テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 100年越しの、涼風を ~

2024-05-05 22:03:00 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 えあこんッ、すいッちィ~おんッ!」

「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!涼風歓迎~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日5月5日《こどもの日》の気温は、ほぼ猛暑?

 ではアイスクリームとジェラートとアイスティーを用意して、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、暑さに対抗すべく、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― ロンドン幽霊譚傑作集 ――

 

 

 編者は夏来健次(なつき・けんじ)さん、

 2024年2月に発行されました。

 『Mrs.Zant and the Ghost and Other Twelve Victorian Ghost Londoners』

 と英語題名が付されています。

 

「はやくもォ、とうじょうゥ~でスかッ」

「ぐるがるる・ぐる!」(←訳:夏の風物詩・怪談!)

 

 いわゆる《怪談》にもさまざまなジャンルがあるようですが、

 この御本に収録されている13篇に共通するのは、

 《ロンドンの幽霊》。

 

 日本と英国は

 幽霊に関する伝承や民話が他国に比べてとても多い、

 といわれていて、

 ましてや、首都であるロンドンでなら。

 

「いしをォ、なげればァ~」

「がるるぐるるがる!」(←訳:幽霊に当たるかも!)

 

 時代はヴィクトリア朝――

 1837年から1901年の、

 数多の発明が為され、

 蒸気機関が膨大なエネルギーを生み出し、

 新旧大陸間の行き来は容易になって、

 ガス燈が街を明るく照らす、

 人々の平均寿命も確実に延びてゆく時代です。

 

 しかし同時に、

 ガス燈の光が届かない影の領域も

 確固と存在した時代でもあって。

 

「まだまだァ、ふかいィ~のでスゥ!」

「ぐるがるる!」(←訳:闇の気配が!)

 

 そんな“闇のものがたり”13篇の著者さんは、

 おもにヴィクトリア朝に活躍した方々で、

 現代の日本では作品に接する機会はあまり有りません。

 ただ、

 

 『月長石』『白衣の女』他ミステリ作品で知られる

 ウィルキー・コリンズさんと、

 児童文学『砂の妖精』『アーデン城の宝物』の作者

 イーディス・ネスビットさん。

 

 の御二方は例外でしょうか。

 

「おおおォ!」

「がるぐる~!」(←訳:砂の妖精~!)

 

 あのネスビットさんが、

 いまなお愛される児童文学作家さんが書いた《幽霊譚》とは――

 

 それは、大都市で

 夢も志も失ってしまった一人の青年の物語。

 

    ロンドンに暮らす《わたし》は、

    文筆家を目指しながらも認められず、

    いまは雑誌や新聞の小さな記事の注文を受けて、

    どうにかやりくりしている身。

 

    それがなんと、

    伯母が亡くなり、

    年間500ポンドの定期収入と

    チェルシー地区にある邸(やしき)を

    遺してくれた……!

 

    嬉しくなった《わたし》は、

    伯母の喪が明けぬうちに

    チェルシーの邸へ移り住むも、

    ……おや? これは?

 

「どうしたのでスかァ?」

「ぐるがるる?」(←訳:何か事件が?)

 

    暖炉の上にかかっているのは、

    黒い額に収められた版画。

    この額縁を見た記憶がない《わたし》は

    不思議に思います。

    伯母は、これをどこから……?

    この額には、元はどんな絵が収めてあったのだろう……?

 

「むむゥ、こうきしんッでスねッ」

「がるるぐるるるるるぅ~!」(←訳:それが危ないんだよぅ~!)

 

    答えを求めて、

    《わたし》の足は屋根裏部屋へ。

    そこで見つけたのは―― 

 

 科学黎明期を背景にした、

 “見えないもの””存在しないもの”たちの、

 足掻きと、屈折。

 

 イーディス・ネスビットさん(1858~1924)著

 『黒檀の額縁』

 (英語原題『The Ebony Frame』1891)は、

 『砂の妖精』ファンの方々に激推しですよ。

 

 もちろん、他12作品も

 英文学好きな活字マニアさんにおすすめの、

 楽しく読める傑作ばかりです。

 ぜひ、ロンドンからの涼風を、

 じんわり、ゆっくり、ご堪能くださいね~♪

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする