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『秋の日のエリスねーさん。 パート II 』

2016年10月30日 20時10分52秒 | -ためぞう の ぼうけん。『番外編。』-

    『秋の日のエリスねーさん。 パート II 』



 長崎ドラゴンタウンの新たなランドマーク、

 ネクサスビルの25Fの展望テラスでくつろぐ、

 エリスねーさんたち。


 同席するツキノさんは、そのプレッシャーを感じていたようですが、

 階下の1Fのゲームセンターで、

 よくわからない熱い戦いが始まってすでに、

 30分の時が経過していました・・・。


 30分とはいえ、ゲームの中の戦場では、

 数時間の時が経過したような体感がありました。


 サフィリアさんの部隊を中心とする、

 『ネクサスビル・長崎ドラゴンタウン店』の、

 ゲーマーたちの熱過ぎるその戦いぶりは、


 全国の数多の猛者たちの侵攻をこちらへと誘い、

 当初の戦力を、半分にまで減らしています。


 ですが、席が空けば後詰めはたくさんいるので、

 どんどんファイターは補充されます。


サフィリアさん「皆さん、無理はなさらないで下さいね。

        十分に休憩を取られて、

        せっかくのバトルを、思う存分に楽しみましょう!」


 最も激しい消耗戦に、

 さらされているハズのサフィリアさんですが、

 その言葉は優しく野郎たちの心に響き、その笑顔はとても爽やかです。


 これでは野郎共も、のんびり休憩している訳にはいきませんがッ!

 参加者多数で、再度、行列へと並ばなければなりません・・・。


 ウワサを聞きつけた会社員さんたちが、

 適当に理由を付けて会社を早退し、

 ちゃっかりと前の列に並んじゃっているのですっ。


J氏「フハハッ、

   リアルプリンセスたちとの、その想い出メモリーに刻みたければ、

   気合を入れて勝ち残る事だなッ!!


   カァーッ、この高揚感は何ともたまらねえぜッ!!!」


 J氏は、新兵を鍛えるプロフェッショナルです。

 個人的な戦闘力自体は、たいしたことはありませんでしたが、

 戦場での生き残り方だけは、誰よりも熟知しています。


 このJ氏の激により、奮起した野郎共は、

 通常の数倍の力を発揮し、同時に魂のエナジーを、

 激しく消耗させられてます。


J氏「役立たずで悪かったなッw」


レミーアさん「あ、いえいえ。

       軍曹さんには、指揮を上げてもらって助かってます。


       ・・・あの、当たらないで下さいネ。」


 高速で移動し、J氏のマシンを援護するレミーアさんが、

 すばしっこい彼を囮にして、撃墜数を稼ぎまくっています。


 結果そうなっているだけですが、

 持ちつ持たれつで、サフィリアさんチームは、

 6連勝中の今も、その味方の数を一機も減らしてはいません。


 でも何故か、技術でJ氏に劣るはずの、

 A氏とB氏が、まるで何かに憑り付かれた様に、

 快進撃を続けていますッ!!


A氏「敵の副将を、討ち取ったニャーンッ!!」


B氏「我輩のレールキャノンが、唸ってるんだニャン!」


 ・・・戦っているのは、

 サフィリアさんのネコちゃん達のようです。


A氏「さすがは、歴戦のガゲカツ殿だニャン。」


B氏「いえいえ、カネツグ殿の突破力のおかげなんだニャン。」


J氏「どーなってんだYOォ!!」


 これって、本物のA氏とB氏の想い出メモリーは、

 どうなっているんでしょうね。


 結果、素晴らしい戦果を挙げていますし、

 J氏もまさかここまで粘れるとは、想像していなかっただけに、

 そこには誰も触れては来ないようです・・・。


サフィリアさん(・・・エリスさんに、いい所を見せたいのです。

        本当に、ごめんなさいネ。)


レミーアさん「ネコちゃんたち、やるっすねッ!!

       サフィリアさんは、いい側近に恵まれてるなぁ。」


 レミーアさんのうっかりは、スルーです。

 ネコちゃんの部分は、聞こえていない、聞こえていないの法則で。


 こうして、サフィリアさんチームは、

 次々と勝利を重ねて行きます。


 これも、他の皆さんが勝ったり、負けたりして、

 他のプレーヤーたちの、店内への挑戦を防いでいるおかげです。

 サフィリアさんチームに勝てそうな相手には、

 次々と望んで敗北を重ねまくり、疲弊させた状態で、

 サフィリアさんチームにバトンタッチです。


 たまに味方がピンチになると、フッと1Fの店内に現れる、

 将棋好きな、グラサンのおじいさんと、

 ジェネシス! 連呼しまくってる、中年のエプロンおじさん。

 そして、オーナーから参加を許可された、

 バイトのリナさんがチームを組み、


 わずか三機で、敵集団の中心へと殴り込み、

 二十を超える大部隊を相手に、猛烈な戦果を挙げています。


 旧式の量産型ロボを、超絶技巧で操る、

 世直し旅をお供と共に、やっていそうな、

 イカしたグラサンの、黒いスーツのおじいさん。


グラサンおじいさん「カッカッカッ!


          ワシの店に攻めて来ちょる、連中に指南をしてやるのも、

          オーナーの務めというものじゃッ!!


          行くぞい、ジェネさん、リナさん!

          勝てると見た勝負しか、ワシはしませんがのー。」


 そのソウルに溢れるおじいさんを、

 遠巻きに囲むように、ゴツイSPぽい方たちが、

 警備に当たっています。


ジェネシスおじさん「うーん、ジェネシスッ!!


          この上にエリスさんがいると想えば、

          少しでも親密になりたいからねっ。


          年の差なんて、ノー問題という、

          エリスさんのその幅の広い異性の好みは、


          ためぞう君の親父さんに憧れてた過去で、

          すでに、証明済みだからねえッ!!」


 おじさんは、イエローに塗装された重攻撃爆装ロボを駆使し、

 一挙に敵部隊中央へと突っ込ませると、


 大量に搭載したホーミングミサイルや、

 多連装マシンガンを雨のように浴びせ、敵部隊を大いにかき乱しますッ!!


 見た目は、ちょっとお腹が出てる感じの冴えないおじさんですが、

 店内のディスプレイに色鮮やかに映し出される、

 おじさんのその勇姿は、たしかにちょっとカッコイイです。


 ただ、おじさんの声はやたら通るので、

 言ってる事が、結構あちこちに聞こえています。


 ・・・おじさん叫んだ、ある情報に、

 世の中年男性さんたちは、足を止め、

 それが、こんな変なウワサとなって、広がっていくのです。


 - あの素敵なエリスさんは、

   年の差なんて気にしない、

   心の広い女性(ひと)なんだなぁー。- 、と。
 

 確かにエリスねーさんは、

 自分の歳は気にするくせに、

 お相手の年齢差なんて、まったく気にしない、

 内面を感じ取れる、いいお嬢さんではあります。

 (褒めてますよッ!!)


 そのウワサは、光の速さで拡散し、

 店内どころか、上の階にいるおじさま方へ、

 有益な情報を伝えたのですっ!!


 現時点では、ウワサはネクサスビル内だけに、

 謎のブロックによって留まっていますが、


 対戦相手が、ゲーム内で友人登録されていれば、

 メッセージを送る事は可能なようです。


 周囲に広まるのは、もはや時間の問題でした。


 そこをブロック出来ていないのが、

 謎のブロックの欠点のようにも思えますが、

 意図的にそれを突破した者が、

 何処かに潜んでいるのかも知れません。


 A氏とB氏が、ゲームで使用しているとは違う、

 別のマイクに、何やらつぶやいています。


謎のネコちゃんの声 < 「こちら、ブラボー III 

             ・・・厄介なウォールだったが、

             これで通信が回復したハズだ。」


> 軌道ネコジャラクシー「こちら、軌道ネコジャラクシー、

             難解な任務、ご苦労だった。


             貴殿らの活躍で、もたらされた情報には、

             各提督方も、ご満悦のようだ。


             これで私の給与も、上がるかも知れませんねッ!!」


ブラボー III < 「オ、オペレーターのお嬢さんッ、

            本音とは隠してこそ、その結果への喜びが増すものだ。

            浮かれる気持ちは、わからんでもないのニャン。


            ・・・。

            ところで増援の方は、期待して良いのかな。」


> うっかりオペレータ嬢さん「残念だが、現有戦力を降下させようとしても、

               こちら側へのブロックが、いまだ突破出来てはいない。


               もう少し時間がかかると思われるが、

               間に合うか? というその問いには、

               今は答えられない。


               ただ、健闘を祈るとだけ言っておこう。」


ブラボー III 「了解した。

          ただちに任務へと戻り、我らが越後の姫様をお守りするとしよう。」


 ただ、この時点で、

 サフィリアさんたちは、まだ気付いていませんが、

 このネクサスビルには、ゲームセンターの裏側に、

 オフィス・マンションの方向けに、

 駅ビル方面側の、立派なエントランスがあったりします。


 マンションにお住まいの方は、

 繁華街側のゲームセンターが入っている方と、

 アクセスが便利な駅ビル方面側の、どちらの出口からも、

 出入りする事が出来ましたが、


 基本、ゲームセンターなどのテナントの入っている繁華街側は、

 オフィスの方たちは、上司さんの手前、

 土日利用の方が多くなりますネ。


ナイスなグラサン老人の亀吉さん(ワ、ワシとした事がぁッ!?


                ・・・うかつにも、

                便利に作り過ぎたようじゃ。)


 その頃、ウワサのエリスねーさんは、

 25Fの展望デッキで、女子トークに花を咲かせていました。


 すでにビルの最上階まで、エリスねーさんのウワサが広がっていますので、

 その美女三人が座るテラスを見つめるギャラリーの数も、

 おじさま多めで、数を増やしています。


 ギャラリーの皆さんは挨拶を交わしながら、

 エリスねーさんの攻略情報があちこち飛び回っています。


 そのギャラリーの目線の先にいる、ツキノさんやファルさんも、

 しっかりと耳を済ませて、その攻略ネタを仕入れています。


ツキノさん+ファルさん(情報がはっきりするまで、

            もう少し、お話しを楽しみましょうね♪)


 実家では険悪だった、ファルさんとツキノさんですが、

 新天地のドラゴンタウンでは、

 とっても仲良くなれそうです。


 どちらとも、違う方向で優秀な特技をお持ちなので、

 うまくやれば、あのセバリオスさんでも排除できそうですっ!


