学生の頃入っていた山岳部の先輩たち
全国に散らばっている部員全員が、毎年、年2回集まって山登りを愉しんでいるという。
たまたま、地元の木曽駒ケ岳に登るという話を聞いたので、先輩に会いに木曽駒ケ岳に登る事にした。
朝、一番早いロープーウエイで千畳敷に到着すると、
千畳敷から上は真っ白な霧の中で、まだほとんど人がいなかった。
宝剣山荘に一泊した先輩たちは、チェックアウト後木曽駒ケ岳に向かうという。
不思議なもので、会える人がいると思うと、
普通なら心細い真っ白なガスの中でも、いつもより早く歩ける。
山頂に到着して、ガスの中を見渡すと・・
7人の団体登山者が一塊になって話している。
数十年会ってない先輩たちだった。
感激の対面だった。
それにしても、部員全員が何十年経っても、こうしてあの頃の隊列と同じ隊列を組んで山を歩けるなんてすごい事だと思う。
登山者は毎年増える傾向にあるけれど、マナーを守らない登山者も多く、
登山道で座り込んで休憩をとっている人たちや、タバコを吸う人、大勢の団体さんが大声で世間話などしながら、
バラバラに歩く姿なども良く見かける。
最後尾から見る先輩たちの歩き方は、あの頃と同じように私に何かを教えてくれた。
振り返ると木曽駒ケ岳の上空の霧も晴れ、真っ青な空が見えてきた。
見えなかった周りの山々が姿を現した。
宝剣岳と天狗岩が見えてきて、
宝剣岳に登る事になった。
宝剣岳はちょっとした山だけれど、岩ばかりで山頂まで鎖場が続く。
写真を撮っている余裕はなく、カメラを持っているのも危険なのでザックにしまう。
命がけでこの岩ばかりの山を越え、振り返ってみた時、
この年齢になってこの岩場に挑戦できる先輩たちもすごいし、
私にとってもいい経験になった.
一瞬も気を許せない緊張感は、普段の生活では味わうことができない。
このアドレナリンは少し癖になる。
平らになった登山道を極楽峠に向かう。
人生も半世紀以上を過ぎると、このくらいの岩場もあったし、
そして、その先には極楽峠もあるかもしれない・・・。