ペーパードリーム

夢見る頃はとうに過ぎ去り、幸せの記憶だけが掌に残る。
見果てぬ夢を追ってどこまで彷徨えるだろう。

京都快晴

2010-11-21 03:04:18 | 美を巡る
11月18-19日、京都でつぶやいたtwitterがこちらに連動されていなかった・・・。
ので、補足してパパッと振り返ります。

京都文化博物館で取材&打ち合わせのあと、
四条大宮にあるホテルにチェックイン。
まだ20時前だし…。というわけで京都の“おとん”ことM氏と近所で一杯。
関東では蕎麦屋でうどんを食べるやんか、
関西ではうどん屋で蕎麦を食べるって知ってはった? そやねえ!
なーんて他愛のない話から、
ご子息(私にとっては弟みたいなJ君)のおめでたい話まで…
なんだかあっという間に時間は過ぎて・・・
ほろ酔いで部屋へ戻り、昼間、烏丸御池で買った入浴剤を使ってみた。
それも「チョコミント」! …う~む。甘いミントの香りでしたよ。(当たり前だ)


翌朝は軽い朝食をとって、近所を散歩。
壬生寺方面に歩いていったら、京福電鉄の小さな踏切があった。
鉄道マニアのなかでも踏切を愛する人々を「フミキリスト」と呼ぶのだとは、
最近知ったばかり。
線路脇にレトロな喫茶店がぽつんとあって、なるほど、
こんなところも胸キュン!なわけね、…と私も気分はちょっぴりフミキリスト。


壬生寺といえば、新撰組。
境内の池の中にある島には、近藤勇の胸像や芹沢鴨らの墓などがある。
新撰組のファン?らしき若い女の子らの姿が見える。
私? 私は単なる通りすがりの者で・・・はい。(笑)


それより、千体の石仏が安置された千体仏塔のほうが興味あったな。


10時、デザイナーA氏とロビーで会い、昨夜のM氏の染織補正工房へ。
A氏にぜひ、M氏の彩色家紋を見てもらいたかったのと、
先日粗相をした紬と、仕立ててもらいたい着尺を送っていたのだ。
目の前で、いとも鮮やかにシミをきれいにしていくM氏の職人技にしばし見とれる。
着尺の柄あわせを相談して、今回もお針子・小夏ちゃんにお願いすることに。
A氏はJ君の作るシルバーアクセサリーの陳列棚に興味津々のよう。
そして、M氏が趣味で描いているという絵、
帯地や絹に描かれた猫の絵を初めて見せてもらい、びっくり仰天。
おとん、こんなすごい絵、もったいないわ、個展しなはれ(なぜ私まで京都弁!?)、と
しばし盛り上がる。

おいとまをして、大通りまで歩きながら、
京都にはああいうにすごいひとが大勢いるのに、みんな控えめで、
それがやっぱり京都らしいんだ、と、京都生まれのA氏が言う。

お昼は河原町の味噌汁専門店・志る幸で。

A氏がデザインをした本の売れ行きが好調とのことで、挨拶も兼ねて。
風情のある店内の、芝居小屋の客席風になった場所に腰掛けて、
鯛めし丼、はまぐりの白味噌仕立て、
鰊と水茄子の炊き合わせ、自家製千枚漬けをいただく。
しっかり出汁がきいて、でもなんとやさしいお味だこと!


A氏と別れ、今出川へ。
久しぶりに相国寺でのんびりしよう。
ここは時間さえあれば行くようにしている好きな場所のひとつなのだ。
秋晴れの空に黄金色の銀杏、そして道路に伸びる細い影。


相国寺は、金閣・銀閣両寺を末寺とする臨済宗相国寺派の大本山である。

豊臣秀頼が建立したという法堂、天井の蟠龍図は狩野光信が描いたもの。
八方睨みのこの龍はどの位置に立っても目が追いかけてきて、
姿態も変化する。
そして、絵の下で手をたたくと、カーブがかった天井の反響で
龍が鳴いているような振動音が聞こえる。
平日とあってガラガラだったため、「龍様、また会えたね~」とばかりに、
独り占め状態で楽しんでしまった。

開山無窓国師像を安置する開山塔の庭は龍渕水の庭と呼ばれる。
枯山水の向こうには、見事に色づいた秋。


いつだって、なにがなんでも承天閣美術館に行きたいのは、
伊藤若冲の「月夜芭蕉図床貼付」と「葡萄小禽図床貼付」を見たいため。
改築される前、ガラスケース越しに見るようになる前に、
薄暗い中で見たこの絵が忘れられなくて、何度通ったことか。

今回は、丸山応挙の「十牛図」、「七難七福図巻」15mを堪能。
「十牛図」は、禅の悟りにいたるまでの行程を牧童と牛に例えて十枚の絵で表したもの。
一乗寺にある圓光寺の「十牛之庭」もさぞ紅葉がきれいだろう、と不意に思い出す。
3年前、紅葉真っ盛りのこの時期、夜紅葉を見に行ったのだったなあ。

「七難七福図巻」は、世の様々な天災・人災・福をテーマに描かれた大作。
天変地異の恐ろしさ、人間が行う行為の残酷さを、また
豊作、婚礼などの祝い事に浮かれる人々の平和なさまを…と、
いつの世も変わらない出来事を生々しく細密に力強く描いている。


閉まってしまった受付を開けてもらい、お香「萬年の緑」を買って、
うっすら夕焼けに染まる相国寺をあとに帰京。



新幹線には、ビールとお弁当が待っている~。(オヤジですな、まったく)
さすが、この時期、どの便も目一杯混んでました。