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ためぞう II 第三十六話 「ためぞうは、思ってみた。」

2015年02月13日 17時21分04秒 | ためぞうの冒険(ダークフォース セカンド?仮+未定)
ためぞう II 第三十六話。


   「ためぞうは、思ってみた。」



ためぞう「冒険無くなってるじゃん!


     ・・・いや、焦るなオレ。

     そもそも、「 II 」だけ残ってる意味がわからん。」


 ためぞうは、毎日真面目に、

 牛乳配達をしています。

 そのせいか、牛乳とプリンに未来を託した少女、

 リンカさんとは、よくお話をしています。


 朝も早くから、ローゼさんのマンションの前で、

 ためぞうが来るのを待つ、リンカさんを、

 街灯の明かりが照らしています。


リンカさん「おはようございます、ためぞうさん。」


ためぞう「おはよう、リンカちゃん。

     はい、特濃牛乳と、牛乳屋さんのプリン。」


 リンカさんは、嬉しそうに三人分を受け取ると、

 マンションの一階の部屋に帰っていきました。


 すると、リンカさんはまた戻ってきて、

 ためぞうにこう言いました。


リンカさん「とあるウワサで、

      あのエリスさんも、中学の頃までは、

      どちらかというと、無い方だったと聞いたのですが、

      本当なんですか?」


ためぞう「ああ、ねーさんな。


     確かに、そんな事をセバリオスさんに聞いた事がある。

     今の姿からは、想像も出来ないけど。」


 ためぞうを見上げるリンカさんの瞳に、お星様がきらめいています。

 何やら、期待が持てたような素敵な笑顔です。


リンカさん「私、頑張って、大きくなりたいと思います!


      バルマード様が振り向いてくれるくらい、

      大人な女性になりたいです。」


 ためぞうには、ローゼさんのお父さんである、

 あのヒゲのおっさんの何処がいいのか、よく分かりませんでしたが、

 ヒゲには、ワイルドな冒険野郎だった伝説は、たくさん残っています。


 ためぞうは「冒険」という言葉を聴くと、

 何とも言えない気持ちになりました。


リンカさん「ためぞうさん。リンカのお話、また聞いてくださいね。」


ためぞう「うん、いつでも言ってね。」


 ためぞうは、牛乳配達の続きに戻りました。

 自転車で坂道を登ったりしていると、

 ちょっと冷たい風も、少し心地いいくらいの暖かさに、

 体が温もってきました。


 そこに、宅配のトラックに乗った古蔵さんが通りかかりました。


古蔵さん「おはよう、ためぞう君。」


ためぞう「お、古蔵さん、おはよーっす!」


古蔵さん「ちょっと配達、手伝わせてもらうね。」


 ためぞうは、ワープしました。


ためぞう「おぅ! なんだぁ!?」


 どうやらワープ先は、セントクラウス学園の生徒会室のようです。


 さすがに朝の五時半に、学園に人影はありませんが、

 応接間の方にお茶の用意がしてあったので、

 なんとなくためぞうは、座ってみました。


ためぞう「せっかくなので、お茶でももらおう。

     ご自由にと書かれているので、問題ないだろう。」


 室内は、先ほどまで誰かいたように、エアコンで暖かくしてありました。

 ためぞうは、急な展開にある程度慣れてしまっているので、

 ワープくらいでは、すぐに平常心を取り戻します。


ためぞう「ずずーっ。

     見知らぬ場所に飛ばされたわけではないのだから、

     慌てる必要などない。


     ああ、ワープするのを古蔵さんは分かってたから、

     配達の手伝いをしてくれるのな。」


 ためぞうが生徒会室でくつろいでいると、

 副会長のアリサさんが入って来ました。


アリサさん「おはようございます、ためぞうさん。

      急に来てもらっちゃって、すいません。」


ためぞう「あ、いえいえ。

     お茶とか準備してもらって、ありがとうございます。」


 ためぞうは、落ち着いています。

 アリサさんも、ためぞうと向かい合わせで、すぐに椅子に座りました。


ためぞう「何か、緊急事態ですか?

     いつもなら、ファックス辺りで通知が来るのですが。」


 ためぞうは、アリサさんの湯呑みにお茶を注ぎます。

 早朝の緑茶の香りは、すっきりして、目が覚めるようです。


アリサさん「ふーふー。ごくん。


      ためぞうさん、『冒険』がついになくなっちゃいましたけど、

      大丈夫ですか?」


ためぞう「ああ、そうですね。

     でも、本当に冒険していないのは事実なので、

     それは仕方のない事だとは思います。


     何故に『 II 』だけ残っているのかは、

     疑問ではありますが。


     この広い世界から、ためぞうを比べれば、

     ささいな事と割り切れなくもないです。」


 ためぞうが、変な方向に進もうとしているのが分かるからこそ、

 知力99のアリサさんは、そんなためぞうを見ていられないのです。


 ためぞうは、いつの間にか大人への階段をじわじわと上って、

 そのやんちゃな冒険心を失い始めているのです。


 そう、例えるなら、冒険不感症になっているのでぇす!


