邂逅とは人と人との偶然の出会いを言うのだろう。しかし、これから書こうとしていることは、ある“問”と、その“答”の邂逅。偶然の、突然の出会い。
“問”は2015年3月31日に書いたブログ「ハラハラ散らぬ サクラかな」での“問”。そこでは、Yさんの言葉として「神明公園の桜が、ハラハラ散らずに、椿の様に、ガクごと落ちるのよ。どうしてか分かる?」と書いた。つづめて言えば「サクラはなぜハラハラと散らないのか」がそこでの問いだった。私はネットで調べ、可能性を3つほど書き添えた。
その“答”に一昨日突然に、偶然にも出会った。全く予期せぬ出会いだった。それも正解答に。(写真:2年前の写真の再掲)
前回のブログに書いた『幻董庵』での傘寿の会終了間際、石川さんから「身近な自然」と題する30ページほどのプリントを頂いた。某専門学校の機関誌に載せたものらしい。それを石川論文と呼ぼう。加齢とともに行動圏が狭くなるにつれて、身近な自然の有り難さが身にしみます、と書いた石川さんの、自然の、我流楽しみ方の数々が紹介されて、その冒頭部分が<サクラの蜜なめるスズメ>だ。
北鎌倉から帰宅した翌日、石川論文の冒頭を読み、ビックリした。そこには2年前に私がブログに書いた“問”の答えが書かれていたからだ。
ご本人のお断りを得て、その文章を紹介する。
「ここでサクラと言っているのは原則としてソメイヨシノを指しています。
スズメがサクラの蜜をなめるときは花の正面からではなく裏側から攻めます。花の基部の筒状の部分(がく筒という)を噛み切ってなめるのです。その後その花は5枚の花弁を着けた姿のまま落とされるので、木の下にそのような花が落ちていればほぼスズメの仕業と想像されます。通常は正面から蜜を吸うヒヨドリも、時にこういう行動を取るようです。
スズメのこの食習慣は比較的新しいものらしく、30年前では珍しがられたと思いますが、最近では東京でも見慣れた春の光景です。ほかのスズメの行動を見て真似するという形でこの食べ方が次々に日本のスズメの中に広がったのだと考えられていますが、現在はどこまで広がっているのか知りたいものです。よく目立つ現象なのでその記録を広範囲に集めてゆけば、新しい食文化の伝わり方やスズメの行動範囲について面白いことが見えて来そうです。
(中略)我が家の近くのサクラの木の中でも、このようなスズメの食事風景が見られるのは特定の木に集中しているらしいことも気になるところです」(写真:「日本の鳥百科」より、スズメ)
スズメがサクラの蜜をなめるときにがく筒を噛み切り、その後花は花弁を着けた姿のまま落ちて来ると書かれている。石川さんは更にそのサクラの落下傘がどの様に落ちてくるかを観察し、その結果を<サクラの花の落下>に纏めた。続く