階下のセバリオスさん「何だか、激しい乙女オーラを感じるねぇ。


           レオクス君ほどでもないが、

           私も、女子たちの熱い注目を集めてしまっているのかな。


           ハッハッハッ!!」


秘書のセリスさん「平和なことで、なによりです~っ。」


 セリスさんは、お気楽なテンションで振舞いながら、
 こういう思いを巡らせていました。


セリスさん(切り札として使うには、

      この絶大なる主に対しては、まだまだ未熟なようですが、


      使い方によっては、

      エリス様を、より幸せな方向へと、

      お導き出来るかも知れません。


      ワタクシの最大の喜びは、

      この身がどれほど報われなくても、

      エリス様が、誰よりも幸せであれば、

      ただ、それで良いのです。)


 セリスさんにとって、

 セバリオスさんの存在は、ホントにどーでもいいみたいです。


 ただ、最強の虫除けなのは間違いないので、

 セバリオスさんを支えることは、理に叶ってはいます。


 効き過ぎなのが、少々欠点ではありますが。


セバリオスさん「私は、セリスに絶対の信頼を寄せているよ。

        今日も、お仕事ありがとうねっ。」


 さすがに、神がかりな存在感を放つセバリオスさんを、

 簡単に操る事など、セリスさんでも出来ないようです。


 それが、何よりも難しい事もまた、

 セリスさんは嬉しいように、ニコリと微笑んでこう返すのでした。


「いえいえー、

 私こそ、素晴らしい上司さんに出会えて、感謝してます~~ぅ♪」


 この二人の独特の雰囲気の前に気圧され、

 セバリオスさんの会社の社員さん達は、

 ひたすら頑張って、営業成績を上げているのです。


 上では、ツキノさんとファルさんが、

 女子トークを盛り上げて、しっかりと時間を潰してくれています。


 陽射しが西へと傾き、水平線へと沈みかけた、

 展望テラスから広がるその光景は、


 とても落ち着きのあるオレンジの光を、

 おだやかな波が反射させ、

 青い空とのコントラスト差も、

 次第に柔らかな夕焼け色へと、塗り替えられていくのでした。


 真横から差し込むその金色のきらめきに照らされた、

 三人の美女たち。


 終業時間の5時を告げる、チャイムが鳴り響くと、

 殿方たちは、彼女たちに魅せられながらも、

 1Fのゲームセンターへと競うように、降りていきます。


 どうやら、ゲームの上手な殿方を、

 エリスねーさんが好むと誤解しているようです。


 何処のウワサというものも、伝わり方で、

 内容が聞き手にいいように変わってしまうようですね。


 この頃には、ツキノさんもファルさんも、

 ウワサの真相へと辿り着き、互いに頷きながら、

 正確な情報を手にしたようでした。


エリスねーさん「何かあったのー?」


ツキノさん「えっと、1Fにゲームセンターありますよね。

      そこで、大会並みに対戦ゲームコーナーが、

      盛り上がっているようですねっ。」


エリスねーさん「ああ、みんながやってるあのゲームね。

        あたしもたまにやるんだけど、

        下手すぎて、いつもやられまくってるな~。


        まあ、それでも連帯感とみんなでの達成感とかは、

        好きな方かな。


        でも、どちらかというと、

        私にも出来る、クレーンゲームコーナーに居たりもする。

        取れないけど、あれは楽しい。


        てか、ノルン姐さんの影響で、

        やっぱり、2Fのボウリングとカラオケが、

        メインなんだけどねっ。」


ツキノさん「ノルンおねーさんにも、

      後で、ご挨拶しなくっちゃいけませんね。」


エリスねーさん「多分、電話かかって来るから、

        その時でいいんじゃないかな。


        姐さん、あれで魚市場と道の駅の両方やってるから、

        終わるのに、もうちょっとかかると思う。


        それまで、ファルさんも一緒にいかがですか?」


ファルさん「ぜひ、お願いしますーっ。」


 どうやらツキノさんとファルさんは、

 エリスねーさんを簡単に、

 熱く盛り上がった、1Fの闘魂のゲーセンへと、

 行かせる気はなさそうです。


 より長く、この貴重な時間を楽しみたいんですねッ♪


 その頃、エリスねーさんが来るのを願って、

 バトルに勝ち残ってる、サフィリアさんとレミーアさんですが、


 突如として現れた強敵を前に、

 苦戦を強いられているようです。


サフィリアさん「この巨大なユニットは、何ッ!?」


 サフィリアさんたちの戦場に現れたのは、

 たった一機の大型バトルマシーンです。


 今は、空に浮かぶ船の形をしていますが、

 母艦の三分の一はありそうなその巨体は、

 なんと、人型ロボにまで変形出来ると、


 一度、前線から退いて、サフィリアさんと合流した、

 レミーアさんが告げました。


レミーアさん「サフィリアさん、気を付けるっすッ!!


       ・・・あれは、最近ロールアウトしたばかりの、

       最新鋭の大型マシーンです。


       その莫大なコストから、ゲーム内には、

       それ一機しか配置する事が出来ませんが、

       火力もシールドも、通常のマシーンの10倍を超える、

       とんでもない化け物ですッ!!」


 この巨大マシーンの登場により、

 瞬く間に、店内の他チームの防御は破られ、

 メインの戦場へと、乗り込まれてしまいます。


J氏「エース級の三人組みのチームがあっただろ!?」


 強力な社会人プレーヤー出現を予知してか、

 すでに5時前には、グラサンの亀吉老人は、

 ゴツイSPたちを連れて、戦場を後にしています。


 ジェネシスな花屋のおじさんも、

 配達の関係で居なくなっており、


 残されたリナさんだけが、順番待ちの他のプレイヤーさんと、

 再度チームを結成し、健闘していましたが、

 あの化け物を相手に退かされてしまっています。


バイトのリナさん「つ、強すぎましたね・・・。」


 可愛い店員のリナさんと一緒に、貴重な時間を共有した、

 常連のD氏、E氏、Iさん、Kさん達たちは言います。


一同「あれは、リナさんが居なければ、

   壊滅だったっすよ!!


   爆散せずに撤退出来ただけでも、最高っすッ!!」


リナさん「有難うございますーっ!

     私も、とっても楽しかったですっ。」


 その素敵なリナさんの無邪気に弾ける笑顔で、

 関係ない周囲の方々も、つい常連さんになってしまいそうです。


 つい、その輪に加わりたくなった、

 VIPのJ氏は、そういう理由なら仕方ないと、

 いち早く前線から引いて、二人の美少女のいる側へと寄っていました。


 J氏は誰よりも早く、危険を察知出来るので、

 生存率がとても高いのですッ。


 ・・・でも、まさか、

 サフィリアさんとレミーアさんが倒されようとしている間に、

 こっそり退却したりはしないですよね?


J氏「そんな事できるかーーッ!!

   (A氏とB氏には悪いが、

    確かに、速攻倒されるのはごめんだと、

    思っちまったのは認めるぜ・・・。


    相手の出方がわからねえ内は、

    攻略しようもないからなッ!!)」


 普段のA氏とB氏とは、思えない、

 凄まじい機動性と、攻撃力を発揮してきたその二機は、

 最前線の、中空に浮かぶ大型マシーンのその直下にいました。


A氏改「まずは当たってみないと、

    わからないものだニャン!!」


B氏改「なんだな、

    軽く接触して、出方を見るんだニャン。


    後ろの母艦は、誰も守ってないので、

    隙だらけなんだニャーッ!!」


 と、二機が大型マシーンにターゲットを絞ったその時です!


 シュン! と大地に向かって、一閃のレーザーが放たれると、

 二機が同時に爆散しますッ!!!


J氏「は、反則だろォ!!!」


 二つの爆煙が立ち昇る、その黒煙の中にある、

 鈍い蒼色の大型マシーンは、まだこちらへと動く気配を見せません。


 だだ、その圧倒的な存在感に気圧される、

 サフィリアさんたちです。


ブラボー III <「こちら、ブラボー III


           見たこともない閃光に、一瞬にて撃沈された。

           後は、よろしく頼むニャ、ン・・・。」


 同時に二機もの味方を失い、

 サフィリアさんチームは、相当ピンチです。


 そして、5時を過ぎたというのに、

 エリスねーさんの姿はまだ見られません。


 敗退した別チームも、

 すでに再編成を終え、新たなる他の別のチャレンジャーたちの、

 挑戦を受けるのに、手一杯の状況です。


レミーアさん「一瞬ですが、レーザーが発射される瞬間に、

       敵のシールドが無効化されたのを感じたっす。


       シールドを使わなければならない状況を保てば、

       あの強力な一撃は、放てないと見たっすよ!!」


 そのレミーアさんと、横のJ氏に、

 サフィリアさんは、銀光に輝く女性騎士の機体から、

 こう言うのです。


サフィリアさん「A氏とB氏の見せた、戦いを私たちは、

        無駄にする事は出来ません。


        私も母艦を離れ、先陣に立って、

        お二人を守る盾となりましょう!!」


 中央のメインディスプレーに映された、サフィリアさんの勇姿が、

 他のプレイヤーを巻き込んで、その士気を高めますッ!!


 きっと、そのサフィリアさんのその姿は、

 戦場に咲く、一人の戦乙女として、

 可憐で鮮烈に、皆さんの記憶に残ったことでしょう。


 レミーアさんも、頑張って下さいネっ!


レミーアさん「わ、わかってるっすッ! w」



               では、つづきますー。
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『秋の日のエリスねーさん。』

2016年10月25日 16時07分06秒 | -ためぞう の ぼうけん。『番外編。』-

   『秋の日のエリスねーさん。』



 エリスねーさんの会社の支店が、

 新たな街のランドマークとなった、

 国際的大企業の「亀吉インダストリー」会長、

 亀吉さんの所有する、


 70階建ての超高層ビル、

 「ネクサスビル・長崎」に入ることになりました。


 どうやら亀吉老人の策のようで、

 エリスねーさんの会社の社長さんを、

 あれこれとたぶらかし、


 23Fにある、広いオフィスに支店を移させた事で、

 世紀末覇者伝説時のエリスねーさん活躍とその魅力を知る、

 たくさんの優秀な企業のトップさんたちが、

 (最近のグラビア活動で、ファンになった方も含みます。)


 挙って同じくオフィスをビルへと移そうと、

 その希望倍率がなんと数十倍にまでに達し、


 激しい倍率を勝ち残った、資金の潤沢な企業と、

 有効な一芸(コネも含む)を持つにベンチャー企業によって、


 4Fから51Fまでの貸しビル区画が、一気に埋まってしまったのです。


 セバリオスさんも、

 世界に名の知れる大企業の社長さんですので、


 エリスねーさんの会社の支店の、すぐ直下の22Fに、

 豪奢な調度品で飾り尽くされた、

 何処よりも立派な長崎支店を構えました。


セバリオスさん「エリスに悪い虫が付かないように、

        そういう事は、きっちりしとかないとね。


        支店を新たに建てる費用に比べれば、ずいぶん安く付いたよ。

        ハッハッハッ!」


レオクスさん「セバリオスさん、流石だなー。


       (う、うらやましいっ! とか、

        思ってはいけません・・・。)」


セバリオスさん「レオクス君には、色々とお願いしたいから、

        デリバリーとか、よろしく頼むよ。


        糖分不足は、仕事の効率が落ちそうだし、

        お菓子職人のレオクス君の作った物なら、

        特に女子社員たちは、喜ぶだろうからねッ!」


レオクスさん「あ、ハイッ!

