絵描き男の料理徒然草

香本博が厨房で考案した
短時間で出来るツマミや
お勧めの料理店・飲み屋など紹介。
纏わる話 開設200610

声の栄養補給!津山から西条柿が届く

2006年10月27日 11時50分07秒 | その土地産だからの逸品
元気とは
人間の元来の気 ということだろうか。

このところ
大切な存在や人々が亡くなった。
また愛する人の入退院があって
3日前は、疲労が出始める
ひとつのピークだったかもしれない。

帰宅後、食事をとり
椅子から転がるように眠った。

電話のベルが私を起こした。

 ひろし~ 元気かあ

声の主は 津山(岡山県)のおばちゃんだった。

 柿を送るからな
 小さい頃食べたの、覚えてないか
 時間指定は何時にするんか
 着いてもすぐに開けちゃあいけんで

今日封を開けてその柿を味わった。
美しいオレンジ色・・
いや、柿だから パーシモンだから・・
イエローとオレンジとアイボリーとピンクを
ミックスしたような・・えーっと
うんにゃ、柿色!
美しい柿色だった。

実の中心がプルンと新鮮で
果蜜に富み
後味がさわやかだ。
美味しい。
元気になりそう!

今年は柿が出来ないと言う
周囲の声をよそに
こんなにも美しく美味しい柿が・・。
あらためて岡山の温暖な風土を想った。

でも私を元気にしてくれたのは
風土や味だけではない。

おばちゃんの声の便り
肝臓の病の痛みと必死で闘う 気
おばちゃんの
私を気遣ってくれる 気
それが私を起こしてくれたのだと思う。

電話の向こうで
おじちゃんの声もした。
大切な大切な二人の存在・・
いつまでもいつまでも
元気でいてほしい。

そしてまた近いうちに
あの笑顔と出逢いたい。

ご馳走とは 馳せ参じること。
この柿はまさに
私の心に息咳きって
走ってきてくれたのだ。



兄貴自作の お好み焼き

2006年10月22日 10時03分10秒 | ご馳走様でした
昨日、兄貴宅で
兄貴自作の お好み焼きパーテイが催された。

大なべ3つにキャベツ3個
キロ単位の具で、熱心に仕込んだ
兄貴の作った それは
居心地の良い 人を温かくするもてなしの味がする。

山芋はもちろん、揚げ玉を入れることで
胃にもたれず、ふわっとした口あたりにし
さつま揚げを入れて
味に深みを出した。

これは 紛れも無い
兄貴だけの味

兄貴を慕って集う職場の方々と
昼餉を囲み
心から笑う兄貴を見て
弟だけが実感する喜びを
もう一つの味として
美味しくかみ締めた。




秩父の老舗天ぷら屋 喜多八 勝之さんに捧ぐ

2006年10月13日 18時39分26秒 | 今は無き老舗の味に感謝
秩父の番場町にある老舗
天ぷら屋 喜多八

そこを知人の紹介でを知ったのは6年近く前だ。
大豆油や胡麻油を使わないから胃にもたれない
野菜などもからっと揚げる
近頃は多くの天ぷら屋さんが、ボリューム重視で
海老はブラックタイガー・烏賊(イカ)はモンゴイカを使うのに
ここは味を重視・色を重視しているから使わない
特にイカはするめイカの甘みを感じる。
ごはんも美味しい。

紹介されて来店した人は
千葉や東京からも
必ずリピーターとなる。



でも私がこの店を書くのは、単に味のことではない。

秩父は夜7時前になると
ガラガラとシャッターを下ろす音がする。
見知らぬ地での”異邦人”だった私は
当時住んだアパートで黙々と絵画制作して時折行き詰る。
喜多八さんが電話をくれたりする。
でももう10時近く・・喜多八も閉店の時刻だ。
遠慮する私に 『いいよ、来なよ、何かあるから。』と
快く"旅人"を迎え入れてくれたのだった。

香本さんの絵は印象が強いなあ
いい色を出しているよ
などと評してくださった。

病院でこの1年ほどずっと闘病生活をして
9/12に旅立ったが、以前から奥さんが店を守り
時々娘さんが手伝いに来る。
二人とも美人で店を明るくしていて
居心地がすこぶる良い。

旅人も異邦人も
この地に居を定めた人も
この地で生まれた人も
喜多八は
マスター亡き後も
引き続き『心の休み処』となっている。
私はそう信じている。

もっと私の絵を観て評してほしかった
勝之さん、本当にありがとうございました。

旅人は住人となりました。

喜多八(きたはち)
秩父市番場町13-10
西武秩父駅から秩父神社へ歩く途中にあり(約12分)
定休日 月曜日
電話 0494-22-0375
蕎麦は繊細なもの 要予約(当日不可)