勉強。
いま私はEDIT LOCALというコミュニティに参加しているが
そこで知り合った方も本書で取り上げられている。
私が仕事上コラボすることが多いのは
グラフィックデザインやエディトリアルデザイン、
そしてwebデザインをする方だが
本書の方々はそれらやプロダクトデザインを本業としながらも、
その世界にとどまらず、その領域を広げている。
いわゆるコニュニティデザインやエリアデザイン、
もしかしたらソーシャルデザインの領域までも網羅し始めている。
都会はどうしても分業制になりがちで
なんならクライアントの顔も知らずに仕事をしているというが
ことローカルにおいては編集者も含め、その守備範囲は広い。
大企業では役割分担ががっちり決まっているが
小さい企業では、場合によっちゃ1から10まで経験できるのと似ている。
実はそれがおもしろいし、キャリアの幅も広がる。
特に興味深かったのは
企業内のデザイナーのことをインハウスデザイナーと言うが
複数の人が自分たちのことを「インタウンデザイナー」と言っていること。
まちに溶け込んで
「誰かのやりたいことをわかりやすく伝えるメディア」
としてのデザインを課題解決に活かしている。
「まちの食堂」という概念も面白い。
中華やイタリアンみたいな専門店ではなく、なんでも揃う食堂。
1から10まで、場合によっては15や20まで携わるからこそ
まちの人々にも評価され、二次元を超えた活動ができる。
デザインは単にPCのマウスを握っていればできる仕事じゃない。
特に地方においては、エリアに溶け込まなければ広がらない。
表現するだけじゃなく、地域の人たちとともに課題解決していく、
あるいは+αのエリアの魅力を引き出していく。
手でモノに触れ、売って価値を広げていく。
もしかしたらインタウンデザイナーとは現業なのではなかろうか。
プランナーやコンサルタントなどもそうだが
都会からやってくるデザイナーはハンドリングまでタッチせず
結局形式だけに終わることが多い。
そうではないところにインタウンデザイナーの存在意義がある。
本書の中で何人かが
「ここには何もないと言われる」とか「何もないと思っていた」と
最初感じていたことがスタートラインになったと書いていた。
花巻市民も、そう思っている人は多いだろう。
しかし、それは気づかない、見えていないだけであって、
実はとんでもないポテンシャルを持っていると私は気づいた。
だから「まちを編集」する。
デザインスキルはないからデザイナーとコラボする。
ローカルメディアでかき回す。
本書で取り上げられている人たちほど若くはないが
次世代のために何か残したい。
そのためのヒントが本書に満載されている。
「おもしろい地域には、おもしろいデザイナーがいる〜地域×デザインの実践」
新山直広・坂本大祐:編 学芸出版社