       ありがとうございますッ!!」


 レオクスさんは、子供のように無邪気な笑顔でそう答えます。

 レオクスさんは頼まれれば期待に応える、

 レジェンドクラスのお人好しさんです。


 セバリオスさんの会社の女性方はもちろんの事、

 この穢れを知らない美しき王子様との出会いのチャンスを、

 他の方々も放って置くなど有り得ません。


 老練なる賢人、亀吉さんの方がセバリオスさんより、

 男女の色恋の方は上手です。


 でも、とても仲良しさんなので、

 これは二人で企んだ策だったりします。


 殿方には、エリスねーさんという、

 明るく乙女なオフィスの華を、


 そして女性たちには、レオクスさんという、

 稀に見ぬ、血統書つきの至高の王子様を、

 ハニートラップ的に配して、


 ビルと会社の運用効率と作業効率を、最大まで高めたのです。


ためぞう「・・・ねーさんも、レオクス師匠も、

     また、ダシに使われたのか。


     おろおろおろ・・・。」


 そう言うためぞうも、亀吉さんとセバリオスさんには、

 莫大な恩恵を受けているので、密かに協力者になっています。


 天下を取れないタヌキもどきは、ただのタヌキもどきなのです。

 長いものには、並べるようになるまで、

 巻かれておくのが、処世術というものでした。


 この異国文化溢れる長崎の地で、

 世渡りだけは、ちゃっかりと上手くなっている ためぞうです。


 さて、その会社でのエリスねーさんなのですが、

 仕事の時は、普段とだらんとした姿とは、

 全く違った雰囲気で、


 髪をシンプルな髪留めで止めでまとめ、

 襟を正して制服を着こなすと、


 その姉さん口調は息を潜め、

 女子アナクラスの完璧な標準語へと、

 声質のトーンまで変わり、


 英語やフランス語、スペイン語など、

 五ヶ国語を流暢に操り、

 通訳まで、容易くやってのけるという、


 その仕事ぶりは、まさに社員の鏡となっています。


 ちなみに仕事モード以外では、

 その語学力も知性も気品も、まったく消え失せてしまうという、

 不思議な一面も魅せる、残念なおねーさんです。


 男性社員だけでなく、女子社員からも憧れられており、

 その出来過ぎさんな所が、ねーさんから異性を遠ざけているという事を、

 本人が、まったく気が付いていません。


 お得意さんからも、とても評判が良く、

 相手に合わせて、くだけた話も出来るので、

 社内と社外での雰囲気も、場所場所によって変化します。


エリスねーさん(何だか今日は、変な視線を感じるなぁ。

        やっかい事に巻き込まれないよう、気を付けよう・・・。)


 すでに、その術中に落ちている事を気付かないのも、

 ねーさんの良さだったりするので、

 暖かな眼差しで見守る、セバリオスさんです。


セバリオスさん「凜としたエリスも、またイイ。


        男たちは、この私が何とかするが、

        女性に何かをするというのは、

        ジェントルではないからネ。


        エリスがあまりの出会いの無さに、

        別の方向へと路線変更しないように、祈るしかない。」


 そこに、学園で事務もこなしながら副担任まで務め、

 さらにセバリオスさんの業務の一切をさらっとこなす、

 スーパー秘書のセリスさんが、

 学園のキュートな事務員姿で、セバリオスさんの傍らでこう言います。


セリスさん「そちらの一切は、この私にお任せ下さいですーぅ。

      かき乱すのは、得意な方なので~。


      (セバリオス様も、女性に免疫がある方ではないのですから、

       自身とてレオクス様と、たいしてお立場がお変わりないのを、

       早く気が付けると良いですワね。


       ウフフッ・・・。

       いずれにせよ、脱落者が増えるのは、

       ワタクシにとっても、喜ばしい事でありますが。)」


 セリスさん、最近天然を装うそのメッキが、

 じわじわと剥がれて来てます。

 それでも、隙を見せることなど無さそうですが、


 元の悪戯を極めたような、あの女帝的性格に戻ると、

 冗談ではすまない策略で、

 天下までかき乱す危うさを秘めています。


 その知力は『98』ですが、

 その後にこっそり付いている(×10倍)という、

 恐ろしいオーバードライブのステータスが、他の賢者たちをも脅かし、

 愛しいエリスねーさんを守り抜いています。


 何処かの天下を統一するくらいの知性を持つセリスさんは、

 それまで賢者に恵まれなかったセバリオスさんにとって、


 (内訳は、エリスねーさんと、

  せりかさんとたいして変わらない性格の、美形のフェルツさん。)


 得難い軍師さんです。


 (全国軍師ランキング 暫定1位のセリスさん。

  武力0 知力98+10倍のオーバードライブ。)


 そう言う事情で、

 セバリオスさんに選択肢の無かったので、


 実際のセリスさんは、その地位を利用し、

 かなり、裏の裏まで裏の人だったりします。


 と同時に、

 何故か、一番の忠義者でもあるのですが・・・。


 そんなセリスさんですが、

 自身に最も貢献度の高い、ためぞうには、

 かなり過大な期待をしており、


 借りを作るのを極端に嫌うその性格から、

 ためぞうには、とても協力したいと願っています。


 ためぞうが冒険に出て、ヘタに天下統一などしてしまうと、

 エリスねーさんを縛るものが消え去って、

 遠慮なく、色恋が可能になってしまいますので。


 セリスさん、

 余裕で天下統一に導くだけの自信はあるのですが・・・。


セリスさん(出来れは末永く、

      永久にとも願ってはいるのですが、

      望んでも叶わないのは、分かっているのです。


      ですので、

      せめて世界の崩壊が始まるその瞬間までは、

      悦に至っていたいのですよ、

      フフフッ・・・。


      ですからワタクシには、

      セバリオス様にお仕えし、

      その時期(ラグナロク)を遅らせる義務があります。


      真に世界の平和を願っているのは、

      決して嘘ではないのです。


      ワタクシの望む形の、真の平和になりますが。

      ウフフフフッ・・・。)


 
 いろんな思惑はありますが、

 策を巡らせワナを操る側のセリスさんの、

 目が届いているその間は、


 ためぞうは、確立変動の超高確率状態で、

 そのピンチを無意識に回避出来ています。


 ためぞうに触れているだけで(気持ちだけでも可)、

 同様の効果が得られる、ハンパ無い加護力なので、

 お守り代わりには、とても重宝されますね。


ためぞう「オレの背中に、強大な見えない力を感じるが、

     考えてはいけない。


     オレの知力『3』では、悩むというその事に自体に、

     ほぼ意味はないのだから。


     ・・・ちと悲しいが、これがためぞうの今の限界ィ!!」



 場所は変わって、1Fのゲームセンターでは、

 サフィリアさんと一緒に、対戦ゲームを協力プレイで楽しんでいる、

 人物紹介の終わっていない、

 純白にとても近い美白の持ち主で、

 薄幸の美少女、レミーアさんは気付きます。


レミーアさん「(そ、その言い方は、あんまりっすよッ!!


       ・・・たしかに存在も、幸せも、

       決して豊かとは言えないこの胸だって、


       お隣の誰かさんに比べれば、

       薄っすらなのは、おおむね当たってますが。)」


 あ、『薄幸』付けたのは、レア感出す為ですよッ♪

 そういう子って、何となく殿方の胸の奥底に、

 響くパターンもあると思いませんか?


レミーアさん「(では、それはそのままでw)


       ねえ、サフィリアさんっ、

       この上に、エリスさんの気配を感じますよ。」


サフィリアさん「えーー!?

        どうしてそんな事分かっちゃうんですか?


        ・・・い、いるんだ。」


 何かといろいろ持ってる、

 銀髪の美少女副生徒会長さんのサフィリアさんです。


 そのけしからんナイスバディに、

 ボタンのはち切れそうな、

 魅惑の学園帰りのブレザー姿は、


 野郎どものゲーマー魂に、闘魂を注入しまくってます!


 戦場と化したゲーセンの中にあって、

 憩いオアシスの雰囲気を醸し出し、

 癒えたファイターを次々と、また戦場へと駆り立てる、

 おっとり美少女のサフィリアさんです。


 ここは、一つハイスコア取って、

 店内の電光掲示板に、ハンドルネームを飾ってやりたいものです。


常連のA氏「それがしの渾身のコマンド捌きを、

      今ぞ魅せる時でござるヨォ!!」


常連のB氏「き、気になって、ゲームに集中できないんだなっ。


      チームバトルは、お二人に任せて、

      ばっちり癒されとくんだなっ。」


VIPのJ氏「フハハッ、

       しっかりと堪能しとくんだなッ。


       メンツが変わった感じは受けんが、

       トレンドのスポットで安定して席が確保できるのは、

       このオレの、店への熱い愛情が成せるワザだぜッ!!


       戦いはまだまだ前哨戦だ、

       あの不沈の『バトルシップ・エンプレス』が現れるまで、

       せいぜい、勝ち残っておく事だなッ。」


 外野は盛り上がっていますが、

 そんな店内の中でも、レミーアさんの千里眼は、

 的確にエリスねーさんの存在を捉えています。


 レミーアさん、特技の千里眼が大変便利で、

 天体観測も、スコープいらずです。


 ただ、存在を詳しく知るには、

 条件もありまして、


 得たい情報分の対価を払う必要があるので、

 ねーさんの映像を確認したい場合は、

 同量のハズカシさと情報漏えいをしなくてはいけません。


 高度になると裸踊りクラスまで行きます。


レミーアさん(絶対、やらないっすよッ!!)


 ・・・問題は、その需要ですネッ。


レミーアさん(・・・。


       (: ω:)< クーッ、何にも言えねぇー。 )


 まあまあ、絶壁のリンカよりは、

 需要があるでしょうから。


遠くのリンカさん <(日々、すくすくと育っているのですッ!!

           あと一年もすれば、ムフフ・・・。)


 ちっちゃい少女の妄想は置いといて、

 レーダ表示のマーカー感覚で、

 エリスねーさんに気付いている、


 レミーアさん、続きをどぞ。


レミーアさん「最低五時までは、負けられないっすねッ!


