西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

166-冬の山姥

2010-02-21 | 時系列的長唄の見方(c)y.saionji
杵屋六左衛門(9代目)―16「冬の山姥」


そしてチラシ。
再び山姥の登場で終わりとなる。

『いとま申して帰る
 山の山はもと山
 水はもと水
 ちり積もって山姥となれり(塵も積もれば、山んば、と洒落る)
 春は花咲き 
 紅葉も色濃き
 夏かと思えば 時雨して(夏かと思えば、秋の時雨)
 四季折々を眺めつつ(四季の移ろいを眺めていると)
 万木千草も一時に白妙の(あたりの草木も、あっという間に雪化粧)
 面白や面白や
 鬼女が有様見るや見るやと
 峰をかけり 谷に響きて今までここに
 あるぞと見えしが山また山に
 山また山に山めぐりして
 行方も知れずなりにけり』

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tea breaku・海中百景
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165-冬の山姥

2010-02-20 | 時系列的長唄の見方(c)y.saionji
杵屋六左衛門(9代目)―15「冬の山姥」


次は金太郎の踊りとなる。

『雪やこんこん 丹波の小雪
 小雪集めてころころころ…
 
 中略

 おんらが住家は足柄の山奥で
 でんぐりでんぐり杉の木の
 木の根を枕にころり寝もし
 寝間へ獅子でも熊でも来たならば
 ひん抱いてえらい目に遭わそえ
 船となり又帆となる
 人の気心知りゃせまい

中略

 乳房離れしその日より
 力だめしの ありゃ ありゃ ありゃ
 こりゃ こりゃ こりゃ
 松を引き合うその内に
 中よりほっとねじ切りしは
 目ざましや』

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tea breaku・海中百景
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164-冬の山姥

2010-02-19 | 時系列的長唄の見方(c)y.saionji
杵屋六左衛門(9代目)―14「冬の山姥」


次は山姥の、山中の暮しぶりを描く。


『柳は緑 花は紅の色々(自然の中に住み)
 さて人間に遊ぶ事(人間であることを楽しむ)
 あるときは山賤の(ある時はきこりが)
 樵路に通う花のかげ(休む花の下に出向き)
 休む重荷に肩を貸し(荷物をかつぐのを手伝い) 
 足柄山へ分け入りて
 又天神へ誓いを立て  
 心尽くして育てし我が子
 数えてみれば 幾とせか(すっかり大きくなったものだ)
 松の緑も苔むして
 さざれ石 巌となりしを(小さな石も、苔むして大きくなるのに)
 見れども変わらぬ我が姿(私の姿はちっとも変わらない)
 ただ鬼女とのみ里人の(里人は鬼女とからかい)
 我を恐るる恥ずかしさ(恐れおののく、情けなさ)
 髪はおどろを頂きて(髪はくしゃくしゃ)
 我が子と共に力業 
 夫の菩提や我が子の為にのみ
 よし足引きの山姥を(ままよ、この山姥を)
 慕う我が子を呼子鳥』 

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tea breaku・海中百景
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163-冬の山姥

2010-02-18 | 時系列的長唄の見方(c)y.saionji
杵屋六左衛門(9代目)―13「冬の山姥」

まずは、山姥が曲がりくねった雪道を辿り、
庵に帰って行く、というところ。花道での踊りだ。

『あしびきの 山高うして海近く
 峰の梢は雪折れの
 すわや陽炎 夕月の(あっ 陽炎が)
 影も朧に山姥が(夕月のぼんやりとした影の中)
 帰るさの(山姥が帰ることよ)
 道惑わじと折る枝も
 八重降り積もる雪の足
 水の流れの音絶えて
 眺めは花に優れども
 今日の寒さをいかにせん
 笠もる雪を打ち払い
 訪のう人もなき身のつらさ
 暫し晴れ間を松の雪(ちょっと雪の止むのを待つとするか)
 あしびきの 山路激しき九十九折り(曲がりくねった山道を)
 辿り辿りて来たりける』

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tea braeaku・海中百景
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162-冬の山姥

2010-02-17 | 時系列的長唄の見方(c)y.saionji
杵屋六左衛門(9代目)―12「冬の山姥」

次に六左衛門の曲で残っているのは「女伊達』(1809年・中村座)。
これは瀬川仙女による四季の踊りの趣向の、四変化舞踊の一つ。
女侠客が、尺八を手に悪い男どもをやっつけるという、
胸のすくような立ち回りを見せるもので、
今日でももっぱら舞踊の地に使われている。

演奏曲ではないので、歌詞は省略する。

同じ時に作られたのが「山姥」。
「女伊達」は、夏の踊りで、「山姥」は冬の踊りなので
別名を「冬の山姥」という。
伝説上は、山姥の子が金太郎とされているので、
上の巻が仙女の「山姥」、
下の巻が瀬川路考(4代目)の「金太郎」という二段形式の趣向になっている。

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tea breaku・海中百景
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