西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

3代目中村歌右衛門

2011-02-26 | 長唄を作った人たち (c) y.saionji
3代目中村歌右衛門


「舌出し三番叟」は大坂から来た、中村歌右衛門のお名残狂言だった。

歌右衛門は子供の頃から、浪花の天才少年といわれて育った踊りの名手。

醜男で背が低く、悪声という、最悪のハンディを克服し、
すでに日本中に熱烈なファンがいる。

1808年(文化5)に中村座に呼ばれ、初めての江戸入り。
三都の贔屓から贈られた幟が数千本もたなびく中、
『義経千本桜』で大当たりを取った。

隣の市村座には、江戸一番の人気役者、坂東三津五郎(3代目)が出演している。
三津五郎は所作事の名人で、踊りの巧さには定評がある。

それなのに何としたこと、中村座に客を取られて、
市村座の『忠臣蔵』は7日目に中止、閉場となった。


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tea break・海中百景
photo by 和尚