       今日はいつになく、待合の席が混んでますから。」


サフィリアさん「おお、レミーアさん、

        さすがは、トップランカー入りする程の気迫ですっ。


        お泊り会に発展するといいですね~。」


 少女たちも、各々のテンションで盛り上がっています。


 縦横に激しく揺れまくる、

 サフィリアさんのその豊かな胸へと、

 目が誘われたその時点で、


 野郎どものゲームオーバーを意味します。



  ・・・バシューーンッ!!



 B氏の操る、重装甲の六連装レールカノンの巨体が、

 天空方向に無数の弾丸を散らしながら、

 爆煙を上げて、轟音と共に大地へと沈み行きます・・・。


B氏「・・・後は、まかせたんだなっ。」


A氏「B氏~~~ッ!!


   ・・・後の事は、それがしに任せるナリィイ!!!」


 B氏はそそくさと、

 サフィリアさんの後ろの方の列に、

 並びに行ってしまいます。


J氏「フハハッ、

   テメエに正直なのは、若さの故の役得だなッ!!


   年輪を重ねていくだけ、

   しっかりと冒険とキラメキをその胸に刻んでおく事だぜッ!!


   戦場で必要なのは、その経験がもたらす、

   至高の心の支えだからなッ。」


 野郎どもが無駄に熱くたぎらせるその熱気で、

 新装開店のオープンからの勢いは、まだまだ続いています。



 ここで話は再度、上の階へと戻ります。


 オフィスを新たに移したばかりのその日は、

 デスクのセッティングや、書類の整理などに追われ、

 予定では、数日かかるものと思われていましたが、


 エリスねーさんのテキパキとしたその動きを、

 皆さんが手本にした為、

 3時頃には、ほとんど片付いてしまい、

 後は送られて到着する、翌日以降の荷物を待つだけになってしまいました。


 基本、おせっかいなエリスねーさんは、

 不器用な人を丁寧に手伝ってくれるのです。


 それが目当てで、頑張ってる感を装う人にも、

 分け隔てなく、傍に来てくれるので、


 それはまずいなと、自身を反省をしながら、

 良い方向へと気持ちを持っていかれ、


 遅れてる人を手伝わなくてはならないと、

 そんな使命感を植えつけられ、

 さらに、オフィスの効率を上げていきます。
 

 その、ほのかに香る素敵な芳しさは、

 まるで湯上りのソープのようにフレッシュで、

 どうやって、そんな香水を選んでいるのか、

 他の女子社員さんたちを困惑させつつも、

 惹き付けていますが、


 それは、ためぞうがバイトで貰ってくる、

 ファルさん所の入浴剤の香りだったりします。


 秘伝の配合で調合された、おじさんの花を愛でるその想いが、

 なんと24時間も持続する、

 そのお花の香りの入浴剤を生み出したのです。


エリスねーさん「部長、

        五時まで、まだ時間もありますので、

        外にご挨拶に参りたいと思います。」


 仕事モードのエリスねーさんは、

 百戦錬磨のおじさん達でも、ドキッとさせられるほど、

 清楚で気品に溢れた、美しい社内の華なのです。


 その声も、澄んで耳に柔らかに届くほど綺麗な響きで、

 どうしてこれを、仕事明けには出来ないのかが惜しまれるくらい、

 いい声してるのです。


部長さん「エリス君が行きたい時は、許可はいらないから、

     でも、そこまで頑張らなくてもいいんだよ。


     ノルマだって毎回一位だし、

     エリス君のおかげで、楽に管理職やらせてもらってるから、

     凄く助かってるんだ。」


 実はこのオフィスの部長さんに限らず、各管理職の方々も、

 まだ30代かそれ未満と、とても若いです。


 エリスねーさんが入社して以来、

 この部署の成績が、他を圧倒して瞬く間に、

 皆さんが出世街道を駆け抜け、

 この部長さんも、わずか数年前は係長になったばかりの方です。


 新入社員の時のエリスねーさんには、

 世紀末覇者伝説(一部、世紀をまたいで完結。)で、

 全国制覇を果たした、レディース時の一世風靡魂が、

 継続状態のままでしたので、


 高校三年で全国制覇を成し遂げなければならない、

 そのノウハウと、生まれ持ったカリスマ性で、


 周囲にその気迫を知らぬ内に振りまいてしまい、

 一気に、花形部署まで駆け上がったのでした。


 部長さんとしては、まだこの雰囲気の中に、

 留まっていたい気持ちで、

 これ以上の出世を遠慮している感じです。


 以降の役職は、栄転となって、

 この心地いい職場の方たちとは、

 離れ離れになってしまうからでもありますね。


 なので、23Fフロアの社員全体の平均年齢が20代と、

 まるで大学のキャンパスの延長線みたいになってしていますが、


 時に、おじさんの需要もあったりするので、

 クジ運のいいおじさんが、転属されて来る事もあり、


 良き知恵者として、相談役などを引き受けたり、

 そのまま指導で親密になって、

 社内結婚というパターンで、めでたいパターンもあります。


 年の差なんて、超える愛もあるのですッ!

 と思いますです・・・。


 ですが、その恋話とは無縁の位置にある、

 エリスねーさんは、


 自分の知らないうちに、

 恋愛運を吸われているような感じです。


エリスねーさん「(プルプルッ・・・、


        何か変な事言われてるような、

        そんな寒気が、背中にゾクッと来たぞ。)


        あ、では出てまいります。」


 と、一礼してオフィスを後にするエリスねーさんですが、

 ねーさんは少し変わってて、

 一人の時は基本エレベーターを使わず、

 階段の方へと歩いていきます。


 どんなに鍛えても、そのラインが崩れない、

 綺麗な脚をしていますが、

 落ち着きのその無い性分は、エレベーター内でじっとしているより、

 少しでも身体を動かしたいという、そんな軽い感じです。


 幅広の階段は、外の景色が見れるように、

 透明度の高い硬質ガラスが用いられ、夕暮れ前の海岸線を一望出来ます。


 23F以上の高さから見れるその光景は、

 海面の光が美しくきらめき、

 エリスねーさんの家まで、きちんと見渡せます。


 直ぐ下は、セバリオスさんの会社が入っているので、

 ねーさんは無意識に、上へと階段をあがっていきます。


 24Fはまだ、お引越しが忙しそうなので、

 次の25Fを目指しますが、


 そこには、屋内で180度以上に広がる、

 オーシャンビューで楽しめるよう、

 少し突き出るように空間があり、

 天井から窓までが、一枚の硬質ガラスで覆われた、

 景観の素晴らしいテラスがありました。


 そこで、何処か見覚えのある、

 女性の姿を見付けます。


エリスねーさん「ん!? もしかして、ツキノ(月乃)?」


ツキノと呼ばれた女性「あ、エリス姐さーんッ!!」


 そのツキノと呼ばれた女性は、

 遠巻きにギャラリーが出来るほどの、

 端正で気品溢れる顔立ちと、

 素晴らしいプロポーションの持ち主です。


 艶やかに腰まで伸びる、長く美しい黒髪の若い女性で、

 赤いルージュの魅惑的な唇に、

 その瞳はエメラルドのような輝きを放っています。


 家にいる時とは比較にならない美貌を、

 ビルの屋内で放っているエリスねーさんにも、

 引けを取らない美しさです。


 エリスねーさんは周りに聞こえないような小声で、

 そのツキノさんに、こっそりとささやきます。


エリスねーさん「・・・あのね、ツキノ。


        あたしら、同じ年じゃん、

        タメなんだから、もう姐さんって呼ぶのやめてw


        てか、また遠くからこっちに来たもんだね。」


ツキノさん「はいっ、エ、エリスさんッ!!


      何時か再会出来る日を願っていましたが、

      ロンドン支局から、急に転属が決まって、

      聞いたら、エリスさんのオフィスも入ってるって、

      殿方たちがウワサするじゃありませんか。


      23Fという事なので、ここでお待ちしてました~。」


エリスねーさん「前っから、

        勘は人一倍いいからなぁ、ツキノは。

        あと、あたしの事もエリスって呼んでいいから、

        変な気回さないでくれよっ。」


ツキノさん「い、いえ。

      私は尊敬するエリスさんを、そう呼ばせて頂くには、

      まだまだ未熟者です。


      気にならないなら、私の心の準備が整うまで、

      エリスさんと呼ばせて下さいね♪


      ・・・でないと、私の口から、

      エリスさんの全国統一時代の武勇伝が、

      今にも熱く、たぎるように溢れてきそうで、

      語り尽くしきれませんッ。」


エリスねーさん「・・・。

        まあ、変わってないようで、

        ちょっと安心したよ。


        飲み物取ってくるから、待ってて。」


ツキノさん「はーい。」


 エリスねーさんとツキノさんは、

 魚市場のノルンさんが前に率いていた、

 九州八州連合時代からの、仲良しのお友達さんです。


 ツキノさんは、文武両道の良家のお姫様ですが、

 仲間内で、一際輝いていたエリスねーさんを、

 どういうわけか、一方的に敬愛してます。


 特に性癖に問題のある方かというと、

 そうではなく、むしろかなり常識ある方です。

 女子高生時代は、お茶目な面もありましたが・・・。


 実際のところ、体術や武道ではツキノさんの方が、

 ねーさんよりかなり達者でしたが、


 ねーさんのその持ち前の、強いリーダーシップに、

 マジなリスペクトしてしまい、


 箱入り娘のお上品な育ちなのに、

 白く清楚なワンピースのお嬢様の格好のまま、

 ヤンキー溢れる最前線に立つや、

 ねーさんもよりも遥かに、相手から恐れられて、

 また憧れられていました。


 一度、見えない疾風が木の葉を巻き上げ、

 ツキノさんの周囲を舞うと、

 白く繊細なその手も触れる事無く、相手が次々と竜巻のように吹き飛ばされ、

 白目をむいて気絶した、憐れな姿で駆逐されてゆくのです。


 性格はとても善良なので、仲良くしておけば頼もしい存在です。

 来る者は礼を持って接し、去る者を決して追わない、


 ある意味、きっちり筋の通った方で、

 世紀末覇者伝説で、『華麗なる鬼神』としてその名を馳せていました。


 と、エリスねーさんが二つの紙カップを持って、

 ギャラリーに笑顔を振りまきながら、戻って来ました。

 抹茶のいい香りがします。


エリスねーさん「抹茶ラテ、好きだったよね?」


ツキノさん「えーーっ、お覚えてくれてたんですか?

      感激ですッ!!」


エリスねーさん「ねえツキノ~、

        アヤノ(文乃)とアサカ(亜紗花)は、

        元気でやってんのー?」


ツキノさん「あ、はい。

      妹のアヤノも、一緒に住んでたアサカちゃんも、

      元気にしてますよ。


      アヤノはロンドンの大学に通ってますが、

      どうもこっちに来たがってるようでした。


      私と一緒にイギリスに付いて来てくれた、アサカちゃんも、

      同じカレッジに通っていますが、

      アヤノの手に負えるか、そこはまだ連絡取り合ってるところです。」


エリスねーさん「アヤノは16だし、アサカは15だろ?

