「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

寄席で軍歌 自伝落語の面白さ

2006-07-30 07:21:03 | Weblog
先週の金曜日、知人から切符を貰い「浅草演芸ホール」の寄席を聞きにいった。
平日の昼間だというのに館内はいっぱい、立ち見の人もいるほどの盛況。この
日の東京は、31度を越す猛暑だったが、この世界はまったく暑さには関係ない
ようだ。僕は午前11時半開演から午後3時の中入りまで、昼飯もたべず3時間
芸をじゅにぶんに楽しませてもらった。

なかでも、僕が楽しかったのは川柳川柳師匠の落語だった。(かわやなぎ・
せんりゅう)と芸名にルビするのは師匠に失礼かもしれないが、僕は初めて
師匠の”歌入り自伝落語”を聞いて、その芸の面白さと発想に魅せられた。、

師匠の新著「天下御免の極楽語」(彩流社℡03-3234-5931)によると、年齢は
僕と同じ昭和6年の早生まれ、だから戦前、戦中、戦後の75年間、生きてきた
道は違うが同一世代である。師匠が軍国少年時代を回顧して歌う軍歌にも、
戦後の焼跡時代流行したジャズ、ラテン音楽にまったく共感がある。新著には
テレビの創成期、着物姿でソンブレロをかぶりギターを抱えて活躍した頃の
師匠の写真が載っている。だから、この方面の造詣も深い。

軍歌を公開で聞くのは戦後はじめてである。街宣車のがなでる軍歌に僕ら
銃後の青少年世代はほどほど参っていた。僕らの子供時代には極言すれば
歌は軍歌以外になかったのである。戦後、これが禁止されて、僕ら世代は
少年少女の頃の想い出まで取り上げられた。川柳川柳師が高座で”堂々”と
公開で歌う軍歌に共感し拍手を送った。