鋼鉄の男さんへの回答
私の著書をお読みいただき、ありがとうございます。
超安全志向の方ですと、私の考え方に賛同していただけますね。
ご質問の件、他の読者の方にも大いに参考になると思いますので、詳しく回答させていただきます。
まずは投資の方針から。
>母親(67歳)の資金運用(1500万円)を任されており、御著書の影響もあって米国債へのシフトを考えております。ただ、年齢のこともあり、毎年のキャッシュフローを重視したいと考えております。
よい考え方ですね。著書にもあるとおり、ご年齢からしてインカムゲインを重視するのが一番です。著書で述べている「年をとったら元本のことなど忘れて、インカムをエンジョイしろ」を地でいっていますね。
>一番良いのは、残存年数が限りなく30年に近い米国債(利付債)で、価格が100を超えて、クーポンが4%を超えるようなものを希望していますが、実際のところないようです。
現実にあるのは、例えば三菱UFJ証券 償還日2042年11月15日、価格82.59、利率(クーポン)2.75% です。もう少し、クーポンが欲しいなぁというところです。
おっしゃるとおり、高クーポンでオーバーパー(100以上の価格)の米国債は日本では貴重品です。私も友人の両親向けの高クーポンを探しましたが、見つけるまでに2カ月もかかりました。もっともその間にちょうど米国債のイールドが上がってきたため、怪我の功名でしたが(笑)
>そこで、次のような米国債ETFを見つけました。
http://jp.ishares.com/product_info/fund/overview/NYSEARCA/TLT.htm
分配金利回りが3%以上あり、現実的な選択としては良い方だと思っていますが、何か見落としていないか心配です。林さんの目から見て、このETFの問題点がありましたら、教えて頂けるでしょうか。もちろん、毎月分配で利殖には不向きであることは理解しております。
鋼鉄の男さんの文章から、とてもよく研究されている様子がうかがえます。
このETF(iシェアーズ米国債20年超ETF)が日本で個人が買えるというのは私も知りませんでした。海外のETFは、日本で個人が買えるものが多くありません。証券会社がフィーで稼げないからです。これですとかなりの証券会社で扱っていますね。
この米国債のETFファンド、とてもよい選択だと思います。理由をいくつか上げます。
・ETFのためコストが非常に安い(年0.15%のみ)
・Black Rock社はとても信用がおける(世界最大の投資顧問会社、元をただせばマーキュリーというイギリスの投資顧問が何度かの買収を経てBlack Rock傘下に入りました)
・過去のトラック・レコードがよい(といってもアクティブにマネージするのではなく、インデックスにリンクするだけですが、インデックスそのものがよいパフォーマンスを示している)
・20年超の米国債を何種類も買ったのと同じ運用を実現できる
・配当がリーゾナブル(日本の投信のように1万円を大きく割り込むタコ足配当をして、いったい儲かっているのか損しているのか、わからなくなるようなことがない。常に100ドルレベルの価格を保つように配当されている。日本のジョーシキは世界の非常識)
>このETFの問題点がありましたら、教えて頂けるでしょうか
債券のファンドですから一般的には金利が上昇局面にあると損失が出ます。生の債券ですと、最後まで持ちきれば損失はありませんが、ファンドですのでプラス・マイナスは大いにありえます。ファンドのプロスペクタス(英語のみ)を見ると、過去のパフォーマンスが詳細に出ていますが、08年はさすがに大きくマイナス、でもすぐ取り返しています。長期保有が前提ですから、問題はないと思います。
総評として私はよい選択だと思います。1,500万円と多額の投資ですので、米国金利や円ドルレートの動向を見ながら、少しずつという選択もお考えになるとよいと思います。シリアのことで相場は揺れると思いますが、逆によいチャンスかもしれません。
追加質問などあれば、なんなりとどうぞ。
私の著書をお読みいただき、ありがとうございます。
超安全志向の方ですと、私の考え方に賛同していただけますね。
ご質問の件、他の読者の方にも大いに参考になると思いますので、詳しく回答させていただきます。
まずは投資の方針から。
>母親(67歳)の資金運用(1500万円)を任されており、御著書の影響もあって米国債へのシフトを考えております。ただ、年齢のこともあり、毎年のキャッシュフローを重視したいと考えております。
よい考え方ですね。著書にもあるとおり、ご年齢からしてインカムゲインを重視するのが一番です。著書で述べている「年をとったら元本のことなど忘れて、インカムをエンジョイしろ」を地でいっていますね。
>一番良いのは、残存年数が限りなく30年に近い米国債(利付債)で、価格が100を超えて、クーポンが4%を超えるようなものを希望していますが、実際のところないようです。
現実にあるのは、例えば三菱UFJ証券 償還日2042年11月15日、価格82.59、利率(クーポン)2.75% です。もう少し、クーポンが欲しいなぁというところです。
おっしゃるとおり、高クーポンでオーバーパー(100以上の価格)の米国債は日本では貴重品です。私も友人の両親向けの高クーポンを探しましたが、見つけるまでに2カ月もかかりました。もっともその間にちょうど米国債のイールドが上がってきたため、怪我の功名でしたが(笑)
>そこで、次のような米国債ETFを見つけました。
http://jp.ishares.com/product_info/fund/overview/NYSEARCA/TLT.htm
分配金利回りが3%以上あり、現実的な選択としては良い方だと思っていますが、何か見落としていないか心配です。林さんの目から見て、このETFの問題点がありましたら、教えて頂けるでしょうか。もちろん、毎月分配で利殖には不向きであることは理解しております。
鋼鉄の男さんの文章から、とてもよく研究されている様子がうかがえます。
このETF(iシェアーズ米国債20年超ETF)が日本で個人が買えるというのは私も知りませんでした。海外のETFは、日本で個人が買えるものが多くありません。証券会社がフィーで稼げないからです。これですとかなりの証券会社で扱っていますね。
この米国債のETFファンド、とてもよい選択だと思います。理由をいくつか上げます。
・ETFのためコストが非常に安い(年0.15%のみ)
・Black Rock社はとても信用がおける(世界最大の投資顧問会社、元をただせばマーキュリーというイギリスの投資顧問が何度かの買収を経てBlack Rock傘下に入りました)
・過去のトラック・レコードがよい(といってもアクティブにマネージするのではなく、インデックスにリンクするだけですが、インデックスそのものがよいパフォーマンスを示している)
・20年超の米国債を何種類も買ったのと同じ運用を実現できる
・配当がリーゾナブル(日本の投信のように1万円を大きく割り込むタコ足配当をして、いったい儲かっているのか損しているのか、わからなくなるようなことがない。常に100ドルレベルの価格を保つように配当されている。日本のジョーシキは世界の非常識)
>このETFの問題点がありましたら、教えて頂けるでしょうか
債券のファンドですから一般的には金利が上昇局面にあると損失が出ます。生の債券ですと、最後まで持ちきれば損失はありませんが、ファンドですのでプラス・マイナスは大いにありえます。ファンドのプロスペクタス(英語のみ)を見ると、過去のパフォーマンスが詳細に出ていますが、08年はさすがに大きくマイナス、でもすぐ取り返しています。長期保有が前提ですから、問題はないと思います。
総評として私はよい選択だと思います。1,500万円と多額の投資ですので、米国金利や円ドルレートの動向を見ながら、少しずつという選択もお考えになるとよいと思います。シリアのことで相場は揺れると思いますが、逆によいチャンスかもしれません。
追加質問などあれば、なんなりとどうぞ。
いつも更新を楽しみにしております。
さて、TLTにあてはまるかどうかは分かりませんが、
米国債券ETFは米国株式同様、米国源泉税が10%かかるのではないでしょうか?
少なくともAGG(米国債券総合ETF)ではかかるようです。
「AGG 源泉税」でググるとある方の資産運用ブログで、分配金支払通知書そのものがアップされています。
それによると、先ず米国源泉税10%が引かれ、残りの90%に対して国内源泉税がかかっています。
もちろん、確定申告すれば外国税額控除でいくらかは戻ってきますが全額ではありませんし、もし国民健康保険なら保険料のアップや医療機関での窓口負担が1割で済むものが3割に上がる可能性もあります。
楽天証券などは海外ETFもNISA対応していますので、毎年100万円ずつ5年にわたり購入して、2023年まで非課税枠を享受する方法、皆さんどう思われますか?
米国源泉税10%や価格の変動に若干のストレスがありますが、毎月ちょこちょこお小遣いをもらえるのはうれしい気もします。
早々にご回答頂きありがとうございます。
理解が深まり、迷いが消えたような感覚です。
それと、高クーポンでオーバーパーの米国債は、あるにはあるんですね。
でも、私には回ってこないんでしょうね。
また疑問が出たら、質問させて頂きます。
全く知りませんでした。
もう少し勉強してみます。
既にご存じかもしれませんが、野村の既発外貨建債券のページにクーポン3.125%、償還日2043.2.15、価格91.17がありますね。もう一声というところですが。
今新発で起債されているものが数ケ月後既発債で出てきてくれたらいいですね。
それにしても、価格100で起債したものが、半年~9ケ月で9%下落とか18%下落ですか。なかなかスリリングですね。
野村の既発外貨建債券のページ、見ました。
利付債において、起債時の価格(発行価格)は100に決まってるんですか。
額面価格が100は分かりますが、発行価格は市場によって上下するものだと思っていました。
まーくんさんの言うとおり、高クーポンの既発債が早く出てきて欲しいですね。
北郊価格100というのは間違いで、100前後すね。訂正します。
米国債の場合、クーポンの刻みは0.125%でしたっけ?