        大学に飛び級とは、すげーなっ!」

 エリスねーさんは、口調だけは元に戻っていますが、

 周囲の方たちには、普段と変わりなく聞こえています。


 エリスねーさんを見つめるその眼差しが、

 その変なフィルターになっているようで、

 ツキノさんの魅力も重なり、

 相乗効果で、まるで見えない壁があるかのようです。


 ツキノさんの席につくその姿は、

 気品があって、とても優雅に見えます。

 見ている人には、背景に薔薇や百合などが映っているかも知れません。


 隣のエリスねーさんも、その姿を鏡に映したように、

 可憐な感じです。


 この魅力を仕事中ではなく、いつでも発揮出来るようになれば、

 さぞかし便利な事でしょうが、

 残念なのは、「責任感」というものから開放された時点で、

 イモジャージで、外に出て回るような、

 女子力の低さが顔を出し、油断も隙もありまくりになってしまう事です。


 エリスねーさんの場合、影の秘密結社、

 『おねーさんを、みんなで共有しようよの会』みたいなのが即席で生まれ、

 アイドルの親衛隊のような、鉄壁の防御を見せる所です。


 ツキノさんも、影でそういう動きをきっと見せることでしょう・・・。


 ねーさんとツキノさんが、楽しげに会話していると、

 ねーさんのスマホに、業務連絡が入ってきます。


エリスねーさん「おお、もう今日の仕事が終わってしまった・・・。


        うーん、五時くらいまでは時間潰してくれないと、

        他のノルン姐とかの仕事も終わんねーから、

        結構、ヒマなんだよね。


        そっからなら、すっと家に帰っても、

        カラオケとか行っても、全然気にならないんだけど、

        お日様が頑張ってる内に、だるんってなるのは、

        なんか気がすーっと抜けていっちゃって、

        凡ミスかましそうなんだよねぇー。」


ツキノさん「エリスさんのスマホ、カッコいいですねー。

      私も同じ物にしたいなーっ。


      とりあえず、番号とか交換してもらっちゃって、

      いいですか?」


エリスねーさん「あ、そうだね。

        せっかくだから、よろしく頼むよー。


        セバリオスがくれたんだけど、

        あたし、電話以外の機能とか、ぜんぜんわからんのよ。

        よかったら、後でいいから教えてね。」


 機械オンチのエリスねーさんから、ツキノさんがスマホを預かると、

 ささっと、QRコードを使って、アドレス交換を済ませてしまいます。


 エリスねーさん、ぽっかりと口を開けて、

 一瞬のその魔法に驚きを隠せません。


エリスねーさん「おおっ、

        それって、私にも出来るようになるの?


        同僚とか、取引先には名刺もらって、

        名刺入れから、直接電話とかしてんだけど、


        いま、その四角いの、

        名刺にも付いてたりするよね。」


ツキノさん「ああ、エリスさんから、

      そんな事言われちゃうなんて、とっても光栄ですー。


      この私でよろしければ、

      ご都合の良い日に、いつでもスケジュール開けてお伺いしますっ。


      (他の方の目もありますので、

       この場でお教えするのは、エリスさんに対しての非礼です。


       うふふっ、逢える理由が出来ましたねッ!)」


エリスねーさん「き、気持ちはありがたいけど、

        教えてって言ってるのあたしの方だから、


        ほんと、無理とかしないでね。」


 弾ける笑顔を見せるツキノさんに、そう言うエリスねーさんです。

 ねーさんは、今回も「おねーさん」扱いされてしまうのかと、

 同い年のツキノさんの、そのフレッシュさに当てられながら、


 「恋人」や「婚期」という、ワードがまた遠のいて行くようで、

 秋風のように、さらりと通り過ぎちゃうんじゃないかと、

 何気に、遠い空を眺めちゃったりしています。


 そんな時、お花の配達を終えたファルさんが、

 偶然、二人の前を通りかかります。

 二人のオーラのフィルターは、ファルさんには効かないです。


ファルさん「あ、エリスさーんっ、


      ・・・と、どうしてここに、

      ツキノさんがいらっしゃるのッ!?」


 エリスねーさんは、いつものおさげにエプロン姿のファルさんに、

 ニコッっとしていますが、

 ツキノさんとファルさんは、どうやら面識があるようで、

 互いに奇妙な雰囲気を醸し出しています。


 と、そこにエリスねーさんが、

 ファルさんに声をかけて、割って入ります。


エリスねーさん「ファルさん、いつもありがとねッ!

        ためぞうも世話になってるし、


        あのいい香りの入浴剤、毎日使わせてもらってますw


        ああ、ツキノ~。

        この方、色々お世話になっている、

        商店街のお花屋さんで、

        看板娘さんの、ファルさんねっ。


        ツキノもこっち来たんだから、

        一緒に、お花とかも見に行こうね。」


 ねーさんのその言葉が、

 二人の雰囲気を、一気に鮮やかな花色に変えました。


 はいっ! と快活に頷くツキノさんは、

 どうやら、エリスねーさんとお出かけイベントの発生で、

 ファルさんの事が一気の心の中から、吹き飛んでいます。


 ファルさんも、実家でのいざこざを出さずに、

 穏便にやり過ごせるならと、

 この町に来て芽生えた、新たな気持ちで、

 素直な心で、ツキノさんと挨拶を交わします。


 この時、二人はいかに、「エリスおねーさん」が、

 大きい存在かと言うのを、改めてその身に感じるのです。


 余談になりますが、

 実家の方では、ファルさんは新規に台頭した新たな女帝として、


 また、ツキノさんは、

 やや険悪寄りの、強大な勢力を誇るその覇者を支え、

 天下に鳴り響く、至高の剣の達人として、

 かなりの有名人さんです。


 でも、ここは長崎ドラゴンタウンの、

 エリスねーさんの暮らす、穏やかなる地。


 そんな因縁を持ち出して、ややこしくなるより、

 エリスねーさんを共有し、共にきらめきな日々を過ごせればと、

 もうここは、仲良しアピールをするしかありません。



 エリスねーさんを困らせる不届き者は、

 ねーさんに近寄る資格などないのです。


 本気の笑顔で、二人とも心の底から、

 仲良くしたいと願っています。


エリスねーさん「あ、お知り合いだったの?

        なら良かった、うん。」


 二人は手を取り合っての、仲良しアピールです。


エリスねーさん「あ、ファルさんも、

        あたしがスマホ使いこなせるようになったら、

        アドレスとか、教えてねっ。


        いまさらながら、スマホの勉強中ですっ!」


ファルさん「あ、交換だけなら今でも嬉しいですーっ!

      でも、エリスさんのスマホ、

      カッコイイですねー。


      私の、ちょっと古くなってきたので、

      一緒の機種に変更しちゃってもいいですか!?」


エリスねーさん「おお、それならセバリオスに言っておくねっ。


        あいつから貰ったものだから、

        しっかりセバリオスのアドレスは入ってるんだけど、


        あいつの会社の中に、スマホの代理店とかあるんじゃないかな?

        手広く商売やってるから。


        ツキノとファルさんの分、伝えとくね。」


ファルさん+ツキノさん「はいっ! ありがとうございますー。」


 こうして、席にファルさんが加わると、

 エリスねーさんがすぐに気を利かせて、

 ファルさんの飲み物を取りに行ってくれました。


 いつもと違う一面を魅せながら、

 ねーさんから手渡されるミルクティーに、ファルさん感激ですっ。


 会社のエリスねーさんが、普段とこんなにイメージ違うんだと、

 ファルさん、新たな発見に喜んでいるようです。


 こうして、三人は世間話にしばしの間、

 花を咲かせるのですが、


 そのエリスねーさんが下りて来るのを待っている、

 ゲーム好きの二人の女子のうち、

 レミーアさんの方が、その25Fの一角で展開される、

 あまりにも強大な、その三つ女子力を探知するのです。


レミーアさん「サフィリアさんに、お知らせがあるっす。」


サフィリアさん「はい、何でしょうか。」


 一見、のん気にゲームの筐体に座る、

 おっとり系の美少女、サフィリアさんですが、

 その画面の向こうでは、とんでもなく激しい勝ち抜きバトルを、

 難なくこなしていました。


 レミーアさんとチームを組んで、連戦連勝中のサフィリアさんに、

 レミーアさんは、息を飲んでこういうのです。


レミーアさん「ビルの上の方に、エリスさん以外の凄いプレッシャーを、

       二つも感じるっす。

       たぶん、その内の一つは、お花屋のファルさんで、


       肝心の一番強力な、セバリオスさんクラスのパワーの持ち主が、

       誰なのか想像が付かないっす・・・。


       気を抜かずに、しっかりと構えて下さいっすよ、

       サフィリアさん。」


サフィリアさん「えーっ!?

        そんな事になってるんですかー!!


        ど、どうすればいいのかな?

        ためぞうさんを呼んで、何とかしてもらった方が、

        いいんでしょうか。」


 サフィリアさんの二匹のネコちゃんたちが、

 何やら、衛星無線機のような物を取り出して、

 ザワ付き始めます。


> ブラボーIII(ネコちゃん)「ジャミングが強力すぎて、

                 軌道ステーションに繋がらねぇぜッ!!」


 そのネコちゃん達の会話がわかるのか、

 休憩中のJ氏が、二匹の元へとやって来ます。


J氏「残念だが、外部との通信が遮断されてやがる。


   ゲームの回線や、通常の電波はどういうワケか、

   オンラインに保たれているが、

   暗号通信の一切が、どうにもならねえ。


   ここは腹を括って、互いに生き残るしかなさそうだな、

   ブラボーIII 」


ネコちゃん I 「そうですかニャン?

         特務上級軍曹さんが言うなら、仕方ないのニャー。」


 ネコちゃんたちは、サフィリアさんに、

 ためぞうとは、連絡が付かないとそう伝えます。

 普通に電話は通じるのですが、

 それではネコちゃん達も、J氏も納得出来ません。


 漢の意地というか、こだわりなのか、

 あえてピンチを招いているようにも見えなくもありません。

 ここで、自分をアピールしておきたい、

 企みのような感じにも見て取れますね。 


J氏+ネコちゃん達(無論、熱い戦いを期待してるぜェーーッ!!)


