カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

面白そうな本

2006-05-24 10:12:01 | Weblog
 この本、面白そうです。メモ。

『ユダの福音書を追え』
[著]ハーバート・クロスニー
[訳]関利枝子ほか
[出版社]日経ナショナル ジオグラフィック社/日経BP出版センター
[掲載]週刊朝日2006年5月26日号
[評者]永江朗

 4月6日、アメリカの地理学協会(ナショナル ジオグラフィック協会)は『ユダの福音書』の写本を解読した、と発表した。この福音書によると、ユダはキリストを官憲に売り渡した裏切り者ではなく、むしろキリストの最も信任厚い弟子で、密告はキリスト自身の指示によるものだったという。ユダがやったことはのちのユダヤ人差別にもつながるのだから、衝撃は大きい。
 この大発見の一部始終を明らかにしたノンフィクションが早くも出版された。ハーバート・クロスニー『ユダの福音書を追え』だ。表紙には翻訳者の名前がないが、奥付を見ると関利枝子ほか全部で10人の名前が並んでいる。分担して猛スピードで翻訳したものらしい。
 中身はすこぶる面白い。正直いって、私は話題の『ダ・ヴィンチ・コード』よりも、こちらのほうが興奮した。なにしろ書いてあることはすべて事実なのだから。
 ページの大半は『ユダの福音書』の内容についてではなく、発見から復元と解読にいたるまでのすったもんだに費やされている。というのも、エジプトの洞窟でこれを発見したのは、学術調査隊などではなくて、現地の農民だったからだ。ようするに限りなく盗掘に近いものだった。やがてそれが古美術商らの間を転々としていった。まさか誰もそれが『ユダの福音書』だなどと思わずに。
 1700年ぶりに外気にさらされ、しかも乾燥したエジプトからアメリカに渡ったパピルスの束は、急速に朽ちていった。しかも、一儲けをたくらむ古美術商たちが駆け引きをする間、銀行の貸金庫のなかで劣化を速めていた。
 このあたりの描き方は、まるでハリウッド映画ばり。『ユダの福音書』が最後には解読されるという結末を知っているのに、つい手に汗握ってしまう。
 4月16日、イギリス国教会のカンタベリー大主教は、『ユダの福音書』発見は陰謀だと非難した。もっとも、いわゆる異端の福音書はほかにもたくさんあるそうで、これもそのひとつだとか。

http://book.asahi.com/topics/TKY200605230135.html
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