130-「桜狩」(嘉永年間・1848~54)
浅草寺の二天門をくぐって、左に行くと”奥山”というエリアに出る。
奥山は吉原への近道で、観音詣でを言い訳に
雷門から仲店通りを来た男は、二天門を抜けるや、
本堂を尻目に、ひょいと左にそれる。
射的・見せ物・茶屋・占い・かんざし・指物屋
などなどの誘惑をくぐり抜け、吉原へ一目散。
嘉永4年の春に、奥山に客寄せの桜が植えられた。
もちろん吉原仲の町形式に、「根ごして植えし初桜」
(山で育てた桜の木を、根のついたまま運んで植えること)だ。
この曲はそれを詠んでいる。
『其の昔 ありしも恋の手引き草
誓いも深き奥山に
根ごして植えし初桜
色香を送る春風に
馬道越えて通う駕
三枚 四枚 衣紋坂
はや大門と夕桜
気高き花の装いに
松の位の外八文字
実にこの廓の春の宵』
●その昔、恋の手引き草というのがあったそうな。
観音様のご利益深い奥山に、この春植えた初桜。
花の色香に誘われて、馬道を越えて駕に乗る。
超特急の早駕で、あっという間に衣紋坂、
左に折れて、大門(おおもん)に着いた。
桜の提灯に灯りがともり、まあなんとまぶしい花魁たちの装い。
外八文字を踏むような、高級な遊女もいて、実に浮き立つ廓の春よ。
三枚、とは駕かきの人数のこと。普通は二人でかくのだが、
急ぐ時は担ぎ棒の先に紐をつけて、一人が引っ張りながら走る。
四枚になると、引っぱり手が二人になり、両方の棒を引っ張る。
計四人で走るのだから、そりゃあ早いだろう。
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teea breaku・海中百景
photo by 和尚
浅草寺の二天門をくぐって、左に行くと”奥山”というエリアに出る。
奥山は吉原への近道で、観音詣でを言い訳に
雷門から仲店通りを来た男は、二天門を抜けるや、
本堂を尻目に、ひょいと左にそれる。
射的・見せ物・茶屋・占い・かんざし・指物屋
などなどの誘惑をくぐり抜け、吉原へ一目散。
嘉永4年の春に、奥山に客寄せの桜が植えられた。
もちろん吉原仲の町形式に、「根ごして植えし初桜」
(山で育てた桜の木を、根のついたまま運んで植えること)だ。
この曲はそれを詠んでいる。
『其の昔 ありしも恋の手引き草
誓いも深き奥山に
根ごして植えし初桜
色香を送る春風に
馬道越えて通う駕
三枚 四枚 衣紋坂
はや大門と夕桜
気高き花の装いに
松の位の外八文字
実にこの廓の春の宵』
●その昔、恋の手引き草というのがあったそうな。
観音様のご利益深い奥山に、この春植えた初桜。
花の色香に誘われて、馬道を越えて駕に乗る。
超特急の早駕で、あっという間に衣紋坂、
左に折れて、大門(おおもん)に着いた。
桜の提灯に灯りがともり、まあなんとまぶしい花魁たちの装い。
外八文字を踏むような、高級な遊女もいて、実に浮き立つ廓の春よ。
三枚、とは駕かきの人数のこと。普通は二人でかくのだが、
急ぐ時は担ぎ棒の先に紐をつけて、一人が引っ張りながら走る。
四枚になると、引っぱり手が二人になり、両方の棒を引っ張る。
計四人で走るのだから、そりゃあ早いだろう。
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teea breaku・海中百景
photo by 和尚