サフィリアさん「・・・そうですか。


        では、ここは皆さんとご一緒に、

        頑張るしかなさそうですね。」


J氏「いいか野郎ども、

   我らがお姫さんたちを守り抜く為に、

   共に戦おうじゃねーかッ!!」


 J氏のこの一喝に、アリーナに集いしファイター達は、

 共にその心を一つにし、

 特殊チーム「闘魂野郎 Jチーム」を結成するに至ります。


 (J氏を筆頭に、A氏とB氏が、

  サフィリアさんたちのチームに加入。
  
  
  ・・・J氏以外が戦力になるかは、皆さんも疑惑ですが、
  
  その勢いに分け入るだけの熱さがなかったので、
  
  
  サフィリアさんチームに乱入を仕掛けてくる、
  
  全国のプレイヤーチームをブロックする為に、
  
  腕の立つプレイヤーを軸に、残りの筐体を使用して、
  
  長崎ドラゴン店への侵攻をブロックするというポジションに回ります。)


 憩いのオアシス的存在のサフィリアさんと、

 あと、ついでにレミーアさんも守ろうと、

 理由や状況など分からなくとも、

 同じ時間と共有したいという一心と勢いで、

 その戦いに参加します。


 友情っていいですネ・・・。

 という事でッ!!


レミーアさん「取って付けたみたいな、私のポジションには、

       いささかの納得いかない所もありますがッ!!


       協力していただけるっていうのは、

       なんだかありがたくて、照れるっすね。」


サフィリアさん「皆さん、ありがとう!!


        (でも、ホントに、

         一体・・・何の為に、戦うんでしょう。)」


 熱くなるのに、理由(ワケ)なんていらないのです。


 結果、絆が生まれるなら、それでいいじゃないですかっ。


 野郎共も、ちょっとした秋のイベントみたくして、

 きらめきたいんですよっ。


 戦いのルールは、分かりやすいですが、

 それだけに奥深いものもあるようです。


 ようは、イカしたマシンに乗り込んで、

 (カッコいいロボや支援機、対艦砲搭載のユニットなど多種多様です。)


 自分を戦場へ運んだ母艦を守りつつ(ゴールキーパー的な)、

 相手の母艦を撤退させれば(ゴールを決めれば)、勝利です。


 こうして、ファイターたちは旅立ち、

 戦場へ到達した空中母艦のカタパルトから、

 次々と発進してゆきます。


レミーア中尉「行きますっ!」


 レミーアさんは、上級者向けの高速ロボットで発進します!!

 その装甲を削って、細いフレームを採用した人型のマシンには、
 防御力こそありませんが、それを補う速度と、

 バックパックに、折りたたみ式の長距離ライフルが搭載されています。


 サフィリアさんは、母艦の先端に立ち、

 母艦の防衛の任務です。


 その中世の女性騎士を模した重装甲のマシンには、

 母艦に連結された高出力のシールドと、

 長い槍先を持つランスの形状をした、

 遠近両用の装備が右アームに固定され、


 重厚なそのランスには、後方支援用の高出力長距離ビーム砲と、

 対空用の拡散ビームが搭載されています。


 J氏、A氏、B氏は略です。


J氏「そりゃねーだろッ!!」


  バシューーーーンッ!!!


 突然、発進中のカタパルトの脇を、

 巨大の閃光の帯が、空を貫いて通り抜けますッ!!


 そのビーム攻撃を、母艦の直撃コースから逸らしたのは、

 眩いプラズマを発する、サフィリアさんの大盾でした。


サフィリアさん「・・・相手は、問答無用のようです。


        すぐに離艦して、散開しながら、

        狙われないように気をつけて下さいッ!!」


 そんなサフィリアさんの勇敢な姿は、

 館内の大型ディスプレイにも映されています。


 まさに、この地に舞い降りた戦いの乙女、

 「ワルキューレ」のようですッ!!



 こうして、姫たちと野郎どもの長い戦いが、

 その幕を開けるのでした・・・。


               つづきます。
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書き込み。 2016.10.19

2016年10月19日 16時24分23秒 | 日記

 こんにちは、井上です。



 最近、資料の整理をしておりまして、

 ほとんどが紙なもので時間ばかりかかって、

 進みが遅いです・・・。(言い訳ですね ^^:)



 秋は、家庭用もVRな感じになって、

 体験した事はありませんが、テレビとかで芸能人までが、

 話題にしてたりするので、VR元年なんだなぁ~とか、


 3Dを凄いとおもっていた事を、

 懐かしく思っちゃったりします。


 紙に赤と青のフィルムのメガネの、次の世代のヤツですね。


 入手困難だそうで、しばらくは見てるだけになると思いますが、

 スマホゲーの進化も応援しつつ、

 家庭用も頑張ってほしいと、ゲーム好きとしては思ってしまいます。


 秋なのに、暑かったり、

 ご地域によって差はあると思いますが、

 年々、季候が変わっちゃってるのかなと、

 昭和な世代としては思ってしまいますです。


 レタスが高いらしいですねー、

 ベーコンレタスサンドとか好きなので、ハンバーガ屋さんとか、

 お食事処さんは大変なんだろうなーって、


 これは温暖化でなくても起き得る事ですね^^:



 今は、ちょっと過去のテキストとかを読み返したり修正したり、

 しています。


 だいぶ前のですが、「ジュエル オブ ライフ」のテキストは、

 載せるとしても、13節もあったりして、

 うあ、長いなー、とか思いつつ、


 前の機械(パソコンではなく、ワープロです。)から、

 無理矢理、コンバートしてるので、

 改行とか、余白とかがもう、見れたものでなく、

 仮に載せるとしても、校正を軽くかけてからでないと無理かなと、

 そんな次第です。


 ためぞう君に、そろそろ冒険もさせたいのですが、

 頭に葉っぱを乗せるだけで、

 そば打ちタヌキになれる特技では、


 タヌキの里の大タヌキからも「YOU たぬき?

               オオォ・・・ I DON’NOォォオ!!」


 と、まだ受け入れられてない具合なので、

 今年の冬も、こたつで丸くなってると思われます。


 あと、別のお話とかも書き試したりで、

 毎度、後手、後手に回っております。


 追記あったら、書きたいと思いますが、

 次の記事に飛んでしまってたらすいません。



 ではでは、またですー。 ^-^
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『佐藤さんと鈴木さん』

2016年10月12日 17時40分28秒 | ためぞうの冒険+DFセカンド 登場人物編

 最近、長崎ドラゴンタウンにやって来た、

 「佐藤 みかさん」と「鈴木 はるかさん」です。



佐藤さん「!? まとめられちゃってるっ・・・。


     まあ、私たちの出現率では、

     その他A、B、C・・・あたりの、

     エキストラさんたちと、

     さほど大差ないので、

     特にかまいませんけどねっ。」


鈴木さん「ええ・・・。


     本来の任務をほぼ放棄して、

     学生気分でバイトして、

     エンジョイしているくらいですから、


     名前があっただけでも、大したものだと思います。」


ネコのマスクの古蔵さん「そんな事はなぁーーーいッ!!!」


 特に呼んでもいないのに、

 迅速丁寧をモットーとする、

 ネコのマークの宅急便の古蔵さんが、


 二人が勤める長崎ドラゴン港の、

 市場の事務室の前で、魂のシャウトをすると、

 次の瞬間には、古蔵さんはいなくなっていました。


 5Gクラスのハイスピードの古蔵さんです。


 (◇ 古蔵さん=新世紀覇者伝説に、新たなる「ためぞう」が現れた為、

    エリスねーさんに、「(旧)ため蔵」から「古蔵」へと、

    改名させられた過去の持ち主で、

    ネコのレスラーマスクも、その時に授かったもの。


    今では、ネコラブの証として、

    誇らしく被り、日々宅配のバイトに精進しつつ、

    唯一、自分に優しくしてくれた少女、鈴木さんに、

    心揺さぶられてる、シャイなイケメン。)



佐藤さん「・・・古蔵さんの方が、

     何気に『自己紹介』されていますが、


     良かったですね、鈴木さんっ!!

     とっても好条件なお相手ですよっ。」



鈴木さん「ん?

     何を言ってるのですか、佐藤さん。


     さっさと書類片付けて、仕事終わらせますよ。」


 鈴木さんは、聞こえないフリをしながら、

 勤勉に勤めをはたしています。


 その実務の腕は超一流で、

 雇い主の網元のノルンさんも、

 早く正社員になってもらいたいと願っています。


 一方の佐藤さんは、

 事務所に鈴木さんと二人きりになると、

 雑誌を読んだり、メイクをしたりと、

 自由にマイペースでやっています。


 それでも能力だけは高いのか、

 バイトに見合う仕事量は、短時間でしっかりとこなしています。



佐藤さん「きゃー、あまりディスらないでーーっ!


     鈴木さんみたく、

     いい人現れる前に、変なウワサでも立っちゃったら、

     職場の出会いには期待出来そうにないんだからっ。」


 鈴木さんは、佐藤さんに乗せられる事無く、

 ぶれずに仕事を片付けています。


 しっかり者で、優等生で、

 異性のウワサもちらほら聞かれる、出来た女の子さんです。


ネコ船長「そうなのかニャー!?


     ・・・鈴木さんがいなくなっちゃうと、

     ネコ船長、寂しいのニャ。」


 鈴木さんになついてる、

 本来の上司のネコ船長さんです。


 ネコですが二足歩行で、人の言葉を喋れます。

 今はドラゴン港でも、一、二を争う漁獲量を誇る、

 大変立派な、海の男です。


鈴木さん「私がネコ船長さんを置いて、

     いなくなっちゃうわけ、ないじゃないですかー。


     船長さんの好きなマタタビ茶入れますので。」


 笑顔の可愛い鈴木さんの膝の上に乗って、

 ネコ船長さんは、すぐに上機嫌のご様子です。


佐藤さん「私にも、あれだけのたらしのテクがあれば・・・。」


 横から鈴木さんをからかう、佐藤さんですが、

 最近は、鈴木さんが簡単に引っかかってくれません。


鈴木さん「佐藤さんも何か飲みますかー?」


佐藤さん「そうですねー、

     それじゃ、柿の葉茶貰おうかなっ。」


 若いのに、健康に気を使ってるような佐藤さんです。


 一方の鈴木さんは、ネコ船長用の、

 足の長い可愛い椅子に、ネコ船長さんを移して、

 奥の給湯室に行って、佐藤さんの渋い趣味のオーダーに応えています。


 鈴木さん、若いのに気が利いて、

 清涼感があって、まるでクラスの委員長さんのようです。


 とすれば、佐藤さんは帰宅部ですかね?


佐藤さん「そーですよー。

     私、面倒はごめんなので、


     適当に青春して、進路決まればいいとか思う方でーす。」


 佐藤さんは、自分に潔いほど正直ですが、

 根は素直で、いいお嬢さんだったりします。


 少々、ツンデレ入ってますか?


