「こんにちわッ、テディちゃでス!
くんくんくんッ! よいィ~かほりィ~!」
「がるる!ぐぅるるるがる?」(←訳:虎です!ジャスミンかな?)
こんにちは、ネーさです。
各地でバラまつりが開催され、
あやめ、ジャスミン、シャクナゲ、百合も見頃な5月……
ですが、本日の読書タイムは、
真っ黒くろクロなあの子の御本を、さあ、どうぞ~♪
―― 黒猫の漫画家 スタンラン ――
著者は中村大地(なかむら・だいち)さん、
2024年2月に発行されました。
『Steinlen』と仏語題名が付されています。
「ごろにゃんッ!」
「ぐぅるるがる!」(←訳:ニャンコだね!)
猫、それも黒猫――
御本の表紙でポーズしている黒ニャンコちゃんの、
すばらしく印象的な艶姿に、
あら、この子、見たことあるわ!
と記憶を探る愛猫家さんも多いことでしょう。
この黒ニャンコちゃんを描いたのは、
テオフィル=アレクサンドル・スタンランさん。
1859年、スイスのローザンヌに生まれたスタンランさんは、
ベル・エポックきっての《猫の画家》でした。
「だいひょうゥさくはァ~」
「がる!」(←訳:黒猫!)
表紙の黒ニャンちゃんは、
『シャノワール一座の巡業 Tournée du Chat Noir 』(1896)
というリトグラフ作品の図像をトリミングしたものです。
パリのキャバレー『シャノワール』一座の最後の巡業のため
制作されたこのポスターは、
スタンランさんの代表作となり、
さらにはアール・ヌーヴォーのポスター芸術を象徴する傑作として
現代でも高く評価されています。
そして、スタンランさんの黒ニャンちゃんは、
『シャノワール』座だけでなく、
『Bande dessinée muette バンド・デシネ・ミュエット』と呼ばれる
漫画の中でも大活躍!
「けんかィしたりィ~」
「ぐるるがっるる~」(←訳:金魚を狙ったり~)
「とびはねたりィ~」
セリフや効果音などは描かれていない、
サイレント漫画の数々は、
猫を脇役ではなく主人公として描いた
画期的な作品でした。
日本人である私たちには、
北斎漫画っぽいわ~と思えたりしますが、
当時はジャポニスムの大流行期で、
スタンランさんも日本美術を研究していたんですね。
「ほかにもォ~いるのでスゥ!」
「がるるるぐるがる!」(←訳:猫好きな画家さん!)
この御本では、
『猫を描いたアール・ヌーヴォーの画家たち』として、
アルフォンス・ミュシャさん、
ロートレックさん、ジュール・シェレさん、
エドゥアール・マネさんたちの作品も収録されています。
私ネーさが推したいのは、ミュシャさんの猫。
逆毛を立てて怒っていて、尻尾はカギ型!
実に良い猫っぷりですわねえ。
「いまもォ、いますよゥ!」
「ぐるるるがぅるる!」(←訳:こういうニャンコ!)
猫たちをこよなく愛した《猫の画家》。
のちに、社会問題をテーマとする作品に挑むも、
1923年に没し、
”第2の故郷”パリ、モンマルトルの
サン・ヴァンサン墓地に眠るスタンランさん。
スタンランさんの日本での初めての画集は、
黒も白も灰色も茶も三毛も虎縞も大々好きな愛猫家さんに、
ベルエポックのアートが好きな方々にもおすすめです。
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