マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

敗軍の将、兵を語る(その1)

2017年09月04日 | 将棋

 将棋名人佐藤天彦のこの1年は明と暗に彩られているように見えた。好きな棋士の1人なので、その対局の殆どを「iPad」を通じて観戦してきた。”明”は名人位を防衛出来たこと。20165月、当時の名人羽生善治に41敗で勝利して、名人位を奪取した佐藤は、2017年6月6日の名人戦第6局で稲葉陽の挑戦を4勝2敗で退けた。
 更には、叡王戦ではトーナメント戦を勝ち上がり優勝。

 一方”暗”は「将棋電王戦トーナメント」優勝ソフト「ポナンザ」と対戦して敗れたこと。棋士相手に負け知らずの最強将棋ソフト「ポナンザ」との電王戦二番勝負はポナンザの圧勝に終わった。人間対将棋ソフトが対決する電王戦は、プロの将棋指しの512敗1分の最終結果で、今回をもって終了。叡王戦はタイトル戦へ昇格し、将棋八大タイトルの1つとして、現在各段の予選が開始されている。将棋ソフトが人間を超えたと言って過言ではない状況となった。囲碁AIがプロ最高レベルに勝利してから1年足らずのことだった。(写真:対局する両者)

 これを受けて、いろいろな報道・出版があった。ポナンザ制作者の一人山本一成(下山晃との共同開発)は『人工知能はどのようにして「名人」を越えたのか』を5月に出版。NHKは『BS1スペシャル 名人VS将棋ソフト最終決戦』を制作。今年の7月に放映された。ドキュメンタリは録画し何度か見ているが、「You Tube」でも見られることを知り、最近では画像を取り込む内部スキャンが可能なこちらの方を主に利用している。『人工知能は・・』は最近購読し読み始めた。こちらが勝者から見た”勝利の最新方程式”に対しドキュメンタリーは佐藤へのインタビューを中心にして、敗者の視点から語られている。
 
佐藤は全く悪びれず、ポナンザから学ぼうとの姿勢で、そこから学んだ方法を名人戦で活かしたとも語られていた。佐藤のこの1年は明と暗と一方的に見たが、明一色であったかも知れないと思い直している。次回は敗戦の弁を綴りたい。