絵描き男の料理徒然草

香本博が厨房で考案した
短時間で出来るツマミや
お勧めの料理店・飲み屋など紹介。
纏わる話 開設200610

想像力が料理を目覚めさせる・名店サルベージ

2017年11月29日 16時41分58秒 | 秩父のお勧めしまっせ料理店


想像力・・これは決して巷で流行る【ちょっと珍しい創作料理】とは違う。
サルベージシェフ 坪内 浩さんは、野菜ソムリエであり
自ら自社農園のオーガニック野菜を育てて、野菜の【声】を聞いているからこそ
想像力ある【素材を活かして深みのある】料理を作り出せるのだと思う。

11月25日に行われた オーガニックワインを楽しむ夕べ
秋の味覚スペシャルに参加させていただいた。
農地におりた朝の霜をパルメジャーノチーズで表現するなど
心憎い演出

秩父の果実と直営農場で採れた秋野菜のインサラータ
武州豚のパテ・ド・カンパーニュ



秩父天然鮎のコンフィ
秋野菜のバーニャカウダ



牡蠣と地粉”農林61号”のベシャメル



地鶏のソーセージとセミドライトマト、オレガノ、クリーム
武州豚カチャトーラとペコリーノ、マッシュポテト、セルバチカ



秩父天然鹿と秩父舞茸のグリル



プラチナたまごのティラミスと和栗の渋皮煮



おざなりに、歴史や評判にあぐらをかいた店の料理は
緊迫感なく眠っているようだが
ここでは、食材が応え、目ざめたままで提供される。
心を動かす料理の数々だった。




玉子の刺身(秩父のプラチナたまご)

2014年08月07日 09時13分20秒 | 秩父のお勧めしまっせ料理店

昔は、鶏卵(玉子)は、パックに入ってなどいなかった。
おがくずのような所に、一個ずつ埋まって売っていた。
すべて有精卵だったので、買う時に
透かしてふ化していないかを確かめていたっけ。


暖かい御飯の上に掛けるのも、普通のことだった。
今、スーパーで売っているもので それをしようとは
正直思わないし、保存料や、黄味を鮮やかにする餌の成分など
いろいろ不自然なものが入っている気がする。
この、プラチナたまごは、安心だ。
生産者の坪内さんも知っているし、彼の実直なレストランの味も確かだ。
http://www.salvagest.jp/menu/pasta.html

健康な食材だからこそ、人は健康を助けてもらえる。
当たり前のことが、当たり前に美味しいのを
味わえるのは、最高に幸せだ。




プリプリの黄味、しっかりした白身、濃厚だけど爽やかな後味、
ちょっと豪勢に、生醤油でいただきました。

野菜作りからの名店、秩父サルベージ

2014年07月25日 18時50分46秒 | 秩父のお勧めしまっせ料理店


最初に知ったのは、確か311の後に、
ガソリンの買いだめの行列
コンビニやスーパーから、お米や日常品が消えかかっていた頃だ。
困っている被災地に送りもせずに、自分たちの蓄えだけに殺到する姿に
心を痛めていた時に、ツイッタ―で、この店から発信があって
オムツや何でも被災地へご協力を・・というもの。
私は感激して、パートナーと薬屋を廻った。
それが、サルベージと坪内浩さんを知ったときだった。



その後、味わわせていただいているのが、秩父の素敵なレストラン・サルベージだ。
自分たちで育てた食材で料理を提供するという取り組みは、
レストランの、あるべき究極の姿だと思う。
しかし、これを言うのと行うのとでは
天地の差ほどある。
労力も時間も細かな気遣いも必要なのだから・・
それを実践できているのは、代表の坪内浩さんはじめ、スタッフが
食と味への愛情を持っているからだと思う。
こんな凄い店は、全国でもなかなか無い。



秩父は海が無いから、魚介は直産の、鮮度抜群の者を仕入れているので
旬を堪能も出来る。





なにしろ、今 巷にあふれている安易で危ない 食ではない
安心・新鮮の食感、香り、美味しさが味わえる。
そんな店が、地元にあるのは誇らしい。



手作りデザートも、本当に美味しい。
パートナーも絶賛している、深い満足の余韻がある味。
お勧めです。
詳細は、こちらで。
http://www.salvagest.jp/index.html
埼玉県秩父市宮側町8-4
定休日 : 毎週月曜日
営業時間 : 17:00〜25:00
電話 : 0494-22-6227
FAX : 0494-26-3008








ディア・ハンターという名作映画を監督したマイケル・チミノは
次の『天国の門』という映画を作る際に
当時のアメリカの土まで再現しようとしたらしい。
そんな些細なことと思うのがほとんどだが、追及するとそうなるかもしれない。
なぜか、そんなことを連想させるのが、
秩父の素敵なレストラン・サルベージだ。

愛しの ねぎし鯛焼き屋

2010年02月28日 12時38分12秒 | 秩父のお勧めしまっせ料理店
秩父の老舗の鯛焼き屋さんと言えば ねぎし
チェーン店とは違って 美味しいです。
私が最初にこの味に出会ったのは、今から約10年前です。

以下は、2000年末頃書いたコラムです。
今は亡き親父さんが健在だった頃です。


昨日 秩父の床屋さんに初めて行った。

マスターは白髪まじりの小柄な人だった。
家族中で唯一の客である私を歓迎してくれた。
話好きの往年の理髪界の名選手といった感じの手さばきで、
いろいろ秩父のことを話してくれた。
「前に 青森の人を泊めたら、『こんな寒い所は無い』って言ってました。ははは」

鏡の前に整髪・化粧品が並ぶ・・えっ カネボウeroika ・・って いつのだよ?
私が高校生の頃発売されたブランドじゃん・・へ~~っまだあったんだー。

でも秩父を馬鹿にしちゃいけない、
去年新橋で働いていた時、入った床屋さんは、
洗髪の際 席を立って 流しステンの)に行って洗いました、
just time slip!!

