マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

初の外国人女流棋士カロリーナ・ステチェンスカ

2017年09月02日 | 将棋

 一昨日夜、勤務から帰宅すると、中学時代からの友人北田君からの1通の封書が置かれていた。中を開けると右写真の駒が出てきた。 
 
北田君は将棋駒づくりのプロで、駒師として北田如水と号し、最近まで「将棋駒研究会」の会長を務めていた。棋王戦第4局では必ず彼の駒が使われるまでに有名になっていた。その彼から送られて来た駒。文面には「小生、多少将棋界から恩恵を受けていますので、つぐないの目的で根付けを皆様にお送っております。・・・」と書かれていた。何に着けようか迷いつつ、お礼はメールではなく直接話の出来る電話をした。クラス会参加の方を中心に送ったとの事。

 今年の棋王戦が駒師としての最後の登場との事で、引き継ぎを兼ねて弟子筋の方と一緒に宇都宮へ行くとのことだったで、私は北田君との同行を諦めた経緯があった。送られて来た駒から、昨年、彼と宇都宮グランドホテルに行った時のことを思い出した。(写真:左馬で、その由来が添えられていて、「まう」と読み、「舞うは古来よりめでたい席で催された事から祝い駒となっております」などと書かれていた)

 その節、彼は女流棋士北尾まどか2段に自作の駒を贈り、彼女を私に引き合わせてくれた。まどか2段のそばにいたのが、ポーランドからやって来て女流棋士を目指しているカロリーナ・ステチェンスカ3級。まどか2段は彼女を指さし「彼女は棋士の卵」と話してくれた。失礼ながら、そのカロリーナが棋士になれるとはその時は全く思わなかった。その彼女が今年2月20日、遂に念願を果たした。外国人初の女流棋士誕生だった。
 

 最近の将棋界は話題が豊富である。佐藤天彦名人対「ポナンザ」の決戦や中学生棋士藤井聡太君の29連勝もあるが、ポーランド人カロリーナ・ステチェンスカの外国人女流プロ棋士初誕生もマスコミに取り上げられた。
 
外国人が何故将棋に興味を持ったのか?その切っ掛けが面白い。ポーランド語に翻訳された漫画『NARUTO-ナルト』の登場人物が指していた将棋が、チェスとは違い、取った駒を使えることを不思議に感じたらしい。ネットで調べたのが将棋に興味を持った由縁とあった。ネット将棋で練習を重ね、北尾2段とのネット対戦。その縁で2012年に来日。連盟の海外普及大使北尾まどか2段の取りなしで、当時は結婚していた片山7段の門下生となった。
 日本語と正座に苦しめられながらの修行。なかなか眼が出なかった。帰国を思ったこともあった。しかし、
今年の220日、第44期女流名人戦準決勝で貞升南初段に勝利して予選決勝進出を果たし、女流2級に昇級し、日本将棋連盟に所属する、外国人初の正規女流棋士となった。幾多の困難を越えての到達点。

 その貞升南戦を覗いて見よう。彼女は終始苦戦を強いられてれていたが、終盤に相手方王を詰ませる手順を発見。間違いなければ自分が勝ことが出来る。勝てばプロの女流棋士となれる。来日以来の困難な日々に別れを告げられる。その瞬間の彼女の感想がネットに載っている。
 「今日の対局は、最後に詰みがあるかどうかを考えていたら頭の中が真っ白になりました。女流棋士になれるのだろうかと苦しい時もありました。そんな時、お世話になった先生や家族や友達やファンが助けてくれました。プロになれてうれしい」(写真:この局面で即詰を発見した。上側が後手番のカロリーナ)
 チェスの駒がグローバル対応であるに対して、日本の将棋の駒には漢字が使われている。漢字圏以外の外国人に取って、将棋というゲームに馴染むネックになると思われるが、その壁を越えての初の女流棋士誕生。

      
      (ここまでで貞升初段投了。この時カロリーナの持ち駒は歩4  銀1 金1