おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

ふたりの写真家

2024-05-07 10:33:04 | 日記
 芭蕉さんの「奥の細道」の習字のお手本を買い、毎日練習している。字を書く練習とともに、「奥の細道」を熟読できるということでは一石二鳥なのだ。その代わり遅々として前に進まず、今ようやく栃木県日光を過ぎたところである。

 で、習字をしながら、この文章を絵にするとしたらどうなるかなと、そんなことばかり考えている。よくある絵は、芭蕉さんと曾良らしき人物を自然の中に描くというやり方だが、僕としては現代の「奥の細道」にしたい。今時、草鞋を履き荷物を振り分けにして肩に担いで旅する人なんていないのだ。

 では、現代的な「奥の細道」のヒントみたいなものはどこかにないだろうかと考えるうち、現代の写真家の作品が参考になりそうだと気づいた。写真家の中にはいまだに写真はモノクロでなければならないと考えている人もいるし、水墨画の参考になりそうなのである。

 真っ先に頭に浮かんだのは、以前NHKで紹介していたソール・ライターというニューヨークの写真家のことだ。ほんの2、3点見ただけだったので、もう少し知りたいと、ネットで写真集を購入した。



 水墨画の参考になりそうだと思ったのももっともなことで、ソール・ライター自身、日本の古典、文学、禅、浮世絵といったことを勉強しているのだ。

 アメリカの人が書いたソール・ライターの解説を読んでいたら、「日本の写真家を引き合いに出すとすれば、詩情あふれる優美さや繊細さを想起させるという点で、植田正治や山本昌男が近いといえるだろうか」とあった。おお、懐かしい名前だ。植田正治という人は鳥取砂丘を舞台に写真を撮っていた人で、大山の麓に立派な美術館がある。

 日本全国を旅する前、植田正治の写真をぜひ見てみたいと思っていたので、鳥取に行った時には美術館に立ち寄ろうとしていた。てっきり鳥取砂丘の近くにあるんだろうと思って向かっていたら、途中で猛烈にお腹が痛くなり、ホームセンターでトイレを借りた後、近くの海岸に車を止め、横になった。だいぶ回復したのでそろそろ出かけようと道路マップを広げたら、植田正治の美術館がすぐ近くにあるではないか。鳥取砂丘まで行っていたら、ずいぶん遠くまで行ってしまうところだったのである。

 そんなことで無事見ることができた植田正治さんの写真はこんな感じ。



 ソール・ライターと雰囲気が似ているかどうかは人によって感じ方が違うだろうが、経歴はどちらもCM写真を撮ることから始まったというのでは似ている。また、報道写真とも芸術写真とも違い、スナップ写真に近く身近なものだけを題材に選んでいながら、詩情にあふれているところも似ているだろう。
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