ダークフォース続き(仮)新規 Twitterは@14ayakosan です

ダークフォースDFと続きに仮セカンド。Twitterは @14ayakosan 新規とDF追加再編です

なんとなく、第一話

2020年12月10日 00時14分54秒 | ためぞうの冒険(ダークフォース セカンド?仮+未定)
「おはようございます。」

「あら、おはよう、サフィリアさん。」

 銀色の髪にブレザー姿の女子高生にそう返すのは、
 同じ制服を着た女の子。

「お、おはようございます、アリス会長。」

 会長と呼ばれたその娘は、
 有り得ないくらいの美貌を誇っている。

 蒼い瞳に、プラチナブロンド。

 見るからに北欧系の美少女で、
 サフィリアと呼ばれた娘も、
 可愛さは世界ランキング級の美少女だが、
 アリスのそれは、
 美しいという言葉では、
 喩えようもなく、
 グランプリ王者級だ(連続防衛中)。

 王に、王が重なるほどの、
 絶世の美少女である。

 さわやかな朝日に照らされる日常に、
 非、現実的なほど神々しい光景が、
 九州の片田舎にて、繰り広げられていた。


 時は、西暦20XX年ッーー!!


 人類は世紀末を波乱とともに向かえ、
 かつてなく巨大な壁であった、

 『不景気』

 という試練を、
 乗り越えようとしていた、
 新世紀を生き抜く若者たちの姿を、
 ハートフルに描く五つの物語であるーーッ!!
              (ここは息継ぎなしでお願いします。)


第一話 「ためぞうの冒険」


ためぞう「オッス! オラ、ためぞう。
     貯めるに蔵と書いて、
     『ためぞう』だぞ。
     オラは、願いを叶えるために、
     ラヴんな朝の光景を覗き見てるゾ。」


ためぞう「えー、当方16才なのですが、
     魔王の討伐を王様から頼まれたり、
     100円もらったりしてないんですが、
     冒険したい年頃です。」

ためぞう「・・・。
     間がもたんな。」

ためぞう「美少女はいい、美女もいい。
     オレは、世界で一番のハーレムを夢見る、
     高校一年生なんだからな。

     しかし、オレの十六年の人生経験が語るのは、
     この後に、

     『ためぞうの冒険 おわり。』か、

     次週、最終回、
     『ためぞう、時の流れの果てに。』だ!

     理由は簡単、キャストがオレ一人しか、
     タイトル表記のあとに、しゃべってないからだ・・・。」

ためぞう「・・・。
     すまないと思っている。

     美少女一人、登場させられない、
     理想の桃源郷を覗き見しているだけの男に、
     世界の1グラムすら語る資格はないということくらい。

     だが、ここでは終われん、
     終わりたくないのだよ!

     誰か、出てきてください。」

マイオスト「やあ!」

     そこに、銀髪の男マイオストがあらわれた。

ためぞう「アリガトウ!
     そして、ありがとッスーー!!」

マイオスト「いや、
      過去のためぞうの冒険 エピソード0(ゼロ)には、
      私と、嫁のハインウィンドは、
      登場してたからね。」

ハイン「嫁いうなぁ!」

    ハインウィンド(ブロンド ナイスバディ)があらわれた。

マイオスト「同窓会?」

ためぞう「いや、
     オレ、マジで共学の高校とか、
     通ってみたいんで、
     路線変更しないでね。

     子供が生まれましたの写真が入った年賀状を、
     結婚しました、のハガキもらってないのに、
     もらったりするのは、
     もーちょっと先でいいんで。」

マイオスト「もらったw」

ためぞう「マジか!!」

ためぞう「・・・。
     路線変更はなしでお願いします。

     お二人は、新婚生活を楽しんでてください。」

マイオスト「そだね。」

ハイン「ぶっ飛ばしていいか?
    お前らを。」

マイオスト「おいおい、
      やめてくれよ、ハニー。
      人前じゃないか、
      ハッハッハー!」

マイオストは、
お星様になりました。

ハイン「次は、貴様だ。」

ためぞう「一度だけでいい!
     チャンスをくれ・・・。

     通ってみたいねん。」

ハイン「・・・。
    まあ、いいだろう。

    過去の弟子に、機会を与えるのも、
    師であった者の務めであろう。

    あとはまあ、
    何とか、がんばれ。」

ハインは、
スーパーの方に向かって立ち去った。

ためぞう「ポイント10倍デーか。

     ・・・いかん、流されるなオレ。
     握ったチャンスを無駄にするな。

     リサイクルキャラの巣窟の同窓会には、
     あの伝説の世界樹の木の下で、
     平成生まれの新キャラの子に、
     告白されてからでも遅くはなかろう。」


次回、ためぞうの冒険 第二話

   「入試」


ためぞう「そっからかよ!!」
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ためぞうハルトの伝説 第三十七話 ターンD 「ためぞう、ゆけむりの彼方で・・・。」

2015年03月09日 19時30分17秒 | ためぞうの冒険(ダークフォース セカンド?仮+未定)
ためぞうの冒険 II (長いので省略) 三十七話 Dパート。



   「ためぞう、ゆけむりの彼方で・・・。」



    - 十億年後・・・。(仮) -



シオン君「また、二人になってしまったね。


     アリス姉さん。」


アリス姉さん「ためぞうさんは、

       私の心の中に、

       ずっといるから。」


 ためぞうが、目の前にいます。

 カラオケコーナーでピザ食いながら、

 ジョイスティックで、遠隔プレイで、

 ゲームコーナーの格ゲーやってます。


ためぞう「いや、いるからね。

     まだ、五分もたってないでしょ?


     ゲーム、1ラウンド終わってないから。」


 シオン君は、プレイに戻って行きました。



    - これまでのあらすじ。


      温泉にとっても満足のためぞうは、

      ゲームコーナーで、楽しくやっています。 -




アリス会長さん「ファルさんにお願いがあるんです!

        ためぞうさんの格闘ゲームのフィールドを、


        ファルさんの適当な領地に入れ替えて、

        本気が出せるように、

        してもらえると、嬉しいですっ。」


 きゅんと可愛い感じで、

 アリス会長さんは言いますが、

 表情は淡々として、眉の一つも動かしません。


 ファルさんは、大はしゃぎで引き受けました。


ファルさん「はい!


      武術大会用のスーパーアリーナを、

      ご用意しますねっ。」


 ファルさんは、冷や汗を拭いながら、

 勤めて明るく振舞います。


 普段のお花屋さんでの成果がでましたねっ。


ファルさん「(ローゼさん、救援よろしくですッ!!)」


ローゼさん「(やれるだけの事は、がんばります!!)」


 ゲームは、


 ・ 『チーム ためぞう。』


   ジャスティス=カイザーハルト二世(ためぞう。)


   レミーアさん。


   + 反逆のセバリオスさん。(いい想い出を作りたい。)



 ・ 対 『チーム サフィリアさん。』


   サフィリアさん。


   エリスねーさん。


   レオクスさん。


   シオン君。


   + 挑戦者 スーパーRさん。



 で、行われています。


ためぞうハルト「相手、増えてんじゃん!!」


 両チームは、スーパーバトルアリーナへと、ワープしました。

 はた目には、何も変わっていません。

 仲良く浴衣姿でゲームやってる雰囲気です。


 エリナ先生のいるカラオケルームに、

 ゲーム画面が映りました。


 カラオケの字幕も流れているので、

 歌いながら、観戦できます。


エリナ先生「なるほど、


      こうやって、欲しいヒーローを、

      集めているわけですね。」


アリス会長さん「はい、さすがですね。」


ファルさん「そーだったのかー!!」


 ファルさんの目付きが、

 スカウトモードになりました。


 見た目は、何も変わっていないような画面ですが、

 アリーナは、ドーム球場くらいあります。


 LV限界が、600まで開放されました!


 (通常は、LV99に制限されています。)


セバリオスさん「フッ・・・、

        肩が凝っていた所だったんで、


        ちょうど良かったね。」


 言ってる感じは、優しいですが、

 表情がマジになってます。


 激しいオーラを纏った、セバリオスさんの剛拳から、

 必殺奥義が放たれます!


セバリオスさん「『グランド、コレターァァァアア!!』」


 大地を数十億ボルトの電撃が駆け抜けます!!


レミーアさん「やばいッ!」


カイザーためぞう「オオゥ!!」


 レミーアさんと、カイザーさんは、

 セバリオスさんのバリアで守られています。


 セバリオスさんの攻撃 → サフィリアさんに、18500ダメージ!


              エリスねーさんに、22000ダメージ!


              レオクスさんに、150000ダメージ!


              シオン君に、8000ダメージ!


              スーパーRさんには、効いていない!



レオクスさん「素手で、そんなに強いんですかッ!」


エリスねーさん「・・・あれ、弱攻撃ですよ。」


サフィリアさん「えぇーーー!?」


シオン君「さすがです! ボク、がんばりますよっ。」


 謎のマントのスーパーRさんは、

 そよ風ほどにもならなかったようだゾ!


カイザーためさん「どんだKぇぇぇぇぇえ!!!」


セバリオスさん「うん、

        今のためぞう君なら、

        スーパーさん、足止め出来るよね?」


ためぞうハルト「た、ためぞうって今は言ってはダメです!!」


レミーアさん「(やっぱり、ためぞう先輩なんだ。


        ・・・ありがとうございます。)」


 レミーアさんは、ちょっと照れている。


サフィリアさん「あれ、なんだかレミーアさんが、

        デレっとしちゃってますね。」


 今日に限って、サフィリアさんは、なんだか目がいいぞ!


レミーアさん「(ナイショにしとこう・・・。)」


 次に動いたのは、レオクスさんだ!


レオクスさん「セバリオスさんが、素手なら、

       私だって、体術勝負です!


       『プラズマサンシャイン、キィーーークッッツ!!』」



 あの日の夏の思い出を、

  思い起こさせる、そんな閃光。


 君がポンって叩いた背中は、

  日焼けで少しいたかったけど、

   そんな事より、ひまわりみたいな君の笑顔が、


 僕の胸を、熱くさせてくれて嬉しかった・・・、。



 レオクスさんのキック→ カイザーさんに、250000ダメージ!


             セバリオスさんには、効かない!


             レミーアさんは、セバリオスさんに守られた。



レミーアさん「(・・・なんか、いい。


        久しぶりに、いいです~。)」


レオクスさん「セバリオスさん、


       何故、そっちに付いたのですかッ!」


セバリオスさん「うんとね、

        多勢に無勢で、

        バランス取れてないと思ったから。


        ダメかな?」


レオクスさん「そーでしたか、ハッハッハッ・・・。


       (ダメなんて、言えないでしょ!)」


エリスねーさん「カイザーさんってのが、たぶんボスだー。


        みんな、狙えー!!」


 シオン君のギャラクシー=ツンデレ=ビーム!!


 → カイザーさんに、効いているぞッ!



 レオクスさんの、ムーンサルト=かかと落としッ!!


 → おおっと、カイザーさん、これは強烈だぁ!!


 カイザーためぞうは、よろけている。


カイザーさん「ちょっと、まってね。


       まだ、勘が戻ってないの。」


セバリオスさん「よし、強めに攻撃します。


        ハーーーーーーーッ!

        ゆけむりパワー全開!!


        『バスターライトニングフレアー! 湯上りほっこり風。』」


 セバリオスさんは、

 レミーアさんだけを守って、

 ふんわり全体攻撃です。


 → カイザーためぞうハルトに、500000ダメージ!!!


 → レオクスさんに、300000ダメージ!!


 → シオン君に、150000ダメージ!!


 → サフィリアさん+エリスねーさんに、ふんわり 0.1ダメージ!


 → スーパーRさんの謎なマントにダメージ!


 スーパーRさんの正体が分かった。


セバリオスさん「あれ、リンカさんでしたか。」


 セバリオスさんがリンカさんと呼んだ、

 黒髪の女性は、

 確かに同じ黒髪ですが、

 シルエットが全く違います。


 ナイスバディです!


観客のファルさん「まさか!?」


浴衣の観客A氏「その者ォ!

        謎のマントを纏いて、

        光輝の王に従う、永久の女戦士にして、

        無限への扉の番人ナリィ!!


        最強伝説 マーク II は、

        真であったかァァァアア!!!」


カイザーためぞう「ル、ルフィアいるじゃん!!」


 ルフィアと呼ばれた女性は、

 確かにリンカさんにも似ていますが、

 マジカルな感じで大人っぽいです。


セバリオスさん「拳を交えてみたいと願った相手が、

        そこにいた! って感じだね。」


レオクスさん「そ、そんなに強いんですか・・・。

       あの、リンカさんのお姉さんぽい方。」


エリスねーさん「ああ、丸腰のセバリオスじゃ、

        多分、ルフィアには勝てない。


        三対一で、

        なんとか引き分けたって感じだからね。


        セバリオスに、私に、バルマード王の三人で。」


 黒髪の綺麗な、ルフィアさんは、

 ファイティングポーズを取りました。


 ルフィアさんのハイキック → セバリオスさんは、ダメージの99・9%を無効化!


              → セバリオスさんに、780万ダメージ!!!


観客のファルさん「マジかーー!?


         ほ、欲しい、ルフィアさん。」


観客のローゼさん「確か、古蔵さんが逃げられた、

         お嫁さんが、ルフィアさんですよ。」


観客のファルさん「・・・逃げられてて助かったー。


         フゥー。」


セバリオスさん「ためぞうくん・・・もとい、

        ジャスティス=カイザーハルト二世君。


        早く、彼女を止めるんだ。

        まだ、彼女はパワーをコントロール出来ていないんだ。


        全体攻撃は、エリスやサフィリアさんにも及ぶから、

        防ぎようがない。」



 レミーアさんは、セバリオスさんにガッチリ守られています。


レミーアさん「(うん、いい風が吹いてきましたネ・・・。)」


 レミーアさんは、ホロリとうれし涙です。


 セバリオスさんだけは、

 その圧倒的防御力と、ほぼ無限の体力で、

 わりと余裕で耐えられます。


 耐えられるけど、攻略手段がないといった感じです。


セバリオスさん「うん。」


レオクスさん「やばいよーー!!」


カイザーためぞゥ「やばいよぉ!!!」


 女子全員が、セバリオスさんに寄って来ました。

 近くにいると、安心です。


サフィリアさん「尊敬します!」


エリスねーさん「私がいないと、

        セバリオスはねぇー。」


シオン君「ボクも、守ってもらっていいですか?」


レミーアさん「(・・・勝った。

        ありがとう、セバリオスさん!)」


 なんだか、セバリオスさん、

 モテてるようにも、見えなくもないですね。


カイザーためぞう「確実に、モテてるだろう!!!」


 観客のファルさんも、ローゼさんも、

 守られるって、素敵だなってドキドキしました。


ファルさん「青春ですよね! 出来てますよね!?」


ローゼさん「ええ・・・そう信じたいですw」



 リンカさん大人ヴァージョン的なルフィアさん。

 辺りを良く見ると、そのリンカさんがいません。


ルフィアさん「ねえ、ため様。


       せっかく温泉に来てるんだし、

       入ってきてもかまいませんか?」


 ためぞうハルトさんと、ルフィアさんは、

 何だか、知り合いっぽいです。


カイザーさん「ため様って、ここで言うな!


       そうだな、風呂行きたいなら、

       このオレに倒されるのが一番はやいぞ。


       なんといっても、勝ち残れば、

       続けて遊べるからな。」


ルフィアさん「はーい。


       では、一回だけワザ使わせて下さい。」


 女子たちは(シオン君も含む。)、

 セバリオスさんから離れません。


 レオクスさんは、ワザが来るの!? とあたふたしてます。


 ためぞうは、レオクスさんにこそこそと呟きます。


カイザーためぞう「一撃だけ耐えるガートをやってもらっていいですか?

         その後ろで、奥義溜めますんで。」


レオクスさん「あ、はい。」


 レオクスさんがその力を防御に回すと、

 とんでもない厚みのバリアが出現しました。


 ルフィアさんは、そこまで待って、

 奥義を出してきます!


ルフィアさん「ぐーパンチ!」


 そのちょろめな名とは、裏腹に、

 有り得ない数の追尾ビームが無数に飛んできます!


 堅牢なバトルアリーナの壁も、たやすく削り取る、

 脅威の威力に、ファルさんはぽかんと口が開いています。


観客のファルさん「う、うそん!?

         アレはLV600のスーパー戦士でも、

         簡単には破壊できない設計なんですが。」


 ビームはレオクスさんと、セバリオスさんが、

 何とか防ぎきります!


 その時!

 奥義のチャージを終えた、

 カイザーためぞうハルトの大技が唸りを上げます。


カイザーさん「『ドラゴンタイガーアターック!!』

       (カイザーさんは、まだ奥義を習得していません。)」


 それは、通常の強パンチと強キックのダブルアタックでしたが、

 通常の相手なら、まず耐える事の出来ない、

 高スペックのワザです。


 基本性能だけで、カイザーためぞうさんは、がんばっています。


カイザーためぞう「(オレも、奥義が欲しいんだよォ!!!)」


 渾身の一撃でしたが、ルフィアさんの髪を揺らす事も出来ずに、

 ペチっと、叩き落されました。


ためぞうハルト「うぎゃぁ!」


 → カイザーためぞうに、1億ダメージ!!!


サフィリアさん「ええぇ!?」


エリスねーさん「・・・だよなぁ。」


シオン君「やばいよー!」


レミーアさん「守られるって、イイですね。」


 ためぞうは、まだ終わっちゃいない!

 HPで耐えられなくとも、

 ためぞうには、気合いがある!!


カイザーためぞう「行くぜ、ルフィアよォ!!」


 カイザーためぞうは、進化しています。

 素早くルフィアさんの背後に回りこむと、

 こう囁くのです。


ためぞう「(もうすぐ、大浴場の入浴時間が終わりますぜぇ。)」


ルフィア「!?」


 カイザーためぞうの、スプラッシュ=スパ=バックブリーカーァァア!


 ルフィアの身体が宙を舞い、

 用意された、ふかふかなマットにふにゃんと沈む!!


カイザーためぞう「1,2,3!!


         勝者、カイザーーハルトォォオオオ!!!」


 アリーナは、歓声に沸きます!

 ためぞーコールが鳴り止みません。


 他の方たちは、いい試合だったと、

 各自、大浴場や、ゲームコーナー、

 お土産コーナーなどに戻って行きました。


ルフィアさん「それでは、お風呂行って来ます~!」


 ルフィアさんは、何だか久しぶりの旅行で、

 とても嬉しそうです。


 会場に残されたためぞうは、

 握手とサインを求められて、簡単には帰れそうもありません。


 温泉イベントもほとんど取りこぼすでしょう・・・。


 カラオケルームのエリナ先生たちも、

 ノリでやってみた課外授業を放り出して、

 歌いに歌いまくっています。


 カラオケルームに残された、

 アリス会長さんに、レイカさん、

 ファルさん、ローゼさん、セリカさん。

 きちんと順番を守って、歌っています。


アリス会長さん「ためぞーさんの凄いところは、

        『1億ダメージ』を耐えたという事です。」


ファルさん「言われてみれば、凄過ぎる!?」


ローゼさん「潜在力が、もの凄いのですね、

      知らぬうちに感じていた魅力の一つでしょうか。」


 アリス会長さんは、こう続けてます。


アリス会長さん「さらに言うと、

        ためぞうさんは、ルフィアさんの仕える主なのです。


        現在は、強すぎて封印っぽい扱いのルフィアさんですが、

        その5%の力を受け継いでいるリンカさんが、


        彼女のその5%の力で、LV500を超えてくるのです。


        では、その100%とは、どのようなものでしょう?」


セリカさん「やべえよ・・・、

      一人で無双出来る強さだよ。


      何とかの六魔王とかいうのを、

      三人、同時に相手して、勝ったらしいよ。」


ファルさん「!? ・・・私たちは、たった一人を全力で、

      追い返すのが精一杯だったのに・・・。」


ローゼさん「・・・お、お風呂行って来ようかな。」


ファルさん「わ、私もぜひ!」


 ルフィアさんは、様々の種類の温泉を満喫して、

 マッサージチェアで、フルーツ牛乳を飲んでいると、


 いつの間にか、リンカさんに戻っていました。


 浴衣のサイズが大きすぎて、

 チラっと柔肌が見えたり、見えなかったり。


浴衣のA氏「想い出、絶好調でござるよォ!」


浴衣のB氏「長い戦いだったんだな・・・・。

      私は、戦ってないんだなッ!」


浴衣のJ氏「リンカさんのチラ見せはオレたちが守りぬくんだ!

      でないと、この想いのレア度が下がってしまうぜ!!」


 三人は、マッサージチェアの誓いを立てました。

 抜け駆けなしよ、みたいな意味も微妙に入っています。


 ためぞうは、あれからしばらくして、

 帰って来れました。

 ゲームセンターも営業時間を過ぎています。


 時刻は、10時過ぎといったところです。


 普段なら、みなさんお休みの時間ですが、

 変なテンションになって、目の冴えた、

 サフィリアさんや、レミーアさんたちは、

 何だか、まだまだ元気みたいです。


ためぞう「うお!?

     ワンカップやチューハイやらのビンや缶に混ざって、

     エナジードリンク(うなぎ・スッポン風味。)があるではないか!


     未成年は、そっちのドリンクを飲まされたと見た。」


 ためぞうは、けっこう試練的なものに出くわす確率が高いので、

 こっそりと、自室の301号室に戻ろうと思いました。


セリカさん「ふふふ・・・、


      ためさんや、私もエナジーが溢れてる方だよ。」


 廊下で、セリカさんがカバディの構え II !


