「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

誤解を呼ぶ無意味な総理の“我が軍”発言

2015-03-26 06:00:24 | Weblog
天皇皇后両陛下が来月8日―9日パラオ諸島の激戦地ぺリリユー島へ慰霊訪問されるが先日、これに先立って戦闘の生き残りの元日本兵二人を皇居に招かれ懇談された。その場面をテレビで見たがNHKのアナウンサーが、そのうちの一人の肩書を”海軍上等兵”と呼んでいた。旧海軍には”上等兵”という階級はない。詰まらない指摘だが、戦争体験世代には、戦後70年の歳月を実感した。

安倍総理が参院予算委の質疑の中で、自衛隊を”我が軍”呼ばわりしたとして、民主党など野党が大騒ぎしている。憲法九条第二項には,陸海空その他の戦力は保持しない、と規定している。これからみれば、総理の”我が軍”発言は違和感がある。自衛隊は「軍隊」とは違うといっても陸海空の機能を備えている。憲法改正を目指す、安倍内閣にとっては、この九条改正は譲れないのは理解できる。

僕は憲法改正には反対ではない。戦後70年近く立って、占領軍の”お仕着せ”的色彩の強い今の憲法には矛盾もあり、現代に即していない点もある。「自衛隊」もそうである。誰が見ても「軍隊」である。安倍総理が口を滑らし”我が軍”と発言するのも理解できる。しかし、”我が軍”即、あの戦争の悲惨な想い出に通じる世代もおり、一方的に戦後の「平和憲法」をおし戴き、時代の変化に対応でいない世代もいる。

言葉尻をとらえるわけではないが、総理の「我が軍」発言は乱暴で、誤解を呼ぶ。先日、半可な「八紘一宇」発言で波紋をよんだ女性議員もいたが、やはり、総理はきちんと丁寧に言葉を選んで発言すべきだ。憲法改正―徴兵―戦争と一方的に信じている、戦争実体験の無いノーベル受章作家もおり、それ以上に総理の「70年談話」にケチをつけたい近隣諸国もいるのだから。