佐藤さん「いえ、むしろSな方です。」


 そうやって、いつも心にもない事を言って、

 上手く合わせて、鈴木さんと仲良くやっています。


 佐藤さんの方が、鈴木さんより世渡り上手な感じですネ。


佐藤さん「心を読まれていては、

     いいように転がされてるだけのようです。


     私も、さっさと仕事終わらせよっと。」


 佐藤さんは、これから鈴木には内緒で、

 イケメン揃いの大学生たちと、合コンにでも行くようです。


鈴木さん「・・・いい出会いがあるといいですね、

     佐藤さんっ。」


佐藤さん「有りもしない事、勝手にでっち上げて、

     鈴木さんを巻き込まないでねッ!!


     この子純情だから、

     すぐに信じちゃうんだから。」


 その言葉に鈴木さん、佐藤さんをマジでリスペクトですっ!!

 ラッパー的な握手をしてもいい気分ですが、


 入れたてのお茶の乗ったトレイを持っているので、

 気持ちだけは、その笑顔から十分に伝わりました。


佐藤さん「お、お茶ありがとう・・・。


     だいたい、いつも一緒に遊んでるんだから、

     言わなくても、鈴木さんにはわかったと思うから。」


 佐藤さん、照れてます。

 その姿に、気持ちを穏やかにされる鈴木さん+ネコ船長です。


ネコ船長「お茶がほっこりと染みる季節ですニャー。」


ワンダ艦長「まったくですな、ネコ船長殿。」


 ワンダ艦長は、佐藤さんの上司で、

 ネコ船長とは、1,2を争う漁獲高を誇る、巨漢の海の男です。


 とてもイヌ好きで、それでワンダさんと呼ばれているのか

 本当に名前なのかは不明です。


 この長崎ドラゴン港に、最大級の漁船を停泊させ、

 その全長は300mを超えるタンカー級の漁船です。

 いろいろとヒミツがあるようですが、


 この町の権力者に絶大なコネのある、

 アリス会長さんが、「OKですよねっ。」っと、

 可愛く言った事から、みなさん笑顔で納得なさっていらっしゃいます。


 この超弩級漁船の中に、佐藤さんのお部屋があります。


 実に内装が充実した船で、

 製造されて結構な年月が立っているのか、バブルの遺産なのか、


 船内は、艶のある高級木材を惜しみなくふんだんに使った、

 高級感あるアンティーク調の船内で、

 洋風の豪華客船並みに美しく、クリスタルのシャンデリアまであります。


 大ホールが一つと、中ホールが二つもあり、

 会議から演劇、体育祭や文化祭まで、

 出来てしまいそうな空間が広がっています。


 おさかなさん用の大型冷蔵施設や、普段、積んでいそうな漁の器具が、

 あまり見かけられません。


 さらに、デッキに上がるとドーム型の開閉式のプールに、

 テラスがあって、肝心の一本釣りの竿や、

 網を巻き上げる機械も見当たらず、


 フタの閉まった何かの発射台のようなものが、

 両方に数十門あって、


 布で覆ってありますが、クレーンのような煙突状の長い筒が三本並んで、

 旋回式の台座に取り付けてあったりしますが、

 「気にしないでくださいネ。」と張り紙がしてあるので、

 気にしてはいけません。


 では早速、佐藤さんのお部屋を拝見させていただきましょう。


佐藤さん「ちょ、ちょっとーっ!!


     ぜぇぜぇぜぇ・・・。」


 すると佐藤さんが、市場の事務所から、

 猛ダッシュで駆けてきましたっ。


 鈴木さんも、何処かへ駆け出しましたが、

 佐藤さん、一体どうしたのでしょう。


 お疲れのご様子なので、

 エナジードリンクでも飲みますか?


佐藤さん「と、年頃の女子の部屋なんて、

     勝手に突入しないでくださいね!!」


 佐藤さんは、自分のネームプレートのかかった扉の前に、

 大の字に立って、扉を守りに入っています。


 脇の辺りに隙があるので、このくすぐり棒でくすぐったら、

 簡単に通れそうな感じです。


 すると佐藤さんは、合気道の構えをとって、

 抵抗する気に満ちているようです。


佐藤さん「当たり前ですよっ、

     女の子には、誰だって秘密の2、3ダースあるものです。」


 お・・・、多いですねー。


 さすが、経験値の高そうな佐藤さんです。

 さりげなーく殿方に近寄って、いつの間にか、

 ふらーっと、他の子が狙ってる方をお持ち帰りしてそうです。


佐藤さん「してませんからっ!!


     ほら、もう鈴木さんが部屋の片付け終わって、

     ウェルカム状態なんじゃないですか?」



 ・・・プルルルル~。



鈴木さん < 「鈴木でーす。


        もうちょっとかかりますので、

        佐藤さん、頑張ってくださいねっ。」



 いくら仲が良くても、譲れないものってあるんですね。

 さあ、ささっと開けちゃいましょう。


佐藤さん「ホォォォォォオ!!!」


 佐藤さんから、何やら青い光のオーラが出始めます。

 それって、もしかして『闘気』とか言うヤツですかー?


佐藤さん「私の本気を見せる時が来たようです・・・。」


 その次の瞬間、事務員の服の上着のボタンがパチンッと飛び、

 上半身の筋肉が盛り上がって来ますッ!!


佐藤さん「そんなウソ言っちゃだめでしょッ、

     そういう気迫だと、正しく伝えてください。


     ああもう、奥義撃っちゃおうかなーっ。」


 そう言うと、佐藤さんの両手が周囲の光を集め、

 何だかエネルギーみたいに、その指先まで輝きはじめますッ!!


 やられちゃいそうな雰囲気ですっ。


佐藤さん「だからー、

     お部屋訪問は、きちんと予定を取ってから、

     来て下さいね。


     これ以上、パワー高めると、

     逸る闘争心に歯止めかからなくなっちゃって、

     ギャラクシー的な技をお見せする事になりますが。」


 すると、その佐藤さんの部屋から、

 清掃員の格好をした、アリス会長さんが出てきました。


 何を身に付けても、キラキラ美少女している会長さんですが、

 佐藤さんと鈴木さんは、

 この町に来る以前からの仲良しさんだそうで、


 これはもうっ、ってくらいに隠蔽されまくった、

 女子の見本のような部屋へと改装された室内を見ても、

 仕方なくなってしまったのです。


アリス会長さん「ごにょごにょ・・・。


        (エリスおねーさんのグラビア写真で作られた、

         オリジナルの抱き枕は、

         きちんと、高難度のダンジョンの最下層の宝箱の中身と、

         入れ替えておきましたのでっ。)」


佐藤さん「ごにょにょ(アハッ、お気遣いどうもです。


     アレで、そっち派なの!?

     って決め付けられるのは困りますので。)」


 佐藤さんは想います。

 そんな所に置かれたら、もう回収出来ないじゃないですか・・・と。


 さらに、必至の思いで最下層に辿り着いた冒険者たちは、

 いったいその中身に、どんな顔をすればいいのだろう・・・とも。


佐藤さん(少々、今月厳しくなりますが、

     工房に再オーダーかけるしかなさそうですね。)


 ここで、お部屋見学の意味は無くなってしまいました。

 当然ながら、鈴木さんも万全状態で改装を終えているでしょう。


鈴木さん <「いつでもOKですよ~。」


 ちなみに鈴木さんの暮らす、ネコ船長の船は、

 こちらほど豪華な造りではありませんが、

 代わりに、近代的なデザインの空間が広がる、

 スマートで、ちょっとカッコイイ船内になっています。


 もちろん、部屋も立派な12畳間が一つに、

 キッチン、トイレ、お風呂まで完備されています。


 夢見がちなベットも、飾り付きの可愛い棚とかも、

 余裕で置ける、乙女空間を作り出せます。


佐藤さん「間取りは、鈴木さんの方が立派じゃない!?」


鈴木さん <「乙女部屋じゃないですよー。


       学習机と本棚と、

       こたつに、簡素なベットがあるだけの、

       ふつーのお部屋ですよっ。」


 ということで、偽装された部屋にいってもしょうがないので、

 ここで調査は終了です。


 後は、箇条書きでご紹介しますねー。




 ◇ 佐藤 みかさん。



   ・ 少し遊んでる感じを気取ってますが、

     根は純な、おぼこ娘さん。


     少々、ツンデレ寄り。



   ・ 元は、銀河防衛隊・東方方面派遣艦隊、

     高性能宇宙防衛艦『カリバーンV(ファイブ)』の、

     オペレーターさん。


     艦長はワンダ艦長さんで、大艦隊の旗艦クラスの艦長。

     その階級は船乗りで最高位の「大佐」。


     佐藤さんが、市場の事務所に働くことになって、

     代わりのきかない、レアで優秀なオペレーターさんを、

     失わない為に、


     船体を漁船に改修して、日々、

     海の平和と、みなさんの食卓の為に、

     漁の任務に就いている。


     ことになってます。




 ◇ 鈴木 はるかさん。



   ・ カリバーンV同様、東方方面に配属された、

     銀河防衛隊自慢の最新鋭艦、

     『エクスカリバーVII(セブン)』のオペレーターさん。


     ネコ缶を買う予定で、ふらりと立ち寄った長崎の港で、

     市場を仕切ってるノルンさんに気に入られ、

     現在に至ります。


     見た目通りに、おとなしく真面目で、

     とてもいい人です。


     なついているネコ船長さんは、

     鈴木さんと離れるのが無理なので、

     同様に、漁船に改修して漁をしています。


     ネコ船長さんは、エリスねーさんに、

     一目で心を持っていかれていますので、


     いつか人間になれたら、ねーさんに見合う、

     立派な男になりたいと、自分を磨く日々が続いています。



鈴木さん「そーだったんですか?」


ネコ船長さん「ここだけのヒミツにゃんッ。」


ワンダ艦長さん「奇跡が起こるといいですなぁー。」


佐藤さん「ですねっ! (私にも起これっ!!)」




鈴木さん+佐藤さん「では、またですーーー。 ^-^ 」
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早くも、十月ですねー。 『日記・2016/10/6』。

2016年10月06日 19時28分21秒 | 日記
 こんばんは、井上です。


 早いもので、もう十月です。


 あー、まだ焼きイモも食べてないなぁ~、ってくらい、

 秋、してないです。


 サンマは、九月に一度、

 スーパーのお惣菜で頂きました。


 来週には、家庭用ゲーム機の世界も、

 バーチャルな時代に入るようで、


 赤と青のフィルムの張られた紙のメガネで見る、

 「飛び出せ、これが東京タワーだ!!」的な、

 雑誌の付録を懐かしく思います。



 ということで、本日の日記は、


 ◇ あさごはん  パンとコーラ。

 ◇ ひるごはん  チキンカツ弁当。

 ◇ ばんごはん  豆ごはんと、肉じゃがと煮魚です。



 ・・・後は、まかせたョ、

 ためぞうセンパイ。




ためぞう先輩「おおぅ!!

       オレに『先輩』は、まだまだ早すぎるぜっ。」


 ためぞうはこの時間(夜の七時半ごろ)、

 コンパで通いで遅い、

 酒乱のおねーさんの代わりに、


 家の番をしながら、

 スーパーの夕方に行われた、

 数量限定の特売でゲットした、

 マツタケ風味のお弁当を、居間で頂く準備をしています。


ためぞう「ふぅ、

     オレにも、ようやく秋らしいものが訪れたぜっ。


     炊き込み飯の上に、堂々と鎮座しておられる、

     まるでトリュフをスライスしたようにエレガントで、

     誇らしいマツタケ様こそ、


     オレにとっては、秋を告げる先輩、

     いや「秋の番長」と言えるであろう。」


 ためぞうは、ブツブツとひとり言を言いながら、

 足取りも軽くキッチンに、愛用の湯飲みを取りに行きます。


 スイッチ一つでお湯が沸く、

 便利なポットでお茶を入れると、


 ためぞうは、テレビのバラエティの流れる、

 秋の空気に満たされた、居間へと戻ってきました。


ためぞう「!?

     無い! オレのマツタケ先輩は何処に行ったッ!!」


 もう、そのマツタケ風味の炊き込み弁当は、

 マツタケ番長という、司令塔を失った

 風味のみを味わうしかない、おいしい炊き込みごはんと化していたのです!


ためぞう「うまいのは、うまいので、

     もちろんおいしく頂くが、


     オレのマツタケの旦那を無残にも奪ったのは、

     何処のどいつだッ!!」


 ためぞうは、王を失ったお弁当を前に、

 入れたての緑茶をフゥフゥしながら、


 その知力3の冴えないおつむで、

 犯人像を推理したりしています・・・。


ためぞう「ねーさんは、まず有り得ない。


     合コンどころか、同じ会社の男性の方とも、

     外食をしたことがない、


     酒もロクに飲めない、

     実はおぼこ娘のOL23才、エリスねーさんだ。

     (ためぞうなりに、フォローのつもり。)


     それに、ねーさんの分はちゃんと別に買ってある。

     血は繋がらねど、姉弟の仁義。


     オレは、ねーさんを信じている。

     ・・・婚期も、今年はどうにもならなそうだが。」


 どうして、ためぞうは気が付かないのでしょう。


 あの戦場と化したスーパーの特売で、

 必至の思いで猛者たるオバサマたちを振り切り、

 二人分も確保した、その輝かしいお弁当は、


 あと一つ、キッチンの奥に残されているのだということに・・・。


ためぞう「なんだってーーっ!?


     やばいぞ、急げオレッ!!」


 さっき行ったばかりのキッチンに、

 すぐさま戻った、ためぞうが目にしたのは、


 エリスねーさんのそのマツタケ弁当を完食し終えた、

 犯人の姿だったのです。


謎の声「フッフッフッ・・・、

    美味しくダブルで頂いてやりましたぜ、


    ためさんや。」


 悪びれもせず、そう言うと、

 一足先に秋を味わっていたのは、

 ためぞうの上司のせりかさんでした。


せりかさん「おじゃましてます、ためさん。」


ためぞう「・・・。


     食う物に困るほど、彷徨っておられたか、

     元、上司のせりかさんよぉ。


     ・・・おろおろおろ。」


 落ちぶれて見えた、かつての上司さんに、

 ためぞうは、やさしく残りのご飯も食べなさいという、

 タヌキのいたわりにも似た眼差しを、

 せりかさんに送っています。


せりかさん「違うからねっ!

      私、今もバリバリ、ためさんの上司だからネッ。


      今日はエリス姐さんに、

      今月のおこづかいをたかりに行ってたら、


      家に、季節のお弁当あるから、

      食べてていいよって、カラオケで言われて、

      適度に歌ってから、こっちに来ただけだからねっ!!」


 うんうんと、ためぞうは暖かな眼差しで、

 ダメな上司のせりかさんを、優しく見守っています。


 言い訳はいらないから、

 お茶でも飲んで、居間でゆっくりしていきなよと、

 おもてなしの準備です。


 ためぞうの、せりかさんへのリスペクトは、

 こんな些細な事では、揺らぐ事はないのです。


 勧められるまま、こたつテーブルへと誘われ、

 せりかさんは、茶菓子まで出してもらっています。


 そんな、ためぞうの心からのおもてなしですが、

 せりかさんには、何かが違うようなのです。


せりかさん「・・・。


      いつの間にか私が、かつてのエストさんのポジションに、

      収まってきてる気がして、ゾクッてしたよ。


      ウワサでは、エストさん大冒険の最中だし、

      みんなが私に甘くするのは、


      もしかして「全国魔王派遣協会」の特別優秀魔王賞を取った私を、

      堕落させて、下克上の策だというのッ!?


      私、騙されないんだからネッ!!」


 ためぞうより、

 もしかしたら頼りないかも知れない、

 堕ちた知力の持ち主のせりかさんは、


 変な妄想を巡らせて、

 自ら、ワナの中へと飛び込もうとしています・・・。


ためぞう「せりかさん、なんか誤解してないか?


     ねーさんが、オレに客人を任せたって事は、

     いつもの三倍はサービスしないと、


     オレなんかじゃ、ねーさんのその、

     飾らない、計らない素直な心のおもてなしには、

     程遠いってだけだぞ。」


せりかさん「だめだ・・・。


      ためさんの言葉さえも、

      今の、季節先取りな私では素直には信じられないヨ。


      でも、それでも茶菓子のカステラに手が伸びる、

      この悲しいサガに、おなかも味も満腹でござるよ・・・。」


 「シリアスになれないと」いう、バットステータスが付与した、

 この町でのせりかさんは、

 その際限の無い、物欲センサーを押さえることが出来ないのです。


せりかさん「そんなん、いらねーYOッ!!」



   ガラガラガラーッ・・・。



 エリスねーさんが帰ってきたようです。


エリスねーさん「ただいまーっ。」


 その声の方向へとダッシュで駆けて行く、

 せりかさんですッ!!!


 他所の家の廊下を、無闇に走ってはいけませんよ・・・。


エリスねーさん「おう、せりかさんっ!」


せりかさん「姐さぁぁ~~~んッ!!」


 ジャンプ一発、ねーさんに飛び付いたせりかさんを、

 エリスねーさんは、難なく受け止めました。


ためぞう「お、おかえり、

     ねーさん・・・ホッ。」


エリスねーさん「どーしちゃったの、せりかさん?


        何だか、いつに無く情熱的な、

        ジャンピングアクションな、ハグだったんだけど。」


 せりかさんは、元に戻ったように、

 エリスねーさんの膨大な運気を吸い取っています。


 落ち着いたせりかさんは、

 ねーさんの持つ紙袋に気が付くと、


 すぐに開き直って、おねだりモードへと突入します。


せりかさん「何すかそれッ、

      野郎どもから勝ち取った戦利品ですかい、姐さんっ!!」


エリスねーさん「そんなんじゃ、ないからネ。


        ちゃんとデパートで取り寄せてもらった、

        マツタケだからね。」


 品のある和紙で出来た紙袋の中には、

 木製の化粧箱に入れられた、

 立派な旬のマツタケが、なんと七本も入っています。

 今日は、なんだか大漁のようです。


 その位置からでも、十分素敵な香りが漂ってくる、

 一級品のマツタケさんに、

 せりかさんは、秋との出会いを二回も迎える流れに乗っています。


 この時、せりかさんは確信に至るのです。


 もう、この開幕から荒れ果てた、

 波乱に満ち満ちた展開を見せる、

 新世紀覇王伝の中で、


 上手くやり過ごして行くには、

 このおねーさんしか、いないのだとッ!!!


 ためぞうなんかに、独占させておいては、

 せりかさんは、その座から落ちていくだけなのだ・・・。


 と、勝手にそう思い込んだのですッ。


 かしこまった様子でせりかさんは、

 ねーさんに、こう言います。


せりかさん「パッパカパーーーッ♪

      この度、私、魔王派遣協会・特別顧問(ここは自称。)の、

      せりかさんは、


      エリス姐さんを、次の『大魔神』統一選挙に、

      全力で推薦したく思う次第ですッ!!


      豪華な特典満載の管理職なので、

      ぜひ、ご出馬を~~~ッ!!!」


エリスねーさん(うっ!?


        ・・・せりかさん、何か余計な事、

        あたしに押し付けようとしてるの?


        いや、そりゃ独り身だし、

        ためぞうが立派に旅立ってくれれば、って、

        『大魔神』って何!?


        えっと、そんな事してる場合じゃなくて、

        これでも一応、恋とか夢見てるので、


        変にされないように、ごまかさねば・・・うん。)


 エリスねーさんは、最近代えたばかりの、

 ナイスなジェットブラックの、

 次世代スマホ片手に、お電話です。


エリスねーさん<「もっしー、セバリオスー。」


> セバリオスさん「おおっ! エリスじゃないかっ。


          こんな時間にエリスから電話だなんて、

          ちょっと、私でもドッキリしてしまう展開を期待したいが、


          それで、用件は何かな?


          家の掃除でも、取引先の紹介でも、

          何でも遠慮せずに、言ってくれれば、これに勝る喜びはない。」


エリスねーさん <「別にそんなんじゃねーよ。

          お前、やっぱちょっとややこしいな。


          ただ、マツタケ買ったから、

          折角なんで、セリスも連れて食べに来いよ。」


> セバリオスさん「ハッピーオータムフェアが、この私にも訪れた気分だよ、

          ハロウィンも近いからねっ、ハッハッハッ!!


          エリスから誘われるのは光栄だが、

          出来ればレオクス君も誘っていいかな?


          自分たちの分のマツタケは途中で手配させるからね。」


エリスねーさん「七本もありゃ、十分だろ。

        いいから、寄り道せずに来いよ~。


        (・・・レ、レオクスさんも来ちゃうのか、

         いかん、緊張するなぁー。)」


 セバリオスさんさえ呼んでおけば、

 せりかさんの戯言など、無用の心配です。


 隠れ設定で、セバリオスさんは、

 エリスねーさんの上司なのです。


 神の如き、新世紀覇王候補筆頭のセバリオスさんを前に、

 せりかさんのパワーでは、なまけものと最強の獅子王以上の差があります。


せりかさん「マツタケだけでも、美味し!!


      (・・・これはもう、しっかり粘着させてもらいますぜ、

       姐さーーんっ!!!)」



 こうして、エリスねーさんの家にも、

 素敵な秋が訪れたのでした・・・。



エリスねーさん「では、またですー。 ^-^ 」
コメント
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