往年の名選手は、軽やかな口調で 
仕上げに「何か付けますか?」と聞いた。
大抵私は何も付けないか ムースだが・・ムースらしきものは無い・・
しかしその質問の前に いつもの癖か 
しっかり リキッドを惜しげもなく付けていた。

私は大声で『逆でしょう!』と 1キロ先まで叫びたい気分を押さえ、

「洗い流しますか?」との問いに 
満面の笑顔で「いえ 結構です。」と答えたのだった。
今度 個展の案内を ここにも置かせてもらおう。

その後 ねぎし の鯛焼き屋さんに行った。
泳げ鯛焼きくんの看板(しかもネオン付き)があるところ。

秩父へ来て良かったと思えたことの一つが、
この鯛焼きの美味しいこと・・俺って単純?
・・あんこが変に甘くなく、業務用のゆであずきでは無く、
あずきの豊かな甘さで 皮も 冷めても美味しい・・
大手のチェーンでは調合された粉末を溶かして均一化しているが、
ここのを食べたら 茶番に思える。
包装紙に『私は たくさんのことを同時にはできません。
鯛焼きだけを・・』と 泣かせる能書きが。

しかし最近その おやじ が顔を見せない・・具合でも悪いのか・・
今売っている若々しい感じの女性は?・・
うん?前に地元の人から 「何であんな人が と思うくらい若くてきれいな奥さんが いるのよねえ」と聞かされたことがあるなあ・・
でも今のひとがそうなら・・おやじっ犯罪じゃん 3周りは離れているぞ・・
鯛焼きを注文しながら そんな風が頭の中を吹き抜けた。

鯛焼きを受け取った時、思わず私の口から出た言葉
「東京から去年越して来て・・私も色々な店の鯛焼きを今まで食べたけど 
ここのが一番美味しいです。東京の仲間にも宣伝してるんですよ。」
いつか言おうとした言葉、いつも思ってた言葉、
でも
思っていても 言葉にして口から外に出さなくては 相手には伝わらない。
その相手・・ねぎしの鯛焼き屋のおやじとの関係が定かでない 若い女性は・・
『ありがとうございます。ありがとうございます。』と輝く笑顔で礼を繰り返した。

店を出る際振り返ると、嬉しそうに奥に駆け込む女性の姿が・・。
伝えるのだろうか、
もしかしたら休んでいる、大切な あの人に・・・。
(2000年末 記述)

後年わかったことですが、この方は娘さんでした。
失礼しました。

秩父で本格フランス懐食! 『楽時舎』で豊かな時間を楽しむ

2007年06月03日 10時14分51秒 | 秩父のお勧めしまっせ料理店

都心で腕を磨いたシェフが
故郷の秩父市久那で本格フランス料理の隠れ家的店を開いている。
その名も『楽時舎(らくじしゃ)』


店内は 3テーブル限定(昼と夜の各々)の予約制
(*当日でも電話して席が開いていればOK)
コース料理とワインで、ゆっくりとした時間を大切な人と共有する
普段できない語らいが、気取らない畳に座って出来る
窓からは武甲山の景観が拡がり、風を感じる


料理について、あれこれ書くよりも、こう書きたい。
とにかく丁寧に真心こもった『生きた』
『作り手の顔の見える』料理を出してくれる。
これは、その辺にある大量解凍、
工場による大量半製品のレンチンレストランでは
決して味わえない豊かさだ。
その時期、その日の入荷を『楽時舎』は大切にする。


ワインは江田さん(シェフ)が、山梨の万力など各地を廻って
自らの舌で選び、種類も豊富で楽しい。
意外に焼酎も”通(つう)”で、珍しいものを紹介してくれる。

手作りの焼きたてパンも美味しく、おかわりしてしまった。

日替わりのメニューは、奥様が優しい文字の手書きで紹介する。
行き届いたもてなしと、素敵な笑顔に癒される。
料理の写真は その夜のコースの順です。


普段の日常の喧騒から逃れ、大切な時を過ごすには最適です。
価格もリーズナブルです。


『楽時舎(らくじしゃ)』
〒368-0053 埼玉県秩父市久那2328-3
電話&ファックス 0494-25-2500(携帯090-8962-7751)
木曜は定休








イナゴと野蜜

2007年04月07日 17時28分00秒 | 秩父のお勧めしまっせ料理店

生活のままならない絵描きにとって
絵の具代かせぎの仕事場の帰り道に
安くて美味しい居酒屋があるのは
なんとも嬉しいことだ。

なの花

これが店の名前で、
埼玉県秩父の大田のバス停『中大田』の真向かいにある。
鮮魚は、わざわざ朝早く高崎にまで行って仕入れをする。

先日、バスに乗り遅れ(なんと最終が夕方6時25分)
焼酎で一杯やっているとき
店のサービスで、マスターが
イナゴの佃煮を出してくれた。

聖書の中に
バプテストのヨハネの食べ物を紹介する
こんな記述がある。
『ヨハネは、らくだの毛の衣服を着け
皮の帯を腰に巻いていた。
その食べ物も、イナゴと野蜜だった。』

献身を表すバプテスマは
水に体を沈め、水から出る
新しく生まれることを意味する。

今ここに水の化合物があり
イナゴと野蜜ならぬ
イナゴの甘露煮があり
髭面の、皮ジャケットの男がいる。

象徴的に濁った社会の海に浸かっていて
自分は
自分の絵は
どれほどピュアな水の化合物(水彩画)を
産み出しているだろうか。


作品は『真綿の育み』個人所蔵
この地域(大田)を描いたもの