西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

妻夫獅子-8

2014-11-23 | 長歌考

そして”獅子物”お定まりの終盤、”獅子団乱旋”(ししとらでん・舞楽の曲名)
で喜びの舞(狂い)を舞う。これがなければ獅子物にならないのだ。

『獅子団乱旋の 舞楽のみきん
 獅子団乱旋の 舞楽のみきん
 牡丹の花房 におい満ち満ち
 大巾利巾の 獅子頭
 打てや囃せや 牡丹芳 牡丹芳
 黄金の蕊 顕われて
 花に戯れ 枝に臥し転び
 実にも上なき 獅子王の勢い
 靡かぬ草木も なき時なれや
 万歳千秋と舞い納め
 万歳千秋と舞い納め
 獅子の座にこそ 直りけれ』

(意訳)
 獅子、団乱旋(いずれも舞楽の曲名)の舞楽が始まる。
 牡丹の芳しい薫りがあたりに満ちあふれ、獅子は頭を振って、やれ打て、やれ囃せと舞い狂う。
 牡丹の花は呼応して次々と花びらを開き、黄金色の蕊を現す。
 花に戯れ、枝に臥して転がるように舞う獅子王の勢いの前に、なびかぬものはない。
 万歳楽、千秋楽(雅楽の曲名)と、泰平の世を祝し舞い納めた獅子は、文珠の蓮華座に戻っていった。


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妻夫獅子-7

2014-11-22 | 長歌考
そして、「相生獅子」でもそっくり使った、
”獅子物”の獅子物たる所以となる、
本行の「石橋」から拝借した部分。
獅子の精となった菊之丞が、
お得意の、石橋の所作を見せる所でもある。


『牡丹に戯れ 獅子の曲
 げに石橋のありさまは
 笙歌の花ふり 簫笛琴箜篌
 夕日の雲にきこゆべし
 目前の奇特あらたなり
 暫く待たせたまへや
 影向の時節も
 今幾ほどに よもすぎじ』

(意訳)
 牡丹に遊ぶ獅子
 実に石橋のありさまは
 天空から妙なる楽の音が流れ
 花が降り、夕日の雲にきらきらと輝く
 今、菩薩影向の時がくる
 決して立ち去る出ないぞ。

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photo by 和尚
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妻夫獅子-6

2014-11-21 | 長歌考
11月4日の続きです。


次は「相生獅子」にも使った部分。
京ではたっぷり踊りを見せたいのか、
はたまたもともとの「石橋」がこうだったのか不明だが、この曲には繰り返しがある。

『人目しのべば 恨みはせまい
 ために沈みし 恋の淵
 こころからなる身のうさを  
 やんれ それは それはへ
 まこと うやつらや

 ためにしづみし 恋の淵
 こころからなる 身のうさを  
 やんれ それは それはへ
 まこと うやつらや』

(意訳)
 人目を忍んだ恋だから恨みはしない。
 あの人の為にどっぷり沈んだ恋の淵。
 心底辛くて、それはそれは辛かった。
 でも、もう昔のことだわ。


さらに続きがある。

『花に胡蝶の 
 きつれてつれた くせもの
 くせものよるべ
 よるべや浪の 立つ名もままよ
 くどけど君はつれなさよ
 おおそれ
 それじゃまことにさ
 思いまわせば 昔なり』


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photo by 和尚


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妻夫獅子-5

2014-11-04 | 長歌考
次も恐らくオリジナルだろう。
「相生獅子」にはなかった部分だ。


「時しも今は 牡丹の花の
 さきやみだれて
 ちるはちるは ちりくるは
 ちるはちるは ちりくるは
 ちりちり ちりかかるやうで
 おいとしうて 寝られぬ
 花みてもどろ 
 花にはうさをも うちわすれ』

(意訳)
 ちょうど今は牡丹の盛り。
 はらはらと散り重なる花びらの可憐なこと
 思わず見とれて、寝るのも忘れてしまいそう。
 もっと見てから帰りましょ。
 花を見てると、つらさも忘れるわ。

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 photo by 和尚
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妻夫獅子-4

2014-11-03 | 長歌考

次も「相生獅子」にはなかった部分、
京の芝居のために作ったオリジナルだろう。


『花によるてふ つれだちて
 おひめぐり おりつあがりつ
 そばへ揚羽のしほらしや
 おひめぐり 
 おりつおりつ あがりつ
 そばへあげはの しほらしや
 おもしろや」


(意訳)
 仲良く連れ立って、花に遊ぶ蝶
 上に下にひらひらと
 おや、揚羽も交じって、
 何とも興が増すこと

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 photo by 和尚
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