おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

赤い傘の絵

2024-05-13 11:28:54 | イラスト
 この前買った写真家ソール・ライターの印象的な写真を真似して、赤い傘の絵を描いた。ソール・ライターの写真は雪の積もった舗道を、赤い傘をさした女性らしき人物が通り過ぎる瞬間を、俯瞰する位置から撮ったものだ。真上に近い場所から見下ろす構図なので、誰が傘をさしているかわからないが、真っ赤な傘の印象から、若い女性を想像してしまうのである。

 で、僕が描いたのは傘をさしている人たち。雨の中を行き交う群衆がテーマだ。



 上半分を白く残したのは、ここに芭蕉さんの「奥の細道」の書き出し部分を書こうと考えているからだ。
 「月日は百代の過客にして 行き交う人も また旅人なり」
 絵は今ひとつだが、描き込む字の感じで仕上がりの印象がいろいろ変わるだろうと思っている。どうした書体でどんな構図で書き込めばいいか、それはこれから考えることにする。

 ソール・ライターの赤い傘の写真も印象的だが、同じようにモノクロの画面に赤が効果的に使われているのは、映画でも見られる。特に最初に印象に残っているのは、黒澤明監督の「天国と地獄」。これは誘拐事件を扱った映画で全編モノクロだ。その中でたった1箇所だけ赤い色が画面に現れる。それは身代金を入れていた鞄を燃やすと、赤い煙が出るという仕組みになっていて、映画の中では煙突から赤い煙が立ち上ることで犯人の居場所が判明するという使われて方をしている。

 もうひとつ有名な映画に、スティーブン・スピルバーグ監督の「シンドラーのリスト」がある。ユダヤ人の大量虐殺を扱った映画で、こちらも全編モノクロだが、ユダヤのゲットーでナチスによる無差別な虐殺が行われる時、小さな女の子だけが赤い服を着ている。無差別攻撃が終わった後の死体の山の中に、赤い服が見えることで、人間の野蛮さに対する絶望と怒りが現れている。

 他にもこうした効果的な使い方をしている映画や写真があるかもしれないが、僕の知るところはこんなところだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする