この前の休みは天気が悪く、次の休みは車の定期点検に行かなければならないので、時間は短いがランニングに出ることにした。
山登りでも旅行でもそうだが、一旦始めてしまえば楽しいのがわかっていながら、準備の段階は面倒臭くて腰が重い。計画を立てている時や準備をしている時が一番楽しいという人もいるだろうが、僕の場合はそういうのは初めてやる時に限られ、何度もやっているうちに、準備をすっ飛ばして気がついたら始めていたというふうにならないものかなと思うのだ。
走り始めて30分もすると、体にリズムが生まれ、外を走ることの開放感にひたることができる。できれば、走り始めからそういう気分になりたいものだが、そんなにうまい具合には行かない。スタート直後は胃袋がもたれるし、関節が痛かったり筋肉が思うように動かなかったり、できればやめてしまいたいと思うが、とにかく30分続ければ、普段味わえない自由を謳歌できるのだと自分に言い聞かせて走り続ける。
いろいろ手を出すが、すぐに飽きてやめてしまう人がいる。おそらくそういう人は、準備の段階や調子が出るまで辛抱できないに違いない。山登りの楽しさも、案外元気な登り始めより、クタクタになって頂上を後にしたときに感じることも多い。達成感以上に、自分が今何かをやっているというその状態というのが、本当のところは一番楽しいのかもしれない。
川沿いの土手の上を走る。半袖では寒いくらいだが、いつしか頭のてっぺんからも汗が噴き出すほどになると、とりあえず身近な煩雑な用事や世間のことはどうでもよくなってくるのだ。