(林先生、正確なところをご教授ください)
直近の8月15日発行の30年債はクーポン3.625%ですね。
いずれにしても、30年間死んだふりができるなら、100前後で発行されたものが、82.59(91.17)で買え、2.75(3.125)のクーポンをもらいながら30年後に100になって帰ってくる」というのはストレスフリーですよね。(だって、将来FRBが金利をあげても、2.75%(3.125%)は遠いですよ)
そうですね、ボンドとノートは0.125です。
何故0.125かといと、これは8分の1だから。
何故8分の1かというと計算機のない時代は2の乗数分の1、つまり4分の1とか16分の1とかが、複利計算しやすかったことによるようです。
そして発行価格やセカンダリーの売買価格の微調整は99と16分の1とか、99と32分の1とか、やはり2の乗数の分数で行っていました。使ったことはありませんが、計算尺とかだと乗数は扱いやすいのでしょうか?
私は最近は債券トレードをしているわけではないので、いまでもそれが取引単位かはわかりません。
現在中華圏に住んでおり(30代)春節の休みに
「証券会社が売りたがらない米国債を買え!」
を購入し大変興味深く速攻で読んでしまいました。
なぜ購入を考えたかと申しますと
昨年子供が生まれまして子供のための貯金・運用を
何が良いか色々検討しておりました。
周りは学資保険の人が多いですが当然?
保険会社を儲けさせるためだけで
全く興味はありません。
私自身は香港と米国の海外口座
で、手数料の安いETF
【VT】
バンガード・トータル・ワールド・ストックETF<60%>
【VWO】
バンガード・MSCI・エマージング・マーケット<30%>
【JGBD】
日本国債ベアETF(レバレッジ3倍)<10%>
でシンプルに長期運用中です。
5%ぐらい利回りがあれば良いなあと思っております。
長期で見れば債権より株式の方が利回りが良く
全世界に投資しつつ新興国も混ぜて
念のため日本国の金利上昇に掛けております。
という状況の中で
子供の将来のお金まで株式は
ちょっと心配だなあと思っており。
・日本の証券会社
・米国債
が良いのかなあと思っており
本を拝見した次第です。
日本の証券会社が良いと思ったのは
万が一の時にやっぱり日本の証券会社は
手数料が高そうだが安心でリスク分散に
なると思っております。
その上で、
◆iシェアーズ 米国国債 20年超 ETF (TLT)
が定期的に積み立てるのは良いのかなあと
思っております。
生の債権ですといつ利回りの良いものが
出てくるか探したりタイミングも
難しい気がしてきました。
しかし、
・分配金があるので税金が取られる
・信託報酬が低いが0.15%掛かる
という事であっても米国債を直接買うのと
遜色ないという理解で宜しいでしょうか。
(半年に一回ぐらい購入し15年単位で考えております。)
ゼロクーポン債は満期まで待てば
完全にストレスフリーですが
インデックスの場合は日々価格が変動して
暴騰や暴落が絶対にないとは言えないかと
思います。
しかし、10年単位で持てば気にする事は
無いのでしょうか。
もしよろしければ生の債権とETF
のメリットデメリットをお教え頂けますと
大変幸いです。
だらだらと長文で失礼いたしました。
またブログへ質問をいただいたこと、ありがとうございます。
まず回答の前に、「債券」は「債権」とは意味が違うので、ご注意ください。
ではまずコメントです。
債権丸さんはよく勉強をされていると思いますし、投資へのスタンスは共感できる部分が多いと感じます。
現在のポートフォリオの大部分を日本以外の株式においているのも悪くない選択でしょう。ただ
>長期で見れば債権より株式の方が利回りが良く
と言う部分は、「成功すれば」と言う条件、もしくは「インデックスだけにしておけば」という条件付であることをお忘れなく。債権丸さんの場合はインデックスですので、金融大激震時に我慢できれば報われると思います。
レバレッジを掛けた日本国債ベアファンド投資は、大胆な戦略でおもしろいですね。ここまで低い金利であれば将来的には成功確率がはるかに高いと思いますが、黒田氏健在のうちはコスト倒れになる可能性が高いこともお忘れなく。
ご質問は下記債券のETFについてですが、基本的には賛成です。コストもよくみていらっしゃいますね。
>◆iシェアーズ 米国国債 20年超 ETF (TLT)
このETFは当ブログでも話題の一つになり、私も悪くない選択だと申し上げていますが、日本では扱い証券会社が見つかりませんでした。海外での投資なら可能でしょう。
>米国債を直接買うのと遜色ないという理解で宜しいでしょうか。(半年に一回ぐらい購入し15年単位で考えております。)
これは簡単に結論は出せませんね。ETFのためコストはかなり安いのですが、今後もし長期にわたって金利が継続的に上昇していくと、ファンドでの運用は不利になる可能性があるためです。
生の債券をご自分で投資されるのは実際に投資対象が見つかるかなどの心配がありますが、米国債に関しては発行量も多く流動性も高いので、あまり心配はいらないと思います。
以上が私の回答ですが、参考になりましたでしょうか。