ワクチンの接種券というのが数日前に送られて来た。いよいよ順番が回って来たかと、早速予約をしようと中身を見ると、予約日は6月30日の日付になっていた。電話では受け付けていなくて、スマホを使うか、同封されて来た封書で送り返すかである。予約の受付日までには数日あるので、さっさと封書で送り返したほうが早そうだったが、この前スマホを買ったことだし、こういう機会なので利用してみることにした。
で、今朝は午前8時半からの受付となっていたので、それまでにいろいろ用事を済ませておく。8時29分に一度アクセスしてみたが、予約のアプリはきっちり制御されているようで、ご利用できませんの文字が出る。8時半、さてどうかなとアクセスすると、ちゃんと予約画面が開いた。
その後はLINEを使っての申し込みになるが、事前に申し込み方法を確認していたので、あっという間に予約が完了した。おそらく三春町では10番以内だったんじゃないかと思う。説明にあった通り生年月日を書き込む欄で、カレンダーを開いて入力しようとしたら、数十年分も遡らなくてはならなくなって、結局文字入力した。最初からこっちにしておけば、3番以内に予約できたんじゃないかと思っている。
普段、まったくスマホを使っていないだけに、指先がゴチョゴチョやることに慣れていないので、すぐに変な画面が現れてしまって、最初からやり直しになったりする。これを老人にやらせるというのは、やっぱりかなりハードルが高いように思う。僕にはスマホで便利になったというよりも、なるべく人と関わらないで生活できるようになったというくらいしか、スマホの効用は感じられない。そのくせ、何かというと「絆」とか「コミュニケーション能力」とかを尊ぶのだから、一体世の中はどこへ向かおうとしているのだろう。
ネットの発達で、情報の世界は狭くなった。大谷くんがニューヨークでホームランを打てば、すぐに記事になる。
しかしながら、ふと我に返って自分の世界が広がったのかと考えれば、昨日の自分と何にも変わっていないことに気づく。もし今、テレビも新聞もスマホもない生活を送らなければならないとしたら、新型コロナウイルスの騒動も、隣人が罹ってはじめて慌てるようなたぐいの病気に違いない。情報が豊かなばかりに、僕らはいつの間にか、不安やら恐怖に苛まれているということもある。
予約も無事終わり、ネットで注文していた「刑事コロンボ」も昨日届いた。池内紀さんの「ひとりで旅は楽し」を開くと、前書きにこうあった。「のんびりするには勇気がいる。知恵がいる。我慢がいる。というのは、いまの世の中の構造が、人をせかし、動かし、引き廻して、お金を使わせるようにできているからだ」