テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 真っ黒くろで、尻尾はくるり ~

2024-05-08 22:03:37 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 くんくんくんッ! よいィ~かほりィ~!」

「がるる!ぐぅるるるがる?」(←訳:虎です!ジャスミンかな?)

 

 こんにちは、ネーさです。

 各地でバラまつりが開催され、

 あやめ、ジャスミン、シャクナゲ、百合も見頃な5月……

 ですが、本日の読書タイムは、

 真っ黒くろクロなあの子の御本を、さあ、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― 黒猫の漫画家 スタンラン ――

 

 

 著者は中村大地(なかむら・だいち)さん、

 2024年2月に発行されました。

 『Steinlen』と仏語題名が付されています。

 

「ごろにゃんッ!」

「ぐぅるるがる!」(←訳:ニャンコだね!)

 

 猫、それも黒猫――

 御本の表紙でポーズしている黒ニャンコちゃんの、

 すばらしく印象的な艶姿に、

 あら、この子、見たことあるわ!

 と記憶を探る愛猫家さんも多いことでしょう。

 この黒ニャンコちゃんを描いたのは、

 

 テオフィル=アレクサンドル・スタンランさん。

 

 1859年、スイスのローザンヌに生まれたスタンランさんは、

 ベル・エポックきっての《猫の画家》でした。

 

「だいひょうゥさくはァ~」

「がる!」(←訳:黒猫!)

 

 表紙の黒ニャンちゃんは、

 『シャノワール一座の巡業 Tournée du Chat Noir 』(1896)

 というリトグラフ作品の図像をトリミングしたものです。

 

 パリのキャバレー『シャノワール』一座の最後の巡業のため

 制作されたこのポスターは、

 スタンランさんの代表作となり、

 さらにはアール・ヌーヴォーのポスター芸術を象徴する傑作として

 現代でも高く評価されています。

 

 そして、スタンランさんの黒ニャンちゃんは、

 『シャノワール』座だけでなく、

 『Bande dessinée muette バンド・デシネ・ミュエット』と呼ばれる

 漫画の中でも大活躍!

 

「けんかィしたりィ~」

「ぐるるがっるる~」(←訳:金魚を狙ったり~)

「とびはねたりィ~」

 

 セリフや効果音などは描かれていない、

 サイレント漫画の数々は、

 猫を脇役ではなく主人公として描いた

 画期的な作品でした。

 

 日本人である私たちには、

 北斎漫画っぽいわ~と思えたりしますが、

 当時はジャポニスムの大流行期で、

 スタンランさんも日本美術を研究していたんですね。

 

「ほかにもォ~いるのでスゥ!」

「がるるるぐるがる!」(←訳:猫好きな画家さん!)

 

 この御本では、

 『猫を描いたアール・ヌーヴォーの画家たち』として、

 アルフォンス・ミュシャさん、

 ロートレックさん、ジュール・シェレさん、

 エドゥアール・マネさんたちの作品も収録されています。

 

 私ネーさが推したいのは、ミュシャさんの猫。

 逆毛を立てて怒っていて、尻尾はカギ型!

 実に良い猫っぷりですわねえ。

 

「いまもォ、いますよゥ!」

「ぐるるるがぅるる!」(←訳:こういうニャンコ!)

 

 猫たちをこよなく愛した《猫の画家》。

 のちに、社会問題をテーマとする作品に挑むも、

 1923年に没し、

 ”第2の故郷”パリ、モンマルトルの

 サン・ヴァンサン墓地に眠るスタンランさん。

 

 スタンランさんの日本での初めての画集は、

 黒も白も灰色も茶も三毛も虎縞も大々好きな愛猫家さんに、

 ベルエポックのアートが好きな方々にもおすすめです。

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

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