ためぞう「あの後、どんな感じになってるの?」


セリカさん「うんとね、

      チューハイ組は、普通に酔っておつまみとか、食べてる。

      ファルさんは、ぎりぎり滑り込んで、セーフ。


      ドリンク(旅館に持ち込みを頼んだのはセリカさん。)組は、

      バトルが盛り上がって、

      結局、エリナ先生とリンカさん以外はマットに沈んだ。


      くらいかな?」


 説明を求められると、丁寧に答えてくれるセリカさん。

 さすがは、現役の魔王さんです。


ためぞう「オレ、味方だよね?」


 セリカさんは、くつろぎスタンスに戻った。


セリカさん「まーあれだよ、

      この私でも、エリナ先生とリンカさんは、強敵だから、

      ノリで構えてみた。」


ためぞう「サフィリアさんとか、レミーアさんは無事なの?」


セリカさん「セバリオスさんと、レオクスさんが守ってたから、

      嫉妬魂を煽って、バトルが激しく盛り上がったよ。


      セバリオスさんとレオクスさんは、頑張ったんだけどね。


      エリナ先生のダブルラリアットに沈んだ・・・。」


 二人は、301号室ですやすやと就寝しているようです。


セリカさん「それで、サフィリアさんとレミーアさんを、

      何故か浴衣の三人組が救出に来て、

      二秒でやられた。」


ためぞう「想い出、稼ぎまくっとるな、A,B,J氏」


 その後、リンカさんはエリナ先生に連れられ、

 温泉場外バトルに向かったが、

 エナジーチャージが時間切れで、再度補充に来ているらしい。


エリナ先生「あら、おかえりなさい。」


リンカさん「ためぞうさん、ども。」


ためぞう「うぉー、セリカさん任せた!」


セリカさん「フッ、任されたぜ・・・ためさん。」


 セリカさんは、エナジーチャージ中の二人に、

 いきなり奥義をぶちかまして、

 二人を、健康マットレスに沈めました。


セリカさん「『奥義 カウンターダブルボンバーァァァ!!』」


リンカさん「ワザ、決まった後に、言うのやめて・・・コテッ。」


エリナ先生「『奥義 カウンターカウンターギャラクシーラリアットッ!!!』」


 セリカさんも、ゆるふわマットに沈められました。


エリナ先生「メロンソーダでもいただきましょう。」


 ゆったりとマッサージチェアに座ったエリナ先生は、

 シュワっと炭酸なのど越しに満足しながら、

 次の挑戦者を待つのでした。


エリナ先生「レオクスさんのお父さんでも、来ないかしら。

      今なら、勝てそうな気がします。」


 ためぞうは、途中で同じ境遇のシオン君と出会いました。


ためぞう「旅行は楽しめてる?」


シオン君「はい!」


ためぞう「セバリオスさんまでやられたらしい・・・、

     ここは二手に分かれよう。」


シオン君「そ、そうなんですか!?

     はい、わかりました。」


 シオン君は、何故かその後、

 エリナ先生の待つカラオケコーナー付近の、

 マッサージチェアへと向かいます。


シオン君「これ、使ってみたかったんですよね!」


エリナ先生「あら、いらっしゃい。」


 シオン君は、選択肢を過ったようです・・・。


シオン君「おぉ!?」


 肩こり、腰痛がなおりました。


 ためぞうは、逃げ回るうちにすっかり汗だくになってしまっていたので、

 貸切の出来る露天風呂で、ひとッ風呂浴びようと、

 入泉料 500円を払いました。

 雰囲気のあるなかなか素敵なお風呂です。


ためぞう「なんだか、やっとゆっくり出来たってかんじで、

     ホッとします。


     せっかく温泉に来れたんだから、

     それっぽい効能も持ち帰りたい、ためぞうです。」


 すると、貸切なはずなのに、

 人影があります。


ためぞう「なにー!?」



  ・ 誰がいたでしょう? ためぞうさん。



    → 1、ほのかに頬を染める、アリス生徒会長さん。


      2、大和撫子の艶めく柔肌、北条 レイカさん。


      3、ワンカップ飲んでる、エリスねーさん。



ためぞう「1と2は、絶対選べないよね、

     ためぞう、冒険する前に、エンディングだよね?



     ・・・3、を選ぶしかあるまい。」


エリスねーさん「よう、ためぞう。」


 ためぞうは、エリスねーさんの入浴は見慣れています。

 ためぞうが子タヌキだった頃は、一緒に入っていたくらいなものです。


 運よく、エリスねーさんはタオルを巻いて入浴しています。

 ゆけむりパワーが全開でぼかしを入れてくれるので、

 普通に会話が出来ます。


 ためぞうとしては、エリスねーさんを女子と意識した時点で、

 一定のエンディングを迎えてしまうので、

 (だらけているようで、実はすごくしっかり者の、器量良しの出来たお姉さん。)

 ためぞうもそこは、注意をしています。


ためぞう「久しぶりだよな、風呂とか。」


エリスねーさん「ああ、そうだねぇ。

        ためぞうの背中もすっかり大きくなっちゃったね。」


 エリスねーさんからは、わりとハッキリ見えているようです。

 ためぞうは、葉っぱを上手く操っています。


 エリスねーさんは、お星様を見上げています。


エリスねーさん「ここまで来ると、こんなに綺麗に星空って見えるもんなんだね。

        そりゃ、家でもしっかり見えるけど、

        高地での星空ってのは、酒を美味くさせるよね。」


ためぞう「飲みすぎるなよ。

     ねーさんは、三本ぐらいでやめとけよ。」


エリスねーさん「いつか、ためぞうとか、

        みんなと飲めるようになって、また来たいね。」


ためぞう「それも、そうだなー。」


 ためぞうが見上げる夜空も、

 何だか特別なもののように思えました。

 きっと、一人で見上げる空ではないからだと思います。


 エリスねーさんがのぼせないように気を使って、

 ためぞうは、そろそろ上がろうと言います。

 ちょっとだけ、頼りがいの出てきた弟分が、

 エリスねーさんには、ちょっと嬉しかったようで、素直に上がりました。


レイカさん「あれは、ためぞうさんとエリスさん!!」


アリス会長さん「姉弟で語りたい時もあるのでしょう。

        そういう視線では、見れませんか?」

レイカさん「てへ。

      すごくいいなって、思います。」


 レイカさんも、ずいぶん笑顔が多くなったと、

 アリス会長さんは安心しました。


 そして、アリス会長さんは、

 シオン君をオモチャにしているエリナ先生の元に向かいます。


アリス会長さん「たまには、姉弟の仲を深めたいと思いまして。」


エリナ先生「あら、そういうことなら。ウフフ・・・。」


 エリナ先生は、あっさりとシオン君を渡してくれました。


アリス会長さん「今日は、同じ部屋で寝ましょうね。」


シオン君「ボクは、サフィリアさんと、レミーアさんと寝るんだッ!!!」


 そんなシオン君の頭を、アリス会長さんは、

 優しく撫でてあげます。


シオン君「・・・ありがとう、姉さん。」


 シオン君は、上目遣いで照れています。

 アリス会長さんは、簡単に誰かを褒める方ではないからです。


アリス会長さん「これまで、良く頑張ってきましたね。


        サフィリアさんの物になってしまう前に、

        少しはお姉さんらしいことでもしておきましょう。」


シオン君「サ、サフィリアさんの物って!?」


 こうして、みなさん素敵な眠りにつきました。


 翌日、お土産を買っての出発です。


サフィリアさん「温泉カスタードまんじゅう、下さい。」


レミーアさん「ついでに、ペナントも下さい。」


サフィリアさん「わ、私もペナント買うー。」


 旅館のロビーで、

 セバリオスさんと、エリスねーさんが話しています。


エリスねーさん「旅行ありがとうな、セバリオス。

        お前もずいぶん、変わったよな。

        いい意味でな。」


セバリオスさん「エリスが満足して、サフィリアさんたちが喜んでいるなら、

        それに越した事はない。

        ・・・私は、変わったかな。」


エリスねーさん「レオクスさんや、

        ためぞうの影響があるんじゃないかね。」


 名前を呼ばれたレオクスさんが、ゆっくり輪に入って来ます。


レオクスさん「ありがとう、セバリオスさん!

       エリスさん、一緒に来れて嬉しかったです。」


エリスねーさん「え、あ、その・・・。


        良かったですね!」


 エリスねーさんは、

 レオクスさんの事を、とてもカッコイイ王子様と意識しています。

 このおかげで、距離がなかなか縮まりませんが。


ためぞう「お土産、ちゃんと買ったか?

     ねーさん、銘菓とかいらないの。」


エリスねーさん「いるー!」


 こうして、一行は温泉旅館を後にしました。


エリスねーさん「帰ってきた時に、町のシンボルタワーとか見えると、

        なんだかホッとしますよね。


        でわ、またです。   ^-^ 」
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ためぞうの冒険 II 第三十七話 「ゆけむり。」 Cパート。

2015年03月06日 19時12分18秒 | ためぞうの冒険(ダークフォース セカンド?仮+未定)
 ためぞうの冒険 II 第三十七話。



   「ゆけむり。」 Cパート。



 あらすじ。


  - ためぞうは、温泉には入れました。 -



 旅の宿での楽しみといえば、

 楽しい夕食ですね。


 セバリオスさんご一行は、

 畳の大広間で、山や、海の幸のご膳を頂き、

 のんびりと、各部屋に戻って、

 くつろいでいる所です。



  『第一回 ヒーローを探せ(仮)。』



 と、持ち込まれた車輪付き黒板を前に、

 変な授業が始まっています。


 ためぞうのゆけむり物語は、

 すでに終わっているようです。


ためぞう「まだ、晩メシ食ってねーヨ!


     想い出、全然、

     作ってねーよォ!!」


 ためぞうの熱いシャウトは、

 スルーされています。


 むしろ、心の中で言ってみた感じの、

 吹きだし扱いで、処理されています。


 そう、

 その温泉旅館の一角を借りて、

 授業を行うエリナ先生の、

 サービス旺盛な課外授業を、

 止められるツワモノなど、

 この温泉地にはたどり着けないからです。


エリナ先生「春ですね。


      先生は、フレッシュですよ。」


 ためぞうは、

 カラオケコーナーを一部屋貸切で行われている授業を、

 素直に受けています。


ためぞう「えー、

     ためぞうとしては、

     いろいろな冒険は出来ていませんが、


     先生を困らせるような事は、

     立場的に無理がありますので、

     自重しております。」


 ためぞうは、

 カラオケ部屋に呼ばれたメンツに、

 バトルを予感しています。


  - ポップコーンや、ピザを注文して、

    カラオケの途中で、

    いきなり授業に強制参加させられた方たちリスト。 -



   ・ アリス会長さん。(ためぞうを、応援しようの会だと誤解している。)


   ・ セリカさん。(うっかり相部屋になった、うかつ者代表。)


   ・ レイカさん。(会長さんの親友で、ためぞうの応援だと誤解した方。)


   ・ ファルさん+ローゼさん。(春なので、なんかセット扱いされている。)


   ・ 浴衣のA氏。(完全な、まきぞい。)



浴衣のA氏「いつでも、かかってくるでござるョォォオ!」


   浴衣のA氏は、言葉のわりには、

   ためぞうの浴衣の袖を外しません。


   他の、リンカさんや、

   サフィリアさん、レミーアさん、

   B氏、J氏たちは、

   となりのボックスで、楽しく歌っています。


ためぞう「大丈夫、オレはここにいる。」


 友情っていいですね。


 ためぞうも、A氏の浴衣の袖を離しません。


エリナ先生「はい、

      いいですか、みなさん。」


 エリナ先生は、普段通り点呼を行います。


エリナ先生「はい、セバリオス君。」


セバリオスさん「はいっ!」


 セバリオスさんが、呼ばれました。

 ちょっと離れたゲームコーナーにいたようです。


 ガチでバトルをしたら、

 常勝しそうなセバリオスさんでも、

 この強制力には、逆らえないようです。


ためぞう「どんだけ、強いヤツらを集める気だよォ!」


 ためぞうの独り言です。


 ためぞうは、エリナ先生をいい気分のまま、

 旅行をエンジョイして欲しいと願う、

 いいヤツなので、

 ちゃんとお座りして聞いています。


 かの銀河最強! 最速伝説ッ!!

 で、永遠にトップを走り続けるアリス会長さんが、

 おとなしくしているのに、


 ためぞうがそのレースに参加するのは、

 きっとエリスねーさんをガッカリさせるので、

 ためぞうも、おとなしく

 ためぞうをしています。


セバリオスさん「すまんな、ためぞう君。

        エリスを喜ばせてあげたいのだ。


        エリナ先生は、

        地元じゃ、私より強い感じの方なので、

        わかってくれるよね?」


 すでに一定の想い出を、ゲットしたセバリオスさんは、

 余裕があります。


 サフィリアさん、エリスねーさんと一緒に映っている、

 ファンシーな、写真をスマホで見せてくれました。


ためぞう「オレたち(+浴衣のA氏)と、

     セバリオスさんを同ランクに置かないでくれよッ。


     オレは、シオン君と一緒で、

     けっこう試練続きで、(でも、ドキドキはした。)

     想い出残せてねーんだよ。」


浴衣のA氏「それがしも全力ダッシュで、

      いいメモリーは作っているでござるよ。」


 A氏も、しっかり写真とか取ってます。

 浴衣のリンカさん、

 ホーネルの妹設定のネリアさんと仲良く、


 中央でヒップホップ決めてる、浴衣のA氏が映っています。


 ためぞうが、うっかりしている間に、

 ゲームコーナーで、みなさん盛り上がっていたみたいです。


ためぞう「オレ、どーするYO!」


 失われた時間を取り戻すには、

 中盤戦以降を盛り上げる他にないでしょう。


ローゼさん「今、九回裏 ツーアウトです・・・。」


ためぞう「延長しても、三回ねーよ!」


 でも、ローゼさんとの言葉のキャッチボールは、

 楽しそうなためぞうです。


ローゼさん「あのアリサ副会長さんを、

      マウンドからおろした、

      そのハンパない肩の強さを、

      侮ってはいけません、よね?


      ファルさんッ!」


ファルさん「あ、はい!」


 話を振られたファルさんは、

 ちょっと焦っていますが、

 ローゼさん抜きでは、

 ファルさんは困ってしまいます。


 目の前に、アリス会長さん、

 エリナ先生と、強力なスラッガーが待ち構えているからです。


ためぞう「オレ、どっちチームなの!?


     落ち着け・・・、

     ここは、温泉旅館のカラオケルームだ。


     あ、黒板にスコアボードが書いてあるしッ!」


 九回裏 ツーアウト満塁。

 一打 逆転サヨナラのチャンスです!


 スコアは、3-0でいい勝負をしています。


ためぞう「何の勝負なんだよ、


     だいたい、オレ、夕飯食い損ねてるよ!」


 ローゼさんと、ファルさんが、

 テーブルの上の、ピザとポテトを進めてくれます。


ためぞう「確かに、うめぇよ・・・。」


 ためぞうが、ある程度納得したみたいなので、

 エリナ先生は、授業に戻ります。


エリナ先生「はい、いいですか。


      本来、ファンタジーな冒険を行うのに必要な、

      『勇者枠』が、

      アレスティル君に取られているので、

      なかなか冒険に出にくくなっています。


      勇者を名乗るのは自由な事ですが、

      勇者的な待遇が得られないのは、


      モチベーションに繋がらないですよね?」


ためぞう「はうぁ!」


 ためぞうは、瞬時にエリナ先生が、

 都合のいい事を言ってくれていると、理解しました。


 そう、ためぞうは勇者ではないのです。

 むしろ、セリカさんの魔王軍の四天王という、

 倒される側の立場にいるのでぇす!


 いい事言ってるエリナ先生に、

 ためぞうは、なんだか素直になれました。


ためぞう「だから、逆転シーンなんだ・・・。」


 話を聞こうと思ったためぞうでしたが、

 アリス会長さんの走者一掃のタイムリーで、

 試合は、3-3の同点です!


 その時です。

 ドアフォンに、プルルルルッと音がなります。


店員さん「残り時間いっぱいですが、どうされますか?」


ためぞう「え、延長で。」


 セリカさんが三振して、

 守備の交代のようです。


ためぞう「うおぉ、

     あのセリカさんから、三振とれるヤツが

     投げてるのか!?」


 マウンドには、レオクスさんのお父さんが立っていたようです。


サードラルさん「どうも、レオクスの父です。


        ためぞう君がいるから、

        エリナ先生は今が、楽しいように見えます。」


 エリナ先生の後ろには、

 かなり強い方がおられました。


ファルさん「うおー!?」


ローゼさん「今の私たちでは、

      レオクスさんのお父さんは、無理!」


 ためぞうさん、頑張ってと、

 二人は応援しているように見えました。


セリカさん「ためさんや、

      まずは、当てることが大事だよ。」


 スカッと三振しながら、

 湯上り気分のセリカさんは、

 冷えたラムネを飲みながら、

 やたらリラックスして言いました。


セリカさん「まあ、ためさんの冒険だからね。


      私の冒険じゃないので、

      ダメージゼロだね。」


ためぞう「オ、オレ、


     頑張るんだッ!」


 ためぞうは、元気に青春の歌を歌っています。



 ためぞうが謎な授業を受けている間に、

 他の方たちは、

 いろんな温泉イベントを達成し続けています。


 ためぞうは、勘はいい方なので、

 サフィリアさんや、レミーアさんや、

 エリスねーさんたちが、ワイワイとゲームセンターで、

 遊んでいるのも、微妙に聞こえてしまいます。


 レオクスさんもはしゃいでいます。


レオクスさん「この私がぁ!?

       サフィリアさんと、エ、エリスさんと同じチームですか。


       これは、何としても勝たなければなりませんね!

       行きますよ、レミーアさん!!」


 レオクスさんは、ためぞうのピンチを知っています。

 ですが、エリナ先生とレオパパ(サードラルさん。)は、

 どうも苦手なのです。


 やれる最善の努力をと、

 8人対戦出来る格闘ゲームで、

 レミーアさんに挑んでいます。


レミーアさん「私は、一人っすか!?」


 レオクスさんと、エリスねーさんは、

 ゲームにそれほど慣れていないので、

 実際のエースは、サフィリアさんです。


サフィリアさん「行きますよ、

         → ↓ ← B長押し Aッ!!

        『覇王MAXスピードビーーーームッ!!』」


 ゲームコーナーには、

 かなり最新の筐体が導入してあったので、

 そのビームは、もの凄いカッコイイ感じで、レミーアさんに放たれます!!


 レミーアさんの移動スピードは、通常の2.5倍を超える速さですが、

 ゲーム内のレミーアさんの装甲に、

 ビームが被弾します!


レミーアさん「しまったっ!」


 レミーアさんは、飛行ユニット付きの強化装甲を着けています。

 強化装甲は、ダメージゼロですが、

 外部ユニットの軽装6連装ビームを3基も一撃で持っていかれました。


サフィリアさん「私は、貴女の実力を知っている!

        だから、一気に行くのですッ!!」


 レオクスさんと、エリスねーさんは、ピョンピョンとジャンプしているだけですが、

 優勢なので、なんだか楽しそうです。


エリスねーさん「面白いですね!」


レオクスさん「はい!」


 サフィリアさんが、次なる奥義のチャージに入ります。

 レミーアさんはそれを止めに入りますが、

 ジャンプが気になって、うまく近付けません。


 サフィリアさんのオリジナルの強化装甲は、

 とんでもなく高い防御力があるので、

 通常攻撃は、ダメージゼロです。


 さらに、味方の二人にもその防御力の一部が供給されているので、

 レミーアさんの3連ビームでは、まずダメージが与えられません。


 レミーアさんが、ためぞうの視線に気付きます。

 カラオケルームの窓から、目が合ってしまいました。



 ・ レミーアさんに加勢しますか?



   → 授業中です。


     カラオケがためぞうの番です。


     行ってみる!



ためぞう「・・・。


     行ったほうがいい気がします。」


 カラオケルームでエリナ先生は、こう言います。


エリナ先生「チャンスは、成してこそ意味があるものです。


      ええ、例えためぞうさんが、

      あらゆる勇者のカッコイイ所を、

      妄想で語って、

      原稿用紙びっしりに、


      オレの名は、ジャスティス・カイザー・・・(以下、略。)。


      イケメン設定で、無敵。

      平穏な生活を送りたいんでしたっけ?

      冒険が向こうからやってくるとか、


      いろいろ書いてありましたね。」


ためぞう「おぉう!


     ・・・ハズカシイので、ご勘弁を!

     今は、健気なエプロンタヌキとして、

     穏やかに暮らしております。」


 エリナ先生は、ためぞうの知られたくない過去を、

 これまた丁寧に、みなさんに説明してくれました。


セバリオスさん「なるほど、

        強制力に抗えば、

        ためぞう君のようになるのだね。


        私は、レミーアさんを助けたいが、

        昔のためぞう君のように、

        ゲームのキャラが強くないのだよ。」


アリス会長さん「ためぞうさん、がんばって!」


 会長さんの瞳がキラキラしています。


浴衣のA氏「それがしも、行くでござるヨォ!!!(温泉旅行復帰のチャンス!)」


エリナ先生「勇者とか、ヒーローのお話は、

      私とアリス会長さんで、

      うまく何とかしておきますので、


      ためぞうさん、いってらっしゃい!」



   ◇ 世界でただ一人の勇者、アレスティル君は、

     伝説的リスペクト勇者として、殿堂入りし、


     新規、『勇者』募集受付が可能になりました。



       募集予定人数(仮)


      既存のワールド数に、

      アリス会長の新鋭勢力をプラスした、


      既存ワールド 4000以上 + 新鋭ワールド 約2000で、


      取りあえず、6000ほどの勇者募集となりました。


      呼称は、『ヒーロー』でも可です。

      戦隊もので行く場合は、

      5人戦隊レンジャーで、1勇者枠とお得です。



ファルさん「そんなに、ワールドあったの!?

      ・・・もっと、がんばらなきゃ。」


ローゼさん「桁が違いすぎて、もう何とも・・・。


      ためぞうさん、がんばってぇ!!」


レイカさん「やっぱり、ためぞうさんを応援しようよの会、

      だったのですね!」


 レイカさんだけは、平然としています。

 真のラスボスを務めるだけあって、

 ぜんぜん余裕なようです。


 レオクスさんのお父さんは、開いた口が塞がっていません。


レオクスパパ「うんと、修行してくるね。」


 レオパパは、修行の旅に出ました。


セリカさん「ためさん、応援してるよ。」


ためぞう「おう、行ってくるぜッ!」



 ・ どのキャラで乱入しますか?


   → ためぞう。 (スーパーハードモード。)


     たぬよし。 (タヌキの中では強いが、ウルトラハードモード。)


     カイザーハルト。 (ためぞうの正体は、バレないですヨ。)



ためぞう「これ、選択肢、いらねーじゃん!」


 レミーアさんの救援要請に、

 先んじたのは、プレイヤーA氏であった。


プレイヤーA氏「重装甲 ドラゴンカノン - 改 -


        ヨロシク、参上ゥゥゥウウ!!!」


サフィリアさん「← → ← → B長押し六段溜め! Aッ!!


        『エクサーフレアーァァァアア!!!』」


 A氏のドラゴンカノンは、

 レミーアさんの壁のなって、防御装甲を全開し、

 高出力ハイパービーム攻撃の直撃を受けた・・・。


 ドラゴンカノンの残影から、

 A氏の通信が、届く。


プレイヤーA氏「・・・レミーア殿、

        泣かないでほしいでありますぞ・・・。」


レミーアさん「!?」


 崩壊するドラゴンカノンのその堅牢な装甲が、

 レミーアさんを包むように、舞いながら消え行く・・・。


レミーアさん「・・・ごめん、ごめんね。


       もう、絶対、負けないからッ!!」


 エリスねーさんも、レオクスさんも、ホロっと感動している。


エリスねーさん「行きましょう、レオクスさん。」


 エリスねーさんが、マジになった!


 追加効果 → 真の姿である、『大鎧 強化装甲』にクラスチェンジした!


レオクスさん「ええ・・・、共に行きます。」


 レオクスさんが、本気を出した!


 追加効果 → 伝説の『覇王の鎧』を身に纏い、その手に無限のチカラを宿した!


 1ゲーム終わって、達成感の中、

 マッサージチェアで、ビンのコーラを飲む浴衣のA氏。


浴衣のA氏「プハーッ、見せ場は作ったでござるよ。


      あとでレミーアさんとも、

      記念写真取れそうですな。」


ためぞう「難易度、とんでもなく上がってるぞ!!」


 ためぞうは、仕方なく過去に鍛えまくったキャラの封印を解いて、

 カイザーハルトでの乱入です。


 イベントのカットインが入りました。


 - 創世の時代、

    一人の英雄によって、

     世界は、新たなステージへと、

       導かれました・・・。(かなり略)



          『英雄王』 降臨!! -



 フルオーケストラのファンファーレが流れ出し、

 ゲーム画面を劇場と化します。


ナレーション「ジャスティス、カイザァハルトォォォ!!!

       エレガンスに、乱入ゥ!!!」


 カイザーさん(ためぞう)が現れました。


 とても美しい容姿の王者です。

 あらゆる光の宝石に彩られた、黄金とレインボーの鎧に、

 長い金糸の髪が流れます。


サフィリアさん「!? あのお方は!」


レミーアさん「・・・私たちは今、伝説を目の当たりにしているんだわ。」


 普通のゲーム画面ですが、

 見る人によっては違って見えるようです。


エリスねーさん「強い!?」


レオクスさん「まるで、父を見ているかのようだ・・・。」


カイザーさん「『覇龍咆哮(バハムートハウルッ)!!』」


 エリスねーさんとサフィリアさんが同時に防御を展開し、

 レオクスさんが、迫り来る波動をとっさの奥義で緩衝します。


 → サフィリアさんに1000ダメージ!


   エリスねーさんに1000ダメージ!


   レオクスさんに1500ダメージ!



レミーアさん「まさに、覇王!」


 完全防御の上からダメージが抜けてきます。

 しかも、技は瞬時に放たれました。


レオクスさん「これほどとは・・・。

       まともに技を放たれたら、


       まずいですね。」


エリスねーさん「なんて威力なんだい、

        まるで、ヤマモト師の奥義を見ているようだね。」


 レオクスさんとエリスねーさんの、

 親密度が上がっています。


 もっとガンガンきてw

 と願ってしまうレオクスさんです。


サフィリアさん「守りきれずにすいません。」


レオクスさん「気にしないで、

       それは、私の仕事だよ。」


サフィリアさん「・・・あ、はい。」


 サフィリアさんとの親密度が上がっています。

 いいことづくめな感じです。


 ためぞうは、プレイヤー非公開の為に、

 何の得もありません。

 謎のネコのマスクマンになっています。


ためぞう「なんだよそれッ!」


 カラオケコーナーのセバリオスさんの横に、

 セリスさんが座りました。


セリスさん「一曲、行きます~!」


 セリスさんは、セバリオスさんに、

 危機を告げます。


 このままでは、エリス様も、サフィリアさんも、

 レオクスさんに持っていかれるでしょうと。


セバリオス「んっ!?

      それはいかんな。」


 セリスさんは、


 同じようにシオン君もそそのかしています。

 レオクスさんへのサフィリアさんの好感度は、

 それこそ際限なく上がるでしょうと・・・。


 好感度2000など些細な事です。


シオン君「行かなきゃ!!」


 サフィリアさん側に、

 セバリオスさんとシオン君が加わりました。


シオン君「!?


     なんて、強力な相手なんだっ。」


セバリオスさん「なるほど。


        (私が本気を出すと、

         親密度を上げる隙がないな。


         適度に加減して、お相手しよう。)」


カイザーさん(ためぞう)「(レミーアさんを守りつつ、

              適度にタイムアップさせて、引き分けよう・・・。)」


 すると、相手が一斉にレミーアさんに向かって来ました!


レミーアさん「ちょっと!?」


 レミーアさんは、自慢のテクでかわしまくりますが、

 多勢に無勢です。


 カイザーさんが、レミーアさんを救いに行こうとすると、

 セバリオスさんが立ちはだかります。


セバリオスさん「うむ、通してあげたいが、

        そういう作戦らしいので、

        よろしく頼む。」


 これまた、セバリオスさんがとんでもなく強く、

 カイザーさんは、一進一退の攻防です。


 ためぞうは、こざかしい策に出ます。

 トランシーバーでの通信です。


ためぞう < 「ためぞうっす。


        カイザーは、ためぞうの前のキャラっす。」


> セバリオスさん「え、そうなの?」


ためぞう < 「こうしている間にも、

        レオクス師匠とセバリオスさんに、


        見えない差がついていくのを感じます。」


> セバリオスさん「あ、そうだね!」


ためぞう < 「協力しますんで、

        うまくやっていただけませんか?」


> セバリオスさん「うん。

          レオクス君とは、互角でありたいからね!


          大事な想い出、作らないといけないねー。」


 セバリオスさんは、ためぞうと同盟を結びました。



セリカさん「さすが、ためさん!」



           Dパートにつづく。
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ためぞうの冒険 II 第三十七話 「ゆけむり。」 Bパート。

2015年02月26日 23時42分52秒 | ためぞうの冒険(ダークフォース セカンド?仮+未定)
ためぞうの冒険 II 第三十七話。



   「ゆけむり。」 Bパート。



 これまでのお話。


 セバリオスさんは、昨年末の商店街のガラガラで、

 『ゆけむり温泉旅行』を当てていました。


 エリスねーさんや、サフィリアさんを、

 温泉に誘う口実欲しさで、当てましたが、

 なんとなくクラス旅行っぽくなりました。


 そんな感じで、

 手配してもらった送迎バスに乗り込んで、

 目的地の温泉宿に到着です。


セバリオスさん「いやー、絶景だね。」


 薄く雪化粧された、

 白く美しい山地には、

 豊富な湯量の源泉がいくつもあって、


 おもむきのある温泉宿が、

 立ち並んでいます。


 近くには、

 ちょっと硫黄の香りがする、

 名所巡りみたいな場所があって、


 湯気を帯びた岩肌と、

 所々に積もる雪を見ながら散策できます。


 なんとも旅の情緒があっていいですね。


 もくもくと蒸気の噴出すお湯の中には、

 温泉タマゴのカゴが浸かっていて、

 その場で、頂けます。


エリナ先生「まずは、旅館の方にいって、

      そこから自由行動にしましょう。


      みなさん、いいですか。」


 先生は、あつあつの温泉タマゴのカラを

 包み紙で器用にむいて、

 ふーふーしながら、食べちゃってます。


 すでに自由行動をしているエリナ先生と、

 セバリオスさんに付いて行くと、

 立派な旅館の前に着きました。


ためぞう「なんか温泉って、久しぶりっす。」


セバリオスさん「そうだね、

        まずはチェックインを済まして、

        各自、部屋割りだね。」


 旅館の女将さんと、仲居さんたちが、

 お出迎えしてくれます。


 エリナ先生とセバリオスさんは、

 フロントで手続きをして、各自の部屋割りを決めました。


ためぞう「オレと、セバリオスさんと、

     レオクス師匠が、同じ部屋なんですね。」


レオクスさん「では、荷物を部屋に置きにいきましょうか。」


 シオン君は、

 サフィリアさんと、レミーアさんと一緒の部屋になりました。


ためぞう「(ちょっと、シオン君。

      大丈夫なの?)」


シオン君「(えっと、

      むしろ、チャンスだと思っていますよ。)」


 そのシオン君は、

 可愛い花柄のワンピースを着て、

 すぐに、サフィリアさんやレミーアさんと、

 打ち解けています。


 シオン君は、本来なら、

 二人とは、かなり仲のいい関係なのですが、

 その想い出は、変な魔法でうやむやにされています。



  ・ 変な魔法の主な効果。 


    女装することにより、

    シオン君へのMAX2000の好感度を、

    封じています。


    その効果で、

    ためぞうの、

    サフィリアさん、レミーアさんたちとの、

    ハッピーエンドルートを保護しています。




レミーアさん「よろしくっす、シオンさん。」


サフィリアさん「よろしくお願いしますね。」


シオン君「よろしくお願いしますー!」


 エリスねーさんたちも、

 それぞれの部屋に向かいました。


 旅館は、三階建ての本館に、

 和風の別館が通路で繋がっています。


 ためぞうたちは、お土産屋さんの横にある、

 エレベーターを使って、三階の301号室に向かいました。


ためぞう「通路から見える景色もまた、いいもんっすね。」


セバリオスさん「ほら、この場所からだと、

        風呂場の位置がよくわかるだろう。


        露天風呂に混浴もあるね。

        今日は、何回風呂に入ろうかな。」


レオクスさん「ちょっと、セバリオスさん・・・。

       そういう話を通路で、堂々とは。


       あ、エリスさんだ。」


 別館の方に歩いていく、エリスねーさんと、

 セリスさんと、レイカさんの姿が見えました。


 大浴場は、本館と別館の通路の間にあって、

 その辺りから、ゆけむりが立ち上っています。


 露天風呂は、道路からも見えにくい、

 山手の方にあるようです。


 ためぞうたちが301号室に入ると、

 セバリオスさんは、すぐに浴衣に着替えました。


 フロントの方が大きめの浴衣を用意してくれたので、

 高身長のセバリオスさんが着ると、

 なかなかの迫力です。


セバリオスさん「先に、風呂に行って来るね。

        たぶん、エリスもすぐに入る方だから。」


レオクスさん「わ、私は、ちょっとお茶でも頂いて、

       ゆっくりしようかと。」


 セバリオスさんは、ささっと、

 大浴場に向かっていきました。


 レオクスさんは、お湯にのぼせやすいらしいので、

 まずは、ゆっくりくつろいでのスタートのようです。


ためぞう「ちょっと、自分も出てきますね。」


レオクスさん「はーい。」


 ためぞうは、一階の103号室に行った

 シオン君の事が、かなり気になっていました。


 さすがにあの格好なので、

 男子との相部屋はないと分かっていましたが、

 まさか、サフィリアさんとレミーアさんと同じ部屋になるとは、


 いつバレるかなんて、

 それこそ時間の問題でしょ!


 と、ためぞうは焦るのです。


 シオン君は、相当な冒険魂を秘めているので、

 アグレッシブに、チャレンジする事でしょう。


 と、そんなシオン君を、

 一階のお土産屋さんの所で見つけました。


シオン君「どうも、ためぞうさん。」


 シオン君は、お土産のちょうちんや、

 ペナントを見ていました。


 近くにあるロビーの椅子では、

 サフィリアさんとレミーアさんが、

 温泉タマゴの話をしているようです。


ためぞう「お土産のペナントって、

     つい買ってしまうよね。」


シオン君「うん、よくわからない内に、

     欲しくなってたりする。


     メガネの方の姉さんは、

     こういうのを喜ぶんだ。


     カスタードまんじゅうとかも、

     帰りに買っていこうかな。

     アリス姉さんは、甘党だから。」


サフィリアさん「あ、カスタードのおまんじゅう、

        美味しそうですね。


        私も、後で買って帰ろうかな。」


レミーアさん「よかったら、

       温泉タマゴ買いに出かけませんか?

       温泉に来た感、ハンパない感じがいいです。」


サフィリアさん「うん、雰囲気とかもいいですよね。

        何より、美味しそうですし。

        ラムネもありましたよね。」


 そんな流れで、ためぞうたちは、

 旅館を出て、観光に向かいました。
 

 足湯のある場所や、

 お土産屋さんが立ち並ぶ通りは、

 浴衣姿のお客さんが、結構、行き交っています。


 一際、湯気の立ちこめる道の先に、

 温泉タマゴの直売所があるようです。


 歩いている最中に、

 ためぞうは、シオン君に小さな声で、

 こう聞いてみました。


ためぞう「(シオン君、一つ聞いておきたいんだけど、

      お風呂って、どっちの方に入る予定なの?)」


シオン君「(あー、そうですよね。


      湯気のチカラを操れば、

      見えない感じにして、

      女湯の方に入れなくもないと思っていましたが、


      普通に考えたら、入っちゃダメですよね。)」


ためぞう「(ゆけむりパワーを、そっちに使う発想はなかった。)」


シオン君「(確か、混浴もありますよね。

      そっちに入ろうかな。)」


 ためぞうは、混浴には入ってはいけないと強く思いました。


 あれこれ考えながら歩いているうちに、

 温泉タマゴの販売所へと着いてしまいました。


 ちょうどいいタイミングで、

 おじさんが温泉タマゴのカゴを、

 あげてくれました。


レミーアさん「湯気が凄いっすねー、

       おじさーん、タマゴ下さい。」


おじさん「いらっしゃい!


     お嬢ちゃんたち可愛いね。

     少し、オマケしとくから。」


サフィリアさん「どうも、ありがとうございます。」


 販売所のおじさんから、

 温泉タマゴと、冷えたラムネを頂いて、

 その場で、美味しくいただきました。


 その後、ためぞうたちは、

 ゆっくり散策しながら、旅館へと戻って来ました。


ためぞう「それじゃ、一回、部屋に戻るんで。

     またね。」


サフィリアさん「はーい。

        私たちも、戻りましょうか。」


レミーアさん「そっすね、

       ためぞう先輩、またっす。」


シオン君「またね、ためぞうさん。」


 ためぞうは、そのまま部屋に戻るつもりでしたが、

 ゲームコーナの案内が気になったので、

 それとなく行ってみます。


リンカさん「ためぞうさんも、卓球ですか?」


 ゲームコーナーの入り口の付近の、

 自販機が並んでいる場所で、

 浴衣姿で卓球をしているリンカさんがいました。


 湯上りな感じで、黒髪がいつもより艶めいています。


浴衣のA氏「行くぜ、俺たちの、

      トルネードスマッシュ!!」


 浴衣のA氏の強烈なスマッシュを、

 リンカさんは軽く返して、ポイントゲットです。


浴衣のA氏「ハウァァァ・・・。

      まだ、デュアルは始まったばかりでござるYO!」


 奥義に激しいエナジーを消耗したA氏の代わりに、

 浴衣のB氏が、リンカさんとラリーを続けています。


浴衣のB氏「二人がかりでも、まったく歯が立たないんだな。」


 リンカさんは、二人を相手に余裕で勝負を続けています。


 パッと見では、普通にピンポンをしているような感じですが、

 挑戦者たちには、激しいオーラが見えているようです。


ためぞう「オレ、リンカちゃん側に入ろうか?」


浴衣のJ氏「そいつぁ、いけねえぜ!

      オレたち三人も、最初は、

      誰がリンカさんチームに入るかで揉めたんだ!


      だから、三対一で勝負したんだが、

      どうにも、先に果てちまってな。


      今、メロンソーダでスタミナ回復中なんだ。」


 マッサージチェアで、ブルブルと肩を揺られながら、

 浴衣のJ氏は、メロンソーダを飲んでいます。


ためぞう「なるほど、三人でも勝てなかったのか。」


 華麗に舞うリンカさんの浴衣は、

 何だか、しっかり揺れています。


 流れるようなその、揺れの動きは、

 リンカさんに、無限のエネルギーを与えているようです。


リンカさん「えぃ!」


 リンカさんのゆるいショットを追いきれず、

 浴衣のB氏は、無駄に派手に宙を舞います。


浴衣のB氏「湯上りの美少女相手に、

      温泉卓球をする事が目的であるからして、

      いかに記憶に残る名勝負を演じるかが、大事なんだなッ!」


 せっかくの温泉で、

 美少女相手に勝ってはいけないような気がする、

 という建て前で、ガチで三人は負けています。


 それでも勝敗など関係なく、

 爽やかな笑みを浮かべている三人です。


 リンカさんも美少女と呼ばれて、何だか嬉しそうです。


浴衣のA氏「B氏の熱きソウルは伝わったなりィ!

      それがしも、アクロバットのテクでは負けぬでござるよォ。」


 想い出さえ、しっかりキャッチ出来れば、

 結果オーライという事らしいです。


 確かに、今日のフルーツ牛乳の飲むリンカさんの表情は、

 いつもより、素敵な感じになっています。


ためぞう「そういう情熱は、分からん方ではない。

     開幕から、スタートダッシュしてるなぁ。」


浴衣のJ氏「こういうもんは、

      ペース配分なんて、どうでもいいんだ。


      気分だけは、開幕10連勝だぜッ!」


 チャンスに全力を傾ける三人の雄姿に、

 ためぞうは、攻める勇気をもらった気分です。


ためぞう「いやいや、ためぞうの勇気は、

     まだ三人には、遠く及びますまい。


     ただ、全力ダッシュは、ありだと思う。

     気分って、大事だよね。」


リンカさん「そうですよね。」


 次の瞬間、

 A氏とJ氏のダブルブロックを押し退け、

 すり抜ける白球は、二人の身体を容赦なく天空へと誘います。


浴衣のJ氏「なんてパワーだ!」


浴衣のA氏「見事なワザであった・・・。」


 このグリーンのコートには、

 もう、ためぞうしか立っていません。


 ためぞうは、彼らのその情熱に感じて、

 リンカさんに、挑みます。


 リンカさんのゆるいショット → ためぞうは、その一撃を返せないッ!


ためぞう「つよっ!」


 ゆるふわな魔球には、とんでもない威力が秘められていました!


ためぞう「軽く打ってる感じなのに、

     手元ですごく伸びてくるのな。


     よく、これほどのショットをラリーしてたな。

     みんな、エライよ!」


 リンカさんのスマッシュ → ためぞうは、ピンポンに追いついた!


 だが、やはり返せないッ!


ためぞう「うおおぉぉぉ・・・。」


 ためぞうも、飛ばされてしまいました。


 ためぞうが目覚めると、

 301号室に帰ってきていました。


ためぞう「はっ!?」


セバリオスさん「やあ、

        エリスとリンカさんがピンポンをやってて、

        それをマッサージチェアで眺めてたら、


        エリスにためぞう君を頼まれたので、

        部屋に運んでおいたのだけど、

        それで良かったのかな?」


 気が付くと、ためぞうは、

 部屋でセバリオスさんと二人で、お茶を飲んでいました。


 レオクスさんは、その話を聞いて、

 ゲームコーナーの方へ行ったそうです。


ためぞう「お風呂の方は、いかがでしたか?」


セバリオスさん「いやー、大浴場は、

        いろんな種類のお風呂があって、

        楽しかったよ。


        当然、男湯の方に入ったわけだが、

        ゆけむりの先を見る修行は、

        そこでは、逆効果だったよ。」


ためぞう「・・・なるほど。」


セバリオスさん「それで、

        湯上りのエリスが出てくるのを待って、


        偶然、一緒に出たみたいな感じで、

        景色を眺めながら、歩いていたら、


        リンカさんたちに会ってね。


        個人的には、そこそこ満足しているよ。」


 セバリオスさん的には、

 エリスねーさんとのツーショットが、

 久々だったので、ご機嫌なようです。


 ためぞうも、偶然の出会いとかには、

 縁遠い方なので、

 努力が必要だなーと感じました。


ためぞう「参考になるっす。」



 ためぞうも、そろそろ温泉に入ろうかと、

 部屋を出ると、

 大浴場の男湯の方に向かいました。


 すると、大浴場の入り口で、

 その男湯に入ろうとする、

 シオン君を見つけました。


ためぞう「ちょ、ちょっと!?」


シオン君「ためぞうさん、ども。」


 女装したままのシオン君は、

 その持ち前の勇気で、

 可愛い花柄のワンピース姿で、

 男湯に入ろうとしていました。


 ためぞうは、慌ててシオン君の手を引くと、

 人気のない通路で、

 その格好はまずいんじゃないかと説明します。


ためぞう「せめて、浴衣に着替えた状態で、

     男湯に向かおう・・・。


     確実に、大いなる誤解を与える。


     湯気のチカラを操れるからこその、

     誤解なのだが。」


 シオン君は、上手く湯気を重ねて、

 きっと、女の子を演じる事でしょう。


 ですが、男湯でそれを演じさせるわけにはいかないのです。


シオン君「あ、そうですよね! うっかりしていました。」


 すぐに、シオン君は浴衣に着替えて戻ってきます。


シオン君「浴衣って、気分が出ていいですね。


     では、入りましょうか。」


 ためぞうに、試練です。



 ・ 浴衣に着替えたシオン君と、

   二人で、男湯に入ってみますか?