アリサさん「わかりますか、ためぞうさん。

      ためぞうさんは、冒険者なのです。


      チャレンジャーなのです!


      それが、何故かいつの間にか、

      わりと強めの魔王軍の四天王をやってて、

      それなりに実力もあるものですから、


      冒険や希望やハングリーさが失われていっているのです。」


 ためぞうは、アリサさんの熱い言葉に、

 昔の自分を振り返ってみました。


 セコい、ひがむ、モテないの三拍子揃った、

 生命力だけがバツグンに高い、あの頃のためぞうは、

 野心だけは、人一倍だったハズです。


 それが、安定した学園生活を手に入れたとたんに、

 知らず知らずに、守りへと入ってしまい、

 学園生活で磨かなければならない、

 社会の荒波への適応力や、

 革新などといったアグレッシブな攻める姿勢を


 今はただ、牙の折れたタヌキと化しています・・・。


ためぞう「タヌキはいい・・・、

     天そばだって美味いの作るし、

     天下だって獲れる。


     ためぞうは、マイルドためぞうとして、

     今の生活には、十分満足しています。


     それは、いけない事なのでしょうか?」


アリサさん「いいーーんです!」


ためぞう「い、いいんだ!?」


 アリサさんの知力99に、疑惑が浮かびました。

 言ってることが、結構、無茶苦茶です。


 アリサさんは、フフフッと意味深に笑みを浮かべ、

 ためぞうを見つめています。

 東の空が、朝焼けで室内を照らし始めます。


アリサさん「私は、私がそこそこ愉快なら、

      ためぞうさんが、別に冒険しなくても、

      何度でもためぞうさんを、サポートするするつもりです。


      ですが、そうは思ってくれない者たちもいるのは確か・・・。


      つまりは、「アイツ、すっげー冒険してるよな!」的、オーラを、

      漂わせておけばよいのです!」


ためぞう「おー、なんか凄そうなんですが、

     通常の冒険より、難易度が高い気がします。」


 そんなためぞうの問いに、

 瞳を輝かせながら、アリサさんはこう返します。


アリサさん「ふふっ・・・、


      例えば、「ひと夏の冒険」という甘い言葉で、

      本当に、クエストに行っちゃいますか?


      行くとこ、違うでしょ。

      真夏のビーチや、プールサイドに行くべきでしょ!」


ためぞう「ごもっとも!!


     ためぞう、目からウロコです。」


アリサさん「アイツ、冒険してるよなー! って、


      『冒険』自体の定義を入れ替えてしまえば、

      わざわざ、ガチな冒険に行く必要があると思いますか?


      行くなら、

       - 渚の君が待つ場所へ、2015 -

      でいいんじゃないですか。」


 ためぞうの迷いは、振り切れました!


ためぞう「アリサ副会長さん、


     オレ、冒険したいっす!」


 ためぞうに輝きが戻って来ました。


  もう何者も、オレの『冒険』は、止められない! といった感じです。


 そのソウルに溢れた、ためぞうの熱いシャウトは、

 大地をも響かせ、ちょっと近所迷惑なことでしょう。


ためぞう「・・・そこまでは、まだw」


アリサさん「いい目をしていますね、

      そのワイルドさとハングリーさで、

      ためぞうさんの冒険に、新たな歴史(想い出メモリー)を刻むのです!。」


 ためぞうと、アリサさんは共に立ち上がり、

 熱い情熱の眼差しで、東の空を見つめています。

 青春っていいですね。


 一通り、感動の場面を終えると、

 アリサさんは席に着いてお茶を口に運ぶと、

 次のお題をためぞうに、振って来ました。


アリサさん「ためぞうさん、

      ノリのいい内に、ちょっと冒険してみませんか?」


ためぞう「おお、早速、そっちの冒険を用意してくれていましたか。」


アリサさん「ええ・・・まぁ、

      姉のアリスの許可も出たので、

      ホーネルさんの親友のためぞうさんなら、

      そちらの方も、耐性があるのではないかと。」


ためぞう「ほうほう。」


アリサさん「正直、ためぞうさんには感謝しているのです。

      いつ逢えるとも知れないと思っていた奇跡を、

      この私にくれたのですから。


      こほん、私は決して、

      ためぞうさんの上司のセリカさんみたいに、

      事が面白い方向に進めばいいなんて、

      思ってるんじゃないんだからネッ!!」


 ためぞうの試練センサーがグンと反応しているッ!


