「こんにちわッ、テディちゃでス!
えあこんッ、すいッちィ~おんッ!」
「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!涼風歓迎~!)
こんにちは、ネーさです。
今日5月5日《こどもの日》の気温は、ほぼ猛暑?
ではアイスクリームとジェラートとアイスティーを用意して、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、暑さに対抗すべく、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― ロンドン幽霊譚傑作集 ――
編者は夏来健次(なつき・けんじ)さん、
2024年2月に発行されました。
『Mrs.Zant and the Ghost and Other Twelve Victorian Ghost Londoners』
と英語題名が付されています。
「はやくもォ、とうじょうゥ~でスかッ」
「ぐるがるる・ぐる!」(←訳:夏の風物詩・怪談!)
いわゆる《怪談》にもさまざまなジャンルがあるようですが、
この御本に収録されている13篇に共通するのは、
《ロンドンの幽霊》。
日本と英国は
幽霊に関する伝承や民話が他国に比べてとても多い、
といわれていて、
ましてや、首都であるロンドンでなら。
「いしをォ、なげればァ~」
「がるるぐるるがる!」(←訳:幽霊に当たるかも!)
時代はヴィクトリア朝――
1837年から1901年の、
数多の発明が為され、
蒸気機関が膨大なエネルギーを生み出し、
新旧大陸間の行き来は容易になって、
ガス燈が街を明るく照らす、
人々の平均寿命も確実に延びてゆく時代です。
しかし同時に、
ガス燈の光が届かない影の領域も
確固と存在した時代でもあって。
「まだまだァ、ふかいィ~のでスゥ!」
「ぐるがるる!」(←訳:闇の気配が!)
そんな“闇のものがたり”13篇の著者さんは、
おもにヴィクトリア朝に活躍した方々で、
現代の日本では作品に接する機会はあまり有りません。
ただ、
『月長石』『白衣の女』他ミステリ作品で知られる
ウィルキー・コリンズさんと、
児童文学『砂の妖精』『アーデン城の宝物』の作者
イーディス・ネスビットさん。
の御二方は例外でしょうか。
「おおおォ!」
「がるぐる~!」(←訳:砂の妖精~!)
あのネスビットさんが、
いまなお愛される児童文学作家さんが書いた《幽霊譚》とは――
それは、大都市で
夢も志も失ってしまった一人の青年の物語。
ロンドンに暮らす《わたし》は、
文筆家を目指しながらも認められず、
いまは雑誌や新聞の小さな記事の注文を受けて、
どうにかやりくりしている身。
それがなんと、
伯母が亡くなり、
年間500ポンドの定期収入と
チェルシー地区にある邸(やしき)を
遺してくれた……!
嬉しくなった《わたし》は、
伯母の喪が明けぬうちに
チェルシーの邸へ移り住むも、
……おや? これは?
「どうしたのでスかァ?」
「ぐるがるる?」(←訳:何か事件が?)
暖炉の上にかかっているのは、
黒い額に収められた版画。
この額縁を見た記憶がない《わたし》は
不思議に思います。
伯母は、これをどこから……?
この額には、元はどんな絵が収めてあったのだろう……?
「むむゥ、こうきしんッでスねッ」
「がるるぐるるるるるぅ~!」(←訳:それが危ないんだよぅ~!)
答えを求めて、
《わたし》の足は屋根裏部屋へ。
そこで見つけたのは――
科学黎明期を背景にした、
“見えないもの””存在しないもの”たちの、
足掻きと、屈折。
イーディス・ネスビットさん(1858~1924)著
『黒檀の額縁』
(英語原題『The Ebony Frame』1891)は、
『砂の妖精』ファンの方々に激推しですよ。
もちろん、他12作品も
英文学好きな活字マニアさんにおすすめの、
楽しく読める傑作ばかりです。
ぜひ、ロンドンからの涼風を、
じんわり、ゆっくり、ご堪能くださいね~♪