   → それも、一つの冒険だろう! (ためぞうは、魅了されます。)


     ならば、手をつないで行こう! (ためぞうは、大いに魅了されます。)


     あえて、腕を組んで入る!  (メガネの姉さんも、大喜びでしょう。)



ためぞう「・・・オレはこんな、

     三択程度の試練じゃ、やられねえぜッ!」



 ためぞうは、タフガイです。

 ここまで、いろんな試練を越えて来ました。


 ためぞうの、みやぶる+1 が発動!



ためぞう「オレに試練を与えようとしている、

     そこに隠れてる、メガネの姉の副生徒会長さんよォ!


     出てこいよ・・・。」


シオン君「あ、アリサねーさん。」


アリサさん「・・・いろいろ、強くなりましたね、


      ためぞうさん。」


 湯上りツヤめき肌の、アリサさんがいました。


 その、刹那でぇす!


アリサさん「!? しまったッ!」


 冷めた瞳で、アリサさんを見つめる、

 セリスさんがいます。


 気配の消し方が、ハンパではありませんでした。



セリスさん「私とエリス様の、素敵な温泉旅行の想い出を、


      ええ・・・奪えるものなら、奪ってみて下サイ。」


 ためぞうのピンチは、

 セリスさんのピンチでもあります。


 ためぞうが、一定のハッピーエンディングを迎えると、

 セリスさんの日々の喜びでもある、

 エリスねーさんとの、甘い共同生活も、

 それなりのエンディングを迎える事でしょう・・・。



  - ためぞうを、そんな冒険には出せません。 -



 セリスさんの目ヂカラ! → おおっと、湯冷めの効果!!


               ・・・アリサさんは、凍りついた!



             → シオン君は、固まっている!


               かなり、ビビっている!!



             → ためぞうも、ビビっているゥゥゥウ!!!



 アリサさんは、どうやら道を間違えていたようです。


 アリサさんはうつろな目で、

 タクシーに乗って、学園寮に戻って行きました。

 学園寮で、快適に目覚める事だと思います。


 何故か、その場に居合わせた、

 浴衣姿のファルさんと、ローゼさんッ!



ファルさん「な、何も見ていないと思いますっ!」


ローゼさん「見てないですーーーッ!!」


 セリスさんが、ニコやかに微笑むと、

 二人は無事に、ゲームセンターの方へと迎えました。


シオン君「お、温泉あきらめますッ!」


 シオン君の判断は、早い!

 ・・・経験値だけは、並外れているようだ。


セリスさん「いえいえ、お気になさらず。


      ゆっくりしていって下さいね。」


 男湯の前に、セリスさんが立ちはだかった。


 追加効果 → 貸切っぱくなった!(効果時間 15分。)


シオン君「では、お言葉に甘えて・・・。」


 シオン君は、ゆったりと一人で大浴場を楽しめました。

 時間は、10分ほどでしたが・・・。


 残された ためぞうは、

 セリスさんと二人だけになってしまった・・・。


セリスさん「ためぞうさん、がんばって下さいね。」


ためぞう「は、ハイッ!


     適当に、がんばっていきます!」


 この後、ためぞうも、

 ゆっくり温泉を楽しめました。


ためぞう「・・・ためぞうは、すごく安心しました。」



          Cパートにつづく。
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ためぞうの冒険 II 第三十七話 「ゆけむり。」 Aパート。

2015年02月19日 17時10分33秒 | ためぞうの冒険(ダークフォース セカンド?仮+未定)
ためぞうの冒険 II 第三十七話



   「ゆけむり。」 Aパート。



ためぞう「冒険・・・。

     なつかしいが、いい。」


 ためぞうは、先日から庭のテントで

 共同生活を始めた、

 とっても可愛いシオン君と、

 充実したきらめきライフを送っています。


 シオン君が男の子である事が知られてしまうと、

 ためぞうはおろか、

 セバリオスさんやレオクスさんまでピンチに陥るので、

 女装が欠かせないシオン君です。


ためぞう「その手の誘惑に乗ってみたくなる事もしばしばですが、

     ためぞうの中の何かが告げるのです。


     オレは、後戻りの出来ないワナを、

     妄想だけで踏みとどまる努力を重ねています。」


シオン君「ためぞうさんは、紳士だと思います。

     そして、常に冒険の準備を怠らない、

     チャレンジャーなのです。」


 ためぞうは、早朝から、

 目の下にクマを作りながら、牛乳配達に出かけます。


 シオン君は愛らしいジャージ姿で、ためぞうを見送ります。


シオン君「頑張って下さいね、ためぞうさん。」


ためぞう「(・・・耐えろ、オレ。

      ためぞうの未来、ためぞうが守って見せる!)」


 ためぞうは、一つの迷いを越えた後に、

 また、迷いの中にいたりします。


 そんなためぞうを今日も待っている少女が、

 ローゼさんのマンションの前にいました。


リンカさん「おはようございます、ためぞうさん。」


 辺りはまだ暗いので、リンカさんは街灯の下で待っています。


ためぞう「毎日、リンカちゃんは元気だね。」


 ためぞうが、リンカさんに

 いつもの特濃牛乳と、牛乳プリンを三個セットで、手渡します。


 リンカさんは、マンションの一階のローゼさんの部屋に置いて来ると、

 ためぞうの元に戻ってきて、こう言いました。


リンカさん「アリス会長さんの妹さんのシオンさんって、

      あんなに可愛いのに、貧乳ですよね。


      私だって、その貧乳なのですが、

      そういう時代が到来してもいいんじゃないかと、

      願う気持ちもあるのです。」


ためぞう「うん、個性だよな。

     オレが女子に何かを求めるとしたら、

     そこらへんの大小よりも先に、

     ちょっとした、さりげない笑顔だと思うから。


     人生そのまま、いない歴のためぞうに、

     語れる問題ではないかもだけどね。」


リンカさん「両方で、頑張ってみようと思います。

      マジカルな変身願望もありますし、


      でも、今はちっちゃくても、

      胸を張って元気にやっていきたいとも思うのです。」


 リンカさんは、そう言ってにこやかな笑みを浮かべて、

 マンションに戻っていきました。


ためぞう「・・・ためぞうは、誘惑に弱くなったのでしょうか。

     リンカちゃんが、キラキラして見えました。」


 ためぞうは、牛乳配達を終えると、

 将棋友達の亀吉さんの家に寄っています。


 亀吉さんは、とても将棋が強いのですが、

 勝つと気分が良くなって、

 ためぞうに、いろんな構えを教えてくれます。


 ためぞうと亀吉さんは、火鉢のおかれた縁側で、

 餅を焼いて食べながら、お茶しています。


亀吉さん「そういやー、ためぞう君は、

     『必殺奥義』みたいなもんばー、

     持ってなかったとじゃなかね?」


ためぞう「あれって、覚えられるもんなんすか?」


亀吉さん「ヒーローショーとかに出たら、

     覚えられるとじゃ、なかとね?」


ためぞう「・・・確かに、セリカさんは、

     意味も分からない必殺技を、

     アホのように撃ってくるな。


     参考にしたいと思います。」


亀吉さん「無理ばせんで、

     ゆっくりやらんねー。


     いざとなったら、オイの技を伝授しちゃるたい。」


ためぞう「すんません、いつもお世話になってます!」


 ためぞうは、その後、

 長崎ドラゴン魚市場の手伝いをして、


 サフィリアさんや、レミーアさん達と、

 学園に登校しました、


 今日は、三年J組の教室から、

 異様なオーラが発せられていました。


 レミーアさん(16)やリンカ(15)さんは、

 飛び級しているので同じ教室です。


レミーアさん「ためぞうせんぱい、

       ささ、どうぞ中へ。」


リンカさん「冒険心に溢れたためぞうさんなら、

      きっと大丈夫です。」


 ためぞうは、ワナに警戒しながら、

 ガラガラッと、教室の扉を開けました。


エリナ先生「あら、いらっしゃい。」


 エリナ先生がちょっとご機嫌のようです。

 その隣には、セバリオスさんが立っています。


セバリオスさん「やあ、おはようためぞう君。」


 オーラの正体がセバリオスさんだったので、

 女子たちは安心して席に着きました。


エリナ先生「先生も、そろそろ潤いのある生活を送りたいと思いまして、

      あのレイカさんを守れるほどの強さを持つ、

      セバリオスさんに、か弱いこの身を守っていただこうと、

      お願いした次第です。


      先生は、自由でロマン溢れるドキドキな生活を送りたいのですが、

      先生に、そういう展開が起こりそうになると、

      よく、レオクスさんのお父さんっぽい方から、

      邪魔をされてしまうのです。


      セバリオスさんなら、きっと懲らしめてくれるでしょう。」


セバリオスさん「良く分からないんですが、

        エリナ先生には、逆らってはいけない法則が

        存在してるような気もするので、

        何となく、引き受けてしまいました。


        あ、エリナ先生、点呼とかどうぞ。」


 エリナ先生は、適当に点呼を取っていきます。

 先生は興味のないことは、本当にどうでもいいようです。


エリナ先生「セバリオス君。」


セバリオスさん「はい!

        ・・・うっかり答えてしまった、

        生徒でもない人も呼ばれるのですね。」


 パワーバランスでは、

 エリナ先生が、セバリオスさんに、

 微妙に勝っているような感じです。


エリナ先生「では、シオンさん、入って来てください。」


 先生に呼ばれて、シオン君が教室に入って来ました。


 エリナ先生は、黒板に『詩音=クラウス(16)』と名前を書くと、

 簡単な紹介を始めます。


エリナ先生「この時期の三年生のクラスに編入というのも、

      もう卒業じゃね?

      と疑問を持たれる方もいらっしゃるかも知れませんが、


      来年度も、2015年版 三年J組は、続きますので、

      うっかり卒業してしまわないで下さいね。


      何年経っても、

      同じクラスに同じメンツが通っている方のノリの、

      教育方針ですので、

      先生(オトナ)の事情というのもわかってくれると幸いです。


      先生、来年も再来年も、19才のつもりですので、

      どうか宜しくお願いいたします。


      あ、シオンさんの紹介でしたね。

      アリス生徒会長さんの妹です。 以上。」


シオン君「シオンです、よろしくお願いします!」


 可憐なシオン君のブレザー姿に、

 クラスのみなさんが見惚れています。


 プラチナブロンドのショートヘアに、

 白磁に薄桃色が浮かび上がるキメ細やかな肌。

 細い立ち姿に、すらっと伸びた手足。


 背丈は、やや低めですが、

 それでも存在感は、十分です。

 絵に描いたような、お姫さまのような、

 ため息が漏れるほどの美しさです。


生徒A氏「貧乳新時代の、幕開けでござるよォ!!」


生徒B氏「黒髪のリンカさんと、ツートップで、

     応援していきたいんだな。」


教師J氏「J組の担任を辞めた今は、

     体育教師として頑張ってるが、

     体育の時間の楽しみがまた増えちまったぜッ!」


リンカさん「おお、時代の風よ・・・。」


ためぞう「A氏とB氏は、一芸で入学してたのか。

     侮れんな・・・。」


 席は結構空いているので、

 シオン君は、ためぞうの近くの席に座りました。


 教壇の辺りで、セバリオスさんとエリナ先生が何やら相談しているようです。


エリナ先生「ええ、私も参加出来るというのであれば、

      研修とか、修学旅行とか、

      適当に取って付けて、

      うまくやって見せますよ。」


セバリオスさん「さすが、エリナ先生は分かりが早くて助かる。

        お互い、今後も支え合って、

        共通の利益の為に頑張っていきましょう。」


 そう言って、セバリオスさんが教壇に立つと、

 こんな事を言い始めました。


セバリオスさん「えー、みなさん、

        ご存知の方もおられるかも知れませんが、

        私、昨年末の福引きで、

        『ゆけむり温泉旅行』を当てております。


        送迎バスの手配などは済ませてありますので、

        良かったら、参加なさってみませんか?


        学園側の方から、積立金の一部を充てて頂けるとの事で、

        生徒さん側には、宿泊費等は一切かかりません。


        お土産等は、自費でお願いします。」


ためぞう「こ、このタイミングで!?」


 ためぞうが、シオン君の方を見ると、

 温泉旅行の響きに、瞳をキラキラさせています。


ためぞう「(いや、これは結構なピンチだって。

      だいたい、どっちのお湯に浸かる気だよ!)」


 ためぞうは、ヒソヒソとシオン君に耳打ちします。


ためぞう「(行ったら、高確率でバレるって!)」


シオン君「(それでも、ボクは行かなければならないんだ、

      ためぞうさんッ!


      それが、ボクがここに来た運命だとすれば!

      ・・・サフィリアさんと、お風呂。てへ。)」


 ためぞうを遥かに凌ぐ、チャレンジャーがそこにはいました。


 あ、オレは自分から冒険を離れて行ってるんだと、

 ちょっと切なくなった ためぞうは、

 あの頃の冒険野郎だった、自分を思い返すのです!


ためぞう「オレは行かなければならない!

     そう、そこにある、シャングリラへと。」


生徒A氏「共に行こう! 何が出来るかなどではないッ。

     到達への道が険しいほどに、

     心揺さぶられるものなりぃ!」


生徒B氏「機を見るに敏なんだな!

     先陣の誉れを頂くんだなッ!」


教師J氏「ああ、オレも自費で是非参加させてもらうぜ。

     あの頃に回収し損ねた美しきメモリーの為。

     フフ・・・、オレも本気を出す時がきたようだな!」


 野郎たちが盛り上がってる中、

 セバリオスさんは、話を伝える為に、

 ランチの準備をしている、レオクスさんのお店に行きました。


レオクスさん「え!? もーそんな事になっちゃってるんですか。」


セバリオスさん「うん。」


レオクスさん「あ、えっと・・・その、エリスさんは?」


セバリオスさん「呼べば来ると思うが、

        一応、聞いてみよう。」


 セバリオスさんは、スマホを取り出します。


  プルルルル・・・。


エリスねーさん <「はい、こちら担当のエリスになります。」


> セバリオスさん「おはよう、エリス。」


エリスねーさん <「なんだ、セバリオスかよ。

          どーかしたの?」


> セバリオスさん「エリス、温泉旅行、行けるよね?」


エリスねーさん <「ああ、温泉いいなぁ。


          いや待て、行ったらラジオ体操の皆勤賞が、

          取れなくなる。

          日帰りじゃないんだろ?」


> セバリオスさん「そうか、また後で連絡する。」


 問題が発生しました。


レオクスさん「ダメでしたか・・・。」


セバリオスさん「ラジオ体操、エリス大好きだからね。

        現地でハンコ押してもらえれば解決かな?」


 セバリオスさんは、魚市場のとなりの空き地で、

 ラジオ体操を主催している、町内会の方に電話をします。


 そして、もう一度、

 エリスねーさんに電話をしました。


エリスねーさん <「はい、こちら担当のエリスになります。」


> セバリオスさん「やあ、エリス。」


エリスねーさん <「非通知でかけてくるなよ。

          それで何なの、セバリオス?」


> セバリオスさん「エリスが温泉に行きたいって言ったら、

          あのハンコ押してくれるおじさんが

          付いてきてくれるそうなので、

          温泉、どーする?」


エリスねーさん <「さすが、セバリオス。

          行くー。

          ・・・あんがと。」


 問題が解決しました。


レオクスさん「セバリオスさんは、やるなぁ。」


セバリオスさん「いろいろ準備があるから、

        ここで失礼するね。

        また、後で詳細については相談しよう。」


レオクスさん「そうですね!」


 その日の放課後。


 ためぞうは、シオン君がよそ行きの服を持っていないという事なので、

 シオン君と一緒に、デパートの婦人服売り場へと出かけしました。


デパートの田中さん「あら、ためぞうさん。

          可愛い子を連れていますね。」


 デパートの田中さんと、ゲームがめちゃんこ強い山田さんと、

 ためぞうは、

 デパートの前の公園のクレープ屋さんで、

 クレープの誓いを立てた、お友達さんになります。


 結束は、わりと固めです。


ためぞう「ええ、実は訳あって、

     学園の生徒会長のアリスさんから、

     このシオンさんを預かっておりまして、


     いつもの如く、

     端から見るほど充実な感じではありません。」


シオン君「シオンです、よろしくお願いします。」


 ためぞうなりに、シオン君に気遣っていたりします。


 ジャージやブレザーで温泉旅行もいいかも知れませんが、

 新しいよそ行きの服でお出かけするのも、

 いいんじゃないかと、

 理由はそんなところです。


 田中さんは、シオン君の女装をプロの眼力であっさりと見抜いてしまいましたが、

 それは、そっと胸の奥にしまって、

 体形が自然に見える、愛らしい花柄のワンピースと、

 少しゆったりめの、白のジャケットを持って来てくれました。


田中さん「コレなんか、いかがですか?

     ちょっと寒い時でも、わりと暖かいですよ。」


シオン君「ちょっと試着させてもらいますね。」


 バッチリ似合っています。

 より可愛らしさが強調されました。


シオン君「ねえ、ためぞうさん。

     どうですか?」


ためぞう「・・・いいと思います。

     いろいろ、自重したいと思います。」


 その後、田中さんはパジャマまで選んでくれました。

 あちらでは浴衣を着るとしても、

 持っていて困るものでもないので、

 それを込みでのお会計になります。


ためぞう「そんなに安くていいんですか?」


田中さん「はい、いつもありがとうございます。」


 お得意様へのセールの品扱いで、約50%オフの6980円でした。

 シオン君が、お財布から払おうとしましたが、

 ためぞうは、ポイントをたくさん貯めているので、

 ポイントで決済します。


ためぞう「お土産とか買うのに、取っておいたほうがいいよ。

     オレ、まめにポイント貯めてるから、気にしないで。」


田中さん「ためぞうさん、男前ですね。」


シオン君「あ、ありがとうございます!」


 笑顔で見送ってくれる田中さん。

 ためぞうは、デパートを出て、

 エリスねーさんの家に帰って来ました。


 ねーさんの家の前で、

 エリスねーさんと、ローゼさんと、ファルさんが、

 お話しています。


エリスねーさん「おかえり。

        ためぞーと、シオンさん。」


 エリスねーさんたちは、大きめのカテゴリーに入ります。

 リンカさんがやって来て、

 シオン君の手を引いて、こう言います。


リンカさん「シオンさんは、こっちのカテゴリーになります。」


 リンカさんはそう残して、

 ためぞうからフルーツ牛乳を受け取ると、

 ローゼさんと一緒に、マンションへと帰って行きました。


ローゼさん「では、またです。」


ファルさん「私もこの辺で、では。」


 デパートの袋を持ったシオン君を見て、

 エリスねーさんは言います。


エリスねーさん「ためぞうのテント、狭いよね?

        ウチに泊まってもいいんだよ。


        荷物置くとことか、風呂とか、

        てきとーに使っていいから。」


シオン君「そう言ってもらえるをありがたいです。

     お泊りについては、

     今は、まだ姉との約束がありますので、


     あと、クローゼットとお風呂は借りたいです。

     そんな感じでいいでしょうか?」


エリスねーさん「うん、約束あるならしょうがないね。

        困った時はいつでも言ってね。」



 ◇ シオン君の守らなければならない、姉たちとの約束。



   ・ ためぞう(を含む男子)の、

     素敵なフラグを、希望を摘み取らない事。


   ・ 女装がバレて、正体を知られると、

     シオン君への好感度は、

     ためぞうの20倍ほど上がるので、

     現時点で、そういう方向へ行ってはいけない。


   ・ ためぞうを、たやすく終わらせない。

     冒険などなど。


   ・ 適度にメガネの方の姉(アリサさん)の期待にも、

     応えなくてはならない気がする。


   ・ バレても平気な人もいる事はいる。

     お隣さんのレイカさんのような、王子さま耐性を持ってる方。



 辺りが、暗くなって来ました。


 近所の銭湯から戻った、ためぞうと、

 お風呂上りでパジャマになったシオン君は、

 ためぞうのキャンプの中にいます。


ためぞう「約束って、そんなにややこしいのね。」


 ためぞうは、クーラーボックスから、

 フルーツ牛乳を取り出し、

 シオン君に渡します。


シオン君「ごくん・・・。わぁ、美味しいです。」


 湯上りのパジャマ姿で、ふわっとした色気のあるシオン君に、

 ためぞうは、熱い冒険魂を堪えています。


 そんなためぞうに、

 シオン君は、こう話し出しました。


シオン君「ボクは、とても長い時間を、

     過ごしていた事があるんです。


     そんな移り行く時の中で、

     景色は変わり、人々の世代も代わり、


     目を覚ます度に、

     違った光景に戸惑う事もありました。


     それでも、

     サフィリアさんだけは、

     ずっと変わらなくて、ボクの傍に居てくれたんです。


     彼女が居てくれるから、

     ボクは何も心配しないで、


     ここまで来る事が出来ました。」


 ためぞうは、シオン君の言いたい事が、

 何となくわかったような気がしました。


 シオン君は、フルーツ牛乳をごくごくっと飲み干して、

 こう続けます。


シオン君「だから、

     サフィリアさんのグラビア写真が、

     メガネの姉の方から、さりげなく送られてきた時、


     ボクの小さな勇気は、

     この冒険心に変わったんですッ!


     変わりますよね?

     そりゃ、変わっちゃいますよね!」


 突然の変化球に、

 ためぞうは見逃し三振です。


ためぞう「・・・あ、そゆこと。」


シオン君「そーなんです! てへ。」


 ためぞうは、

 シオン君に共感出来る何かを見ましたが、


 うかうかしてられないとも、

 思ってしまいました。


 となりのレイカさんの家の窓から、

 ためぞうは、メガネのお姉さんの方の視線を感じます。


アリサさん「ためぞうさん、がんばって!」


 ためぞうは、

 そこそこ頑張れるとは思いますが、


 メガネのお姉さんの期待に応えられるほどの自信はないので、

 ゆるめに冒険していこうと、寝たふりです。


シオン君「ためぞうさん、もう寝ちゃったの?」


ためぞう「うん、


     またねー。」


 ためぞうは、様々な試練を越える為に、

 キャンプの拡張も必要かなと思いました。



              Bパートに続く。
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ためぞう II フルスロットル! 「チョコレートデイ。」

2015年02月14日 15時52分25秒 | ためぞうの冒険(ダークフォース セカンド?仮+未定)
ためぞう II フルスロットル!