ためぞう「いかん!?

     ためぞうの予感は、かなり当たるのだ!」


澄んだ声「失礼します・・・。」


 生徒会室の扉が、ゆっくりと開かれます。


 すると、そこから、

 とんでもなく可愛い、ショートカットの金髪の女の子が、

 一礼して、入って来ました。


アリサさん「お久しぶりです・・・。


      んんっ、ためぞうさんに、ごあいさつを。」


金髪の美少女「初めまして、

       この度、当学園への留学が決まった、

       詩音=クラウスと申します。


       シオンと呼んでくださいね。」


 アリサさんは、何ともいえない難しい表情をして、

 シオンさんに、ためぞうの隣の席に座るように言いました。


ためぞう「(いかん! マジで可愛いぞ。

      美少女レベルは、限りなく会長さんに近いのではないか・・・。)」


アリサさん「えー、お気付きかも知れませんが、

      シオンは、私の弟になります。」


ためぞう「お、弟殿でござるかっ!?


     ・・・そーなんだ。

     でも、何ゆえ女子の制服を?」


 するとアリサさんは、

 ためぞうが見慣れた、箇条書きの紙を取り出します。

 紙には、こう記されていました。



 ・ どうしても、こちらに来たいという、

   シオン君のわがままを、

   姉のアリスは、女装という条件付きで、

   留学を許可しました。


 ・ シオン君への、サフィリアさん、

   レミーアさんたちの好感度は、2000です。

   ためぞうさんの90付近では、勝ち目がありません。

   故に、変装して女生徒での編入となります。


 ・ 正体がバレた時点で、ためぞうさんのあらゆるルートが、

   消えてしまうので、注意して下さいね。


   女装さえバレなければ、

   絶対にわからないような変な魔法がかけてあります。

   変な魔法は、恋の魔法へと変わる事が大いにありますので、

   気を付けてくださいね。


 ・ アリスお姉さん的には、

   シオン君とためぞうさんが、仲良くしてくれると嬉しいです。

   どんどん、冒険しちゃって下さいね。



ためぞう「むおぅ・・・それは、嬉しい試練だが、

     一線を越えたら、戻って来れない率100%の、

     危険なワナと見た!」


 シオン君も、同じように書類を読んでいるので、

 ちょっと、もじもじしちゃってます。


アリサさん「ここからが、さらに重要ですが、

      アリス姉さんは、

      さらに条件を付けて来ています。」


ためぞう「おお・・・。」


シオン君「・・・。」


 アリサさんは、何処かニヤニヤしながらこう言います。


 ・ 条件 = ためぞうさんと、シオンは、

        お互いが持っていない良いものを、

        持っています。


        互いの長所を学ぶ為に、

        寝食を共にしなさい。


アリサさん「ぷぷっ・・・だ、そうですよ。」


シオン君「えぇーー!?」


ためぞう「ふぅ・・・なんてすげえ試練を考えてくれるんだ。


     でも、仮にオレとシオン君が仲良くなりすぎても、

     冒険、終わっちゃうんじゃないですかね?」


 可憐な女の子の格好をしたシオン君は、

 恥ずかしさで、顔を上にあげられません。


 あのアリス会長さんが、それを許可した時点で、

 そのくらいの試練は予期出来たのに、

 浮かれて隙だらけだったなんて、とても恥ずかしくて言えません。


アリサさん「それは、大丈夫だと思いますよ。

      何しろ、姉の気分次第なところも大きいので、

      強引にでも、話を繋げて終わらせないでしょう。」


ためぞう「終わらない夜の始まりだとでもいうのか・・・。」


シオン君「何言ってるんですか、ためぞうさんッ!

     変な事を言わないで下さい。」


アリサさん「変な事を思ってはいけませんよ、シオン君。

      やっと姉弟が再会できたのですから、

      ためぞうさんには、感謝しなければいけません。


      エンジョイ 冒険?」


シオン君「うわーん。」


 ためぞうは、思ってみた。


 どうやって、エリスねーさんや、

 周りの人たちをごまかそうと。


 バレたら、とても窮地に追い込まれるらしいのだが、

 どうやって、女装したシオン君とお泊り会を成立させればいいのか。


 試練が、より強力である方が、

 ためぞうは、その試練を楽しめるような気がしていた。


ためぞう「そうだ、しばらくはジャージでごまかせば、

     いいんじゃないか?」


シオン君「ジャージで、ごまかせるのですか?」


ためぞう「やってみなければ、わからない!


