3代目瀬川菊之丞 その3
2代目の百か日法要も終った、その年の暮れ、
富三郎は初めて江戸に下り、仏前で師弟の契りを交わした。
そして翌年(1774・安永3年)、市村座の初春狂言に瀬川富三郎
として初お目見え。
江戸の客は、大坂から来た無名の富三郎の見事な踊りにびっくり仰天。
3月の、2代目菊之丞一周忌追善興行では、
瀬川家のおはこ『百千鳥娘道成寺』を踊り、
5月の、8代目市村羽左衛門追善興行の「其面影二人椀久」
では、中村座の市川団十郎(5代目)、森田座の中村富十郎を向うに回して、
江戸中の評判をとった。
何しろ富三郎の父市山七十郎は、
大坂中の役者すべてを振り付けるほどの名人。
富三郎の踊りも、父親仕込みの筋金入り。
それにすらりと背が高く、美形でかわいらしい。
さすがに七蔵が執念でつかみ取った、菊之丞だけのことはある。
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tea break・海中百景
photo by 和尚
2代目の百か日法要も終った、その年の暮れ、
富三郎は初めて江戸に下り、仏前で師弟の契りを交わした。
そして翌年(1774・安永3年)、市村座の初春狂言に瀬川富三郎
として初お目見え。
江戸の客は、大坂から来た無名の富三郎の見事な踊りにびっくり仰天。
3月の、2代目菊之丞一周忌追善興行では、
瀬川家のおはこ『百千鳥娘道成寺』を踊り、
5月の、8代目市村羽左衛門追善興行の「其面影二人椀久」
では、中村座の市川団十郎(5代目)、森田座の中村富十郎を向うに回して、
江戸中の評判をとった。
何しろ富三郎の父市山七十郎は、
大坂中の役者すべてを振り付けるほどの名人。
富三郎の踊りも、父親仕込みの筋金入り。
それにすらりと背が高く、美形でかわいらしい。
さすがに七蔵が執念でつかみ取った、菊之丞だけのことはある。
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tea break・海中百景
photo by 和尚
今日は、三越劇場での演奏会の前に、
青山にあります、NHK文化センターに、家元の代稽古に行きました。
青山東宮御所のすぐそばにある文化センターには年に何回かは、
代稽古で行きますので、
お弟子さんとも顔なじみなのですが、
長老の大野さんが、米寿、88才だというのでびっくりしました。
そうしましたら、「僕は90です」というおじさんがいてまたびっくり!
あまりにフツーなので、てっきり70代後半かと思っていた千野さんです。
少々緊張気味ですが、お顔もつやつや、頭も動くし、反射神経も申し分ありません。
ご立派としかいいようがありません。
文化センターを終らせて、今度は三越劇場に。
楽屋の神様です。
「越後獅子」を演奏して、気分よく一日が終りました。
青山にあります、NHK文化センターに、家元の代稽古に行きました。
青山東宮御所のすぐそばにある文化センターには年に何回かは、
代稽古で行きますので、
お弟子さんとも顔なじみなのですが、
長老の大野さんが、米寿、88才だというのでびっくりしました。
そうしましたら、「僕は90です」というおじさんがいてまたびっくり!
あまりにフツーなので、てっきり70代後半かと思っていた千野さんです。
少々緊張気味ですが、お顔もつやつや、頭も動くし、反射神経も申し分ありません。
ご立派としかいいようがありません。
文化センターを終らせて、今度は三越劇場に。
楽屋の神様です。
「越後獅子」を演奏して、気分よく一日が終りました。
3代目瀬川菊之丞 その2
江戸に帰った七蔵は、自分が書いたことは内緒にして、
病床の菊之丞にこの芝居の評判を話し、
富三郎の美貌と才能をほめちぎった。
菊之丞は、信頼する七蔵がそれほど誉めるのだから、
富三郎はよほどいい役者に違いないと思い込んでしまう。
そして何としたことか、いまわの際に妻おみつに
「3代目は富三郎に…」
と言い残してみまかったのだ。
吉松も雄次郎も真っ青だが、遺言とあらば仕方がない。
こうして、まだ誰も見たことのない富三郎が3代目継ぐことになった。
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tea break・海中百景
photo by 和尚
江戸に帰った七蔵は、自分が書いたことは内緒にして、
病床の菊之丞にこの芝居の評判を話し、
富三郎の美貌と才能をほめちぎった。
菊之丞は、信頼する七蔵がそれほど誉めるのだから、
富三郎はよほどいい役者に違いないと思い込んでしまう。
そして何としたことか、いまわの際に妻おみつに
「3代目は富三郎に…」
と言い残してみまかったのだ。
吉松も雄次郎も真っ青だが、遺言とあらば仕方がない。
こうして、まだ誰も見たことのない富三郎が3代目継ぐことになった。
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tea break・海中百景
photo by 和尚