   「チョコレートデイ。」



ためぞう「・・・冒険したい、今日この頃。


     『ためぞう II 』 って、

     『 I 』は、古蔵さんなの?」


 ためぞうは、今日は気の合う仲間たちと、

 一緒にいます。

 シオン君を連れて来ると、ややこしい事になるので、

 主に、ゲーム仲間で集まっています。


 集合場所は、デパートのある駅前です。


A氏「決戦の時は来たなりぃ!

   我ら、今年こそは、

   義理でもいいんで、夢の彼方へ行ってみたいでござるよォ!!」


B氏「熱いバトルなんだな。

   この戦いには、確実に勝ちまくってるヤツと、

   平穏な日常を送ってる者たちとの間で、

   見えないフィールドが発生しているんだな!」


J氏「ああ、その通りだぜ。

   オレも長年の経験の中で、

   この日を思い出した事は、一度もねぇ。


   なんて、記憶に残らねえ激しい一日なんだ!」


 それぞれに好き勝手言っていますが、

 みんな、置いてけぼりはイヤなのです。


 生まれた日は違えども、

 貰える時は出来れば一緒に、

 貰えなくとも、共に明日を目指して、来年を待つのです。


ためぞう「チャレンジャー諸君、よくぞ集まってくれた。


     オレも、どちらかといえば、

     チョコレートって何ですか? と、

     問いたくなる部類に位置している。


     だからこそ、あえて言おう!

     我らの結束は固い。


     貰えなくたっていい、

     ただひたすらに、全力で、駆け抜けて行こうぜッ!」


 彼らには、熱い友情こそありますが、

 作戦は特にありませんでした。

 奮い立つ勇気を胸に、ただ前へと進み続ける。

 そんな冒険野郎でありたかったのです。


 その時です、

 デパートの前に、牛乳大好きリンカさんが通りかかりました。

 時刻は、午後一時くらいになります。


リンカさん「こんにちはー。」


冒険野郎たち「こんにちはー。」


リンカさん「今日は、チョコレートの日ですね。

      みなさん、よかったらコレをどうぞ。」


 するとリンカさんは、

 いろんな色紙に包装された、今日の日の為のアレを、

 冒険野郎たちに、手渡しました。


リンカさん「ゲーセンで、また遊びましょうね。」


 リンカさんは、にこやかに微笑みながら、

 その場を後にしました。


A氏「ミッションコンプリートォ!!

   リンカさんが、エンジェルに見えたでござるよ。」


 冒険の幕は下ろされました。


ためぞう「リンカちゃん、ありがとう!


     でも、幕引きはええよ・・・。」


B氏「想い出メモリーには、バッチリ記録済みなんだな。


   あんないい子がいると思うと、

   自分まで、優しさに溢れてくるような気がして、

   不思議な気持ちなんだな。」


J氏「さすがは、期待の新人リンカちゃんだぜ!

   義理でも何でも、

   貰っちまった、この胸の高鳴りは、

   どーにも抑えきれねえぜッ!


   どーせ、本命を誰も渡せねえ事くらい、

   ためぞう氏だって、予想できるだろう。

   つまり、これで一番なんだよ。」


 J氏のぶっちゃけは、的を得ています。


 良く考えなくても、ためぞうの知り合いの中で、

 本命のチョコを渡せる女性なんて、想像がつきません。


 冒険野郎たちは、各々、満足げに、

 その場を立ち去っていきました。


ためぞう「・・・。

     なんか、あっけなく終わってしまった。


     壮大なスペクタクルもなく、

     ピンチも特になく、

     ちっちゃいが、美少女である事には間違いない、

     リンカさんから、ありがたい宝物を頂いてしまった。」


 フルスロットルで気合を入れて、

 今日の日に挑んだためぞうでしたが、

 十分な目標を達成したので、

 ちょっと、ふにゃんとなって、

 デパートの前にある、大きな公園へと向かいました。


 柔らかな陽差しに包まれながら、

 ベンチで緑を眺めるのもいいものですね。


 ためぞうは、携帯座布団とか持ち歩いているので、

 冬のベンチに座っても、ほんのり暖かいです。


 この公園のちょっと先に、ファルさんが勤めるお花屋さんの、

 裏口があります。

 そちらから、ためぞうに気が付いたファルさんが、

 ためぞうを見つめていますが、


 ためぞうは、ぼーっとしているので、

 その視線には気が付きません。


 ファルさんが今日の日の為に用意した、

 当たり障りのない、義理っぽいチョコの包みを、

 お店の中に取りに行った

 まさにその時です!


謎の声「サイクロン=ハリケーン=タイフーン=ジェット=イナズマボンバー!!」


 油断100%のためぞうに、

 突然、ラリアット系のワザが襲いかかります!


ためぞう「!? やばいっ。」


  ガキーーン!


 謎のラリアットを受け止めた影があります。


ためぞう「ふ、古蔵さん!?」


古蔵さん「ネコのマスクのマスクマン。

     宅配サービスの古蔵です。」


 謎の声の正体は、ためぞうの上司のセリカさんでした。


セリカさん「ククッ、さすがは元祖ためぞうの、古蔵さん。」


ためぞう「ややこしい事言うなよ、セリカさん。

     で、何しに来たの?」


 セリカさんは、ためぞうを指差してこう言い放ちます。


セリカさん「私は、チョコレートを義理でも誰にも渡さない!

      おこずかいが減るから。


      でも、ためさんの物は、私の物な気がするのです。

      諦めて、渡しなさい!

      幸せは分かち合うものだと願うのです。


      だから、ください。」


 ファルさんが包みを取って戻って来ると、

 ためぞうに、何かよくわからないピンチが訪れていました。


セリカさん「一応、聞くけど、

      古蔵さんも、例のアレ、持ってる?

      チョコっぽいヤツ。」


古蔵さん「・・・今朝、不意にリンカちゃんに貰った。


     古蔵さんとしては、

     かなり感動的なイベントだったので、

     後で、アパートに帰ったら飾ろうかと思っています。」


セリカさん「お前もターゲットじゃーーァ!!


      二人まとめて、マットに沈めてやるわッ!」


  コンッ!


 ゴングがなりました。


 ためぞうも、古蔵さんも、

 見えないリングの中にいます。


ためぞう「セリカさんは、チャレンジ力、ハンパないな。」


古蔵さん「このリングっぽいとこを出ると、

     どうなるの、ためぞう君?」


 セリカさんは、木の枝を使って、

 地面に四角いリングを描いています。


ためぞう「・・・もう古蔵さんとは、逢えない気がする。」


古蔵さん「そんなにヤバイんだ!?」


セリカさん「オリャー! 無駄口聞いてるんじゃねーぞォ!


      行くぜ、最終奥義!」


ためぞう「古蔵さん、本気だせ!

     ネコマスク取られて、国に強制送還されるぞ!!」


 セリカさんのサンダーストライク=トルネードスピン!


 → 古蔵さんは、遥か上空へと巻き上げられた!


古蔵さん「つよ!?」


 セリカさんのグランドスラム=ジャイアントボム!


 → おおっと! これは、一気に決着か!?


 ためぞうは、トータスの構え III を発動!


 → 古蔵さんのダメージを98%ブロックした。


 → 古蔵さんに、9800ダメージ!!


古蔵さん「やべぇよ!!

     オレ、HPあと200もねえよ!」


ためぞう「セリカさんは、実力だけは大魔王だから。

     古蔵さん、オレとタッチな。」


 古蔵さんは、青コーナーから、ためぞうを応援している。


セリカさん「ためさんとて、手加減はしないよ。

      いい試合しようぜッ!」


 遠くから見守るファルさんは、

 セリカさんが男前に見えました。


ためぞう「・・・プロレス中継をほぼLIVEで見まくってる、

     セリカさんの技術は、本物だ。


     こんな所で、使いたくはなかったが、

     オレも本気以上の力を見せるしかあるまいッ!」


 ためぞうは、オーバーアクセルの構え!

 ニトロのチャージは万全だ!


ためぞう「フルスロットルで駆け抜けるぜッ!!」


セリカさん「ドリャー!

      最終奥義 マーク II !!」


ためぞう「いくつ、最終奥義持ってんだよッ!」


 ためぞうは、高速でコーナーをドリフトしています。

 パワーでは、セリカさんとは勝負にならない為、

 テクニカルなアクロバット技で、応戦しています。


 ためぞうのドロップキック! → セリカさんに弾かれた!


ためぞう「(早く奥義を撃って来いよ、

      オレのスピードを捉えられるならな!)」


 公園で激しいバトルが繰り広げられていますが、

 フィルター機能で、周りの人には、

 じゃれ合ってるようにしか見えません。


 お前ら、青春してるな! って感じで、普通の人には見えています。


古蔵さん「最近のバトルは、ここまでエボリューションしていたのか。

     古蔵さんも、マスク取られないように、

     気をつけんといかんですな。」


 セリカさんに、ためぞうは腕を捕まれました。


セリカさん「行くぜッ、最終奥義ッ!!」


 刹那、ためぞうの姿がドロンと消えて、葉っぱになります。


セリカさん「!? 変わり身の術だと!」


 すかさず、ためぞうは、

 セリカさんの背後に回り込み、ジャスティス=スープレックスを放ちます!


 ふわっとセリカさんの身体が宙を舞うと、

 勢い良く両肩が、マットにホールドされる!


古蔵さん「3・・・2・・・惜しいッ!」


ためぞう「古蔵さん、さっさとスリーカウント取ってよッ!」


 ピンチをチャンスに変える!


 そんなセンスの持ち主であるセリカさんの、

 幻の大技がためぞうを捉えます!


セリカさん「エンシェントドラゴン=マジェスティック=タイガーバックブリーカー!!」


 轟音と共に、ためぞうはマットに沈みました。

 ためぞうは、燃えカスみたいになっています。


セリカさん「早く、リングにあがっておいでよ、

      古蔵さん。」


古蔵さん「むおぉ・・・、マジ無理だって!


     あんた、どんだけ強いんだよ!!」


 そこに、さりげない感じでファルさんが現れました。

 これまた、さらっとためぞうの戦闘不能状態を回復します。


ファルさん「こんにちはー。


      はい、セリカさん、チョコレート。」


 セリカさんは、ファルさんからチョコの入った包みを受け取りました。


セリカさん「え!? 貰っちゃっていいの?」


ファルさん「最近は、女子同士でもチョコを送ったりするんですよ。

      お花のギフトとかも多いですね。」


セリカさん「か、感動した!

      あげるものなくて、ゴメンね。


      では、遊びに行ってきます!」


 セリカさんは、嬉しそうに街へと消えていきました。


古蔵さん「ファルさん、助かったよ!」


ファルさん「ええ、何よりです。


      これ、よろしかったら、

      お二人にもどうぞ。」


 ファルさんは、ちゃんと二人の分の包みも持ってきてくれていました。

 今日は一段と、ファルさんがフローラルに香っている感じさえします。


ためぞう「あ、ありがとうございます!」


古蔵さん「オレ、ファルさんを誤解してたよ。

     オレの事、倒したくて仕方がなかったんじゃないのネ。

     宅配のバイト、頑張ってて良かったよ!」


ファルさん「本国でのいざこざは、ここへ持ち込むのは、

      控えたいと思っております。


      (義理感は否めませんが、

       ためぞうさんに渡す事も出来ましたので、

       一安心です。)」


 ファルさんは、ちょっとご機嫌な感じでお仕事に戻って行きました。


古蔵さん「ねえ、ためぞう君。

     ファルさんとこの、ラウエルさんを下さいって聞いたら、

     どんな感じかな?」


ためぞう「・・・古蔵さん、一途がどうのこうの言ってなかった?

     多分、古蔵さんは滅ぶね。


     そして、ローゼさんのお兄さんの一世さんの時代が訪れるかな。


     てか、この前は、事務の鈴木さんがいいとか言ってなかったっけ。」


古蔵さん「お! 急な配達を思い出したので、

     ドラゴン魚市場に行ってみる。


     ためぞう君、またね。」


 古蔵さんの、あの分かりやすい所からも、

 ためぞうは、何かを学ばなければいけないと思いました。


ためぞう「・・・フルスロットル出来てないしなぁ。」


 ためぞうは、道の駅ドラゴンの方を手伝いに行くと、

 エストさんに、チョコをねだられたので、

 駄菓子屋さんから、ザ・ビックチョコを買ってあげて、

 夕方、エリスねーさんの家に戻って来ました。


シオン君「ねえ、ためぞうさんっ!」


 ジャージ姿とはいえ、いきなり出てこられると、

 びっくりするほどの、美少女ぶりのシオン君です。


ためぞう「お、おう。

     何かあったの?」


シオン君「エリスさんの家って、よくサフィリアさんが訪ねて来るんだね。


     アリス姉さんが、

     ためぞうさんとの共同生活を勧めてきたのも、

     これが理由だってわかった気がしたんだ。」


 シオン君は、都合のいい勘違いをしていますが、

 それで幸せなら、ためぞうはいいんじゃないかと思いました。


 シオン君は、お隣さんのレイカさんに

 手作りチョコレートの作り方をならって、

 それを、サフィリアさんに渡して、テンションが上がっているようです。


シオン君「エリスさんとか、いっぱい女子から貰ってたんで、

     女子同士で渡し合えるって、

     いまのボクの立場からすると、

     とっても、助かっちゃった。」


 はにかむ笑顔がとても可愛い、シオン君です。

 ためぞうは、ここで誘惑されてはいけないと、

 心の中で、般若心経を唱え始めました。


ためぞう「(・・・そうか、シオン君は、

      サフィリアさんがいるから、

      こっちに来たんだな。


      これは、ためぞうを含め、

      レオクス師匠や、セバリオスさんにも、

      一つの未来へのルートの危機でもあるわけだ。


      好感度、2000とか言ってたもんな・・・。)」


 そこで、ためぞうはアリサ副会長のワナに気付きます。


ためぞう「(はっ!?

      事情を知るオレが、シオン君を攻略しないと、

      サフィリアさんルートが消えるどころか、


      レオクス師匠とセバリオスさんの、

      ねーさん争奪戦に発展しかねないのかッ!


      ためぞうは、いい様に操られているな・・・。)」


 ためぞうは、知力3と得意のとんちで、

 状況の改善策を考えます。


ためぞう「・・・ぜぇぜぇ。


     知力が不足しすぎている。」


 息を少しだけ荒くしたためぞうに、

 シオン君はこう言いました。


シオン君「ためぞうさんの分のチョコレートも作ったんだよ。

     美味しく出来ているか自信はないけど、

     良かったら、受け取って下さいねっ。」


 ためぞうは、もうへろへろです。


 そういう方向に持っていった、レイカさんとアリサさんは、

 隣の家の窓から、成り行きを見守っています。


レイカさん「なんだか、どきどきしちゃいますね。」


アリサさん「レイカさんとは、通じ合える何かがあると思っていました。

      ご協力に、感謝!」


レイカさん「あ、いえいえ。

      私も、女学院に通っていたものですから、

      その気持ち、分からなくはないのです。」


 知力が99+1もある、レイカさんは、

 些細なウワサなどに誤魔化されません。


 シオン君の事を、ちゃんと理解した上で、

 世間勉強の最中なのです。


 その時です、

 セバリオスさんとレオクスさんが、

 一緒に、エリスねーさんの家にやって来ました。


セバリオスさん「やあ、ためぞう君。

        アリス会長さんの妹さんの教育係っぽい事を、

        頼まれたみたいだね。


        確かに可憐な百合の花のように美しいね。」


レオクスさん「あ、どうもレオクスです!

       会長さんには、いろいろとお世話になっていますので、

       良かったら、何でも言って下さい、

       シオンさん。」


シオン君「あ、ありがとうございます。」


 シオン君が、ペコリとあいさつをすると、

 セバリオスさんとレオクスさんは、にこやかに手を振りました。


アリサさん「レオクスさんとシオン君、

      これは、なかなかいいと思いませんかッ!


      フルスロットルでイッちゃいますよー!!」


レイカさん「あ、ええ・・・。

      なるだけ、アリサさんのノリに付いていけるように、

      頑張りたいと思います。」


 セバリオスさんのリムジンから、セリスさんが降りてくると、

 セリスさんは、まるで魂のこもっていないような、

 無機質な瞳で、お隣さん家の窓の二人を見つめます。


アリサさん「!?」


レイカさん「おぉ・・・。」


 セリスさんの付けている、カラーコンタクトの片方が、

 するりと地面に落ちていきました。


 右目はエメラルド、そしてコンタクトが剥がれ落ちた左目は、

 真紅とも言うべき、鮮やかなルビーの煌きを放っています。


アリサさん「(こ、こわ・・・。)」


レイカさん「(セリスさんが、何かを話してくる前に、

       おとなしくした方がいいと、

       心の声が告げている気がします。)」


 セリスさんは、無表情な笑みを浮かべて振り返ると、

 今度は、人が変わったように、

 コンタクト落としちゃったですー! と、

 慌てる素振りをしてみせた。


セバリオスさん「ほら、これだろう?

        ちゃんと綺麗に洗浄しないとダメだぞ。」


セリスさん「はーい。」


ためぞう「へぇー、セリスさんって、両目の色が違うんですね。

     なんかカッコイイっす。」


セリスさん「そうですかー?

      では、このまま、行っちゃいましょうか。」


 セリスさんは、そう言って、

 再度、窓の奥の二人を見つけると、

 魂のカケラも無い、その無機質な視線を送った。


アリサさん「(お願い、カラコン付けて!)」


レイカさん「(・・・エリスさんの事については、

       協力させていただきます。)」


セリスさん「ちょっと、車に積んである、

      洗浄キットで洗ってきますね。


      はい、ためぞうさん、

      シオンさん、板チョコでーす。」


ためぞう+シオン君「あ、ありがとうございます!」


 シオン君は、セバリオスさんとレオクスさんに、

 ちょっと見惚れています。


 こういう人になりたいと目標に出来る、

 それぞれの良さを秘めた王者と王子様のように見えたのです。


セバリオスさん「ためぞう君、

        エリス、帰ってきてるの?」

ためぞう「呼んでみますよ、


     ねーさん、いるんだろう!」


 家のこたつの中から、エリスねーさんが出てきました。


エリスねーさん「お、セバリオスじゃん。

        レ、レオクスさんもいるんだ・・・。」


 今日は、チョコレートの日。


 エリスねーさんは、レオクスさんをチラ見して、

 照れています。


セバリオスさん「今日といえば、渡すものがあるんじゃないか?

        当然、アレを受け取りに来たわけだが。」


レオクスさん「ちょ、ちょっと、セバリオスさん。

       む、無理を言っては。」


 シオン君は、セバリオスさんを男らしい、

 勇気のある人だと、関心しています。


エリスねーさん「ア、アレだよな。(・・・やばいぞ、用意してないぞ。)


        ちょっと、待っててくれ。」


 エリスねーさんは、一度家に入ると、

 勝手口から外に出て、

 ママチャリかっ飛ばして、デパートに向かいました。


 ためぞうはそれを察して、

 セバリオスさんたちと、時間稼ぎを始めました。


ためぞう「ねーさん、わりと探し物に時間かかる方なんで、

     良かったら、こっち来て茶でも飲みませんか?」


 ためぞうは、庭のキャンプで冒険に向けた訓練をしているので、

 炭火で、普通にお湯とか沸かしています。


 レジャー用の折りたたみ椅子をテーブルに三つほど設置して、

 急須に、お湯を注ぎました。


セリスさん「まあ、とばりの下りる空を眺めながら

      いただくのも、いいものですねー。」


 セリスさんは、エリスねーさんのピンチを察して、

 美味しそうに、緑茶を頂いています。


セバリオスさん「エリスが要領が悪いのは、

        今に始まったことではないので、


        アレを買って来るまでの間、

        ゆっくり待たせてもらうよ。」


レオクスさん「・・・な、何を言ってるのかわからないなぁ。」


シオン君「ほんと、凄いです、セバリオスさん。」


 家の勝手口の方から、自転車のブレーキ音が聞こえると、

 息を切らせながら、エリスねーさんが表に出てきました。


エリスねーさん「やっと見つかったよ、

        ははは・・・ちょっと焦ったぞ。」


 結構、いっぱい買ってきているようで、

 ためぞうや、シオン君、セリスさん、ゆきはなさんの分までありました。


セバリオスさん「ありがとう、エリス!


        エリスは出来るヤツだと信じていたぞ。」


エリスねーさん「おう、任せろって!」


レオクスさん「感激です! ありがとうございます。」


セバリオスさん「では、用も済んだので、

        帰るとしようか、レオクス君。


        セリスは、残るのだろう。

        エリスの事は、よろしく頼むぞ、ハッハッハッ!」


レオクスさん「セバリオスさん、頼りになります!」


 セバリオスさんとレオクスさんは、

 ためぞう達にあいさつして、

 車で帰ってしまいました。


シオン君「セバリオスさん、男前ですね。

     いろいろ、勉強させてもらいます!」


ためぞう「あの人は、独特の個性だから、

     シオン君は、そのまんまでいいんじゃないか?


     (と、メガネの方のお姉さんは、期待していると思う。)」


 ためぞうは、冒険離れして久しいので、

 早く、勘を取り戻して、

 せめてタイトルくらいには、冒険を入れたいと思っていました。


アリサさん「ためぞうさん!

      躊躇わずに、トライ決めちゃってくださいッ!」


ためぞう「・・・。


     続け、オレの冒険の日々。」


                   つづく。
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ためぞう II 第三十六話 「ためぞうは、思ってみた。」

2015年02月13日 17時21分04秒 | ためぞうの冒険(ダークフォース セカンド?仮+未定)
ためぞう II 第三十六話。


   「ためぞうは、思ってみた。」



ためぞう「冒険無くなってるじゃん!


     ・・・いや、焦るなオレ。

     そもそも、「 II 」だけ残ってる意味がわからん。」


 ためぞうは、毎日真面目に、

 牛乳配達をしています。

 そのせいか、牛乳とプリンに未来を託した少女、

 リンカさんとは、よくお話をしています。


 朝も早くから、ローゼさんのマンションの前で、

 ためぞうが来るのを待つ、リンカさんを、

 街灯の明かりが照らしています。


リンカさん「おはようございます、ためぞうさん。」


ためぞう「おはよう、リンカちゃん。

     はい、特濃牛乳と、牛乳屋さんのプリン。」


 リンカさんは、嬉しそうに三人分を受け取ると、

 マンションの一階の部屋に帰っていきました。


 すると、リンカさんはまた戻ってきて、

 ためぞうにこう言いました。


リンカさん「とあるウワサで、

      あのエリスさんも、中学の頃までは、

      どちらかというと、無い方だったと聞いたのですが、

      本当なんですか?」


ためぞう「ああ、ねーさんな。


     確かに、そんな事をセバリオスさんに聞いた事がある。

     今の姿からは、想像も出来ないけど。」


 ためぞうを見上げるリンカさんの瞳に、お星様がきらめいています。

 何やら、期待が持てたような素敵な笑顔です。


リンカさん「私、頑張って、大きくなりたいと思います!


      バルマード様が振り向いてくれるくらい、

      大人な女性になりたいです。」


 ためぞうには、ローゼさんのお父さんである、

 あのヒゲのおっさんの何処がいいのか、よく分かりませんでしたが、

 ヒゲには、ワイルドな冒険野郎だった伝説は、たくさん残っています。


 ためぞうは「冒険」という言葉を聴くと、

 何とも言えない気持ちになりました。


リンカさん「ためぞうさん。リンカのお話、また聞いてくださいね。」


ためぞう「うん、いつでも言ってね。」


 ためぞうは、牛乳配達の続きに戻りました。

 自転車で坂道を登ったりしていると、

 ちょっと冷たい風も、少し心地いいくらいの暖かさに、

 体が温もってきました。


 そこに、宅配のトラックに乗った古蔵さんが通りかかりました。


古蔵さん「おはよう、ためぞう君。」


ためぞう「お、古蔵さん、おはよーっす!」


古蔵さん「ちょっと配達、手伝わせてもらうね。」


 ためぞうは、ワープしました。


ためぞう「おぅ! なんだぁ!?」


 どうやらワープ先は、セントクラウス学園の生徒会室のようです。


 さすがに朝の五時半に、学園に人影はありませんが、

 応接間の方にお茶の用意がしてあったので、

 なんとなくためぞうは、座ってみました。


ためぞう「せっかくなので、お茶でももらおう。

     ご自由にと書かれているので、問題ないだろう。」


 室内は、先ほどまで誰かいたように、エアコンで暖かくしてありました。

 ためぞうは、急な展開にある程度慣れてしまっているので、

 ワープくらいでは、すぐに平常心を取り戻します。


ためぞう「ずずーっ。

     見知らぬ場所に飛ばされたわけではないのだから、

     慌てる必要などない。


     ああ、ワープするのを古蔵さんは分かってたから、

     配達の手伝いをしてくれるのな。」


 ためぞうが生徒会室でくつろいでいると、

 副会長のアリサさんが入って来ました。


アリサさん「おはようございます、ためぞうさん。

      急に来てもらっちゃって、すいません。」


ためぞう「あ、いえいえ。

     お茶とか準備してもらって、ありがとうございます。」


 ためぞうは、落ち着いています。

 アリサさんも、ためぞうと向かい合わせで、すぐに椅子に座りました。


ためぞう「何か、緊急事態ですか?

     いつもなら、ファックス辺りで通知が来るのですが。」


 ためぞうは、アリサさんの湯呑みにお茶を注ぎます。

 早朝の緑茶の香りは、すっきりして、目が覚めるようです。


アリサさん「ふーふー。ごくん。


      ためぞうさん、『冒険』がついになくなっちゃいましたけど、

      大丈夫ですか?」


ためぞう「ああ、そうですね。

     でも、本当に冒険していないのは事実なので、

     それは仕方のない事だとは思います。


     何故に『 II 』だけ残っているのかは、

     疑問ではありますが。


     この広い世界から、ためぞうを比べれば、

     ささいな事と割り切れなくもないです。」


 ためぞうが、変な方向に進もうとしているのが分かるからこそ、

 知力99のアリサさんは、そんなためぞうを見ていられないのです。


 ためぞうは、いつの間にか大人への階段をじわじわと上って、

 そのやんちゃな冒険心を失い始めているのです。


 そう、例えるなら、冒険不感症になっているのでぇす!


アリサさん「わかりますか、ためぞうさん。

      ためぞうさんは、冒険者なのです。


      チャレンジャーなのです!


      それが、何故かいつの間にか、

      わりと強めの魔王軍の四天王をやってて、

      それなりに実力もあるものですから、


      冒険や希望やハングリーさが失われていっているのです。」


 ためぞうは、アリサさんの熱い言葉に、

 昔の自分を振り返ってみました。


 セコい、ひがむ、モテないの三拍子揃った、

 生命力だけがバツグンに高い、あの頃のためぞうは、

 野心だけは、人一倍だったハズです。


 それが、安定した学園生活を手に入れたとたんに、

 知らず知らずに、守りへと入ってしまい、

 学園生活で磨かなければならない、

 社会の荒波への適応力や、

 革新などといったアグレッシブな攻める姿勢を


 今はただ、牙の折れたタヌキと化しています・・・。


ためぞう「タヌキはいい・・・、

     天そばだって美味いの作るし、

     天下だって獲れる。


     ためぞうは、マイルドためぞうとして、

     今の生活には、十分満足しています。


     それは、いけない事なのでしょうか?」


アリサさん「いいーーんです!」


ためぞう「い、いいんだ!?」


 アリサさんの知力99に、疑惑が浮かびました。

 言ってることが、結構、無茶苦茶です。


 アリサさんは、フフフッと意味深に笑みを浮かべ、

 ためぞうを見つめています。

 東の空が、朝焼けで室内を照らし始めます。


アリサさん「私は、私がそこそこ愉快なら、

      ためぞうさんが、別に冒険しなくても、

      何度でもためぞうさんを、サポートするするつもりです。


      ですが、そうは思ってくれない者たちもいるのは確か・・・。


      つまりは、「アイツ、すっげー冒険してるよな!」的、オーラを、

      漂わせておけばよいのです!」


ためぞう「おー、なんか凄そうなんですが、

     通常の冒険より、難易度が高い気がします。」


 そんなためぞうの問いに、

 瞳を輝かせながら、アリサさんはこう返します。


アリサさん「ふふっ・・・、


      例えば、「ひと夏の冒険」という甘い言葉で、

      本当に、クエストに行っちゃいますか?


      行くとこ、違うでしょ。

      真夏のビーチや、プールサイドに行くべきでしょ!」


ためぞう「ごもっとも!!


     ためぞう、目からウロコです。」


アリサさん「アイツ、冒険してるよなー! って、


      『冒険』自体の定義を入れ替えてしまえば、

      わざわざ、ガチな冒険に行く必要があると思いますか?


      行くなら、

       - 渚の君が待つ場所へ、2015 -

      でいいんじゃないですか。」


 ためぞうの迷いは、振り切れました!


ためぞう「アリサ副会長さん、


     オレ、冒険したいっす!」


 ためぞうに輝きが戻って来ました。


  もう何者も、オレの『冒険』は、止められない! といった感じです。


 そのソウルに溢れた、ためぞうの熱いシャウトは、

 大地をも響かせ、ちょっと近所迷惑なことでしょう。


ためぞう「・・・そこまでは、まだw」


アリサさん「いい目をしていますね、

      そのワイルドさとハングリーさで、

      ためぞうさんの冒険に、新たな歴史(想い出メモリー)を刻むのです!。」


 ためぞうと、アリサさんは共に立ち上がり、

 熱い情熱の眼差しで、東の空を見つめています。

 青春っていいですね。


 一通り、感動の場面を終えると、

 アリサさんは席に着いてお茶を口に運ぶと、

 次のお題をためぞうに、振って来ました。


アリサさん「ためぞうさん、

      ノリのいい内に、ちょっと冒険してみませんか?」


ためぞう「おお、早速、そっちの冒険を用意してくれていましたか。」


アリサさん「ええ・・・まぁ、

      姉のアリスの許可も出たので、

      ホーネルさんの親友のためぞうさんなら、

      そちらの方も、耐性があるのではないかと。」


ためぞう「ほうほう。」


アリサさん「正直、ためぞうさんには感謝しているのです。

      いつ逢えるとも知れないと思っていた奇跡を、

      この私にくれたのですから。


      こほん、私は決して、

      ためぞうさんの上司のセリカさんみたいに、

      事が面白い方向に進めばいいなんて、

      思ってるんじゃないんだからネッ!!」


 ためぞうの試練センサーがグンと反応しているッ!


ためぞう「いかん!?

     ためぞうの予感は、かなり当たるのだ!」


澄んだ声「失礼します・・・。」


 生徒会室の扉が、ゆっくりと開かれます。


 すると、そこから、

 とんでもなく可愛い、ショートカットの金髪の女の子が、

 一礼して、入って来ました。


アリサさん「お久しぶりです・・・。


      んんっ、ためぞうさんに、ごあいさつを。」


金髪の美少女「初めまして、

       この度、当学園への留学が決まった、

       詩音=クラウスと申します。


       シオンと呼んでくださいね。」


 アリサさんは、何ともいえない難しい表情をして、

 シオンさんに、ためぞうの隣の席に座るように言いました。


ためぞう「(いかん! マジで可愛いぞ。

      美少女レベルは、限りなく会長さんに近いのではないか・・・。)」


アリサさん「えー、お気付きかも知れませんが、

      シオンは、私の弟になります。」


ためぞう「お、弟殿でござるかっ!?


     ・・・そーなんだ。

     でも、何ゆえ女子の制服を?」


 するとアリサさんは、

 ためぞうが見慣れた、箇条書きの紙を取り出します。

 紙には、こう記されていました。



 ・ どうしても、こちらに来たいという、

   シオン君のわがままを、

   姉のアリスは、女装という条件付きで、

   留学を許可しました。


 ・ シオン君への、サフィリアさん、

   レミーアさんたちの好感度は、2000です。

   ためぞうさんの90付近では、勝ち目がありません。

   故に、変装して女生徒での編入となります。


 ・ 正体がバレた時点で、ためぞうさんのあらゆるルートが、

   消えてしまうので、注意して下さいね。


   女装さえバレなければ、

   絶対にわからないような変な魔法がかけてあります。

   変な魔法は、恋の魔法へと変わる事が大いにありますので、

   気を付けてくださいね。


 ・ アリスお姉さん的には、

   シオン君とためぞうさんが、仲良くしてくれると嬉しいです。

   どんどん、冒険しちゃって下さいね。



ためぞう「むおぅ・・・それは、嬉しい試練だが、

     一線を越えたら、戻って来れない率100%の、

     危険なワナと見た!」


 シオン君も、同じように書類を読んでいるので、

 ちょっと、もじもじしちゃってます。


アリサさん「ここからが、さらに重要ですが、

      アリス姉さんは、

      さらに条件を付けて来ています。」


ためぞう「おお・・・。」


シオン君「・・・。」


 アリサさんは、何処かニヤニヤしながらこう言います。


 ・ 条件 = ためぞうさんと、シオンは、

        お互いが持っていない良いものを、

        持っています。


        互いの長所を学ぶ為に、

        寝食を共にしなさい。


アリサさん「ぷぷっ・・・だ、そうですよ。」


シオン君「えぇーー!?」


ためぞう「ふぅ・・・なんてすげえ試練を考えてくれるんだ。


     でも、仮にオレとシオン君が仲良くなりすぎても、

     冒険、終わっちゃうんじゃないですかね?」


 可憐な女の子の格好をしたシオン君は、

 恥ずかしさで、顔を上にあげられません。


 あのアリス会長さんが、それを許可した時点で、

 そのくらいの試練は予期出来たのに、

 浮かれて隙だらけだったなんて、とても恥ずかしくて言えません。


アリサさん「それは、大丈夫だと思いますよ。

      何しろ、姉の気分次第なところも大きいので、

      強引にでも、話を繋げて終わらせないでしょう。」


ためぞう「終わらない夜の始まりだとでもいうのか・・・。」


シオン君「何言ってるんですか、ためぞうさんッ!

     変な事を言わないで下さい。」


アリサさん「変な事を思ってはいけませんよ、シオン君。

      やっと姉弟が再会できたのですから、

      ためぞうさんには、感謝しなければいけません。


      エンジョイ 冒険?」


シオン君「うわーん。」


 ためぞうは、思ってみた。


 どうやって、エリスねーさんや、

 周りの人たちをごまかそうと。


 バレたら、とても窮地に追い込まれるらしいのだが、

 どうやって、女装したシオン君とお泊り会を成立させればいいのか。


 試練が、より強力である方が、

 ためぞうは、その試練を楽しめるような気がしていた。


ためぞう「そうだ、しばらくはジャージでごまかせば、

     いいんじゃないか?」


シオン君「ジャージで、ごまかせるのですか?」


ためぞう「やってみなければ、わからない!


     でも、それが、冒険というものだろう!!」


 ・・・いつしか、ためぞうは、

 冒険について、熱く語るようになっていた。


 そして、夕方。

 エリスねーさんの家。


エリスねーさん「おうっ!

        ためぞうが、なんかすげー可愛い子を連れてきたぞ。


        つ、ついに、ためぞうも勝ち組になったのか・・・。」


シオン君「あ、初めまして、

     よろしくお願いします。」


ためぞう「言い訳はしない。

     今日から、オレのテントで暮らす事になったシオン君だ。


     よろしく頼むよ、ねーさん。」


 ためぞうの男前発言に、エリスねーさんはひるんだ。

 すると、ねーさんの家の奥から、

 学園の事務員さんで、ためぞうの協力者、

 セリスさんが出てきました。


 セリスさんは、言わなくても分かる人なので、

 ためぞうの事情を都合良く理解してくれます。


セリスさん「なるほど、

      アリス会長さんの妹さんのシオンさんですね。


      そういえば、世間知らずのシオンさんを、

      信頼が出来るためぞうさんに、預けたいと、

      そのようなお話があったような気がしなくもありません。」


エリスねーさん「そ、そーなの?」


セリスさん「はい。

      そもそも、ためぞうさんにハッピーフラグが成立した時点で、

      ためぞうさんの冒険が終わると心配していたのは、

      エリス様の方ではございませんか。


      もし、そのような関係であったなら、

      今頃、夕日に照らされたためぞうさんの旅立ちを、

      私たちが見送っているシーンの最中だと思いますが。」


エリスねーさん「だよなぁ!

        ためぞう、ここにいるしな。


        焦って損した。」


 セリスさんが、微妙に説得力のあるウワサを広げてしまったので、

 誰も、ためぞう達の仲を疑うような事がなくなりました。


シオン君「すごいよ、セリスさん!!」


ためぞう「あ、こんばんは、サフィリアさん。

     レミーアさんも、ども!」


サフィリアさん「こんばんはー。」


レミーアさん「こんばんはっす!」


 二人の手には、お泊りセットが入ったバックが握られています。

 サフィリアさんの連れている、ネコx2さんも、

 今日は一緒です。


 ネコx2さんは、シオン君を見ています。


ネコx2さん「何処かで、お会いしましたかニャ?」


サフィリアさん「わー、綺麗な子ですね!

        私、サフィリアですー。」


レミーアさん「会長さんの妹さんって、ウワサだよ。

       レミーアです、よろしくおねがいしますー。」


シオン君「あ、どうも、シオン=クラウスです。


     ねぇ、ためぞうさん!

     これって、どうなっているの!?」


 レミーアさんはおろか、ネコさんたちまで、

 シオン君の事がわかりません。


 ためぞうは、一番星を見上げながら

 シオン君にこう言いました。


ためぞう「オレにも、昔、何でも話せるマブダチがいたんだ。


     でも、その名前さえ消えかかってる。

     確か、記憶が正しいなら、マスオストさん。


     ほら、あれがマスオストさんの星だよ。」


シオン君「言ってる意味はわからないけど、

     お星様って、綺麗だね。


     うん、見えない力があるって言いたいんだよね。

     ためぞうさんと一緒にいたら、

     ボクの足らない何かをきっと見つけれる気がする。


     だって、姉さんに怒られたくないもの。」


 シオン君が、空気を読んでくれる子で、

 ためぞうは、良かったと思いました。


 次の日の早朝。


 アリサ副会長さんが、ためぞうのテントにやって来ました。


アリサさん「頑張って、早起きして来ました!


      シオン君は、もう冒険しちゃったのかな?」


シオン君「やあ、おはよう、姉さん。


     これはもう、毎日が冒険だね!」


アリサさん「ほほーーっ!」


シオン君「湯気の向こう側が、見える特訓とかやってるんだよ!

     そんな事、思いつきもしなかったよ。


     与えられるものだけで満足するのではなく、

     新たな力を得る事で、技術革新してるんだ。


     ボクも、早く身に付けないと。」


アリサさん「・・・。


      それって、テレビのゆけむりシーンとかの、

      お色気は湯気で隠せ、を看破するワザの方?


      妄想の範囲を超えないようにね。」


シオン君「はーい。」


アリサさん「(まあ、時間の問題でしょう。


       私の妄想力の為に、

       がんばってくださいね、ためぞうさん。)」



   ためぞうの冒険 II フルスロットル!

                        つづく。
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ためぞうの冒険(仮) II 第三十五話 「試練いろいろ。」

2015年02月11日 16時53分12秒 | ためぞうの冒険(ダークフォース セカンド?仮+未定)
ためぞうの冒険(仮) II 第三十五話。



   「試練いろいろ。」



 ためぞうの試練は、

 いつも適当な感覚で訪れます。


ためぞう「そーゆーのやめろよ!」


 イヤよイヤよも好きの内。

 ためぞうは、今日はやることもなく、

 エリスねーさんの家のこたつでお留守番です。


 ためぞうは、わりと落ち着いています。

 電気ポットでお茶を入れて、

 来るなら来いよ、と余裕でお茶飲んでます。


ためぞう「だから、今日は何の試練なんだよ!?」


 知りたいですか?

 知らずに見過ごす事も出来ることもあるのですが。


ためぞう「誰が黒幕かは、知らんが、

     知らなくていいものなら、どうかお帰りを。」


謎の声「ふふっ、仕方ありませんね。

    では、お邪魔します。」


 ガラガラっと扉を開けて、

 アリス生徒会長さんが入って来ました。


ためぞう「か、会長さんでしたか!?

     すぐに、お茶入れます。」


アリス会長さん「まあ、ありがとうございます。」


 会長さんは、ためぞうと向き合うように、

 こたつへと入りました。


アリス会長さん「ずずーっ、心温まるお茶ですね。

        あ、それでですが、

        ためぞうさんに、試練っぽいものが発生しそうなので、

        事前にお伝えに参った次第なのです。」


ためぞう「おお、それはありがたいです。」


 ためぞうは、お茶菓子にみたらし団子と大福を出します。


アリス会長さん「まあ、甘党だと覚えてくれていたのですね。

        うれしいですね。


        まるでそう、例えるなら、

        私とためぞうさんは、幼馴染みか、

        恋人か、夫婦のようですね。


        残念ながら、私は好感度設定がありませんので、

        そこまで飛躍する事はございませんが。」


 それでも会長さんは、そんな空気を楽しんでいるようです。


アリス会長さん「では、本題に戻りますね。


        ためぞうさんに、ある意味のエンディングが近付いています。

        これは、毎年発生するイベントなので、

        あまり気構えないで下さいね。


        チョコレートの日がやって来ます。」


ためぞう「チョ、チョコレートデーとかいうウワサの・・・。

     もらった事はありませんが、

     毎年、記憶の奥底にイベント自体を消し去る事で、

     その試練を回避したような気がします。」


アリス会長さん「乙女の気持ちの詰まった、その甘い誘惑を手にすれば、

        勇気100倍、元気1000倍、


        最速ためぞうさん伝説を、その歴史に刻むことをも出来るでしょう。

        ですが、同時にそれは、ためぞうさんの卒業を意味するのです。


        - ためぞうさんの冒険 就職活動編 - 辺りに流れて行く事でしょう。


        それは確実に、一つの幸せのカタチではあるのですが。」


 ためぞうは、思いました。

 そんな人生も素晴らしいんじゃないかと。

 乙女から本命のチョコレートを貰えるチャンスなんて、

 ためぞうの長い、5000年の人生では、

 有り得なかった事なのです。


アリス会長さん「5000年・・・。苦労なさっていますね。」


ためぞう「えー、現在は18才くらいということでお願いします。」


アリス会長さん「私一人では、決められない事のようなので、

        みなさんの意見を伺ってみることにいたしましょうね。」


 こうして二人は、お隣のレイカさんの家に行きました。


レイカさん「アリスさんと、ためぞうさんがラブラブに腕組みして、

      一緒に来るなんて!」


アリスさん「エリスさんのこたつでの、ためぞうさんとのやり取りは、

      しっかり覗かれていたような気がしますが。

      そこで、レイカさんにもお伺いしたいのですが、

      どうすれば、この危機を穏便に済ます事ができるでしょう?」


レイカさん「そうですねー。」


 レイカさんの家は一人暮らしには割と広い感じの3LDKです。

 せっかくなので、ローゼさんや、ファルさんも呼んでみました。


ローゼさん「おじゃましますー。」


ファルさん「おじゃましますー。」


 レイカさんの家に、アリス会長さんがいたので、

 二人はちょっとだけ、緊張しています。


アリス会長さん「ごきげんよう、みなさん。」



 早速、議題の方に移ると、いくつかの問題が浮かび上がってきます。



   ・ 古蔵さんも、今年は貰えるかも知れない。


   ・ ローゼさんのヒゲパパは、放置でも可。


   ・ レオクスさんは、防ぎきれないのでやはり放置。


   ・ セバリオスさんは、きっともらえないのでこれまた放置。


   ・ エリスねーさんが貰ってるのは、いつもの事なので温かく見守る。



 以上の点から、古蔵さんが注意人物のようです。


 古蔵さんは、ラウエルさんを気に入っているので、

 (リンカさんは、大人バージョンだけ好かれている。)

 もし奪われれば、ファルさんは大いなる危機に立たされるでしょう。


ファルさん「そんなのダメー!!」


アリス会長さん「事の重要さが、お分かりいただけましたか?

