西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

大原女

2010-08-09 | 長唄の歌詞を遊ぶ (c) y.saionji
126ー「大原女」(1810・文化7年・中村座)

江戸に”奴言葉・六方言葉”というのがあった。
いわゆる侠客や、旗本奴、町奴などの男伊達・六方者が、
粋がって使うお仲間言葉のようなもの。

「かっちけねえ(かたじけない)・ふんばるべい(がんばるか)
してこいな(合点だ)」等の言葉を使う。

この曲は中村歌右衛門(3代目)による舞踊で、
八瀬大原の黒木売り(おかめの面を付けている)が、
後半引抜きで奴になり、毛槍を振っての槍踊りという趣向。

『だめな事ばし言わしゃるな
 明日は関東さへ罷るべいちゃな
 やれさてな
 主さ別れちゃな 伊勢路へ
 あんちゅうちくだ ぶん抜きゃるさア
 池のどん亀なら むんぐるべいとは
 やれさて 実だんべ 実だんべ』

●気休めなんか言わないで、明日はどうしても関東へ行くんでしょ、
 そうなんだよ、
 あんたは別れて伊勢路へ下るか…
 闇に紛れて、逃げちまうか、 
 池の亀なら、潜れるのにな、
 あーあ、そうだわさ、そうだわさ。
  
 〓 〓 〓

tea breaku・海中百景 
photo by 和尚