西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

「暫」

2011-02-10 | 長唄を作った人たち (c) y.saionji
「暫」


森田座の顔見世は、瀬川如皐作の『女武者菊千余騎』
(おんなむしゃきくのせんよき)。
吉例の「暫」は、巴御前に扮した菊之丞の「女暫」。

「暫」は荒事芝居で売る、初代市川団十郎が創作初演
(1697・元禄10年・中村座)したのが始まり。

初代は正月興行に「暫」を出した。
ところが2代目団十郎は、歌舞伎界の一年の始まりである
11月の“顔見世”に「暫」を出し、悪霊を祓い芝居の繁盛と、
天下泰平を寿ぐべいと考えた。

以後、顔見世は「暫」、正月は“曾我物”が吉例となった。

「暫」は善の権化が、悪人どもの首を大太刀で一刀のもとに
切り落とすという、勧善懲悪ゆえ、
基本的には立役のものだが、大名題の女形が演ることもある。

富十郎もこの森田座で16年前(1770・明和7年)に
「女暫」を演った。

ゆかりの森田座で、富十郎写しの「女暫」とあって、
菊之丞大当たり。

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tea break・海中百景
photo by 和尚 
コメント
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