     でも、それが、冒険というものだろう!!」


 ・・・いつしか、ためぞうは、

 冒険について、熱く語るようになっていた。


 そして、夕方。

 エリスねーさんの家。


エリスねーさん「おうっ!

        ためぞうが、なんかすげー可愛い子を連れてきたぞ。


        つ、ついに、ためぞうも勝ち組になったのか・・・。」


シオン君「あ、初めまして、

     よろしくお願いします。」


ためぞう「言い訳はしない。

     今日から、オレのテントで暮らす事になったシオン君だ。


     よろしく頼むよ、ねーさん。」


 ためぞうの男前発言に、エリスねーさんはひるんだ。

 すると、ねーさんの家の奥から、

 学園の事務員さんで、ためぞうの協力者、

 セリスさんが出てきました。


 セリスさんは、言わなくても分かる人なので、

 ためぞうの事情を都合良く理解してくれます。


セリスさん「なるほど、

      アリス会長さんの妹さんのシオンさんですね。


      そういえば、世間知らずのシオンさんを、

      信頼が出来るためぞうさんに、預けたいと、

      そのようなお話があったような気がしなくもありません。」


エリスねーさん「そ、そーなの?」


セリスさん「はい。

      そもそも、ためぞうさんにハッピーフラグが成立した時点で、

      ためぞうさんの冒険が終わると心配していたのは、

      エリス様の方ではございませんか。


      もし、そのような関係であったなら、

      今頃、夕日に照らされたためぞうさんの旅立ちを、

      私たちが見送っているシーンの最中だと思いますが。」


エリスねーさん「だよなぁ!

        ためぞう、ここにいるしな。


        焦って損した。」


 セリスさんが、微妙に説得力のあるウワサを広げてしまったので、

 誰も、ためぞう達の仲を疑うような事がなくなりました。


シオン君「すごいよ、セリスさん!!」


ためぞう「あ、こんばんは、サフィリアさん。

     レミーアさんも、ども!」


サフィリアさん「こんばんはー。」


レミーアさん「こんばんはっす!」


 二人の手には、お泊りセットが入ったバックが握られています。

 サフィリアさんの連れている、ネコx2さんも、

 今日は一緒です。


 ネコx2さんは、シオン君を見ています。


ネコx2さん「何処かで、お会いしましたかニャ?」


サフィリアさん「わー、綺麗な子ですね!

        私、サフィリアですー。」


レミーアさん「会長さんの妹さんって、ウワサだよ。

       レミーアです、よろしくおねがいしますー。」


シオン君「あ、どうも、シオン=クラウスです。


     ねぇ、ためぞうさん!

     これって、どうなっているの!?」


 レミーアさんはおろか、ネコさんたちまで、

 シオン君の事がわかりません。


 ためぞうは、一番星を見上げながら

 シオン君にこう言いました。


ためぞう「オレにも、昔、何でも話せるマブダチがいたんだ。


     でも、その名前さえ消えかかってる。

     確か、記憶が正しいなら、マスオストさん。


     ほら、あれがマスオストさんの星だよ。」


シオン君「言ってる意味はわからないけど、

     お星様って、綺麗だね。


     うん、見えない力があるって言いたいんだよね。

     ためぞうさんと一緒にいたら、

     ボクの足らない何かをきっと見つけれる気がする。


     だって、姉さんに怒られたくないもの。」


 シオン君が、空気を読んでくれる子で、

 ためぞうは、良かったと思いました。


 次の日の早朝。


 アリサ副会長さんが、ためぞうのテントにやって来ました。


アリサさん「頑張って、早起きして来ました!


      シオン君は、もう冒険しちゃったのかな?」


シオン君「やあ、おはよう、姉さん。


     これはもう、毎日が冒険だね!」


アリサさん「ほほーーっ!」


シオン君「湯気の向こう側が、見える特訓とかやってるんだよ!

     そんな事、思いつきもしなかったよ。


     与えられるものだけで満足するのではなく、

     新たな力を得る事で、技術革新してるんだ。


     ボクも、早く身に付けないと。」


アリサさん「・・・。


      それって、テレビのゆけむりシーンとかの、

      お色気は湯気で隠せ、を看破するワザの方?


      妄想の範囲を超えないようにね。」


シオン君「はーい。」


アリサさん「(まあ、時間の問題でしょう。


       私の妄想力の為に、

       がんばってくださいね、ためぞうさん。)」



   ためぞうの冒険 II フルスロットル!

                        つづく。

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