        覇王同士の勢力バランスさえ、変える魔力を、

        この時期のチョコさんは、お持ちなのです。」


 アリス会長さんは、そう言いながら、

 レイカさんの手作りチョコをパクパク食べています。


レイカさん「ちょっと、アリスさん!?」


アリス会長さん「とても愛のこもった、甘いチョコですね。

        どなたに差し上げるつもりだったのかしら?」


レイカさん「ぎ、義理チョコです! ご近所のみなさんに、

      日頃のお世話を感謝を込めて、

      レシピ本買って、作ったんです。」


 ファルさんは、ラウエルさんの事で、真面目に悩んでいます。

 心の友ですが、あの古蔵さんにだけは、渡すわけには行かないのです。


 もちろん、ためぞうにも乙女の純愛を渡されては困ります。


 ファルさんは、ラウエルさんのスマホに連絡を入れます。


> ファルさん「ラウー、ちょっといい?」


ラウエルさん < 「どうしたある? ボス。」


> ファルさん「ここ数日中に、誰かにチョコ渡したりする?」


ラウエルさん < 「ああ、街は盛り上がってるあるね。

          特にそれはないあるよ。


          渡したほうがいいあるか?」


> ファルさん「くれるなら、私に頂戴。」


ラウエルさん < 「OKあるよー。」


 通話が終了しました。

 どっと疲れた顔をしたファルさんです。


ファルさん「私、間違ってるのかしら・・・。」


ローゼさん「ためぞうさんを応援しようよの会では、

      抜け駆けは禁止なのです。


      今のためぞうさんは、ちょっとした事で、

      冒険が終わってしまう、転換期にあるわけですから、

      舵取りがとても難しい位置にあるのです。


      チョコレートデーに限らず、

      二人で映画館、観覧車、メリーゴーラウンド。


      これら、全てでエンディングの危険が待っています。

      だから、ファルさんもどうかお気になさらず。」


ためぞう「面目次第もないっす。」


 ローゼさんは、秘密の便利な本を取り出すと、

 ためぞうについて、ちょっと調べてみました。


レイカさん「おぉ・・・、実在するんですね。全知の書!」


 レイカさんが興味深くその秘密の本を見つめていると、

 ちょっと恥らった感じで、ローゼさんはこう言います。


ローゼさん「えー・・・。

      ためぞうさんが、冒険を始めるにあたって、

      履歴書に書いた決意表明がありますので、

      発言させていただきます。


      しゅ、『酒池肉林絶倫計画。』、だそうですよ。」


ファルさん「げほっ・・・。お茶がむせた。」


ためぞう「やめてくれー、

     オレの黒歴史を!

     出来れば忘れたままでいたいんだッ!」


 なんとなく言葉の意味がわかっていなさそうな、

 レイカさんが、こう言います。


レイカさん「それって、もしかして、

      全員から、本命のチョコさん貰うような計画だと、

      思ってもよろしいでしょうか?」


 意味のわかっていそうな、アリス会長さんがいいました。


アリス会長さん「まあ、素晴らしいことです。


        ちなみに私はまだそういう経験はございませんが、

        これで、チョコレートデーが、

        ハッピーデーに変わりましたね♪」


 ローゼさんとファルさんは、赤面しています。

 レイカさんは、本当にわかってないだけのようです。


レイカさん「冒険終わっちゃわないんですよね、

      たくさん、貰っちゃって伝説作って下さいね!


      私も、エリスさんとためぞうさんの為に、

      頑張って、作っちゃいますから。」


 戸惑うためぞう。


 その時、窓の外に見慣れたアホ毛がピンと生えていた!


ためぞう「セ、セリカさんだー!!」


 アホ毛の主は、素早く逃げ去ると、

 町の中で、変なウワサが流れ始めた。


   - ためぞうは、エロいらしい。

        しかも、ギンギンだゾ! -


ためぞう「ウワサ、はやっ!」


 ためぞうは、余計にピンチになってしまったようだ。


ファルさん「これはもう・・・時期が過ぎるのを待つしか。」


ローゼさん「私が、至らぬ事を申さねば・・・。」


レイカさん「本当なのですか?」


 ためぞうは、全てを否定は出来ないらしい。

 健全な男子くらいには、興味はあるのだが、

 エロで、ギンギンは言い過ぎだと思う。


 だが、ためぞうの奥に眠る微妙な男らしさが言うのだ。

 言い訳は良くないと・・・。


アリス会長さん「ためぞうさん、その覚悟は立派です。

        ですが、学園内の風紀というものもありますので、

        ためぞうさんには、もっとお淑やかに、

        密やかに、隠された秘密の花園的に、

        ウワサには気をつけていただかねばなりません。


        言い訳をしないその意気は賞賛に当たりますが、

        ちょっとウワサの方を何とかしなくてはいけませんね。


        レイカさんも、その一旦として、取りあえず、

        ためぞうさんの方のチョコは、義理でお願いできないかしら。」


レイカさん「はーい。」


 エリスねーさんが、帰って着ました。

 でも、ためぞうはお隣さんに遊びに行っているみたいなので、

 ねーさんもこちらへと、たずねて来ました。


  ピンポーン!


エリスねーさん「エリスですー。」


レイカさん「あ、どぞどぞ。」


 中には、強力なメンバーが揃っていたので、

 エリスねーさんも、おっ、となってしまいました。


エリスねーさん「会長さん、ファルさん、ローゼさん、ども!


        おい、ためぞー。

        何か町で、変なウワサが流れてるぞ。」


ためぞう「それで、困ってたんだよ。」


エリスねーさん「つーか、あれ、

        古蔵のウワサだよね?」


みなさん「!?」


 エリスねーさんは、勘違いをしています。

 確かに古蔵さんも、同じ志を抱いていましたが、

 ためぞうも、こっそりと抱いていたのです。


 変なウワサが、古蔵さんのものに置き換わりました。



  - 古蔵さんは、銀河の全てを手に入れて、

      エロエロで、ギンギンな生活を手に入れようと、

                  大いに頑張っているゾ!! -



 何か、微妙にひどくなってます。


アリス会長さん「結果オーライ?」


ファルさん「ええ、望む所です、フフフ・・・。」


レイカさん「ネコのマスクマンの宅配屋さんですよね?」


エリスねーさん「大切な想いを乗せたチョコだって、

        たくさんあるんだよ。


        あれは、作るのと同じかそれ以上に、

        渡すのが難しいよな・・・。」


 エリスねーさんが、それとなく話をまとめようとしていると、

 レイカさんの家に、凄い勢いで、

 古蔵さんがやって来ました!


古蔵さん「ネコのマスクの古蔵です!


     ピンチです、ねーさん助けて!!」


 エリスねーさんが玄関先に出て、

 古蔵さんを説得します。


エリスねーさん「お前、このくらいのピンチなら余裕で越えられるだろ。

        大体、言ってたのは本当の事なんだし。」


古蔵さん「オレ、いま真剣にバイトやって、

     仕事が楽しいんだよ!


     行く先々で、そんな誤解されたらオレ、

     泣いちゃうよ。


     女性についても、今は、その子の笑顔を守りたいって、

     昔とはだいぶ、変わったんだよ。

     そりゃ、一度もいい事はなかったけどね。


     頼むよ、ねーさん・・・。」


 古蔵さんが、真面目になってきたのは、

 エリスねーさんも分かっています。


エリスねーさん「あーもう・・・。

        助けなきゃ、気になって、私が寝れなくなっちゃうよ。


        ローゼさん、ちょっといい?」


ローゼさん「はーい。」


 ローゼさんが、やって来ました。

 古蔵さん好みのナイスバディなプラチナの髪のお姫さまです。

 最近は、表情まで穏やかで、キラめいています。


 古蔵さんは、惚れ吹き矢(三連発)を必至でこらえている!!


エリスねーさん「ウワサって、なんとか出来る?」


ローゼさん「出来ない事はないのですが、

      何しろ、未完な本なもので、

      うまく出来なければ申し訳ないです。」


エリスねーさん「あ、いいから、適当で。


        おい、古蔵。吹き矢なんとかしろ。

        言ってたことと違うじゃねーか。」


 古蔵さんは、思いっきり息を吸ってたので、

 げほげほ、むせています。


 ローゼさんの全知の書(みかん)が発動!


 ウワサは、上書きされました。


  → - 愛に枯れた古蔵さんに、義理チョコの一つでも。 - と・・・。


 ウワサが、追記されました。


  → - 彼女募集中! 出会い上等! 愛羅武勇!! -


エリスねーさん「よかったな、古蔵。」


古蔵さん「ありがとう、ローゼさん! ねーさん!」




ローゼさん「では、またー。 ^-^」
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ためぞうの冒険 II 第三十四話 「梅の花の咲く頃に。」

2015年02月06日 14時50分48秒 | ためぞうの冒険(ダークフォース セカンド?仮+未定)
 ためぞうの冒険 II 第三十四話。


   「梅の花の咲く頃に。」



 ためぞうは、何となく一年間くらい、

 頑張りました。


 そもそもタイトルが、「冒険」だったのが、

 間違いの元なのです。


ためぞう「・・・冒険は、出来ていない。

     ゲームとかでは、しっかりやってるんだが。」


 そろそろ、苦しくなってきたので、

 「きらめき、ためぞうの学園生活(仮)」辺りに、

 変更してみませんか?


ためぞう「変更できるなら、ぜひ!

     冒険出来ていない自分に、

     それは、ありがたい様な気がします。」


 ためぞうは、ワープしました。


 - セントクラウス学園、第うにゃうにゃ回、卒業式。 -


ためぞう「卒業はワナだから気をつけなさいと、

     エリナ先生に言われていたんですが、


     ためぞうは、そろそろ仕事に戻っていいでしょうか?」


 タイトルを変えるのですから、一度くらいは卒業してもらわないと・・・。

 また入学すればいいだけですよ。


 何度でも入学できますので。


ためぞう「あの入試難度で、二度目などないわっ!

     オレの知力は、3しかないんだぞ、

     5科目合計で2500点は無理過ぎるだろう。」


 ためぞうさんは、知らないかもしれませんが、

 テスト無しでも入学できるんですよ。


 例えば、1秒間に15・5回、ボタンを押すとか。

 ノーミスで、スーパーマリモをクリアするなど、

 とにかく、一芸でいけるんです。


 やる気が出てきましたか?


ためぞう「オレは騙されんぞ、

     そもそも卒業式に、誰もいねーじゃねーかよ!」


 卒業式の会場となっている第二体育館には、

 ためぞう以外誰もいません。


 ためぞうは、よく周りを見回して、

 確実にニセ行事である事を確認すると、

 凄まじい勢いで気合いを溜め始めました。


ためぞう「ためぞう、インフィニティーー!!」


 ためぞうの纏う闘気が、どんどん上がっています。

 ためぞうは、禁じられた奥義である、

 『ジャスティスモード』を発動しようとしています!


 冒険やってもないくせに、ちゃっかり必殺技のようなものは、

 習得していたようです。


ためぞう「誰が黒幕かは知らんが、オレはその試練を乗り越えよう!」


 強烈な閃光がためぞうから、

 いや、ジャスティス=ためぞうから放たれています。


 ためぞうは、試練を乗り越える意味を理解しているからこそ、

 隠された力である、ヒーローモードを発動しています。

 試練は避けると、他の誰かを巻き添えにしてしまう事があるのです。


ジャスティス=ためぞう「そこにいるな!」


 ためぞうは、あっさり黒幕を見つけました。

 体育館のビロードの幕に隠れていました。


黒幕のセリカさん「ムムッ! 逃げるが勝ち?」


ジャスティス=ためぞう「ジャスティスビーーームッ!」


 高出力で放たれたヒーロー攻撃に、

 セリカさんは避け切れません!


 ためぞうのビーム攻撃 → セリカさんに3500ダメージ!


セリカさん「うおっ、シールド突き抜けてきたよ!!」


 セリカさんは割といつも、とても強力なシールドを展開しています。

 そのシールドが何故か無効化されているのです。


 ツッコミは、避けてはいけないの本能が、

 セリカさんのシールドに、勝手に穴を開けていました。


セリカさん「・・・やばいね、次もらうと、戦闘不能だね。」


 外では、綺麗に咲いた梅の花を、

 サフィリアさんたちが、花見しながらお弁当を食べています。


 ためぞうの煌きレベルが上がっていくと、

 なんだかかなりのイケメンになってきました。


 この今のためぞうを見ても、

 すぐにはためぞうだとは、気付けないでしょう。


セリカさん「ふっふっふっ・・・ためさん、

      ためさんは、すでに負けている!」


ジャスティス=ためぞう「な、なんだとぉ!?」


セリカさん「そこまで強くなったためさんに、

      もはや、エリスさんは不要とみた!


      越えちゃってるじゃん。」


ためぞう「オ、オレとした事が!?」


 ためぞうは、ふにゃんと気合いを失い、

 ただのためぞうに戻りました。


 すかさず、セリカさんの反撃が来るッ!


セリカさん「グレイテスト=ギャラクシー=ドラゴンアッパーカットゥ!!」


 アッパーの威力は、バツグンだぞ! → ためぞうに6800ダメージ!!


 もろにアッパーを喰らったためぞうは、

 天井に叩き付けられ、

 紙切れのように舞い落ちてきました。


 ためぞうは、戦闘不能になった。


セリカさん「お弁当、食べに行ってくるー。」


ためぞう「・・・オレを回復していけよ・・・う、コテッ。」


 セリカさんはそ知らぬ顔で、第二体育館を後にすると、

 サフィリアさんたちと一緒に、お花見弁当です。


 ためぞうは、動けない・・・。


 日が傾いて、辺りが静かになってくると、

 ためぞうは、ちょっと寂しくなりました。


ためぞう「誰か来て・・・。」


 たまたま部活も休みで、使われなかった体育館の天井を見上げると、

 ためぞうは、今までの一年間を振り返ってしまいます。


ためぞう「卒業の方向にいかないでっ!

     ニセなんだよね?


     出来れば、ちゃんとした形で、

     乙女さんとの想い出付きで、卒業させてw


     同窓会とかも、期待の持てる方向で、

     流れを作っておきたい。」



   ガラガラ・・・。


 体育館の扉が開いている事に気が付いた事務のセリスさんが、

 ついでにためぞうにも気が付いてくれました。


ためぞう「た、助かった!」


セリスさん「それは、ぬか喜びですー。


      私は、回復魔法とか使えないので、

      使える方を呼んで来ますね。」



   それでは、選択肢でぇす!


 ・ 誰に、優しく回復魔法をかけてもらいたいですか?



   → モチモチすべすべ肌のナイスバディ、サフィリアさん。


     運動万能、スレンダーな美白の美少女 レミーアさん。


     関東から来た大和撫子、椿の艶の黒髪の美少女 レイカさん。


     無限の可能性を秘めた、ちっちゃい美少女リンカさん。


     そろそろお花屋さんの仕事を終えそうな、大人なファルさん。


     何が起こるかわからない、無敵女教師のエリナ先生(19)。


     回復魔法が使えるか謎な、でもイチオシのエリス様。



ためぞう「・・・選択肢を7つも同時に出せるとは!?


     ここは、無難にねーさんでいいや。」


セリスさん「はーい。」


 セリスさんからのメールを見たエリスねーさんは、

 慌てて、第二体育館にやって来ました。


エリスねーさん「おい、大丈夫か、ためぞー!」


ためぞう「な、長かった・・・。」


 エリスねーさんは、困りました。

 ためぞうを回復させる魔法が使えません。


エリスねーさん「ん? なんだこれ。」


 ためぞうの横に、エナジー回復ドリンクのビンが置かれています。


エリスねーさん「これ、飲めばいいんじゃねーの?」


ためぞう「セリスさん、気付いてました?」


セリスさん「ひゅ~るるる~♪」


 エリスねーさんは、ためぞうにエナジードリンクを飲ませた。


 ためぞうが、ギンギンに復活した!


ためぞう「・・・無駄な元気が溢れてくる。


     セリカさんは、いつもこんなの飲んでるのか。」


エリスねーさん「良かったな、ためぞう!」


 エリスねーさんが笑っています。

 ためぞうは、この笑みをみると、いつもなんだかホッとするのです。


セリスさん「良かったら、今夜は花見で一杯やりませんか?

      たくさん梅が咲いている場所を知ってるんです。」


エリスねーさん「もしかして、おそば屋さんの近く?

        ノルン姐さんが、出前取ってくれるんだよ。


        店内からも綺麗に見えて、いいんだよね。」


セリスさん「そうなんです、ライトアップとかしてくれてて、

      綺麗ですよね。」


 セバリオスさんが、セリスさんを迎えにやって来ました。

 何故か、セリカさんも付いてきています。


セリカさん「おそばレーダーに探知があったのです。


      いつもヒマでごろごろしてるので、

      良かったら連れてってください。」


エリスねーさん「セバリオス、そば食い行こうぜ!


        ためぞーも行くよな?」


ためぞう「行く。」


セバリオスさん「では、レオクス君も呼んで、一緒に行こう。」


 そうやって、セバリオスさんの車にみんなで乗り込むと、

 俊足を飛ばして、レオクスさんがやって来ました。


 どうやら、ランニングの途中だったらしく、

 紺のフリースにオシャレなスニーカーという格好です。


レオクスさん「着替えてなくてすいません。

       音速で駆け抜けてきましたよ。」


セバリオスさん「はい、タオル。

        柔軟剤にはこだわっているんだ。」


 ほのかに汗の香るレオクスさんが、

 車内へと乗り込んできます。


 お花の芳香剤のタオルも、いい匂いがしますが、

 レオクスさんから流れる汗は、

 とても若々しい、甘いメロンのような香りです。


エリスねーさん「(これが、王子様の香りなのか!?

        すげー。)」


セリスさん「(ああ、こういう王子様の空気もいいですねぇ。)」


 途中、ノルンさんのいる長崎ドラゴン魚市場に寄ると、

 そこには、エストさんと事務の鈴木さん、佐藤さんもいました。


エリスねーさん「そば食べいかね?」


ノルンさん「おー行く行く!」


鈴木さん+佐藤さん「ぜひ、お願いしますー!」


 こうして、ノルンさん行き付けのおそば屋さんに到着しました。


そば屋の大将さん「おお、ノルンちゃん、今日はにぎやかだね。」


ノルンさん「大将、いい席空いてる?」


そば屋の大将さん「おう、ノルンちゃんの頼みなら、

         オジサン、ことわれねえな!


         奥にある、別邸を使いなよ。」


 大将さんの心意気で、離れの広間を使うことが出来ました。

 梅の花が満開に咲く庭園を、ゆったりと望む事ができる立派な部屋です。


ためぞう「そば打ちの指導、これからもよろしくお願いします。」


そば屋の大将さん「いつでもおいでよ。

       ノルンちゃんの弟分なんだよな。」


ためぞう「ありがとうございます!」


 ためぞうたちは、席に着きました。

 ちょうどレオクスさんが窓側に座ったので、

 堂々と梅の花を見ながら、レオクスさんも見れます。


鈴木さん「いいですねー、王子様ですねー。

     梅の花もきれいですー。」


佐藤さん「キレイなものを見るって、素晴らしいことですよね。

     どきどきしちゃいます。」


 エリスねーさんと、ノルンさんはメニューを見ながら相談中です。


エリスねーさん「天そば御前に、花見酒でいいかな?

        未成年は、各自、好きなドリンクで。


        ノンアルコールの梅サワーとかいいんじゃない?」


エストさん「炭酸いいですねー。

      私は、それを頂いちゃおうかな。」


ノルンさん「それじゃ、注文するねー。」


セリカさん「おそばの神様に感謝。」


 セバリオスさんとレオクスさんが、

 こそこそと話し始めました。


セバリオスさん「ひそひそ・・・、

        エリスはある程度酔うと、性格がかなり変わるのだ。」


ためぞう「・・・変わりますね。」


レオクスさん「なるほど・・・それは、とても興味あります。」


 ためぞうも加わって、あれこれ話しています。


 鈴木さんと佐藤さんにとっても、エリスねーさんの情報は重要なので、

 こそっと聞き耳を立てています。


セバリオスさん「まあ、一言で言うと、

        ツンデレのデレの部分がハンパないな。


        あんな顔して、すんごい甘えて来る。

        それに、とても素直だ。」


レオクスさん「むはっ・・・。」


鈴木さん+佐藤さん「(おー萌えますねっ!!

           そんなにギャップ凄いんですね。)」


セバリオスさん「個人的に、あれは秘かに楽しむべきであって、

        公然とした場所で、アレをやられると、

        エリスの変なウワサが立って、

        たぶん、こっそり人気が出る。


        私が近くにいるから、エリスは求婚されないだけで、

        だが、いくら私が頑張って妨害しても、


        ツンデレ乙女の正体を知った者達を果たして止められるかどうか。


        ちなみに、未成年の頃のエリスは、

        もっと分かりやすかったので、

        お酒なしでもたまにそうなる事があった。」


レオクスさん「ここは、守っておかないといけませんね。」


セバリオスさん「うん。

        女子のお泊り会だったりすると、

        気にもならないのだが、

        エリスを簡単に嫁にやる気なんてないからね。

        親父でも何でもないんだか、とりあえず言ってみた。」


鈴木さん+佐藤さん「(お姉さんのヒミツを守り抜きましょう!

