離があるようではあるけれども。

しばらく鑑賞しているとインパクトのある虫が出てきて主人公が靴で叩き潰すシーンがある。そこで私は思った、この映画観たことあるぞと。てっきり私が観たことあるのは『ビデオドローム』の方でこちらは未見だと思っていたが、実際は逆だったようだ。なんでそんな勘違いしてしまったかというと主人公を演じているジェームズ・ウッズとピーター・ウェラーの顔が似ているからだな。

ストーリーの方はなんともつかみようがない。何が現実で何がドラッグの影響なのかあいまいだ。しかしそれでも、クローネンバーグ得意のグチョグチョした映像が盛りだくさんで飽きることなく画面を観ていることはできる。

マグワンプの登場と造形はかなり衝撃だ。それだけでも観る価値はある。フィギュアもあるみたいだけど、欲しいな。

『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』

2021-01-30 22:22:34 | 洋画
映画は好きでも普通に観ている分には裏方の仕事のことなんて知る由もない。昨年『ようこそ映画音響の世界へ』を観たときもそうだが、こういう映画を観るとより映画を好きになれるから、もっとこの手の裏方にスポットを当てたドキュメンタリーが増えてほしい。

スタントマンというと実際に画面に出て、主人公キャラを演じることはあってもスタントマン自身が認知されることはない。私からすればちょっと寂しい話だなとも思えてしまうが、登場人物でそんなこと思っている人はいないし、そもそもそんな話題は1ミリも出てこない。彼女らは自分自身の仕事に誇りを持っていることがとても伝わってくる。
ただ、そこには女性スタントマンならではの悩みもある。女性ということで軽んじられたり、露出が多く動きにくい服でのアクションも多い。が、実際のスタントシーンを観ると素晴らしい動き、ドライビングテクニックの連発で現実女性だからということはないのだろう。

しかし、スタント女性には女優と比べて遜色ないくらいにきれいな人もいるもんだね。まあ、女優のダブルなわけだからある程度似ている必要もあるわけだが、普通に美人。

『パプリカ』

2021-01-30 22:21:31 | 邦画
今敏の代表作で名作ながら、今更やっと鑑賞した。

もともと今敏は苦手なタイプであったが、それでも今まで観た作品はマイルドテイストだったのかな。今作では監督の持つ色彩豊かな世界観にどっぷり浸れる。

夢を舞台にした映画というとなんだか身構えてしまいそうになる。事実理解できない場面が多々あるが、今にして思えばすべてを理解する必要はなく、夢なんだから何でもありなんだという軽い気持ちで鑑賞した方がよかったかな。

まあ、面白いのかどうかはよくわからないが、また観たいという気持ちにならなかったのは確かなこと。

『ヒッチャー』(ニューマスター版)

2021-01-24 20:19:22 | 洋画
恐怖映画において想像力を掻き立てるということは非常に重要だなというのが今作で再認識できた。

ルトガー・ハウアー演じる殺人鬼は正体不明で、明確な理由も明かさないまま執拗に主人公を追い回す。暴力描写においても直接的なシーンはほとんどない。にもかかわらず、観ている側に恐怖を与えるのは観る者の想像力を最大限に掻き立てているからではないだろうか。これを1から10までだらだら説明しているとどうしても野暮ったくなってしまう。

また、主人公と殺人鬼の関係性も面白い。最後の方で警部が二人の関係を「奇妙な関係」と言っていたが、単に加害者と被害者というつながりだけではない。変な言い方ではあるが、お互いに信頼関係のようなものはあったと思う。だからこそ主人公は護送中に逃走することを確信していたし、殺人鬼も自分を追って殺しに来ることがわかっていたんだろう。

ダイナーで主人公が思わず指を食べてしまいそうなシーンは観る者にインパクトを与える。が、あの指は一体どのタイミングで仕込んだのか謎でしかない。考察している人はいないかとググったらこんなのが出てきた。



twitterより転載

新宿の映画館で販売中のようだが、絶対食べたいやつじゃん。