「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

87歳老人ドライバーの暴走 ”1億総活躍社会”の悲劇

2016-10-29 05:21:33 | 2012・1・1
横浜市港南区の学童通学道で、87歳の老人が運転する小型トラックが暴走、小学校1年生を死亡させた。老人は認知症らしく、家族にゴミ出しに行くと言ったまま行方が不明だったという。高齢者の運転が、これほど社会的に問題になっているのに、本人はもとより周囲の家族は、何故運転免許を返上しなかったのか。ある意味では”1億総活躍社会”の悲劇である。

日本の人口が史上初めて減少に転じた。総務省の平成27年の国勢調査によると、わが国の総人口は1億2709万人で前回の22年に比べて96万人減、これは大正9年(1920年)調査が開始されて以来のことだという。このままで行くと、30余年先の2050年には日本の人口は1億を割ってしまう。

僕が少年時代だった昭和16年3月「出せ1億の底力」という軍歌が各レコード会社の競作で発表になり、どれも大ヒットした。翌17年には、大政翼賛会の音頭とりで「進め1億火の玉だ」という軍歌も歌われた。当時の日本の人口は1億人なかったが、統治していた朝鮮、台湾を含めて一丸となって戦いを勝利しようという戦意高揚が狙いであった。

安倍内閣が新三本の矢政策として「1億総活躍社会」の実現を掲げているが、2050年には人口は1億人を割ってしまう。それを見据えての政策だが、何か僕には抵抗がある。”1億総活躍”といっても、80歳を超えた高齢者は、人によって違うが、活躍したくとも心身が許さない。表現は悪いが社会の”オミソ”である。横浜の認知症老人の事故を知りつくづくそう思った。老人は活躍などせず隠居したほうがよい。