「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

紫にほひし東京市の想い出

2006-10-29 06:33:37 | Weblog
父の遺品の整理で出てきた資料のいくつかを昨日江戸東京博物館に
寄贈した。その一つ「新東京大観」(上)(下)二冊は昭和7年10月、東京
が35区制になったのを記念して東京朝日新聞社が付録として出版した
ものだ。それまで東京は中心の15区だけだったが、隣接82町村を合併
して一挙に”大東京”となった。僕も荏原郡大崎町(戸籍)町民から晴れて
東京市民になった。

     紫にほひし武蔵野の野辺に
     日本の文化の華咲きみだれ
     月影いるべき山の端もなき
     むかしの広野のおもかげいづこ 
                  (東京市歌 大正15年制定)

この歌は昭和18年、東京府、東京市が解消して東京都になるまで歌われた。
当時小学生だった僕らは10月1日の東京市記念日にこれを歌った。天長節
(天皇誕生日)など四大節の歌とともに懐かしの歌である。


博物館への寄贈品の中に花電車の絵葉書もあった。昭和5年3月の東京復
興完成式祭典のとき走った花電車である。うち一枚はこれを見る市民たちの
写真だが,ねんねこ姿、かすりの着物に鳥打帽など当時の風俗がかいま見
られて面白い。僕も昭和15年,紀元2600年祭典の時の花電車を覚えている。

大正12年の大震災で壊滅の打撃を受けた東京が7年目には復興を完成、大
都市造りへの夢を描いていた。昭和16年大東亜戦争が勃発するまでの平和
な東京が遺品の中からうかがえた。