           お泊り、楽しみだなぁ!!)」


 あれこれ話している内に、

 豪華な天そば御前が席へと運ばれて来ました。


 大将さんが、ノルンさんの為に吟醸酒を振舞ってくれました。


ノルンさん「おお、ありがとー!」


大将さん「お得意様への感謝だから、気にせず飲んでね。

     (エリス嬢ちゃんの話、聞かせてもらったぜ。)」


 達人には、聞こえてしまうらしいのです。


セバリオスさん「いやー吟醸酒、美味そうだね。

        (大将の策から、エリスを守らなければね。)」


レオクスさん「わ、私も飲みたいです! (共に行きましょう!)」


 サクッと揚がった天ぷらは、風味と甘みがあってとっても美味しいです。

 十割りのおそばも、コシがあってのど越しなめらかです。


鈴木さん「おいしーい!」


佐藤さん「うん、とっても!」


ノルンさん「そりゃ、良かった。

      いつでも、連れて来てあげるからね。」


エストさん「はふはふ・・・よろしくお願いします!」


 ためぞうは、このそばを打てるようになりたいと、

 味わって食べています。


 エリスねーさんは、グラスで吟醸酒を飲んでいます。


エリスねーさん「うめー!」


 飲みやすいお酒ですが、度数が20度くらいあるので、

 結構、あとから酔いが来ます。


 セバリオスさんは、まったく酒には酔わない体質なので、

 グラスでごくごく飲んでいます。


セバリオスさん「食事に合うよね、日本酒って。」


レオクスさん「とっても美味しいですね。」


 レオクスさんは、すでにぽやんと赤くなっています。

 ブロックの意味ではあまり期待出来そうにがありませんが、

 顔立ちが女性のような感じなので、

 頬に紅が差したその表情は、とても艶があって素敵です。


 レオクスさんは、酔うとよく笑うようになります。

 真面目すぎる性格から、丁度いいくらいのご機嫌な感じに優しくなります。


ノルンさん「ごくごく・・・。

      (こんなにキレイな男がいるのかってくらい美人だなー。)


      大将! お酒、もう一本持ってきて。」


セバリオスさん「・・・。」


大将さん「あいよっ!」


 セバリオスさんと、そば屋の大将さんとの、

 見えない戦いが始まりました。

 さりげなく、お酒がすすむおつまみなど、差し入れてくれます。


 このやりとりが、梅の花の咲く舞台を前にして、

 一時間ほど繰り返されました。



 ・ お酒の回り具合。



   ノルンさん    = 余裕。


   セバリオスさん  = 全く余裕。


   レオクスさん   = ほろ酔い気分+1


   セリスさん    = 余裕+1


   エリスねーさん  = わりと酔ってる。



セバリオスさん「そろそろ、お開きにした方がいいんじゃないの?」


大将さん「せっかくみんなで来てくれてるんだから、

     遠慮しないで、ゆっくりしていってよ。」


 大将さんは、ノルンさんから注文を取っています。


ノルンさん「みんな、まだ平気だよね。

      大将、お任せでよろしくー!」


セリカさん「お土産もよろしくー!」


大将さん「あいよっ!」


 セバリオスさんは、大将やるな! と思いました。

 大将さんの持ってくる吟醸酒は、

 口当たりもなめらかで、ほのかにメロンのような香りがする、

 素晴らしいセレクトなのです。


 こんなに美味しいお酒を、

 エリスねーさんに飲むなとは、

 さすがにセバリオスさんも言えません。


 セバリオスさんは、相手にも快く賛辞を送ることの出来る、

 わりと心が広い方なので、

 エリスねーさんが変な事になるのも、仕方ないと、

 美味しく料理を頂く事にしました。


エリスねーさん「このお酒、ほんとに美味しいね。

        姐さんの行き付けのおそば屋さんで、

        はしゃいじゃってごめんね。」


ノルンさん「私と大将の仲だから、エリスが気にするなって。

      ここ、離れになってるから、大丈夫だよ。」


レオクスさん「エリスさんは、私が守る!」


 レオクスさんも、相当酔っています。


エリスねーさん「えーーっ!


        ・・・ま、守ってもらっちゃおうかな。」


レオクスさん「うはぁ!」


 レオクスさんが、ノックアウトされました。


ためぞう「じわじわ、変わり始めとるな。」


鈴木さん+佐藤さん「そーなんだ。」


 レオクスさんは、恥ずかしそうな顔をして、外の梅の花を眺めています。

 そういう経験値はほぼゼロに等しいレオクスさんは、

 心の中で、ひたすらに算数ドリルを解き続けています。


レオクスさん(・・・危うく、ためぞう君の冒険を終わらせてしまう所だった。

       つい、嬉しさのあまり、KOされてしまったが。


       エリスさんはいい!

       だが、ためぞう君にはエリスさんが必要なんだ。


       ・・・でも、いい夢は見ました。てへ。)


 だいぶ、レオクスさんも酔ってしまっているようです。


 さらに一時間が経過します。


セリカさん「また、ご馳走してねー。」


 セリカさんは、天ぷらのお土産を持って、

 一人カラオケに行きました。


 レオクスさんと、エリスねーさんの酔いが、

 かなり回っています。


 セリスさんは、エリスねーさんの横で、

 ぴったりくっついて、お酒を飲んでいます。


 そんなエリスねーさんですが、

 とてもニコニコしています。


ためぞう「セバリオスさん、レオクスさん、

     ねーさんそろそろっすよ。」


セバリオスさん「エリスが楽しいんじゃ、仕方がないね。」


レオクスさん「・・・いや、頑張りましょうよ、

       セバリオスさん。」


セバリオスさん「そう?

        なら、ちょっとだけ頑張ってみよう。」


 ノルンさんと、大将さんは、

 世間話で盛り上がっています。

 大将さん、なかなかいい位置取りです。


 そんな大将さんに、エリスねーさんはこう言います。


エリスねーさん「おそばも、天ぷらも美味しかったです。

        私だけの時でも、また、寄らさせてくださいね。


        今日は本当に、ありがとうございます。」


 頬を赤く染めたエリスねーさんは、上目遣いに言いました。

 その心からの言葉に、大将さんは心を射抜かれます。


 優しく微笑むその笑顔を見ると、

 胸の奥が、温かなもので満たされる気持ちでした。


 それでいて、その感じをニコニコとした笑顔で、

 緩やかなものにしてくれています。


ためぞう「案外、しっかりしてるなぁ。

     酔ってるのは見た目だけなのか?」


大将さん「俺の作ったものをこんなに綺麗に食べてくれて、

     料理作ってて良かったよって、思うその瞬間が、

     まさに今だよ。


     こっちまで、笑顔にさせられちまうや。」


 この時、大将さんとセバリオスさんと、レオクスさんの間に、

 友情のようなものが芽生えました。


 『我ら、生まれた日は違えども、

  共に、この微笑みを守っていこうよ! の会。』みたいな感覚です。


鈴木さん「友情って素晴らしいですよね!」


佐藤さん「天そばって、素晴らしいですー。」


 帰り際、セリスさんがお会計をしていると、

 こっそりと何かが入った封筒を、大将さんに渡しました。


セリスさん「(・・・エリス様のデレの時の生写真ですー。)」


大将さん「おお・・・ありがとう、お嬢さん!!」


 こうして、夜の梅の花と、大将さんに見送られて、

 セバリオスさんの車へと乗り込み、みなさん家路へと着きました。

 

 その次の日の朝・・・。


 長崎ドラゴン魚市場。


そば屋の大将さん「次、いつエリスちゃん連れて来るの?」


ノルンさん「お魚、買いに来たんじゃないの!?」
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ためぞうの冒険 II 第三十三話。 「お引越し。」

2015年01月15日 12時10分24秒 | ためぞうの冒険(ダークフォース セカンド?仮+未定)
ためぞうの冒険 II 第三十三話。


   「お引越し。」


 エリスねーさんの家の隣に、

 レイカさんが引っ越して来ました。


 学校帰りの、サフィリアさんや、

 レミーアさんも手伝っています。


レミーアさん「部屋も多いし、お泊りも余裕ですよね。


       よかったら遊びに来ていいですか?」


レイカさん「はい、ぜひ。」


サフィリアさん「わ、私も。」


 みなさん、楽しそうに引越しのお手伝いをしています。


 エリスねーさんは、なかなかの美人さんなのですが、

 その男前な性格から、女子達にも人気があって、

 焦るような年でもありませんが、行き遅れさせられています。


ためぞう「ねーさん用の攻略陣地が築かれとるな。


     すでにオレのポジションは、

     ねーさんのオマケのみたいなだからな。」


 ためぞうは、ガールズトークの邪魔にならないように、

 外で荷物運びを手伝っています。


 そこに、つやつやな感じになったセバリオスさんがやって来ました。


セバリオスさん「やあ、ためぞう君。

        おせんべい食べる?」


 ためぞうは、お土産に越後のおせんべいをもらいました。


ためぞう「どうもっす!


     なんか、セバリオスさん、

     えらく美肌になりましたね。」


セバリオスさん「正月にたくさんお餅を食べて、

        その後、温泉修行に行ってたからね。


        ゆけむり温泉旅行イベントの為に、

        いろんなスキルを磨いてるんだ。


        レオクス君も一緒に行ってたりする。」


 神っぽい実力を持つセバリオスさんでも、

 優しく乙女を包むヴェールである、

 ゆけむりのその先を見る事は、不可能に近いらしいのです。


 どうでもいいおじさんとかは、

 バリバリ見えるらしいんですが。


 そのゆけむりの先のイメージをより鮮明にする修行として、

 心の目を鍛えているそうです。


ためぞう「おお・・・、


     ゆ、湯気で見えねぇ!

     を想定しての特訓ですな。


     ためぞうは、想い出を取りこぼすところでした。」


セバリオスさん「今日は、一応家主として、

        レイカさんに、

        ごあいさつに来た所だよ。


        町内会長のアリスさんに、

        レイカさんの護衛も頼まれているので、

        エリスの近所に引っ越してきてくれたのは、

        私としては、とても嬉しい。


        そうだ、

        ためぞう君に、もう一つ渡すものがあったんだ。」


 ためぞうは、セバリオスさんから、

 雑誌の入った紙袋を受け取りました。


セバリオスさん「ここで開けちゃダメだよ。


        エリスが元々モデルをやってる雑誌の今月号だよ。

        サフィリアさんと一緒に出てるから。


        袋とじの所とか、B2ポスターとか、

        ちょっと豪華な新春特大号になってる。」


ためぞう「どこの本屋さんにもなかったんですよ・・・。


     さすが、セバリオスさん。」


セバリオスさん「うん、古蔵君が買い占めてたからね。


        私が3+1冊、レオクス君が3冊、

        アリス会長さんの妹さんが1冊、

        レイカさんも3冊買ってたよ。」


ためぞう「・・・いろんな本屋さん、回ってるんですね。」


 ためぞうは、雑誌の入った紙袋を、

 ダッシュで、キャンプへとしまってくると、

 素早く戻ってきた。


ためぞう「ぜぇぜぇ・・・ありがとうございます!」


セバリオスさん「私とためぞう君は、いずれは兄弟

        みたいなものだからね。


        エリスの事を、これからもよろしく頼むよ。」


 ためぞうは、最近になって、

 そろそろ少し冒険したほうがいいんじゃないかと思っています。


 ただ、その冒険の難易度が、

 ためぞう一人だとちょっと高いのです。


 セバリオスさんは、二つ返事で引き受けてくれそうです。


 ですが、仮にセバリオスさんに付いてきてもらった場合、

 ためぞうは、自分は活躍できないんじゃないかとも思いました。


 同じ理由で、レオクスさんが来ても、

 ためぞうに出番はなさそうです。


セバリオスさん「ん? 冒険したいの、ためぞう君。」


ためぞう「お!? わかっちゃうものですか。」


セバリオスさん「心の目で見たというか、

        それでもゆけむりの先は見えないんだが。


        でも、ためぞう君は、

        けっこう強いよね?

        さらっと冒険に行くには、難しいレベルだよねー。


        四天王クラスの実力だと、

        強い戦士たちが来るのを待って、

        熱い戦いとかで、

        友情が芽生えたりするパターンだから。


        でも、ホーネル君みたいに拠点防衛に加わると、

        戻ってくるのも大変になるからね。」



 ・ 防衛戦 = タイトル防衛戦などに似ています。


         負けたら、四天王陥落などのダメージをたまに受けるので、

         とてもたくさんの経験値が入ります。


         比較的長期間、拠点にいなければいけないので、

         ためぞうの学園生活もかなり失われます。



ためぞう「イベント回収率が少ないうちは、

     魔王の城を守るより、アクティブに動きたいっす。」


セバリオスさん「町内会の掲示板で、

        いい日帰りクエストがあった時は連絡するね。


        正直、ためぞう君がエリスより強くなってしまうのは、

        望みではないんだけれど。


        聞こえてるよね? ためぞう君の上司のセリカさん。」


 柱の影に、セリカさんがいました。


セリカさん「バレたか。」


 セリカさんは、けむり玉を使ってドロンと消えました。


 特に理由もなく、面白くなればいいとかの感覚で、

 ためぞうの背中にチラっとみえる、

 「ジャスティス スイッチ」を押そうとするセリカさんです。


ためぞう「おお! なんかスイッチがある。」


 とって付けた様なスイッチがありました。

 押すと、ためぞうは正義のパワーに溢れた、

 無敵のヒーローになれます。(押すと元には戻れません。)


 コレを押せば、

 冒険しなくても、とっても強いヒーローになれます。

 見た目も、かなりのイケメンになって、

 レベルもたくさん上がります。



  ・ 押してみませんか?


    → 正義のヒーロー伝説を作ってみる。


      ジャスティス、最高! とか言われてみる。


      目指すは、カイザー! テッペン獲ろうぜ。



ためぞう「・・・。


     全部、ワナっぽいな。」


 セバリオスさんが、背中のスイッチを取ると、

 選択肢が消滅しました。


セバリオスさん「これ、セリカさんが仕込んだヤツだね。


        確かに、潜在能力を呼び覚ますだけだから、

        強くはなるんだけど、


        もしかすると、エリスより強くなっちゃうかも知れないので。」


ためぞう「おお、ねーさん並なのか・・・。」


 エリスねーさんは本気を出せば、

 セバリオスさんとも、わりとガチで戦えます。


セバリオスさん「これは、私の願いも入っちゃってるので、

        正しい意見かどうかは、

        難しいところだけれど、


        今のためぞう君は、

        エリスより強くなるのは、

        避けるべきだと思うんだよね。


        だって、エリスより強くなったら、

        エリスはきっと、

        ためぞう君の元から離れちゃうよ。


        エリスは、ためぞう君を守るのが元々の役目だからね。」


ためぞう「はっ!?


     それは、困りますね。」


 うっかり強くもなれないという、

 微妙な立場に立たされている、ためぞうでした。


ためぞう「さすが、セバリオスさんは、


     いい事を言う。」


 セバリオスさんは、レイカさんにご挨拶にいきました。


 引越し結わいにセバリオスさんが頼んでおいた、

 お花のギフトセットを、ファルさんが持ってきます。


ためぞう「こんにちは、ファルさん。」


ファルさん「こんにちはー、ためぞうさん。」


 一緒に付いてきた、ユッキーさんが、

 お花を持って、中に入って来ます。


ユッキーさん「どもですー。」


ためぞう「こんにちは、ユッキーさん。」


 ユッキーさんは、エリスねーさんの家にお世話になっているので、

 お花屋さん以外でも、ためぞうとはよく会っています。


 なんとなく気付いてはいたのですが、

 エリスねーさんは、ためぞうの為に、

 強力なチームを構成してくれています。


 ・ ためぞうが困る。 = エリスねーさんも困る。


 の図式で、

 何かあったら、みなさんが助けてくれるでしょう。


ファルさん「そうですね、


      私も、ためぞうさんが困った事になったら、

      やっぱり見過ごせないと思います。


      この前は、変な試練を与えてしまって、

      どうもすいませんでした。」


ためぞう「あー、いえいえ。


     いろいろ助けてもらってるので、

     こちらこそ、ありがとうございます。」


 三学期になって、

 どきどきな展開や、冒険も、

 うっすらとしている、ためぞうは、

 このまま、淡々と流されていいのかを、

 少し考えるようになりました。


 今では、こういう相談も、

 気軽に出来るような関係に、

 ファルさんとはなりました。


 関係としては、なかなか良好なのですが、

 友情っぽいものを、

 愛情のようなものに変えるイベントは、

 まだまだ、発生しなさそうな、ためぞうです。


ファルさん(ええ・・・、


      今や、親友とも呼べるローゼさん同様に、

      押しの弱さを感じるようになりました。


      以前、天下を取った気でいた私ならば、

      このためぞうさんの、本当の良さに気付くことなく、

      奪うように押し切っていたのかも知れません。)


 ためぞうのいい所は、

 すでに見抜いている、ファルさんやローゼさんです。


 エリスねーさん譲りの懐の深さが、

 王者としての孤高を味わってしまった者には、

 なんとも言えない、癒し成分になっていたりします。


 それは、まるで日だまりの中に置かれた、

 ふかふかソファーのような、ぬくもりなのです。


 ファルさんも、ローゼさんも、

 ためぞうといる時は、自然に笑顔になっている自分に気付くのです。


 今は、山から下りてきたタヌキっぽいためぞうも、

 何かの修行の成果なのか、

 優しさやうるおい成分を、すでに持っています。


ためぞう「さっき、セバリオスさんから言われたんすけど、


     冒険もほどほどに、

     エリスねーさんよりは、強くならない方が、

     いいんじゃないかなって。


     ほぼ最高レベルの実力を持つ、

     ファルさん的にはどう思いますか?」



 ファルさんに、ちょっとだけ選択肢です。



 ・ ためぞうは、

   今後、どうエボリューションすれば良いでしょう?



   → エボリューション! アンド、イノベーション!!


     ガチムチに、マッチョにレベル上げ。


     細マッチョに、レベル上げ。



ファルさん「・・・。


      ・・・あえて選べと仰るなら、細マッチョ?

      いえ、それも無しで。


      基本、選択肢って、

      選べるの出てこないですよね。」


ためぞう「少ないっすよね・・・。


     ワナ避けとして、機能してなくて、

     ためぞう的に、面目ないっす。」


ファルさん「いえいえ。」


 ためぞうとファルさんが話していると、

 レオクスさんが通りかかりました。


 レオクスさんは、国に帰ったお土産に、

 ラベンダーのエッセンシャルオイルと、

 持って来てくれました。


ためぞう+ファルさん「ありがとうございます!」


レオクスさん「実家で作ったものですが、良かったら。」


 レオクスさんも、セバリオスさん同様につやつやしてます。

 温泉修行は、なかなかの効能なようです。


 レオクスさんは、そのままセバリオスさんと一緒に、

 お引越しの手伝いです。


ファルさん(はぁ・・・、やっぱり、

      レオクスさんは美しいですね。


      でも、ためぞうさんには

      ・・・期待しています。)


 ファルさんも、乙女さんなので、

 王子の中の、王子であるレオクスさんには、

 つい、見惚れてしまいます。


 ためぞうの荷物運びもそろそろ一段落です。


ためぞう「やっぱ、レオクス師匠はカッコイイっすね。


     自分はまだまだなんで、

     冒険とか言ってる前に、

     こつこつワザを磨いた方がいいかもですね。」


ファルさん「ためぞうさんが、頑張っている姿は、

      素敵だと思います。


      つい、応援したくなっちゃうというかですね、

      こっちまで励まされるような気持ちになるんです。」


ためぞう「素直に、嬉しいっす!」


 ファルさんは、

 うっかり自分の言葉に照れてしまいました。


 この暖かい気持ちを知ってしまったファルさんは、

 きっと、前の自分には戻れない事を、

 心の何処かで、ホッと受け止めています。


 ローゼさんが、あんなに丸くなってしまった理由が、

 今のファルさんには、分かるような気がしました。


 この隙に、試練を持って来れば、

 ファルさんは、きっとかわせないでしょう・・・。


ファルさん「この余韻を楽しませて!


      ちょっと、試練は待ってくださいッ。」


ためぞう「し、試練っすか!?」


 ためぞうは、トータスの構え III を発動。
 

 ためぞうに、うかつものに良い効果+1 の効果が発動した!


 いつもより、さらにかわしまくる ためぞうの準備は万全だ!



 ・・・柱の影から、ためぞうの上司っぽい人の声が聞こえます。



セリカさん「そんなに、かわせるんだ。


      ・・・ためさんや、もっと強くなるんだよ。」


 一度や、二度ではこりない

 セリカさんがいました。


 わりとスタミナを消費する、試練の無駄撃ちは、

 セリカさんにも負担になるので、


 ファルさんとためぞうの関係を、

 面白い方向にしてやろうと、

 ノリで思ったセリカさんは、

 諦めて、カラオケに行く事にしました。


 セリカさんとしては、

 ファルさんのような強力な方が、陣営に加わると、

 安心して遊びまわる事ができるので、


 優秀な人材を求めて、いつもぶらぶらしています。


 おそらく、ファルさんとためぞうがドキドキな関係になった場合、

 実力では、セリカさんのかなり上を行くファルさんに、

 その領地へと、ためぞうをお持ち帰りされてしまいます。


セリカさん「なんだってーッ!


      ・・・ふぅ、あぶないあぶない。


      ためさんは、あれで結構、

      貴重な人材なので。」


 セリカさんは、スタタタッと去って行きました。


ためぞう「毎度、ウチの上司がすいません。」


ファルさん「あ、いえいえ。」


 都合がいいぐらいで、

 セリカさんのワナにかかって、


 後の事は、うやむやにする手もあるのかなと、

 ファルさんは、思ってしまいました。


ファルさん「お、思ってませんッ!


      では、またー。 ^-^」
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