西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

時代のテンポ・7

2021-08-31 | よもやま話 (c)yuri saionji
猿若座の三味線入り歌舞伎は大当たりとなり、
喜三郎は祖父の名を継いで、二世勘五郎となりました(1642年頃)。
そして役者にも三味線を弾かせ、連れ三味線を打ち出しました。

その後長男(4代目六左衛門)・次男(5代目喜三郎)・三男(吉之丞)にも三味線を弾かせ、
それまでは弾き唄いだったものを舞台映えを考えてか、唄と三味線に分業し、
「今様長歌三味線」と銘打って売り出したのです(1663年)。

佐山検校がいつ江戸に下ったかは不詳だが、この頃ではないだろうか。
佐山検校創作の長歌は「当風長歌」といわれ大流行したのだから、
勘五郎がそれに乗っかり、今流行りのという意味で、「今様長歌」と称したとしても不思議はない。

    
    猿若狂言ノ古図
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時代のテンポ・6

2021-08-30 | よもやま話 (c)yuri saionji
若衆歌舞伎で初めて三味線を弾いたのは、
狂言師杵屋勘五郎の孫、喜三郎です。

猿若勘三郎率いる猿若座が京から江戸に下った当初は、
当時江戸の繁華街だった中橋南地(今の京橋辺り)に櫓を上げたのですが、
その後旧吉原近くの禰宜町(ねぎまち・日本橋堀留町辺り)に移転させられました。

喜三郎はおそらくここで遊女の弾く三味線小歌に感化され、
狂言小歌に三味線を合わせて弾き始めたのだろうと思われます。

これが評判となったため、勘五郎は喜三郎を狂言方から三味線弾きに転向させ、
三味線入り若衆歌舞伎を売り出すことにしたのです(1633年)。

   
   若衆歌舞伎図
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時代のテンポ・5

2021-08-29 | よもやま話 (c)yuri saionji
もちろん遊女は遊女歌舞伎の時代から舞台で三味線を弾いていいますが
それは石村検校の本手組から派生した、遊里独自の三味線小歌というものです。

六条柳町の遊女雲井が、巷で流行っている小歌に三味線の伴奏をつけて
歌い始めた「弄斎・ろうさい」というのがその始まりです(元和頃・1615年〜)。

弄斎は京の遊里で大流行し、京遊女の江戸下りで吉原にも大流行、
それが「江戸弄斎」といわれて京に逆輸入され、洛中に大流行したのです。
後に柳川検校が三味線組歌に取り入れ、さらに後に八橋検校が箏曲「雲井弄斎」に取り入れるなど、
「弄斎」は元禄(1688〜)頃まで流行したという。

    
島原遊郭

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時代のテンポ・4

2021-08-28 | よもやま話 (c)yuri saionji
三味線組歌というのは、短い歌詞に三味線の伴奏をつけたものを
いくつか組み合わせて一曲としたものです。

柳川検校の弟子佐山検校(1666年検校登官)は、破手組をさらに改良し、
やや長文の歌詞に三味線のフレーズを付けるということを考え出しました。
長文だと歌詞に意味が持たせられますので、
歌詞に即したフレーズがつけられるようになるのです。
「飛騨組」と比べるとテンポは軽快で、合いの手もリズミカルになりました。

佐山検校はこれを長歌と称し、江戸に出て吉原の遊女たちに広めます。

   
   彦根屏風
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時代のテンポ・3

2021-08-27 | よもやま話 (c)yuri saionji
時代のテンポを長唄に当てはめてみます。

長唄というのは歌舞伎芝居と結びついてからの名称で、
前身は長歌という名称の音楽です。
その元祖は当道という平家琵琶の職業集団の裏芸である
三味線組歌です。

三味線組歌の始まりは、石村検校が創作した本手組といわれるもので
じつにスローテンポでシンプルなメロディーなのです。
発生は江戸初期ですが、その後石村検校の弟子(柳川検校)が
本手組よりテンポアップした破手組みを創作しました(寛永年間・1624〜1644年)。
派手の語源ともなった破手組は、当時の人には騒がしく、うるさがられたようですが、
当時の曲「飛騨組」を聴くと、まだまだ地味で退屈だ。


   
   
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